きりんログ

-愛と青春と声豚の記録-

Aqoursへの愛 / Aqours 2nd LoveLive! HAPPY PARTY TRAIN TOUR 神戸 感想

 

Aqours 2nd LoveLive! HAPPY PARTY TRAIN TOUR2駅目の神戸公演も無事に終わりました。名古屋に引き続きAqoursにとっては初めて訪れる地でのライブ。高槻かなこさんの「凱旋公演」でもある本公演の開催が決定してから神戸公演を特別な公演だと感じていた方も多いのではないでしょうか。私もその内のひとりでしたが、彼女の思いがAqoursの公式ファンクラブ「Aqours CLUB」にて語られてからというものの、「凱旋」という心持ちを強く持っていた自分の視野の狭さを感じたと同時に、国木田花丸になる立場である高槻さんの公演にかける思いの違いというものを強く感じることになりました。その話は後でさせて頂くとして、最初にライブ後だからこそ感じた『HAPPY PARTY TRAIN』の魅力について語らせて頂こうと思います。

 

神戸公演の終演後、ライブの充実感と後述する伊波杏樹さんが語った言葉によって、まだ帰りたくないと駅のホームで立ち尽くしている私がいました。ライブで流れた楽曲を流しながら、終わってしまったライブへと思いを馳せていました。すると、そこに流れて来たのは本ツアーのタイトルでもあるHAPPY PARTY TRAIN。立ち止まってちゃいけない、次に進まなきゃ。楽しいライブの後に立ち止まっていた私の心を次へと押し進めてくれたのは、奇しくもずっと会場で聞き続けていたかったはずのAqoursの曲でした。人生で大切なことは全てラブライブから教わった。なんて大層なことはいいませんが、この曲をライブの後に聴いて、あらためて実体験として歌詞と重なるような体験をしたことで、この楽曲の不思議な魅力というものがあらためて浮き彫りになりました。ラブライブは立ち止まることも許してくれない。でも、それを優しい言葉でそっと促してくれる。とてつもない優しさとあたたかさを感じました。そして、それと同時に千歌たちのように自分も輝きへと向かう体験を重ねることでAqoursの曲の真骨頂を知ることができるのではないか。そんな新しい可能性さえ感じてしまい、ラブライブの奥深さと同時にラブライブをこれからも追いかけ続けたいなという気持ちもさらに湧きました。

 

オープニングアニメーション

名古屋公演でも語ったことではありますが、ライブ開催地の駅を通過して赤信号を無視して夜空を駆け抜けていくHAPPY PARTY TRAIN号の姿を見るとライブへの期待が自ずと高まっていきます。

 

オープニングアニメの中で一番好きなシーンが、ライブの開催地の名古屋駅さえも通過して機関車が闇夜を駆け抜けていくところ。「このライブツアーで期待以上の何かが見れるかもしれない」。やはり、そんな確信がこの瞬間にも生まれたのです。

等身大の少女たちの成長と輝き / Aqours 2nd LoveLive! HAPPY PARTY TRAIN TOUR 名古屋 感想 - きりんログ

 

今回の神戸公演では、斉藤朱夏さんが語っていたNext Step! Projectへの展望がオーバーラップしました。

 

いまのAqoursって、ブレーキのない状態で、いろんなところに走り出してる感じだと思うんです。果たしてどんな場所にたどり着くのかはわかりませんが、これから待ち受ける未来を見るのが本当に楽しみです。その景色を皆さんと見たいので、これからもAqoursと一緒に走り続けてください!

斉藤朱夏声優アニメディア 2017年 05 月号」

 

斉藤さんが語る言葉はオープニングアニメとそのまま重なる内容であり、『ラブライブ!サンシャイン!!』とAqoursへの期待感を端的に言い表したものでもあります。ブレーキのない状態で走り抜けるHAPPY PARTY TRAIN号が赤信号を無視する描写は、TVアニメ1期13話でAqoursの輝きに触れた観客が大会のルールすらも破ってステージへと駆け出す描写とも重なります。心から溢れ出した輝きは誰にも止められないのです。開幕の『HAPPY PARTY TRAIN』を今か今かと待ち侘びる気持ちが溢れ出して止まりませんでした。

 

1HAPPY PARTY TRAIN

神戸公演で特に楽しみにしていたのは、諏訪さんが名古屋で悔しさを語りながらも神戸公演へ繋がる覚悟を誓った『HAPPY PARTY TRAIN』。諏訪さんは名古屋公演の2日目の最後の挨拶で内心悔しそうにしながら次のように語っていました。

 

ライブの直前で喉の調子がおかしくなっちゃって、『HAPPY PARTY TRAIN』ではうまく歌えなかったのが悔しいです。歌もたくさん練習していたのに。次の神戸では、絶対皆さんに成果を見せるから、楽しみにしてていただけると嬉しいです。

松浦果南諏訪ななか

http://ayarieshon.hatenablog.com/entry/2017/08/18/152845

 

名古屋での悔しさを経て満を辞して歌われた神戸公演の『HAPPY PARTY TRAIN』。第一声の諏訪さんの歌声を聞いた瞬間に、目が潤み視界がぼやけました。諏訪さんの伸びやかな歌声が会場に響き渡ります。名古屋で自身のセンター曲でもある『HAPPY PARTY TRAIN』への思いを諏訪さんから聞いていただけに、彼女が積み重ねてきたものをステージから無事に届けることができた喜びと安心感で感動はひとしおでした。

 

諏訪さん自身満足のいく『HAPPY PARTY TRAIN』を披露できたようで、名古屋公演でも飛び出した「ウッてなったよね」という言葉を使って無事に歌うことができたことを表現していました。諏訪さん自身は名古屋公演からの件については言及していませんでしたが、確かに彼女にとって満足のいく『HAPPY PARTY TRAIN』を披露できたことが楽しそうな笑顔からも存分に伝わってきました。

 

(余談ですが、個人的に好きな振り付けがありまして、落ちサビで手を大きく広げて上にあげるところ。MVのシーンはおそらく下の画像の部分。MVではAqoursのダンスは描かれていませんが、実際のライブでは振り付きです。逢田さんもツアーのパンフで好きな振り付けだと語っていたところです。逢田さんは「「大きくなれー!!」と樹木を育てる気持ちでやっています(笑)」と語っていましたが、アンコールアニメでも描かれていたようにみんなの声を集めて機関車のパワーにするような力強さを感じられるのが好きな理由です。あとは、以前『HAPPY PARTY TRAIN』に込められたメッセージについて考察した記事の中でも挙げている、2番のAqours9人がレールを繋げる振り付けをするところ。これから進む未来の道を繋げていくのは人と人の「みんなで叶える物語」を感じられるところが好きなのです。)

 

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少女以上の恋がしたい

神戸公演では幸いにも前方で見ることが叶ったので、より近くでAqoursメンバーの表情を見ることができました。『少女以上の恋がしたい』では、メンバー同士1対1で向き合ってハグする振り付けがあるのですが、そこではお互いに目線を合わせて笑顔で踊っていたのが印象に残ってます。それは、お互いの表情や目線でコミュニケーションを取りながら踊っているようにも見えました。

 

実はこの「目線」について、海外公演や1stライブの舞台裏でAqours9人が円陣を組んだ際に伊波さんが「不安にもなったら目を見て」という言葉を発しています。もちろん『少女以上の恋がしたい』ではペアで向かい合う振り付けがあるために目線を交わすことにも繋がっているのでしょうが、それ以上に彼女たちにとって目線を交わすことには何か特別な意味合いがあるように思えます。

 

伊波「(笑)。私がしんどいと思った時に、パッと目に入るりきゃこの表情がすごくさわやかなんですよ」。
逢田「目が合うと高まるよね。もっと頑張らなきゃって」。
伊波「そういう目線をもらうから、すごく好きなんです。大変だと思っている瞬間を吹き飛ばしてくれる笑顔を持っている。

B.L.T.VOICE GIRLS Vol.27

 

このように過去のインタビューでも、目線を交わすことでモチベーションが上がることが語られていました。

 

私は『君のこころは輝いてるかい?』の冒頭で、9人が円陣を組んで手を差し出して行く時にメンバーが順番に目線を合わせていく瞬間がたまらなく好きです。表情や目線から伝わるお互いの気持ちを受け止めながら歌い出すのが、彼女たちの結束力を感じられるようでいてとても愛おしいのです。

 

CYaRon!

両日合わせて『近未来ハッピーエンド』『海岸通りで待ってるよ』『P.Sの向こう側』の三曲が披露されました。Aqours初の3ユニットどれにも言えることでもありますが、Blu-rayの特典曲を披露したのは新しい取り組みです。衣装は『近未来ハッピーエンド』のジャケットの海賊の衣装で『近未来ハッピーエンド』では伊波さん、斉藤さん、降幡さんがアイデアを出し合いながらデザインしたフラッグを用いた振り付けが、『海岸通りで待ってるよ』ではトロッコを使いながらオリジナルの振り付けを会場の全員でやりました。彼女たちのアイデアやオリジナリティが取り入れられてるのが個人的に好きなポイントだったりします。『P.Sの向こう側』は個人的に好きな曲ですが、ライブではモニターを使ってCYaRon!から会場のみんなに手紙を送るという演出が胸に残りました。また、MCでも印象に残っているCYaRon!らしい掛け合いもありました。

 

1日目

アーティストが水を飲んでいる時に「お水おいしい?」と聞くのはライブの定番ですが、伊波さんが「お水おいしい?」というファンの声を、誤って「お水美味しい!」という報告に聞こえたのか、「よかったね!」と笑顔で返していたのがとても微笑ましい光景でした。ただ、その後、降幡さんと斉藤さんに笑われていて、その理由が分からず「え?違うの?」と照れていたところも含めて、しっかりもののリーダーが見せる実は天然な姿というのも愛おしく思えます。

 

2日目

1日目のお水の流れを受けてか、伊波さんが「みんなもいっぱいお水飲むんだよ」と会場に声をかけたのに反応して、降幡さんが「あんちゃんたまに変なこと言うよね(笑)」という声に重ねるように、斉藤さんが「バカだもんね~」とステレートなもの言いをしていたのが逆に仲の良さを感じられて微笑ましかったです。伊波さんは「いや、天才だし!(笑)」と言っていましたが、それが逆にバカっぽいよねと降幡さんにも畳み掛けられてました。

 

諏訪「千歌ちゃんもけっこうシンクロ率高いってみんな言っているよね。天然なところとか」

伊波「天然じゃないよ、私!」

斉藤「違うの、天然じゃなくてバカなの(小声)」

伊波「めっちゃ頭いいからね!天然じゃないよ、まともだよ!」

声優アニメディア 2016年 11 月号

 

昔から伊波さんと斉藤さんの夫婦漫才は変わっていないようです。

 

AZALEA

『GALAXY HidE and SeeK』『INNOCENT BIRD』『LONELY TUNING』を披露。衣装は『GALAXY HidE and SeeK』のCDのジャケットのピンク色のワンピースに白い羽根が生えた衣装。『INNOCENT BIRD』のマイクコードを三者三様に使った振り付けや、クラップのノリが楽しい『LONELY TUNING』など、見た目の可愛らしさともギャップがあるクラブなノリのEDMが心地よいAZALEAらしいステージングでした。MC時の新アイテム「トリコリコキャンディ」によるペンライトの色変えも1stライブからのお馴染みのもの。その中でも『GALAXY HidE and SeeK』の演出と小宮有紗さんがされたMCのお話がとても印象に残っています。

 

『GALAXY HidE and SeeK』の演出は、小宮さんがひとり中央ステージで歌うところから始まるのですが、サビに至るまでは歌詞の通りひとりきりで歌っています。サビに入る瞬間、高槻さんと諏訪さんがアリーナのなかに突如出現するように2人に光が当たって歌い出します。遠くから見ていると本当に2人が急に出現したように見えて驚きます。

 

小宮さんはひとり歌っている最中は「寂しい」と語ります。高槻さんと諏訪さんの2人が出現する瞬間は、小宮さんは背中向きなので見えないのですが、「姿が見えてなくてもすわわときんぐが出てくるタイミングが皆さんの声でわかる」と語ります。「ここだよってだれかのこえがきこえる」という歌詞の通りだなと思い、とてもエモい気持ちになったことを覚えています。

 

GuiltyKiss

『コワレヤスキ』『Shadow gate to love』『Guilty eyes fever』が披露されました。衣装はCDジャケットをイメージしたパンツスタイルの衣装。鈴木さんがうさぎちゃんのワンポイントモチーフ、小林さんがザックザクのスパッツ、逢田さんがパッツパツのスパッツを紹介していました(本人談)。『コワレヤスキ』では格好良さ全開の歌とキレのあるスタイリッシュなダンスを、『Shadow gate to love』ではトロッコを使ってLOVEを振りまきながら歌を、『Guilty eyes fever』では伸びのある鈴木さんの歌声が特に素晴らしくて聞き惚れてしまいました。

 

ギルキスはMCで「ギルキスクイズ」という日替わりのジェスチャークイズを行い、同じポーズで1日目神戸牛、2日目但馬牛など全く違いの分からないポーズで笑いを誘っていました。「ギルティキッス!ギルティキッス!」のコールアンドレスポンスはロックのライブみたいで、ギルキスらしくもあり、今後もライブの定番にもなりそうな予感がしました。

 

青空Jumping Heart

この曲については『君のこころは輝いてるかい?』と並んで一二を争うくらいに何度も披露されている曲ではないでしょうか。何度も聴いてはいますが、決して飽きることはなくむしろその時の思い出が蓄積されていき、最初の時より泣ける曲になってきたというのが私の印象です。

 

この曲をステージで歌う時の心境の変化を高槻かなこさんが語っていました。

 

前までは、青ジャンで振り返った時にみんなの光が見えた瞬間に「見られてる」と思って緊張してたんだけど、今はみんなが「見てくれてる」っていう気持ちが強くて、応援してくれてるっていう思えるようになりました

高槻かなこ

 

ステージから見える景色とそこから感じるもの。これは実際にステージに立った彼女だからこそ生まれた感情だなと思いました。同じ光でも見る人の経験やタイミングによって違うように見えるのだなと。高槻さんにとってプレッシャーだった光が心強い光へと変わった瞬間がいつなのかは分かりませんが、彼女が成長したからこそステージ上からの景色も変わって見えるようになったのかなと思いました。

 

青空Jumping Heart』は、後ろ向きで登場するという普通のはじまり方とは違っていたので、会場は一体どうなっているんだろうって、ちょっとドキドキしました。振り向いたときに、TVアニメのオープニングと同じようなキラキラした光景が広がっていたのは嬉しかったですね。一瞬で不安や緊張が飛んでいきました

小宮有紗声優アニメディア 2017年 05 月号」

 

この感覚は高槻さんだけに限らず一緒に成長してきた小宮さん、ひいてはAqoursメンバーの多くが同じように感じていたことなのではないかとこのインタビューを見て強く思わされました。

 

サンシャインぴっかぴか音頭

名古屋公演では無我夢中でとにかくこの曲で踊り尽しましたが、アンコール明け一発目の曲が『サンシャインぴっかぴか音頭』なのをあらためて振り返ってみると、今回のライブのテーマに特に合致しているのかなとも思えてきます。ライブツアーのタイトルは「HAPPY PARTY TRAIN TOUR」ですが、その「HAPPY=楽しい」という部分に焦点を当ててみますと、今回のライブは1stライブでの物語に寄り添って感動に重点を置いたライブと比べると確かに楽しさに重点を置いていたなと感じる部分が大きいですし、「PARTY=祭り」という点でもAqoursも会場にいる人も全員がひとつになってお祭り気分で楽しめるというところで、踊るなんちゃらに見るなんちゃらではありませんが、全員が一丸となって踊って楽しめる『サンシャインぴっかぴか音頭』がアンコール曲として適役ではないかと思いました。

 

青空Jumping Heart』や『君のこころは輝いてるかい』などこれまでの想いが蓄積した「泣き曲」の後に『サンシャインぴっかぴか音頭』が来る構成なのも乙ですね。泣いた後にはしっかりと楽しい気分になって帰れるというのがラブライブらしいなと思います。

 

ちなみに名古屋公演で初披露されたこの曲で、舞台の最上段で伊波杏樹さんが和太鼓を叩いているのですが、名古屋の時より太鼓の音がより会場に響き渡るなと思いました。私の思い過ごしかなと思ったのですが、実際にそうだという方が多く、そして彼女の太鼓捌きが確かに迷いが無くなり上達していたという音楽を専門にされている方のお声もあったので、伊波さんがこの短期間で成長したのだなと尊敬の念も強くなりました。

 

あと個人的に見れて嬉しかったのが、斉藤朱夏さんが『サンシャインぴっかぴか音頭』の振り付け動画で披露していたオリジナルの「高速スイスイ」。実際にやっている瞬間を目撃して思わず真似してしまい最高の夏の思い出を作ってしまいました。

 

www.youtube.com

 

太陽を追いかけろ!

この曲についても色々と思うところがあるのですが、まずは神戸公演ならではの光景について。曲の途中で2年生が壇上に駆け上がるところがあるのですが、最初に登った斉藤さんが後から来る逢田さんと伊波さんを待ち構えているのですが、名古屋公演ではあえて斉藤さんをスルーして抱き付きに行きませんでしたが、神戸公演ではしっかりと斉藤さんにふたりとも抱き付きに行っていたのが何とも言えず幸せな気持ちになりました。これがおそらくもっと早い時期に行われていたイベントなら一直線に斉藤さんの胸に飛び込みに行くと思うのですが、あえてそれを外してスルーするのが逆にそれを平気でできるほどの距離感になったのだと感じられました。

 

さて、これに加えて名古屋公演とは大きく違っていた部分が曲の中でもありました。それが、Aqoursが1から9まで点呼を取ったあとで、伊波さんがOKサインの形を手で作りながらも、口では「OK!」と言わなかったこと。ここに大きな意味が込められているような気がしました。彼女が本来は曲中に登場する台詞をあえて言わなかったのは、会場からの「10!」という掛け声を自分の声で被せないため。実際に、彼女は会場からの点呼に対して、耳を傾ける仕草もしていたように思います。

 

ラブライブ!サンシャイン!!』における「10」が持つ意味については以前の記事で何度か述べた通り。

 

HAPPY PARTY TRAIN』の帯には、「新しいみんなで叶える物語」と書いてありますが、確かに『ラブライブ!サンシャイン!!』の1期ではAqours自身の新しい輝き方でみんなで叶える物語の一端を描いてくれました。

 

Aqoursはこの9人だけでなく、一緒に歩んでくれる学校の友達や地元の応援してくれる人たちもみんな「10」番目のAqoursメンバーだとメンバーに迎え入れてくれるような姿勢を持っている

ayarieshon.hatenablog.com

前回の記事でも述べたように、13話で千歌の友人が一緒にステージに立つことに賛同していたり、「10!」という掛け声に対して「みんな一緒に輝こう!」とアンサーしていたように、Aqoursは「みんなで輝くこと」を大切にしていたように見えます。彼女たちの声に呼応して一緒に輝こうとする人たちはみんな10番目のAqoursメンバーであるかのように思えるのです。これこそが、Aqoursの新しい輝き方に他なりません。

Aqoursの物語と歌のつながりのチカラ ~『HAPPY PARTY TRAIN』に寄せて~ - きりんログ

 

神戸公演で「OK!」という声を出さずに「10!」という会場からの声を聞くように誰が変えようと提案したのかは我々の知るところではありませんが、物語に寄り添うならば今回のようにAqoursと会場の声の掛け合いを優先してくれたことは疑問に思うところはありませんし、何よりもそのような決断をしてくれたことへの喜びが大きくありました。

 

酒井監督が1stライブを見た際に「彼女達のパフォーマンスでやっと13話が完成した様な気持ち」と表現していましたが、まさにライブで初めてこの曲が完成したような印象を受けました。

 

 

ここからは神戸公演問わずの内容になってしまいますが、『太陽を追いかけろ!』にもある「太陽」と作品、キャストが紡ぐ言葉との繋がりについて思ったところがあるので話したいと思います。といいつつ、この「太陽」というキーワードだけでも無印からサンシャイン含めて壮大な話に展開してしまいそうなので要点だけ。「太陽」というのはμ'sの『KiRa-KiRA Sensation!』でも歌われているように「おおきな輝き」であり、「目指す」対象であることが分かります。実際にこの曲のタイトルでも「追いかける」と言っていますね。本作のタイトルも「サンシャイン」と冠しているように、太陽はラブライブにおいて輝きであり夢や希望でもある訳です。『君のこころは輝いてるかい』で「今日も太陽は照らしてる僕らの夢」とあるように、太陽はいつも誰かの憧れととしてその輝きで少女たちの夢を照らし続けているのです。

 

ラブライブが提示するこの「太陽」という輝きや憧れの象徴について、奇しくも伊波さんが語っていた言葉と”繋がり”を感じました。

 

人に何かを届けるなら、自分が色んな経験をして、こんな世界もあるんだっていうことを多くの人に伝えたいです。人を笑顔にしたいと思ったら、自分が常に笑顔でいてあげたいし、自分が誰かの太陽でいられたらと思うので、そういう意味では千歌ちゃんは本当に憧れますし、そういう部分では少し似ているのかなって思います。

伊波杏樹

v-storage.bandaivisual.co.jp

 

「人を笑顔にしたいと思ったら、自分が常に笑顔でいてあげたい」「自分が誰かの太陽でいられたらと思う」。伊波さんは以前のトークショーで自身が掲げる理想の声優像として「憧れの先輩たちのように、誰かから憧れられる存在でありたい」という旨を語っていましたが、彼女の中でも太陽は誰かの夢を照らす存在であり、そんな太陽でいられたらと語る姿はまさに『太陽を追いかけろ!』と重なる部分があるように思います。彼女のなかでその対象が自身が演じる「高海千歌」だというのも興味深い話です。確かにネガティブな彼女を変えたのが千歌ちゃんであると語っていたことを思い返しても「太陽」という言葉が持つ意味の大きさについてあらためて考えさせられました。そして、「こんな世界もあるんだっていうことを多くの人に伝えたい」という言葉も『太陽を追いかけろ!』の「いつだってせかいっておなじじゃないね」「まだしらないあしたがある」に重なる部分であり、やはり彼女自身が輝きの体現者であることに疑いの余地はありません。

 

こんなにもわたしやいろんな世界を変えてくれた子はこれからも――本当に、一生のうちもう出会わないんじゃないかと思うくらいの存在ですね。最初は穂乃果を引っ張っていこうって思ったんですけど、穂乃果の成長はほんとに早くて(笑)。前を走ってくれているような、それでいて並んでくれているような、ほんとに太陽のような存在だなあってすごく思います

高坂穂乃果役 新田恵海「CUT 2015年8月号」

 

キャストにとって彼女たちが演じる少女たちもまた追いかけるべき太陽であることはずっと変わらないのだと思います。

 

最後の挨拶

冒頭でも触れた高槻かなこさんの「凱旋公演」としての神戸公演。幕間アニメでも花丸ちゃんを中心に神戸にまつわる話が展開していたりと、彼女を迎える特別なあたたかさが随所から感じられるライブでもありました。高槻さん自身も心なしかいつもより笑顔が多いようにも見受けられました。

 

そんな高槻さんですが、彼女にとって本公演が神戸への凱旋という気持ちよりも、国木田花丸として「はじめまして」の気持ちが強いことをAqoursCLUBにて語られていました。私は彼女の凱旋公演ということで神戸公演の決定を喜んでおりましたが、高槻さんは自身よりも先に「国木田花丸として」神戸に訪れステージに立つという意識の方が強かったようです。降幡さんが以前「黒澤ルビィとして立つ」覚悟をステージ上で語っていましたが、高槻さんも国木田花丸としてステージに臨む意思が強いことが今回の彼女の想いから汲み取れたようでいて嬉しくなりました。

 

それでも高槻さんはブログで続けてこう語っていました。もしも高槻かなことして最後にステージに立てていたら「ただいま」と言うからと。そして実際のステージ、最後の挨拶では

 

高槻かなことしてひと言、言ってもいい?

ただいまー!!

高槻かなこ

 

全力で「おかえり」の声を叫びました。ライブ中は国木田花丸であることを全うした彼女が最後に発した高槻かなことしての一言。高槻さんとして「神戸を愛してほしい」「帰るまでが神戸だからね」と最後まで神戸に対する特別な思いを語っていたのも、これまた彼女の本当の気持ちなのだと思わされました。

 

そして、名古屋公演ではAqoursを愛してくれてありがとうございます」という言葉で締めくくってくれた伊波さん。神戸初日は「色んなところに足を運んでツアーの中でも成長させてもらっている」と語ってくれました。前回書いた名古屋公演の記事でも彼女たちが大きく成長したことについて触れました。1stリリイベから1年半、1stライブから半年。しかし、その時は短い期間の中で彼女たちが目覚ましい成長を遂げたことについて触れましたが、このツアーの中でも成長し続けていることには驚かされました。

 

ayarieshon.hatenablog.com

 

そして、神戸2日目の伊波さんの最後の挨拶。

 

彼女が語る言葉には、Aqoursとしての最初からこれまでの全ての想いが込められているようでいて、目頭が熱くなり、胸がいっぱいになりました。是非Aqoursを追いかけている方全員に聞いて欲しいものです。

 

青空Jumping Heart』や『君のこころは輝いてるかい?』を歌ってる時にすごく感動して泣きそうになったの…
一番最初にメルパルクホールで歌った時のことを思い出して。
その時はたくさんの光を見て嬉しい!って思ったんだけど緊張もやっぱりあって…
「どんな風に受け止めてもらえるんだろう?」っていうドキドキをメンバーみんなが持ってて。

 

大きく成長した姿で彼女たちにとって本当の第一歩を踏み出した1月11日のことについて語り始めます。彼女たちの気持ちが透けるように、当時の彼女たちの不安はあの時の表情や涙から痛いほどに伝わってきました。その時のステージに臨む彼女たちの気持ちはインタビューでも語られている通りです。

 

ラブライブ!サンシャイン!!』を背負うプレッシャーや責任感、そしてAqoursのキャストとして皆さまに受け入れられるのか、ずっと不安があったんです。
伊波杏樹声優アニメディア 2016年 11 月号」

 

沢山の夢を叶えてきたμ'sの背中を追いかけ続けてきた彼女たちにとってその作品を引き継ぐプレッシャーは計り知れないものでした。

 

夢にまで見た合格なのに、いざ千歌と歩んでいく未来のことを考えると、喜びよりも緊張感で身が引き締まる思いでした。すぐに「どうしよう!!」と大声で叫びましたね。「私が背負うんだ、全部…」と得体の知れない責任が一気に方へのしかかってきた感覚があったんです。先代のμ'sが築き上げてきた夢や信頼や輝き…。そのすべてを背負ったんだって、リーダーとして失敗は許されないんだって。(中略)
リーダーにふさわしくない私が、千歌役をやっているという申し訳なさもあり、あんなに大好きだった『ラブライブ!』を、素直に好きといえない時期があったくらい。ファンレターをいただいても、不安が先に立って「私が千歌ちゃんにふさわしくないっていうお手紙かな?」と考えたりしていたんですよ。
伊波杏樹「電撃G'sマガジン2016年9月号」

 

「私が背負うんだ、全部…」という大きなプレッシャー。大好きな『ラブライブ!』さえも素直に好きだと言えない精神状態に立たされていたのは、それだけ彼女にとってラブライブという作品が大きな存在であり、μ'sが築き上げてきた夢や信頼や輝きをその目で見てきたからこそ湧いて来る感情なのだと当時の彼女の言葉を聞いて思わせられます。

 

そんな不安を抱きながら立った1月11日のAqoursのリーダーとしての初めてのステージ。そこには、ステージに出てきて会場の光景を見た瞬間に涙を浮かべる伊波さんの姿がありました。

 

9人初めて揃ったイベントにこんなに沢山の人に迎えて貰えるって思ってなかった
高海千歌伊波杏樹
ラブライブ!サンシャイン!! Aqoursスペシャル課外活動 みんな準備はできてるかい? ~せーのでSUNSHINE!!~

 

その時の涙は筆舌に尽くしがたいものがありますが、μ'sの後を継いだ大きなプレッシャーから感じていた緊張や不安があったからこそ、会場を埋め尽くすあの時の光景を見て溢れ出てきた感涙だったのではないかと思います。今回彼女が語っていた「どんな風に受け止めてもらえるんだろう?」という言葉は、まさにあの時のあの場所に繋がる言葉でした。

 

そして、その時から1年と半年。多くの経験を経て成長した彼女は「今」の景色を見渡しながらこう叫びます。

 

でも今はこんなに沢山の人がいるんだよ!

 

この瞬間、堪えてきた涙が一気に溢れ出しました。

 

だってこの会場にいる全員が『ラブライブ!サンシャイン!!』大好きなんでしょ?
みんなAqoursのこと大好きなんでしょ?
これって本当に凄いことなんだよ。

 

伊波さんは真っ直ぐに今の自身の気持ちを伝えます。本当にこの言葉を語っている時の伊波さんの顔が嬉しそうでどこか誇らしげで眩しくて。あの当時、涙を流しながら「全力で頑張るから、ついてきてください!!」と宣誓した時の涙の彼女とは打って変わって最高の笑顔で満ち溢れた表情を浮かべていました。今はこうして太陽のような笑顔で自分の気持ちを語ってくれるリーダーの伊波さんの姿が誇らしくて愛おしくて仕方ありません。

 

そして、ラブライブのことが好きなんでしょではなく、『ラブライブ!サンシャイン!!』のことが大好きなんでしょ、と語りかけてくれていたことが個人的に嬉しかったことでした。その言葉には、最初に彼女たちが感じていた『ラブライブ!サンシャイン!!』やAqoursが「どんな風に受け止めてもらえるんだろう?」という不安な気持ちから始まり、こんなにも作品のことが好きでAqoursが好きな人たちがいる今に至るまでの軌跡が全て詰め込まれているような気がしてならないのです。確かに、ラブライブとしてはもちろんのこと『ラブライブ!サンシャイン!!』として、Aqoursとして沢山の人から受け入れられたことには、大きな意味があったと思うのです。

 

沼津から飛び出したAqoursがこんなにも遠い場所でも愛してもらえて、沢山の人に応援してもらえてることが分かって…
(メンバーの)みんなだって今日めちゃくちゃ楽しかったでしょ?

小林「ねえやめてよ…」

伊波「だって本当にすごいんだよ!」

 

千歌たちの始まりは沼津。一緒に走り続ける彼女たちはツアーだからこそ遠い場所でも沢山の人に「応援してもらえている」ことを知ることができました。それは劇中の物語でも、彼女たち自身も掲げていることでもあります。

 

ラブライブ!サンシャイン‼︎」そして "Aqours"を
もっともっと色んな人に知ってもらって
たくさん応援して頂けるように…!
一歩一歩、大切に
Aqours 9人 頑張っていきます(`・ω・´)!!

伊波杏樹 公式ブログ - (´꒳`)Aqours 1st LoveLive! - Powered by LINE

 

 

これからも応援!そしていっぱいの笑顔、応援を

…あっ(笑)

大事なことだからね!

 

とにかく沢山の笑顔をよろしくお願いします!!

 

 

最後の最後まで涙をこぼさずに笑顔で語りきった伊波さんの姿が今でも目に焼き付いて離れません。彼女は涙を1月11日に置いてきました。満面の笑みで今を、愛を語る姿は誰もが認める最高のAqoursのリーダーでした。

 

 

シンプルだけどすごく良い言葉を言ってくれるんです。それに込められている杏樹の思いがすごく強くて、胸にズシンと響きます。なんでそんな言葉が出るんだろうって。

斉藤朱夏「B.L.T. VOICE GIRLS Vol.27」

「私から見た杏ちゃんは、リーダーとしてみんなよりもプレッシャーを感じる部分がたくさんあると思うのですが、それを感じさせずにみんなを引っ張っていく力があるところ。本当に尊敬できます。『杏ちゃんなら大丈夫』とか『杏ちゃんなら何とかしてくれる』っていう、まさにマンガやアニメの主人公の風格。
逢田梨香子「B.L.T. VOICE GIRLS Vol.27」

 

 

改めて思うんですが、『ラブライブ!サンシャイン!!』の魅力って「全て」だと思うんです。全13話全てがそろってこその『ラブライブ!サンシャイン!!』―彼女たちが自分で考えて、歩んできた軌跡が描かれた作品で、その全てが1本の線なんですね。
伊波杏樹日経エンタテインメント! アニメSpecial 声優バイブル2017」

 

彼女の言葉を受け取った今、胸を張ってこう言うことができます。『ラブライブ!サンシャイン!!』の魅力は、キャストの想いや生き様や成長や物語も含めて「全て」なんだと。

 

皆さまの「会いにいきたい」という声があるからこそ、Aqoursはここまでくることができました。「みんなで叶える物語」は私たちだけではなく、皆さまとも一緒にあるんだなと強く感じています。これからも素敵な景色を見るため、一緒に歩んでくれたら嬉しいです。

伊波杏樹声優アニメディア 2017年 05 月号」

 

彼女たちと一緒にまだ知らない明日へと歩んでいくこと。必ず「新しいみんなで叶える物語」を最後まで見届けようと願った瞬間でもありました。