きりんログ

-愛と青春と声豚の記録-

等身大の少女たちの成長と輝き / Aqours 2nd LoveLive! HAPPY PARTY TRAIN TOUR 名古屋 感想

 

 

2017年8月5日、6日ラブライブ!サンシャイン!! Aqours 2nd LoveLive! HAPPY PARTY TRAIN TOUR」名古屋公演が、両日無事に終わりました。名古屋、神戸、埼玉の三都市で行われるツアーは、まだ始まったばかり。全日程の内三分の一しか消化していませんが、9人の少女たちの成長を肌で感じることができました。

 

0から1へと大きな一歩を踏み出し、彼女たちなりの新しい輝き方で幕を閉じた1stライブから半年。彼女たちのライブを待ち望んでいた時間はとても長く感じましたが、彼女たちが成長した姿を見て、まだ半年しか経っていないのかと感じたことも事実です。彼女たちの成長を目の当たりにして、彼女たちを追いかけ続けたら、どんな景色を見せてくれるんだろうと思った人も多いのではないでしょうか。それはまさに、『HAPPY PARTY TRAIN』を聴いて感じた、どこまで行けるか分からないけど、どこまでも道は続いていきそうという期待に胸を踊らせる気持ちと一緒。

 

降幡愛さんが、最後の挨拶で「皆さんとならどこまでも行けそうな気がする」と語っていましたが、その言葉には『HAPPY PARTY TRAIN』のテーマと、HAPPY PARTY TRAIN TOURにて彼女たちが成長する姿を見て感じたものが両方集約されているように感じました。

 

オープニングアニメーション

ライブの始まりを告げるオープニングアニメを見た瞬間から、ライブにかける気持ちが早くも最高潮になりました。ここまで興奮を煽るオープニングがかつてあったでしょうか。機関車の疾走とライブへの高まりをリンクさせたような映像に胸の鼓動が高まります。オープニングから気合の入ったオリジナル映像だっただけに、作り手の作品への愛を感じて思わず胸が熱くなりました。以前「あにつく2016」というイベントで「ラブライブ!サンシャイン!!CGセミナー!」という名目のセッションが行われているのに参加し、『ラブライブ!サンシャイン!!』のCG制作会社サブリメイションの黒崎豪氏らの制作秘話などをお伺いしましたが、そのお話の中でラブライブチームはみんな愛を持って作品をこだわって作っている」という旨のお話をされていました。何かオープニングアニメを見た瞬間に確かに彼らの愛がそこに宿っており映像となってそこに表れていたような気がしたのです。

 

ちなみに、オープニングアニメの中で一番好きなシーンが、ライブの開催地の名古屋駅さえも通過して機関車が闇夜を駆け抜けていくところ。「このライブツアーで期待以上の何かが見れるかもしれない」。やはり、そんな確信がこの瞬間にも生まれたのです。冒頭でも述べた『HAPPY PARTY TRAIN』を通じて感じた今や未来への期待感がこのライブ全体を通して感じられました。

 

そして、そんな熱く愛に溢れたオープニングアニメの後に満を持して登場した9人の少女たちが奏でる歌は、

 

HAPPY PARTY TRAIN

1曲目に来てもおかしくないとそう心の準備をしていましたが、そんなものがいかに無力なものであり嘲るようにこの一曲で私の全てを吹き飛ばしてくれました。Aqoursがあの衣装を着て目の前で『HAPPY PARTY TRAIN』を歌ってくれている。その光景と事実だけで言葉に表現できないような衝撃と感動がありました。それは、MVの中のAqoursの9人そのもの。オープニングアニメで機関車が駆け抜ける映像があっただけに、ステージの中央が開いて登場した機関車を見て、映像のなかから本当にAqoursが乗った機関車が飛び出してきたような錯覚にすら陥ったのかもしれません。

 

名古屋公演にて初披露となった『HAPPY PARTY TRAIN』について、この楽曲のセンターの諏訪ななかさんは終盤の挨拶で次のように語っていました。

 

ライブの直前で喉の調子がおかしくなっちゃって、『HAPPY PARTY TRAIN』ではうまく歌えなかったのが悔しいです。歌もたくさん練習していたのに。次の神戸では、絶対皆さんに成果を見せるから、楽しみにしてていただけると嬉しいです。

松浦果南諏訪ななか

 

この言葉を聞いて、皆さん様々なことを感じたことかと思います。私自身その時に感じたことを率直に申し上げますと、彼女の言葉を聞いて今まで以上に彼女のことが好きになるようなそんな気持ちになりました。実際、諏訪さん自身は笑顔で語っていたと思いますが、どこか彼女の中で悔しさが滲み出ていたように感じました。それだけに、諏訪さん自身の『HAPPY PARTY TRAIN』にかける熱い想いが彼女の言葉から伝わってきたように感じました。歌を特訓して日々練習を積み重ねてきたこと。でも、初お披露目となったハレのステージにて十分にその成果が発揮できなかったこと。

 

確かに、名古屋公演でもその成果を出せるに越したことが無いのは事実ですが、自分の弱さや失敗をも打ち明ける姿勢には何かリアルさや人間臭さが滲み出ていて、『ラブライブ!サンシャイン!!』を見た時にキャラクターの中に感じた「等身大の少女らしさ」が確かに生身の諏訪さんにも感じられたのです。

 

実は驚くことに、過去のライブ映像の中でも諏訪さんは今回と同様のことを語っていました。

 

なんかもうダンスですごい出来ないところが多すぎて、くじけそうになったこともいっぱいあったんですけど、こうやって9人でみんなに披露することができて泣きそうです。

松浦果南諏訪ななか

ラブライブ!サンシャイン!! Aqoursスペシャル課外活動 みんな準備はできてるかい? ~せーのでSUNSHINE!!~

 

来年の2月に横浜アリーナでライブが決定して、もう正直不安でいっぱいで…だからまだまだ未熟なところもありますし、もっともっと頑張らなくてはならないところが沢山あると思います。でも来年の2月までに皆さんにいっぱいいっぱい楽しんで帰って貰えるように頑張っていきますので本当によろしくお願いします。

松浦果南諏訪ななか

ラブライブ!サンシャイン!!Aqours ニコ生課外活動〜AQUARIUMで!ぷかぷかサンシャイン!!〜

 

諏訪さんの前に常にあるのは、パフォーマンスへの不安や痛感する自分の未熟さ。人は、不安や未熟さを感じて成長をしたいと願うようになります。TVアニメの第8話「くやしくないの?」でも描かれていましたが、千歌たちはゼロを知って初めてイチへと踏み出す覚悟を手に入れたのです。不安や未熟さが本当に無くなってしまったら、そこから成長や希望は生まれないのではないでしょうか。そんな不安や自分の未熟さもステージ上でありのままに伝えて、ここからはもっと成長していきたいと伝える諏訪さんの姿。『SKY JOURNEY』は『HAPPY PARTY TRAIN』の続きの物語を歌った歌だとライブ中に語られていましたが、この曲の歌詞の通り私は諏訪さんの等身大の熱い想いに触発されて彼女から勇気を受け取り胸がとても熱くなりました。

 

 

これとは別に、ライブ終盤の伊波杏樹さんが語る諏訪さんと果南ちゃんへ向けた感謝の言葉も印象に残っています。

 

私たちがこの場所に立てているのは、ここまで連れてきてくれた果南ちゃんのおかげです…果南ちゃんに拍手を!ほら見て、皆さんの光がみかん畑みたいに見えるの、私この光景が好き!!

高海千歌伊波杏樹

 

この伊波さんのこの言葉を聞いて、諏訪さんが心の底から笑顔を見せたような気がしたのです。1stライブの「想いよひとつになれ」でピアノでミスタッチしてしまった逢田さんに「ライブだもん」という前向きな言葉をかけて元気にしてあげていたように、今回の伊波さんの言葉からも常に仲間を第一に想った言葉をかけるリーダーらしい姿を見ることができました。あらためて彼女がAqoursのリーダーで本当に良かったなとどこか誇らしい気持ちになりました。

 

空も心も晴れるから

2年生組の3人のハーモニーがモニターに映し出される内浦の光景と混ざり合って感傷的な気分に浸りながら聞いていました。落ちサビで曜から梨子、梨子から千歌へと、気持ちを紡いでいくような振り付けが心に残っています。この曲はいわゆる『ラブライブ!サンシャイン!!』らしい『青空Jumping Heart』といった無謀な熱さを語る歌とは対局の位置にありますが、確かにこの曲の中にもサンシャインらしさがあって大好きなのです。TVアニメを見た方なら分かるかもしれませんが、サンシャインは前作よりも劇中に登場する少女たちが多くの内省を繰り返しながら成長する姿が描かれていました。タイトルに反して夕方や夜や雨や曇りのシーンの中でキャラクターたちが掛け合いをするシーンが多いと感じられた方も多いと思いますが、私はそんな彼女たちを見て最初からのコンセプトである憧れを胸に抱く等身大の少女たちらしさをより強く感じ取ることができたのです。今回の演出でもある内浦の景色の映像やしなやかな振り付けや歌詞を通して、実体験として何か劇中の物語の雰囲気の一部を感じられたような気がして堪らなくエモーショナルな気持ちになりました。

 

Waku-Waku-Week!

『空も心も晴れるから』から一転して明るく元気にはっちゃける1年生らしい曲で明るい歌とコミカルな振り付けの両方から楽しさを全開に感じられました。「Waku-Waku!Waku-Waku!」というコールアンドレスポンスもあり、あの曲を聴いた誰もが正に元気印になれたことでしょう。しかし、あらためて1年生組の歌を聞くと3人共安定感があっていつ聞いても関心してしまいます。いつもニコ生では画面の端でふざけているだけにこうして生の現場で実力を示してもらえるとそのギャップにやられてしまいます。もし今後学年楽曲が増えていくとするならば、もう明るさ元気さ楽しさをとことん突き詰めていったような曲か、あるいは一転してしっとりとした3人の歌声が映えるような曲も聞いてみたいなと思ってしまいました。

 

G線上のシンデレラ

大人っぽさ全開の3年生の曲でダンスや衣装が印象的でしたが、小宮有紗さんの赤いドレス姿は美しすぎて思わず見惚れてしまいました。満場一致で一番盛り上がったところが、1年生と2年生が3年生のダンスパートナーとして登場したところ。浦ラジでも実現したらいいと言っていたそうですが、他の学年のメンバーも出てくる演出には一本取られたなという気持ちです。3年生の曲でありながらもAqours全員の曲になってしまいましたね。手の甲にキスをするところではこのライブで一二を争う歓喜の雄叫びが上がっていました。

 

さて、今回のライブはTVアニメのBDの特典として付いてきた曲が中心になっていましたが、セットリストを振り返ると『青空Jumping Heart』を除けばアニメ曲は一切歌われなかったことは驚愕です。TVアニメの楽曲が無くてもここまで観客を魅了することができるライブを行えるんだと素直にそう関心しました。1stライブではアニメの劇中歌を中心に物語に寄り添う形でライブを展開してこの形で沢山の感動を呼べていましたが、2ndライブで大きく方向転換して何か楽しむことに特化したような形のライブに転換したことはとてもチャレンジングなことだと思いました。これには、物語が無くても感動を届けたいという作り手の気概を感じたと同時に、これによってAqoursの新しい価値を伝えることができるきっかけにもなったように思います。 そのAqoursの新しい価値というのが彼女たちのパフォーマンスの力で魅せる新しい感動。この後でも語りますが、彼女たちは物語に頼らなくても感動を届けられるだけのパフォーマンス力を手に入れたのです。ここにもやはり、確かな彼女たちの成長がありました。そしてその成長はまだまだ未来へと続いていくものだという感覚もありました。歌とダンスのパフォーマンスの力をつけて更に表現力を磨いていけば、彼女たちにとって大きな武器になると思っています。もちろんここで重要なのは、物語に寄り添うスタイルを捨てた訳ではなく、あくまでも新しい魅せ方を新たに手に入れたというところです。その両面を持ち合わせたAqoursはこれまで以上にファンを感動させるような魅せ方ができるようになることでしょう。一度物語から離れたことで何も無いところを真っ直ぐに走るAqoursらしさというものが際立ち始めたことも面白くて仕方ありません。

 

恋になりたいAQUARIUM

1stライブでは溜めに溜めたこの曲を披露して多くの歓声を集めていましたが、2ndライブではなんとAqoursキャストがMVの衣装に身を包んで登場してくれました。初日はLVで見ていただけにイントロのぼかした映像を見て一瞬何のことだろうと訳が分からなかったのですが、クリアな映像を見るとそこにはMVを完全再現した衣装を身にまとった9人の姿がありました。『青空Jumping Heart』や『君のこころは輝いてるかい?』もそうですが、ライブの定番曲は見られる機会が多いだけに成長を感じやすくなっています。この『恋になりたいAQUARIUM』も彼女たちの成長を感じられるものになっており、どんどんMVの世界に近づいていっているなという印象を受けました。これからも見る機会は沢山あるでしょうが、その時々でどのように彼女たちが成長した姿でこの曲を歌い上げるかが楽しみで仕方ありません。

 

Daydream Warrior

先にも述べましたが、歌やダンスのパフォーマンスの力の向上で新しいAqoursを見ることができたなと特に感じた曲がこの『Daydream Warrior』でした。スタイリッシュなダンスに魅了されてAqoursの所作のひとつひとつに釘付けになった人は多くいたのではないでしょうか。それはもはや彼女たちのパフォーマンスを見るというより彼女たちのパフォーマンスに圧倒されると表現した方が正しいのかもしれません。もちろん、このパフォーマンスで見る者を圧倒する力は彼女たちの努力や成長に裏打ちされたものであることは疑いようもありません。落ちサビ前で斉藤さん、小林さんがキレのあるダンスを披露してくれましたが、それに続く伊波さんのダンスも2人に引けを取らないレベルのものでした。伊波さんは、過去のインタビューで、ダンスが苦手だと語っていたことがあります。

 

──1stライブも決まり、ダンスの練習も大変だと思いますが、振り付けなどはすぐに覚えられる方ですか?
伊波 全然覚えられません(笑)。他のメンバーに申し訳ないくらい、振り付けが覚えられなくて。私は専門学校出身なんですけど、年に8回しかダンスの授業がなかったんです。なので、稀に入ってくる特別授業みたいな感覚でダンスは勉強していたんですけど、その時もあまり得意ではなかったです(笑)。踊ることが嫌いだった訳ではないんですけど、向いてないなっていう苦手意識はありましたね。

スクールアイドルプロジェクト『ラブライブ!』シリーズ最新作!『ラブライブ!サンシャイン!!』伊波杏樹キャストインタビュー | V-STORAGE

 

伊波さんはダンスが苦手だと語っていたにも関わらず見る側が思わず息を呑んでしまうような圧巻のパフォーマンスを披露していただけに、ここにも何か伊波さんのたゆまぬ日々精進な努力を感じました。もちろん努力だけではなく成果としてステージ上でしっかりと披露してくれたことが伊波さんらしくもあり、彼女のプロ意識には毎回脱帽させられてしまいます。彼女は舞台俳優としても活躍していますが、その舞台上で見るお芝居がいつも完璧なだけに、何かこれまでの鍛錬や経験の積み重ねが今回のステージにも表れていたのではないかと感じてしまいました。

 

ちなみに、伊波さんが落ちサビ前に続けて踊った2人が小林さんと斉藤さんだったのもインタビューの続きを読むと不思議な縁を感じてしまいエモーショナルな気分になってしまいます。

 

一回やってもらった動きをまず理解するところから始まるんですけど、全然理解できなくて(笑)。津島善子役の小林(愛香)さんと渡辺曜役の斉藤(朱夏)さんはダンスをやっていた経験があるので、ものすごく頼りになります。動画で確認する時も、自分の動きを見た後に、必ず2人の動きをチェックするようにしています。やっぱりダンスが上手な人は見せ方を知っているので、可愛い踊り方ができるんです。それぞれのメンバーのダンスを見ながら吸収しているので、良い意識を持ってやれていると思います。ダンスができるようになるとすごく楽しいですし、達成感もあるので、今できる全力で毎回挑んでいます。

スクールアイドルプロジェクト『ラブライブ!』シリーズ最新作!『ラブライブ!サンシャイン!!』伊波杏樹キャストインタビュー | V-STORAGE

 

彼女はダンス経験者である斉藤さんと小林さんのダンスから吸収して、ダンスができた時の楽しさや達成感を糧にして苦手なダンスにも取り組んできたと語ります。そんな2人の説得力のあるダンスの後で、2人から吸収したダンスをいかんなく披露する伊波さんの姿はとても輝いているように見えました。

 

スリリング・ワンウェイ

今回のライブの中で一番の盛り上がりを見せたのが『スリリング・ワンウェイ』と言っても過言ではないでしょうか。冒頭の「私たち、輝きたい‼︎」という伊波さんの全力のシャウトを起点にてして魂を揺さぶるような9人それぞれの力強い歌声が会場にこだまします。終盤の「マイ未来トライトライトライライ」というところでAqoursと会場の全員が声を合わせて叫び続けるところがあるのですが、地の底から湧き上がってくるマグマのようなパワーを感じて今後のライブの定番になって欲しいと思いました。伊波さん自身、幕間映像や最後の挨拶でも「これまでやってきたことを全力で名古屋にぶつけたいです!」と語っていましたが、その気持ちがこの曲で強く感じられました。

 

幕間映像

幕間映像ではお馴染みの最高に面白い寸劇も流れましたが、それだけでなく今回はライブにかける9人の想いが映像の中で語られていたり、ライブに向けて真剣な表情で練習する9人の姿が映し出されていました。特に練習風景の映像は、普段ステージ上で笑顔で歌って踊る姿とは異なり、真剣な表情をした等身大の少女たちが映し出されていて見ているだけで胸が熱くなりました。私は、この等身大の少女たちが一生懸命練習して頑張ってる感もAqoursらしさなのかなと思います。私たちと近いところにいながら必死に輝こうと頑張る姿勢。TVアニメの中でも千歌の一生懸命な姿に触発されて自分たちにも何かできることはないかと模索し始めたむっちゃんたちのように、そういう身近な輝きに私たちの輝きは誘発されて次は自分も頑張らなきゃと思えるのだと思います。ちなみに、1stシングルのリリイベでも流れたAqoursの練習風景や1stの特典になる予定の舞台裏映像などでも彼女たちの普段は見れないところまで私たちに共有してくれようとする姿勢が見て取れます。全てをありのままに見せてくれることで、サンシャインの物語の核でもある「みんなと一緒に輝く」という姿勢もより強く感じられるような気がして嬉しくなりました。これもAqoursにしか作れない新しい輝きを強めていく要素になり得るのです。

 

また、高槻かなこさんが最後の挨拶で「自分自身、こんなにダンスを踊れるようになるとは思っていませんでした。最初の頃の私が見たらびっくりするだろうな。」と語る姿からも確かな練習の積み重ねが裏にはありそれが今回のパフォーマンスの軸となる「自信」へと繋がっていったんだろうなと思わされました。高槻さんは普段からダンスが苦手だと語っていたこともあり、彼女の言葉を聞いた瞬間に不覚にも涙してしまいました。

 

SKY JOURNEY

今回のライブの中で一番引き込まれた曲がこの『SKY JOURNEY』といっても過言ではありません。Aqoursはこれまでも様々なフェスで物語の中でも重要な位置を占める『未熟DREAMER』や『MIRAI TICKET』などを披露して勝負の姿勢を見せてくれましたが、それでも彼女たちの真骨頂はやはりワンマンライブで発揮されることを教えてくれた曲でもありました。タイトルの通りではありますが、ダンスと映像が完璧にシンクロするとこうも宇宙を本当に航行しているような気分になれるのかと不思議な感覚に陥りました。9人が縦横無尽斜めに腕を振りかざすと後ろに映し出されている流星の軌道もそれに合わせて走るのが非常に幻想的でした。

 

君のこころは輝いてるかい?

高槻かなこさんは『君のこころは輝いてるかい?』について、「走馬灯のようにこれまでのことを思い出してしまった」と語っていましたが、私も同様にこれまでのライブの光景がフラッシュバックしながら今の彼女たちのパフォーマンスを見ていました。この曲もライブではお馴染みで何回も披露してくれていますが、それだけにこの曲を通してAqoursの成長が毎回手に取るように分かる訳です。彼女たちの成長がパフォーマンスに蓄積されているだけに明るいのに泣けてしまうという意味では実にラブライブらしい曲になってきたなという印象を受けました。

 

最初にこの曲が披露されたのは、「ラブライブ!サンシャイン!! Aqoursスペシャル課外活動 みんな準備はできてるかい? ~せーのでSUNSHINE!!~」。あらためて映像を見てみると、息を切らせながらもがむしゃらに真っ直ぐに踊る9人の姿が映っています。しかし、今回のライブで披露された『君のこころは輝いてるかい?』はどうでしょうか。今回から導入された激しいダンスに加えて何曲もパフォーマンスをこなしてきた上で終盤で披露したのにも関わらず、彼女たちは息を切らさず全編歌って踊っていました。特に千歌と梨子が歌う落ちサビの2人パートは、彼女たちの成長が手に取るように分かるようでいて、MVの中で笑顔で歌う千歌と梨子のようにしか見えませんでした。その姿はわずか1年半前に初めて披露された時の余裕の無い表情とはうって変わって優しい表情をしていました。TVアニメの物語の中でも13話かけてようやく『君のこころは輝いてるかい?』に千歌たちは辿り着いた訳ですが、今回のパフォーマンスでもキャストが完璧にキャラクターに重なった姿を見て、ようやく『君のこころは輝いてるかい?』が初めて公開された時のAqoursに追いついたんだなとも思ってとても感慨深い気持ちにもなりました。この曲はAqoursの1stシングルなだけに特別な想いがありますが、MVで曜ちゃんの馬跳びを見て、リリイベで実施に斉藤さんが再現した時の光景を見た時の感動は、いつまでも胸に留めておきたいと思います。あの時、確かにμ'sとは違うスクールアイドルの輝きを感じました。「はじまったときのときめきずっとだいじにね」。この歌詞の通り、Aqoursを全力で応援しようと思った最初のきっかけでもあるこの始まりの一曲はずっと大事にしていきたいと思います。

 

アンコールアニメーション

アンコール映像もオリジナルのアニメーションを用意してくれており、再び作り手の愛を感じました。いつものことではありますが、キャラクターと声を交わし合える瞬間が「ああ、ラブライブのライブに来たな」と思える瞬間でもありとても嬉しくもありました。観客の声を燃料にしながら次の駅へと向かおうとするAqours。最後の小林愛香さんのAqoursと皆さんで10両編成の『HAPPY PARTY TRAIN』」という言葉にもありましたが、これからも彼女たちと一緒に楽しい時間を共有していけたらなと強く思わせられる瞬間でもありました。

 

 

サンシャインぴっかぴか音頭

アンコール明けに登場したのは誰も予想をしていなかった伊豆三津シーパラダイスの宣伝部長ことうちっちー。法被を着て祭と書かれた大きなうちわを持って沼津からやって来てくれました。青い法被姿で登場したAqoursは、地元沼津の幼稚園の先生たちが考えてくれた振り付けを踊ります。先日、沼津夏祭りに参加しましたが、彼女たちのホームでもある沼津の地元のお祭りで、地元の方たちと一緒になって盛り上がっている姿がとても胸に残っています。祭りの最後を飾る『未熟DREAMER』の音楽に乗せた花火もそうですが、『サンシャインぴっかぴか音頭』も作品が終わったとしても形を変えながらもずっと「わすれられない輝き」として沼津の人の輪の中に残り続けてくれたらこれほど嬉しいことは無いなと作品と沼津を愛する一ファンとしてそう思いました。

 

最期の挨拶

Aqours 2nd LoveLive! HAPPY PARTY TRAIN TOUR」名古屋公演を締めくくる最後の挨拶。

 

Aqoursを愛してくれてありがとうございます

高海千歌伊波杏樹

 

伊波さんが満面の笑顔でこの言葉を言ってくれたのが心に残っています。彼女はかつて初めて立ったサンシャインのステージで涙ながらに次のようなAqoursの始まりを宣誓していました。

 

小林「あー終わっちゃうよ…」

伊波「終わんないよ、始まりだよ!…私達はここから第一歩を踏み出します。全力で頑張るから…ついてきてください!!」

伊波杏樹小林愛香

ラブライブ!サンシャイン!! Aqoursスペシャル課外活動 みんな準備はできてるかい? ~せーのでSUNSHINE!!~

 

この時は、ラブライブを冠する作品を担うことに対する沢山のプレッシャーを背負っていた伊波さんですが、この時の全力の涙の宣誓から今の柔らかい笑顔でAqoursを応援してくれることへの感謝を告げるまでに成長することができたのだと思うととても感慨深く思います。伊波さんというと元々ラブライブへの愛が人一倍強く、μ'sのことも大好きで自らライブに足を運んでいたというくらいで、本当に物語の中の千歌のように憧れ続けてきたμ'sのように自分がステージに立つまでになりました。

 

うん!そうだよ!夢じゃない!!
今日は本当に本当のスクールアイドルとして初めてのステージに立つの!

高海千歌

ラブライブ!サンシャイン!! Aqoursスペシャル課外活動 みんな準備はできてるかい? ~せーのでSUNSHINE!!~

 

最初のイベントが始まる前のナレーションで千歌がこう語っていますが、何か伊波さんの気持ちをそのまま台詞にしたようなナレーションがとても印象に残っています。こう言うと伊波さんに恐れ多いですが、ラブライブ!』を追いかけ続けてきて物語を愛し続けている同士の中で常に先頭に立って輝き続けてくれるのが伊波さんのような気がするのです。μ'sに憧れてきた彼女自身がスクールアイドルになるというのが一番の輝きの体現者であり、作品への無限のリスペクトすら感じてしまい、彼女のことを心の底から好きになってしまいます。もちろん彼女自身が作品への深い愛を持っていただけに、ラブライブを関する作品を引き継いだ時のプレッシャーは計り知れないものだったでしょう。

 

9人初めて揃ったイベントにこんなに沢山の人に迎えて貰えるって思ってなかった

高海千歌伊波杏樹

ラブライブ!サンシャイン!! Aqoursスペシャル課外活動 みんな準備はできてるかい? ~せーのでSUNSHINE!!~

 

会場に入るなり涙する伊波さんの姿が最初はありましたが、こう語るようにやはりAqoursに対する周囲からのプレッシャーがあって最初のステージでは声援がもらえるとは思っていなかったようで、彼女たちを照らす光と声援を聞いて思わず自然と泣いてしまったように見えました。それは、かつて自分が応援する声を届けていた場所に立つことの大きさを物語っているようでした。

 

そして今、彼女はその時から大きく成長した姿でステージに立ち、柔らかい笑顔で胸を張ってAqoursを愛してくれてありがとうございますと言えるようになりました。1stのリリイベでの「全力で頑張るから」という決意のゼロの言葉を宣誓して仲間たちと沢山の経験を経ながらようやく今回の2ndツアーの言葉に繋がったかと思うと、思わず『HAPPY PARTY TRAIN』でも歌われている繋がりを感じざるを得ないと同時に、かつてμ'sが『MOMENT RING』で歌った「奇跡のように全てが繋がって」というフレーズが頭の中で浮かんできては涙腺を刺激してくるのです。

 

Aqoursを愛してくれてありがとうございます」と応援している側としては最上級の言葉を頂いてしまいましたが、こちらこそAqoursを、高海千歌を、そしてラブライブ!を愛してくれてありがとうという感謝の言葉しかありません。

 

太陽を追いかけろ

HAPPY PARTY TRAIN TOUR」名古屋公演を締めくくる最後の曲。楽しさに重点を置いた今回のライブを象徴するかのようにこれ以上に締めくくりに相応しい曲は無いなと思わされました。『HAPPY PARTY TRAIN』でもAqoursの旅立ちの決意がテーマのひとつとして歌われていましたが、こちらもそれと対になるように「行かなくちゃだ」と歌われています。また、『HAPPY PARTY TRAIN』では輝きを手にしたAqoursが旅立つ「僕ら」を歌っていたように思えましたが、『太陽を追いかけろ』では「キミ」について歌われているのも印象的ですね。「キミだってとびだしたいキモチもってるね」と歌っていて、ライブの最後に熱い想いを受け取って次に輝くのはキミだと言わんばかりの構成ですが、これはTVアニメ1期そのものの流れでもありここにもやはり軸があり繋がりを感じざるを得ませんでした。「そうキミとのマーチング・マーチがひびきわたればいかなくちゃ」。「みんなで一緒に輝く」「10両編成のAqours」全ては繋がってHAPPY PARTY TRAIN号は次の駅へと向かって行くのです。

 

 

TVアニメの1期が終わり、1stライブが終わり、『HAPPY PARTY TRAIN』では次の一歩を踏み出すことへの切なくも熱い想いが歌われていました。そして、それらを経て9人で立った2ndライブツアーのステージ。そこには、劇中のAqoursを追い越すように駆け抜けていく等身大の少女たちの成長と輝きがありました。

 

秋からのTVアニメの2期の放送では、また劇中の9人の少女たちが先を行く形で成長していくことでしょう。キャラクターとキャストがお互いに影響を与えながら成長していく「みんなで一緒に輝く物語」。ツアーはまだ出発したばかりです。神戸公演、そして埼玉公演、そしてその先の駅で見られる景色がどのようなものになるのか。遠い駅で待つ希望に瞳を輝かせながら次なる駅に"Go!!"したいと思います。