TALK ABOUT SUNSHINE !! 4 - 【超主観Ver.】『ラブライブ!サンシャイン!!』の好きなシーン -
前回は「【2期直前】8つのキーワードで振り返る『ラブライブ!サンシャイン!!』」と題しまして、オフィシャルファンブックに沿って物語の本筋を振り返ってきました。
それとは一転して、今回は『ラブライブ!サンシャイン!!』1期において、自分が好きなシーンについてを超主観的に書いていきたいと思います。
いつもは割と物語から受け取ったものをありのままに書いている(はず)ので、自分の好き嫌いは極力出していないのですが、2期も直前だし「たまにはこういうのもいいよね」ということで書いてみました。
2期が目前に迫った今、自分が1期を見て、自分と重なるところだったり、「わかる。」という気持ちや「好き!」となった場面を中心に書いております。ラブライブを見る人の数だけラブライブの感じ方はある。と、私は思ってるので、「お前の好きなところなんて興味は無いけど話は聞いてやる」くらいの寛容なお気持ちで読んでいただけると幸いです。
それでは、各話ごとに好きな場面を理由と共に挙げていきます。
- #1 輝きたい!!
- #2 転校生をつかまえろ!
- #3 ファーストステップ
- #4 ふたりのキモチ
- #5 ヨハネ堕天
- #6 PVを作ろう
- #7 TOKYO
- #8 くやしくないの?
- #9 未熟DREAMER
- #10 シャイ煮はじめました
- #11 友情ヨーソロー
- #12 はばたきのとき
- #13 サンシャイン!!
- おわりに
#1 輝きたい!!
1話でまず好きなシーンは何と言っても、冒頭の千歌のモノローグ。
「普通なわたしの日常に、突然訪れた奇跡―。」
1話を見た時に以下のような感想を書きましたが、「『ラブライブ!サンシャイン!!』は必ず最高の物語になる」。そう感じさせてくれるだけのチカラが、冒頭の千歌の台詞には凝縮されていたように感じました。
TVアニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」の第一話の日はこれから始まる実感が薄かったのが正直な気持ちでした。
というのも、あまりにもそこに至るスピードが早くて、気づいたら当日になっていた感覚の方が大きかったからです。
それでも、放送の直前になると新しい物語が始まることへの期待感や高揚感が湧いてきましたし、それと同時に新しい物語がどんな風になるのか緊張や不安も同時に湧いてきました。
ですが、秋葉原で千歌の背中を押した強い風のように、自分が抱いていた緊張や不安といったネガティブな感情は視聴してからはすぐに明後日に吹き飛びました。
「ラブライブ!サンシャイン!!は最高の物語になる。」
第1話で全てを確信したといっても過言ではありません。早計だと思われるかもしれません。
でも確かに感じ取りました。
かつて「みんなで叶える物語」で感じた身体の内側からこみ上げてくるあの熱い高揚感と期待感を。
また、最後まで必ず追い掛けよう。
千歌たちが紡いでゆく新しい青春の物語をこの両の目で見届けよう。そう思い確信させられるだけの説得力がある第一話だったと私個人としては思っています。
【ラブライブ!サンシャイン!!】第1話「輝きたい!!」 感想ひとりごと - きりんログ
このように感じることができたのは、自分の境遇を千歌の境遇を完全に重ねて見ていたから。
何かに夢中になりたくて。何かに全力になりたくて。脇目もふらずに走りたくて。でも――何をやっていいか分からなくて。くすぶっていた私のすべてを――吹き飛ばし、舞い降りた!それが…!
心の奥では何かに夢中になりたかったけど、何をやればいいか分からなくて。部活に打ち込んできたわけではなく、これといって何か勉強してきた訳でもなく、仕事に熱心な訳でもなく。
ファイナルライブで「μ'sは本当にこの世界にいるんだ」と本気で思ったあの日のこともあり、μ'sが大好きな千歌の気持ちと自分の気持ちが重なって見えて感情移入して見てしまっていたんです。
それだけに冒頭のシーンを見ただけで大号泣したのを覚えています。
ここは伊波さんの演技も本当に良いんですよね。
彼女自身も印象に残っているシーンだとインタビューで見ましたが、「何かに夢中になりたくて―」から始まる言葉が、最初は千歌のアタリマエの日常をアタリマエに過ごしていることに対して、強い焦りも無いんだけど、どこかで変わりたい、と思っている。だけど、やっぱりもやっとした気持ちがあることを完璧に表現した低いトーンから始まって、「くすぶっていた私のすべてを――吹き飛ばし、舞い降りた!それが…!」に至る時には徐々に抑揚を上げて来て、μ'sという夢中になるものに出逢えた時の奇跡を目の辺りにした嬉しさが込み上げてくる感じ、が本当にこの短い台詞の中で表れているんですよね。
その前から伊波さんは舞台役者として尊敬の眼差しで見ていましたが、声優・伊波杏樹としての凄みを思い知らされたきっかけのひとつがここだったように思います。
あとはやっぱり海辺で千歌が梨子に対して「どうして千歌がμ'sに憧れるようになったか」を語るシーン。ここは初見でも、その後何回か見た時も涙必須のシーンでした。
千歌「どう?」
梨子「どうって…なんというか…普通? あー、いえ、悪い意味じゃなくて、アイドルっていうからもっと芸能人みたいな感じかと思ったっていうか…」
千歌「だよね…」
梨子「えっ…!?」
千歌「だから衝撃だったんだよ…あなたみたいにずっとピアノを頑張ってきたとか、大好きなことに夢中でのめり込んできたとか、将来こんな風になりたいって、夢があるとか……そんなの一つもなくて……私ね、普通なの。」
μ'sのビジュアルを見た時に率直に述べた梨子の感想。
「なんというか…普通?」
それに続いて「だよね…だから衝撃だったんだよ…」と。
みんな私と同じようなどこにでもいる普通の高校生なのに…キラキラしてた。それで思ったの。一生懸命練習して、みんなで心をひとつにしてステージに立つと、こんなにも格好良くて、感動できて…素敵になれるんだって…!スクールアイドルってこんなにも…!こんなにも…こんなにも…!!キラキラ輝けるんだって…!!!
普通星人だった千歌だったからこそ気づくことができたスクールアイドルμ'sの魅力
視聴している私自身も普通星人で、でもμ'sのことは好きというところで千歌に感情移入して見ていたのですが、本当にここはμ'sに対する好きという気持ちを隠すことなくひたすらに真っ直ぐな千歌の姿が輝いて見えて眩しくて泣いてしまったのです。理性や論理ではなく、感情ただ一点でのみ千歌の言葉に心揺さぶられました。
あとはμ'sが登場したことも『ラブライブ!』を追いかけ続けてきた私にとっては号泣ポイントでした。しかも千歌がμ'sのことを好きにになったのが「START:DASH!!」だったのがなんとも憎いですよね。
この曲は制服姿で歌われていましたが、だからこそ普通のスクールアイドルらしさが伝わったというか、同じ高校生の自分でも輝けるかもと千歌は思えたんですよね。
多分ここは他の曲ではダメ。いや、ダメということは無いけど最も千歌がスクールアイドルになりたいと思える流れの上で最も説得力があったのがこのスタダだったと思うんです。
やはり、ラブライブチームは無限に信用できるのです。
そして、千歌がひとしきりμ'sの良さを語った後で、梨子が言う何気ない一言も好きだったりします。
なんか頑張れって言われているような気がした
ただ千歌は自分が好きなものに対して夢中で話していただけなのに、なぜか梨子は励まされたような気分になった。
それは、「人の心を打つのは、何かにただ真剣に、ただ夢中に、ただ楽しそうにしている姿勢を見せるだけでいい」からだと私は思っています。
これは当てずっぽうではなく、13話でも描かれていること。千歌たちが自分たちの学校を救おうと、スクールアイドルに真剣に、夢中に、楽しそうにしている姿を見たむっちゃんたちは、自然と私たちにも何かできることは無いか、スクールアイドルになれないのかと千歌に話していたところはまさにその通りでしょう。別に千歌から「スクールアイドル一緒にやらない?」と誘われた訳ではないのです。
思えば、千歌がスクールアイドルになりたいと思ったのもμ'sがただ楽しそうに見えたからですよね。
誰かが夢に向かう姿が、誰かの夢にまた繋がる
このラブライブにおける無印から連綿と続く、誰かの輝きがまた誰かの輝きを生む輝きの円環こそが私がこの作品を無限に好きでいられる理由だったりします。
そして、1話にはまだ好きなシーンがあります。それが曜ちゃんが照れながらスクールアイドル部の申請書に署名するシーン。
私ね、小学校の頃からずーっと思ってたんだ。千歌ちゃんと一緒に夢中で、何かやりたいなって。
「なんてこの子はいい子なんだ」と思うと同時に、曜ちゃんの奥ゆかしさのようなものを感じました。思えば曜ちゃんは、1話の最初から千歌のスクールアイドル部の新歓の呼びかけを手伝ったりしてますよね。それはもはや無償の友情と言ってもいいでしょう。
それもやはり「ずっと何かを一緒にやりたかった」という気持ちが曜ちゃんの中にあったから。12話に繋がるものを感じてラブライブに”嘘”なシーンは何一つ無いんだとあらためて思わされました。
最後に、もうひとつ1話で好きなシーンを。それが最後の「決めたよHand in Hand」を歌い出すところ。
ファンブックでも監督は「『ラブライブ!』の物語はこうなんだ!!」という想いで作り上げた1話だったと語っていましたが、その象徴でもあるのがこのいきなり歌いだしちゃうミュージカルのシーンだと思います。
ラブライブの世界では感情の高まりは歌で表現されるのです。その時の気持ちが歌になる。
2期第9話の「Snow halation」で、μ'sは全国大会への切符を手にしますが、言葉で結果が語られてなくても勝ったことって伝わるんですね。それは歌が必殺技だからですよ。そこに向かって段取ってあげれば、あとは歌の力で解決する。歌にすべて乗せろというのが、暗黙の了解としてありました。
花田十輝 「ラブライブ! TVアニメオフィシャルBOOK 」
私はこの花田先生の引用が大好きでよく引用させていただいているのですが、ラブライブにおいて歌は必殺技でそこまで物語が段取られていれば後は歌で全ての結果が決まるのです。
そして、巻き込まれた梨子も歌っちゃうのは本当に最高です。
今回は残念ながら梨子の答えはNO!でしたが、これはラブライブ!の1話を逆手にとったオマージュというか、歌っちゃえば大丈夫だよねというところをダメでしたという、上手く落としていたところが巧いなと思いました。
これは新しい物語が見られそうだ。
そんな気持ちに強くさせてくれる1話の落とし方でした。
#2 転校生をつかまえろ!
ダイヤさんがμ'sについて触れるシーン。
μ'sはスクールアイドルたちにとっての伝説、聖域、聖典。宇宙にも等しき生命の源ですわよ。その名前を間違えるとは…片腹痛いですわ。
中二病なワードを並べたり、μ'sのマニアックなクイズをこの後出題するのですが、実は彼女がμ'sのことが大好きだということが溢れ出していることが伺えて、無限に彼女のことが好きになれるシーンなのです。
「ぼららら」とか略語が出てくるのも個人的には嬉しかったです。ああ、これがラブライブから地続きでリアルな世界なんだと。
また、ダイヤさんのオタクっぷりには共感を覚えました。私がラブライブを好きな理由のひとつに、色んなキャラクターに感情移入ができることがあるのですが、好きな気持ちをマニアックに語るダイヤさんには勝手にシンパシーを感じてしまいました。
続くは、海辺で自分の悩みを千歌に打ち明けるシーン。
千歌「変わるよ、きっと。」
梨子「簡単に言わないでよ。」
千歌「分かってるよ。でもね、そんな気がする。」
自分を変えたいという気持ちを持っている梨子に対して臆することなく千歌は語ります。それは、普通だった自分がμ'sのおかげで変わることができたからこそ、こう言うことができたのでしょう。
自分にとって本当に好きなものがひとつでもあると自信がつくのかなと、千歌の姿勢を見てそう感じました。
じゃあ、海の音だけ聞きに行ってみようよ。
スクールアイドル関係なしに!
ここの千歌の誘い方もいいですよね。
2話の最後に「誰かを笑顔にするのがスクールアイドル」と言って、「やってみて笑顔になれたら、変われたら、また弾けばいい。」と言うのですが、ただスクールアイドルになって欲しいという自分の気持ちだけで動いているのでなく、梨子の悩みを解決してあげたいという純粋な気持ちで行動しているのがスクールアイドルの体現者だなと思いました。
あくまでもスクールアイドルはツールなのです。それをきっかけに笑顔になれることが梨子にとっては一番だと。千歌はμ'sの姿を見てきて、スクールアイドルの本質を感じ取っていたからこそ、梨子に対してこういった行動を取れたのだと、やはり自分の中で指針となるようなことを持つことは大事なのだとも気付かされました。
ちなみに2人が語っていたところが海辺だったのもいいですね。ここは11話の「変な人」にも繋がるのですが、それに留まらずサンシャインでは重要なことを語り合う場面では必ず海が登場します。彼女たちにとって沢山の喜びや悔しさを共有した海。彼女たちにとって内浦の海という場所が特別なものになるきっかけにもなりそうですし、私たちも沼津に聖地巡礼に行って海を見ただけでいろいろな場面を思い出してエモい気持ちになってしまうのです。
あとは千歌が歌詞を書くのに悩んでいる時にスクールアイドルを好きな気持ちを思い出すことで歌詞を書けるようになるシーン。
曜「スクールアイドルにドキドキする気持ちとか、大好きって感覚とか」
梨子「それなら書ける気しない?」
千歌「うん、書ける!それならいくらでも書けるよ!」
かつてスノハレでμ'sが学校のみんなのことを大好きだという気持ちを持って恋愛の歌を書けたように、千歌はそんなμ'sやスクールアイドルが好きという「千歌ちゃんはスクールアイドルに恋してるからね」な気持ちを持つことで書けたというのが必然を感じられて良いのです。
しかもこの後、梨子ちゃんが真剣な千歌の姿を見て、もう一度輝きたい!!という気持ちを思い出すのです。
学校のみんなへの好きという気持ちがμ'sが歌を作る原動力になっており、そのμ'sが好きという気持ちが千歌が作詞をする原動力になり、さらに梨子がピアノを好きという気持ちを思い出してもう一度輝きたいという原動力になろうとしているのを見て、ここでも1話のところで見たような、誰かの頑張る姿が誰かの力になるという連綿とした想いの連鎖を感じられるので、ここも大好きなシーンです。
そして極めつけは2話ラストのシーン。ロミオとジュリエット的にバルコニー(ベランダ)で2人の心が初めて通います。ロミオとジュリエット的は見たことありませんが。
ここのシーン普通に見ていてもいいのですが、ファンブックの酒井監督のコメンタリーを見て「それなんすよね…」とあらためてなりました。
「こころの動きが”かたち”になって見える」というのがラブライブにおいて大切にしていることだと思うと監督は語ります。思い返してみるとその象徴的なものが強い気持ちを持った穂乃果の「雨やめー!」で本当に雨が止んでしまったり、キャラクターが悲しんでるシーンでは雨が振っていたり、キャラクターの気持ちが塞がってしまうシーンでは赤信号になったり。
そして、無理なものでも現実になるものだと。雪の日に会場にたどり着くのが無理だと思っても、学校のみんなの力で道になったり。サンシャイン2話でも、届かないはずのベランダ越しの2人の気持ちが通うことの象徴として指と指が触れ合うのは、本当に見ていて清々しいものでした。
こういう現実ではありえないけど嘘じゃない演出はアニメだからこそできるものだと思うので、これからも繰り出して行っていただきたいと思いますね。
#3 ファーストステップ
まず3話で挙げさせていただきたいのが、千歌の家に来た梨子や曜ちゃんたちが頑張ってるのを襖から美渡姉が覗き込んで微笑むシーン。13話でも母親に千歌のことをこっそりと伝えていたり、母親と千歌の掛け合いをこれもまた襖から志満姉と覗いているシーンがありましたが、こういう家族のさりげない優しさを見ると本当あったけぇってなります。特に美渡姉は普段は千歌に対してぶっきらぼうに接しているだけに、裏では妹のことを見てることが分かるのは何とも言えないですね。
「ダイスキだったらダイジョウブ!」ではスクールアイドル部のライブのビラを張りまくっていたり、「バカチカー!あんた開始時間、間違えたでしょっ!」といった粋なシーンもあって、実は美渡姉がサンシャインで10番目に好きなキャラクターだったりします。
ライブを心配する曜ちゃんに対して「大丈夫よ。みんな温かいから。」と勇気づける志満姉もあったかいんすよね…
さて、講堂でのライブから「ダイスキだったらダイジョウブ!」に至る場面も大好きです。以前の記事で「MIRAI TICEKT」は実質「SUNNY DAY SONG」だと言ったこともありましたが、「ダイスキだったらダイジョウブ!」で描かれているのは「Snow halation」回で描かれたものと同義だと私は思いました。
つまり学校の「みんな」を巻き込んだ「みんなで叶える物語」。曲中には駅前でビラを配る浦女の生徒たちの姿がありました。
ただし、無印の時と大きく異るのはμ'sの功績によってスクールアイドルという存在が広まっていたこと、そして内浦の人たち(ファン)のあたたかさがあっての「みんなで叶える物語」だったこと。それをダイヤが指摘します。
これは今までの、スクールアイドルの努力と、街の人たちの善意があっての成功ですわ。勘違いしないように!
分かってます!でも…でも、ただ見ているだけじゃ始まらないって!上手く言えないけど…今しかない…瞬間だから…だから!!輝きたい…!!!
ここがメタ的な意味にも取れるところも良かったりするのですが、何よりもMCバトルチックなところが個人的に好きなポイントだったりします。ダイヤの「スクールアイドルの努力と、街の人たちの善意があっての成功」というディスを「分かってます!」と受け止めてからの笑顔の「ただ見ているだけじゃ始まらない」「今しかない…瞬間だから…だから!!輝きたい…!!!」という放つパンチライン。最高です。
酒井監督の言う理屈じゃない純粋な欲が彼女たちの口から出てきたこともラブライブらしさがあっていいなと思います。思えば穂乃果が3話で講堂で宣誓した時も、それ彼女自身の純粋な欲から来るものでしたよね。人が見てくれないとか応援がもらえないとかいう理屈じゃなくて、ただ自分がやってよかったと思えたことを続けたい、この思いを届けたいという純粋な彼女の気持ちでした。
こんな気持ち、初めてなんです。やってよかったって、本気で思えたんです。今はこの気持ちを信じたい。このまま誰も見向きもしてくれないかもしれない。応援なんて全然もらえないかもしれない。でも、一生懸命頑張って、私たちがとにかく頑張って届けたい。いま、私たちがここにいる、この思いを!
千歌たちが「今しかない…瞬間だから」と言い放った時、「過去」の象徴であった果南が立ち去ります。果南の悲しみを表すかのような雨もそれと同時にやんで晴れ間が差し込みます。2話のところでも挙げましたが、ラブライブでは気持ちが形となって具現化するところが大好きなのです。
#4 ふたりのキモチ
まると一緒に図書室で過ごしてくれたその子は、とても優しくて、とても思いやりがあって…でも、気にし過ぎな子
素晴らしい夢も、キラキラした憧れも、全部、胸に閉じ込めてしまう子
その胸の扉を思い切り開いてあげたいと、ずっと思っていた
中に詰まっている、いっぱいのヒカリを
世界の隅々まで照らせるような、その輝きを、大空に、放ってあげたかった
それが、まるの夢だった
ルビィちゃんは、もっと自分の気持ち大切にしなきゃ
自分に嘘ついて、無理に人に合わせてもツライだけだよ
ルビィちゃんはスクールアイドルになりたいんでしょ?
だったら、前に進まなきゃ
さぁ、行って
この言葉を聞くといつも辛くなります。花丸が語る言葉。これは全て彼女自身にも当てはまるのですから。
そんな彼女を救ったのは、一度彼女に背中を押されて救ってもらったルビィ。
ルビィね、花丸ちゃんのこと見てた!!
ルビィに気をつかって、スクールアイドルやってるんじゃないかって!!
ルビィのために無理してるんじゃないかって…心配だったからでも、練習の時も、屋上にいた時も、皆で話してる時も…
花丸ちゃん…嬉しそうだった!!それ見て思った。花丸ちゃん好きなんだって…
ルビィと同じくらい好きなんだって!!スクールアイドルが!
変わることを恐れずに救われたルビィが今度は花丸を救う。この関係性が本当に見ていて友情って素晴らしいなと思いました。
ルビィが花丸の本心に気づいていたのも必然でしょう。なぜなら彼女は誰よりも花丸のことを思ってここまで見て来たのですから。
この回で、自分の気持ちを大切にすることの大切さを学びました。それと同時に、相手を思う優しさも、相手の本心を理解する上では決して捨ててはいけないこと、であるとも学びました。やっぱり、1年回は結構深いテーマを扱ってるんだなと振り返ってみて思いました。
#5 ヨハネ堕天
ヨハネ回、この回は見れば見るほどに深みが増して行って最近では涙を流さずにはいられない回になってます。
たヨハネの魅力に気づいたのが千歌だったというのは当然の帰結でめっちゃ良いなと思いました。
彼女は自分が「普通」だからこそ、ヨハネの良さに誰よりも先に気がついた。
思えばヨハネは、5話やそれ以降の言動を見ていても友達思いだったり常識人なのが伺えます。ファンブックでは、彼女の母親が先生であるとバックボーンを酒井監督が語っていたことからも想像できるのですが、彼女の根が真面目で、空気を読むことに長けていたりしたのには妙に納得感がありました。
彼女は空気を読めすぎるあまり、自分の価値観を押し殺して「普通」になろうとします。その根本にはやはり友達と仲良くしたいという彼女の本心がありました。そのためにはやはり堕天使を捨てなければいけない。そんな彼女の心境を考えるとやはり1年生は特に複雑な心境を抱いているなと関心してしまいます。
それに待ったをかけたのが千歌。
堕天使ヨハネちゃん!
スクールアイドルに入りませんか?ううん、入って下さい。Aqoursに!
良いんだよ、堕天使で!!
自分が好きならそれで良いんだよ!
千歌は堕天使が好きな彼女も含めてありのままを肯定します。 自分らしさを捨ててはいけないと。
私ね、μ’sがどうして伝説を作れたのか…どうしてスクールアイドルがそこまで繋がってきたのか、考えてみて分かったんだ
ステージの上で、自分の好きを迷わずに見せることなんだよ!!
お客さんにどう思われるとか、人気がどうとかじゃない!
自分が一番好きな姿を…輝いてる姿を見せることなんだよ!!
だから善子ちゃんは捨てちゃダメなんだよ!!
自分が堕天使を好きな限り!
千歌がヨハネを肯定できた理由。それは、千歌がμ'sに憧れを抱いていて、そんなμ'sたちがステージで自分が一番好きな姿を見せていたから。
思えば、2話で梨子が笑顔になることを第一に考えた台詞でも、運動は苦手だけど自分の好きなものをやってみることが大事だと花丸にかけてあげた台詞でも、それはμ'sから千歌が教わったものでした。
よくAqoursの物語は最初の方はμ'sをトレースしているなんて言われることがありますが、決してそんなことはありません。
μ'sへの憧れの力が彼女にとっての原動力であり、周りの人たちを変えていけたのもμ'sが好きという気持ちから彼女自身が気づきを得ていたから。
憧れの力で周りを繋げていった千歌と彼女の周りの変わりたいと願った少女たちの物語。
それは、「自分たちの走り方で走る」ことを誓った12話に至るより前に、明らかにμ'sとは違う夢の軌道を描いていたということに他なりません。
憧れの力で自分たちの夢を叶える物語
それがラブライブサンシャインなのです。
でも、嫌だったら嫌だって言う!
ファンブックの小林さんも言ってましたが、千歌たちがヨハネを無意味に全肯定をした訳ではないところもグッと来るポイントです。理由もなく全肯定をするだけが友達じゃない。本当に彼女のことを好きだからこそ、嫌なことは嫌だと言える関係性。それこそが真に相手を信じてあげることなんだと気付かされました。
ここからは主観ですが、5話は自分がブログをやるうちにもっと好きになったお話でもあります。
自分が好きなものに嘘をつかずに、それに対する好きを書き続ける姿勢を私自身貫いてきました。
ヨハネ回を見て、ヨハネの姿が自分と重なり、千歌の言葉が自分に言ってくれているような気になり、胸が熱くなりました。自分が誰かに肯定されることほど、前向きになれることはありません。サンシャインでもお互いに肯定し合うことで成長していってますよね。
これからも自分の価値観や居場所は大切にしながらブログを続けていきたい。
そう強く勇気づけられた回でもありました。
#6 PVを作ろう
この回もめちゃくちゃ好きな回です。もちろん全部の回好きなんですが。
……廃校?キタ!ついにキタ!!
廃校…!?学校のピンチってことだよね!?
廃校だよー!!
音ノ木坂と一緒だよ!?
これで舞台が整ったよ!
私達が学校を救うんだよ!!
そして輝くの!!あの、μ’sのように!!
まず好きなのが廃校と聞いて千歌が喜んでしまうシーン。μ'sと同じだという点だけで廃校の危機さえ喜んでしまうところがリアルに映りました。
実際自分の学校が廃校になると聞いても最初は現実感が沸かないのかなと私は思います。特別な学校への帰属意識が無ければこの年代で逆にシリアスに考えることはあまり無いのかなと。実際、穂乃果も廃校と聞いた時は、自分が他の学校に行けるかという編入試験の心配をしていましたよね。千歌も同様に憧れのμ'sと同じで廃校のピンチを救える舞台が整ったということに対して素直に喜んでいます。彼女の世界では、憧れのμ'sと同じであるかどうかが物事の判断基準になり得るのです。
それでも彼女が一見バカやってるようにも見える日常の中でも、学校が無くなることでそのあたり前の日常さえも無くなってしまうことに気づきます。
学校が無くなったら、こういった毎日も無くなっちゃうんだよね…
でも、今気がついた。無くなっちゃダメだって
私、この学校好きなんだ
最初は、μ'sと同じだからという理由で廃校を喜んでいた千歌。コミカルに映っていたPV撮影のやり取りを通して、そういった何気ない毎日も廃校によって無くなってしまうことに気づきました。5話で「メンバーの個性」に気がついた時もそうでしたが、何気ない会話だったりが彼女に色々と気づかせるきっかけになっていることは見過ごせません。そのことを頭の隅に置きながら見ると、ありふれた日常のシーンでも感慨深く思えてきてしまうのは、青春を題材とした作品らしいなと感じました。
【ラブライブ!サンシャイン!!】第6話「PVを作ろう」感想ひとりごと~夜明けのスクールアイドル~ - きりんログ
内浦の本当の魅力を探す中で千歌たちはそれを見つけます。
それにいち早く気が付いたのが梨子ちゃんだったというのも必然性を感じられてグッときますね。彼女は東京から来た転校生。千歌たちにとってはあたり前だった海開きの光景も、梨子にとっては新鮮に見えた。だからこそ、梨子はこんなに朝早く人が集まってひとつのことをする光景から、内浦の魅力は人と人が助け合うところだと気づくことができた。
「夢で夜空を照らしたい」のPVで登場するAqoursの字もめっちゃ好きです。まさにこの回で言わんとしている、今のAqoursは内浦の人たちの心に灯るあたたかさで形作られていることを象徴しているようでいて無限にエモい気持ちになれます。これも内浦ならではの「みんなで叶える物語」ですよね。
そして最初見た時本当に心に刺さったシーンがこちら。
私、心の中でずっと叫んでた。
助けてって。ここには何もないって
でも、違ったんだ
追いかけて見せるよ…ずっと!
この場所から始めよう!出来るんだ!
G'sマガジンの最初からAqoursを追いかけてきた私としては、「助けて、ラブライブ!」と海辺でひとり叫ぶ千歌が、ようやくこの時の千歌と繋がったように見えて。そして、ここからまた彼女たちの物語が始まるのだと。お互いを肯定して、自分たちがいた場所を肯定して。沼津をレペゼンした彼女の姿は、本当に胸が熱くなる想いで見ていました。
そして、自分の認識が変わったら、内浦の見慣れた景色が違って見えてきたのもいいんですよね。
監督もオフィシャルファンブックのインタビューで語っていましたが「彼女たちの中のなにかが変われば、世界は変わる」というもの。世界は1ミリも変わらないのです。多感な中高生の頃の感性って本当に凄くて、悲しいことがあっても世界が終わるかのような絶望感に苛まれるのです。他の人からしたら何でも無いように思えることでも、彼女たちの中ではそれが世界の全てとして捉えていたりします。だからこそ、彼女自身が変われば確かに世界は変わって見えたのです。
#7 TOKYO
期待されるって、どういう気持ちなんだろうね…
皆が見送りに来てくれて、嬉しかったけど、実はちょっぴり怖かった。
期待に応えなくちゃって…失敗できないぞって…
オフィシャルファンブックで伊波さんが語っていた話を聞いて、好きになったシーンがこちら。
千歌が語る言葉は、千歌だけでなく、伊波さんひいては作品に関わる全ての人に当てはまることだと語ります。自分を応援してくれるファンの人たちの存在は嬉しいけど、その応援の声が大きいほどに期待に応えなくちゃ、失敗できないぞという気持ち。
キャストだからこそ感じ取れる思いがあるのだと知り、新しい見方が出来るので好きになったシーンだったりします。やはり同じ作品でも見る人が違えば見え方が全く変わってくるのだと。そんな気づきも確認できました。
このシーンは、梨子ちゃんが語る期待から感じるプレッシャーに対して、千歌が100%は分からないけど自分なりに思う期待されることの大変さを自分の言葉で紡ぐことで、梨子ちゃんの肩の荷が少しでも降りるようなところが良いんですよね。
1話の「頑張れって言われた気がする」同様、何気ない千歌の一言が周りの人を動かすことが読み取れるシーンだったりします。
#8 くやしくないの?
全力で頑張ったんだよ?
私ね、今日のライブ、今まで歌ってきた中で出来は一番良かったって思った!
それに、周りは皆ラブライブ本戦に出場してるような人達でしょ?
入賞できなくて当たり前だよ…
本当この回はみんなを悲しませないと気丈に振る舞う千歌が見ていて切ない気持ちになりました。何か自分でもこうしていたなと思えて、まるで自分の姿を見ているようでいて本当に辛い気持ちになりました。
実はこれまでも千歌は相手の顔色を伺うシーンが登場していたのですが、よく言えば相手のことを思っていたと言えますが、悪く言えば相手の反応を気にして自分の気持ちをどこかで押し殺していたと言えます。それが、曜ちゃんの「悔しくないの?」という言葉にも繋がりますし、最後の海辺での感情の吐露にも繋がります。
千歌のキャラクターについてはステレオタイプ的にならないように気をつけていたと監督が語っていましたが、確かにアニメキャラの中ではこうしたタイプの子はあまり見たことが無いような気はしますが、一方で現実世界で考えると結構千歌に似たタイプの人は多いのではないでしょうか。私はここにもまたリアルなキャラクター性に共感を覚えました。
「やめる?スクールアイドル」と聞いても返事を返してくれなかった千歌。「悔しくないの?」という電車の中で尋ねた言葉もそうですが、曜ちゃんは千歌から自分が期待している言葉を引き出して安心したがっているように思えました。「やめる?」という言葉に対しては「やめない」。「悔しくないの?」に対しては「悔しい」と。
【ラブライブ!サンシャイン!!】第8話「くやしくないの?」 感想ひとりごと - きりんログ
ここで曜ちゃんが千歌の言葉を待っていたのは、2話のダイヤさんにスクールアイドル部の設立を拒否された後のシーンの
千歌「前途多難すぎるよー…」
曜「じゃあ…辞める?」
千歌「やめない!」
曜「だよね!」
や、3話のバスの中でのシーン
曜「じゃ、諦める?」
千歌「諦めない!」
梨子「なんでそんな言い方するの?」
曜「こう言ってあげた方が千歌ちゃん燃えるから。」
これらのシーンを思い返すと、当たり前のようにそれまでは返ってきた「やめない」「諦めない」という言葉を聞いて安心するために曜ちゃんが待っているように思えました。あるいは、その言葉は返ってこないと分かっていながらも、距離が近すぎるあまり今はなんと声をかけてあげていいのか分からない。
千歌との思い出の写真を見ながら部屋で思い悩む曜ちゃんの表情からそんな気持ちが伺い知れました。
また、8話で最終的に、梨子ちゃんには本音を打ち明けるのですが、曜ちゃんには本音を打ち明けられていなかったのが印象的でした。
「せっかくスクールアイドルやってくれた」と千歌は自分が弱音を吐けなかった理由を語るのですが、曜ちゃんは自分がスクールアイドル部を作ろうとした時も真っ先に協力してくれて。そして、衣装づくりや振付の指導も率先してやってくれている。
「自分のために」というのは結果的に千歌の思い違いだということが分かるのですが、自分がやりたいと言って始めた活動に一番よく付き合ってくれた曜ちゃんに対して本音を打ち明けられなかったのは、彼女たちの距離の近さを考えてみると当然と言えば当然なのかなと思いました。
【ラブライブ!サンシャイン!!】第8話「くやしくないの?」 感想ひとりごと - きりんログ
そして、最終的には梨子には千歌は本心を告げることができたのですが、それを曜にできなかったのはやはり彼女たちの距離感が近すぎたからなんだと。ファンブックにも書いてありましたが、ここは自分の意見と違わない部分でした。
ココらへんの絶妙な距離感が、11話「友情ヨーソロー」にも跳ねてくるのですが、サンシャインはあらためて各話におけるプロット打ちがうまいなと思いました。
各話に何となく見ていたら気にもとめないけれど、それ以降の話に関わるシーンがある
ここが私がラブライブの奥深さだとも思ってますし、何回も見て新しい気づきが得られる作品だなとも思っています。
そして8話の山場でもある千歌が海辺で心情を吐露するシーン。ここが見ていて本当辛いんですが、それと同時によく本心を吐き出してくれたねというような安堵感も同時に感じられて魅力的なシーンなんです。
あれだけ皆で練習して…
衣装も作って、PVも作って、頑張って頑張って…輝きたいって…
なのに0だったんだよ?悔しいじゃん!
差が凄いあるとか、昔とは違うとか…そんなのどうでもいい!悔しい!
何度も同じ酒井監督の言葉を引用させていただきますが、「純粋な欲はココロのエンジン」なんです。特にここの千歌の言葉では純粋な欲が最高潮ですよね。
「差が凄いある」「昔とは違う」という理屈。いや、そんな理屈どうでもいい。「皆で練習して、衣装も作って、PVも作って、頑張って、輝きたいって思ったのに」。なのになんで「0」なんだと。「悔しい!」。その根源的な感情こそが、やがてゼロからイチへの夢を生み出す原動力になります。
つまり、「純粋な欲はココロのエンジン」なのです。
仲間のために自分の感情を押し殺していた千歌、これもすごく人間臭いんですが、自分がどうであるか、どうありたいかを吐き出すことでようやく千歌が真の人間になれたような。めっちゃラブライブを繰り出してるんですよね。
そして、千歌がその気持ちを吐き出すことができたのは、一度救われた(救われてる最中の)梨子ちゃんたちがいたからでした。
バカね。みんな千歌ちゃんのためにスクールアイドルやってるんじゃないの。自分で決めたのよ
千歌の気持ちを受け止めてくれる環境ができたこと。だからこそ、千歌は自分の気持ちをそこにぶつけることができたのです。
「受け止める場所があるって」
「もっともっと知ってほしくなるよ」
これってまさに『SUNNY DAY SONG』で歌われてたことなんですよね。μ'sがスクールアイドルの素晴らしさを拡めるために歌ったこと。スクールアイドルってこんなにもあったかい場所なんだってことを。本当にラブライブは永遠に繋がっていくんすよね。
この場面はオフィシャルファンブックに書かれている逢田梨香子さんのコメントも好きだったります。
変わりつつあるたくましくなった梨子が涙するのは最初は理解出来なかったそうですが、監督に話を伺ったところ「千歌とはもう運命共同体だから」なるコメントをもらったとか。それが「みんな千歌ちゃんのためにスクールアイドルやってるんじゃないの。自分で決めたのよ」に繋がってくる訳で。
9人それぞれが自発的に「輝きたい!!」という想いを持って行動しているスクールアイドルに他ならないんですよね。9人誰一人欠けちゃいけないんです。
#9 未熟DREAMER
9話は、それに至るまでに1話から毎話伏線を張りながら3年生の話を進めてきたからこそ、彼女たちの問題の深さや、彼女たちの止まってきた時間の長さを感じられるようでいて、だから9話の思い入れというのは相当なものになったのではないかと思っています。
9話で個人的に好きなシーンがこちら。千歌が上級生である3年生の向かって物を申すシーン。
いい加減にしろーっ!!
9話までに3年生の話が描かれてきたこととも繋がるのですが、彼女たちの話は少しづつ進んだ来てはいたもののずっと真相は見えずもやもや感を感じていました。そんな時に声を挙げたのが幼馴染の果南、生徒会長のダイヤ、理事長の鞠莉とかかわり合いもあった千歌。
彼女の一言は、私たちの溜めに溜めていたもやっとした気持ちを代弁するかのようでいて、なかなか進まない3年生たちの物語に一石を投じたという点においてとてつもない爽快感がありました。完全にこの時は我々は千歌ちゃんと一心同体でした。
続いて好きなのが、鞠莉が雨の中果南の元に走るシーン。転んで泥だらけになりながら鞠莉は走っていましたがその姿は美しく見えました。
最初彼女は、全校生徒が集まっても満員のならない場所で千歌たちにライブをさせたり、再び果南ダイヤたちとスクールアイドルをするために色々と謀略を張り巡らせてきましたが、そんな彼女が話数を重ねるうちに、果南たちとのすれ違いを痛感して彼女の思い描く理想が崩れていく様が見て取れました。
その最後がこの地べたに這いつくばって涙を流すシーン。彼女が高いところから思い描いていたものが脆くも崩れ落ちたさまが象徴的に描かれており、さらにその場所に立ってようやく果南の気持ちに気づくことができたというのが本当に良いんですよね。
はい、次のシーンは説明不要なので割愛させていただきます。言葉より見てください。
そして、9話で一番好きなシーンがダイヤが砂浜に「Aqours」と書くシーン。上映会で見ていたのですが、本当にここの場面はオンオン泣きながら見ていました。
#10 シャイ煮はじめました
スクールアイドルに誘ったのは私なのに…
梨子ちゃん、Aqoursのが大切って言ってくれたのに…でもね
またピアノに前向きに取り組めたら、素晴らしいなって、素敵だなって…そう思ってた
この街や学校や、皆が大切なのは分かるよ
でもね、梨子ちゃんにとってピアノは、同じくらい大切なものだったんじゃないの?
その気持ちに、答えを出してあげて
私、待ってるから!
ここで、みんなと一緒に待ってるって約束するから
10話、本当に大好きな回過ぎてやばいです。
2話の「やってみて笑顔になれたら、変われたら、また弾けばいい。諦めることないよ。」という千歌の台詞。正直、そこで終わっても千歌が梨子の本当の気持ちを大切にしてくれていることが分かって普通に良かったのですが、この10話に至るまでのスクールアイドル活動を通して梨子が沢山笑顔になっていたシーンを描いた上で、しっかりと再び10話で千歌が梨子が「ピアノが好き」ということを忘れずに、梨子が笑顔になれた今「ピアノコンクール、出て欲しい」と実際に行動に移す姿を描いたのが、普通に良かったで終わらせないサンシャインの素晴らしさだったなと思います。
ホント、変な人…
大好きだよ
「大好きだよ」という今の梨子の千歌への気持ちを伝える最上級の言葉。「ホント、変な人…」という2話の時からは大きく意味が違って取れる言葉。ここには梨子の様々なありがとうという気持ちの全てが込められているようでいて思い入れの強い場面です。
そして、「輝きたい!!」と願う誰かを自発的に輝へと導いてくれる力。それこそが、千歌の繋げていく力の本質なのではないかとこの回を見て再認識することができました。
#11 友情ヨーソロー
11話、一番好きな回かもしれません。毎話言ってますが。
先輩の鞠莉が後輩の曜ちゃんの相談に乗ってくれるシーン。
ファンブックで酒井監督が内浦という場所は人と人の距離が近いというお話もされていましたが、それだけに曜ちゃんが鞠莉のことを「鞠莉ちゃん」と自然に呼んでいて「先輩禁止」をしなくても自然とそうなる場所なんだなぁと思いました。
しかし鞠莉が曜ちゃんの相談に乗ってあげるの本当あったかいんですよね。これまでも千歌たちのことを気にかけたりしててあらためて面倒見がいいんだなと。
本音でぶつかった方がいいよ
大好きな友達に本音を言わずに、2年間も無駄にしてしまった私が言うんだから。間違いありません!
自分たち3年生のことを引き合いに出して後輩にアドバイスをする鞠莉が大好きです。
あのね、千歌ちゃん前話してたんだよ?
曜ちゃんの誘い、いつも断ってばかりで、ずっとそれが気になってるって
1話で描かれていた幼少期に曜ちゃんがプールに飛び込んだ後に千歌に話しかけに行こうとしていたシーン。
千歌が普通星人だということを強調するために描かれていたシーンだと思うのですが、千歌に話しかけようとして周りの友達が寄って来て話せなかったところを見ると「ずっと2人で同じことをやりたかった」という気持ちに至る原点を垣間見たようなそんなようにも見えるシーンでもあります。昔でいうところの周りの子供達が今のAqoursにも重なるんですよね。11話で描かれていた梨子ちゃんやAqoursのみんなが自分の周りに増えて相対的に距離を感じるようになってしまったような。
その上で、私は曜ちゃんが感じていたのは梨子ちゃんへの嫉妬ではなく、自分は千歌ちゃんに嫌われているんじゃないかという感情の方が強かったんだと思います。しかも、それは相手の気持ちを知らない上で思っていた気持ち。
「曜ちゃんの誘い、いつも断ってばかりで、ずっとそれが気になってるって」。
梨子ちゃんが伝えてくれたこの言葉は曜ちゃんに自分は「バカ曜だ」と思わせるきっかけになりました。でもそれは仕方なかったのだと私は思いました。千歌と曜は長い間一緒にいて距離も近くて。一番近くにいる友だちだったからこそ、そういう「相手に嫌われてるかも」という気持ちは正直に伝えられなかったのではないかと思いました。
その間をとりもつきっかけをくれたのが梨子ちゃん。千歌、曜ちゃん2人が本音をぶつけられる梨子ちゃんがいなかったら、友情もヨーソローしなかったと思います。あくまでも、千歌、曜、梨子、3人揃って友情がヨーソローしたのが筋として本当に素晴らしいなと思いました。
こういう絶妙な関わり合いの物語がサンシャインの醍醐味なんだと思えるので、11話が大好きなんですよね。
近い距離にいた友達だからこそ泣き顔を見せたくなかった曜ちゃん。一話で恥ずかしい気持ちを隠すように後ろ向きでサインするシーンとも重なって見えました。
そして『想いよひとつになれ』の歌唱。別々の場所にいても好きに向かう気持ちはひとつ。円陣を組んで遠い場所にいても手を合わせる梨子のシーンらへんから最後まではいつ見ても涙が止まらなくなるシーン。ここについても、未熟同様多くを言葉で語る必要はないでしょう。11話を見てください。
#12 はばたきのとき
前半もエモい話が沢山あったのですが、後半は畳み掛けるように八百万のエモが百鬼夜行のように襲来してて涙でうち震えながら毎話喰らうように見ていました。
ねえ!音ノ木坂、行ってみない?
以前東京に来た時は音ノ木坂に行くことを尻込みしていた梨子。彼女は今自分の好きなものに対して自分の気持ちで答えを示すことができました。それだけに梨子は今音ノ木坂に行こうとラブライブに圧倒されるメンバーに提案することができました。
もしも千歌たちが梨子にピアノと向き合うことを勧めなければ今の未来は無かったでしょう。ひとつひとつフラグを立てるようにしてお互いに手を取り合いながら一歩一歩前に進んでいく彼女たちの姿を見てみんなでの成長を感じました。
残念ですけど…
ここには、何も残ってなくて…
μ’sの人達、何も残していかなかったらしいです自分達の物も、優勝の記念品も、記録も
物なんかなくても、心は繋がっているからって
それでいいんだよって
ここ、やばいです。「物なんかなくても、心は繋がっているから」。完全にヒップホップです。一番大切な「学校」は守り抜いて形として残っていることも格好良いんですよね。終わってもなおスクールアイドルを体現し続けるμ'sという存在。千歌たちがμ'sに憧れる理由もすごいよく分かります。
ありがとうございました!
感謝の気持ちも忘れず言葉にして伝えるのもヒップホップです。
Dear穂乃果さん。
私はμ’sが大好きです
ここは前回の記事でもがっつり触れたので端的に言いますが、「Dear穂乃果さん」というフレーズから入るのがまずやばいんですよね。「穂乃果、絵里です」も少し彷彿とさせるのですが、あらたまって自分の気持ちを憧れている人に伝えるのがエモすぎるんですよね。
続く千歌は、μ'sがありのままに輝く姿を見て、普通の自分を肯定することができたとを口にして。そして、
私は、私の景色を見つけます。
あなたの背中ではなく、自分だけの景色を探して走ります
みんなと一緒に!
いつか…いつか!!
「はばたきのとき」。1話から11話まで憧れのμ'sの背中を追いかけ続けてきてスクールアイドルの何たるかを知り、12話でようやく背中を追いかけることをやめて自分たちの走り方で走る覚悟を決め、続く13話で何事にも捕らわれることなく自由に自分たちなりの輝き方で新しい道を切り開き始めたAqours。
「守・破・離」という道を極める上での筋道をしっかりと通る様を描いていたところも良いですね。
・守―教えを守り私意をさしはさむことなく、ひたすら基本を身につける段階である。書道の楷書にあたるもので、一点一画をゆるがせにしない心配りが大切である。
・破(は)―守の殻を破り躍進する時代である。いままでの教えを基礎とし、中核として、自己の知能や個性を発揮して次第に自己の剣道を創造する時代で書道の行書にあたる領域である。
・離(り)―孔子の七十にして矩(のり)を超えずの境地であり、あらゆる修行の結果我が思いのままに行動して、いささかも規矩にはずれることなく、一つの形や流儀流派にとらわれることもなく、自由闊達に自己の剣風を発揮できる時代である。
「我が思いのままに行動して」「一つの形や流儀流派にとらわれることもなく、自由闊達に」これ完全に13話のAqoursひいては今のキャスト含めたAqoursを表してますよね。外国の方にサンシャインの素晴らしさを紹介する時は是非日本の武士道と合わせて紹介することをオススメします。「克己創造」という浦女の信念であるところの「自分を超えられるのは自分だけ」という言葉も何か通底するものがある気がします。
余談としてファンブックにあった、あくまでもすべてのスクールアイドルに輝きは広がったのであって、たまたまAqoursに羽根が舞い降りて来た、っていうお話が、自分が思っていたことと食い違っていなかったことが知れて嬉しかったです。
他にも全国にAqoursのようなμ'sの輝きを受け取って自分たちなりの輝き方で走り続ける少女たちがいるんですよね。なにせスクールアイドルの輝きは輝きたいと願う少女の元に舞い降りてくるものなんですもん。たまたそのスクールアイドルの一組を切り取って描いたのが『ラブライブ!サンシャイン!!』。
こう思うとスクールアイドルの世界はやっぱり広がったように思えて、μ'sの輝きも永遠に輝き続けるように思えて嬉しくなるんですよね。
#13 サンシャイン!!
100点満点中100万点の13話。ありがとう、『ラブライブ!サンシャイン!!』。
千歌たちさ、夏休み中ずっとラブライブに向けて練習してたんでしょ?
そんなにスクールアイドルって面白いのかなって
私たちも一緒にスクールアイドルになれたりするのかな、学校を救うために
他にも、もっと自分達にも何か出来るんじゃないかって考えてる子、結構いるみたいで
皆、最初は仕方ないって思ってたみたいなんだけど
やっぱり、皆この学校大好きなんだよね
だから…学校救ったり、キラキラしたり、輝きたいのは千歌達だけじゃない。
私達も一緒に、何か出来ることあるんじゃないかって…
本作の中に脇役はいません。今回は千歌たち9人にスポットが当たっているけれど、本当は誰もが主人公だし、スクールアイドルになれる可能性がある。それを心に置いて作りました。監督 酒井和男「ラブライブ!サンシャイン!! TVアニメオフィシャルBOOK」
高校3年になってからこんなことになるなんてねまったくですわ。誰かさんがしつこいおかげですわねだね。感謝してるよ。鞠莉。感謝するのは、私だよ。果南とダイヤがいたからschool idolになって、ずっと2人が待っててくれたから、諦めずに来られたの
あの時置いてきたものを、もう一度取り戻そう!
みんな一緒に輝こう!!
おわりに
以上が長くなりましたが、私が『ラブライブ!サンシャイン!!』で超個人的に好きなシーンとその理由でした。
どの作品にも言えることだと思いますが、どれだけキャラクターに感情移入が出来て、どれだけ好きという気持ちを持って見れるかが、自分にとってその作品にハマれるかどうかのひとつの指標だと思っています。
その点において、自分は千歌に自分の姿を重ね合わせながら見ることができましたし、他のキャラクターにも感情移入しながら見られるところが多くありました。それだけ、サンシャインに登場するキャラクターは特徴的なように見えて意外と誰もが共感できる普遍的な感性を持ったキャラクターたちなんだと思います。
そして、サンシャインではラブライブから確かに地続きでありラブライブから描いていたテーマ、あるいは更にそれを昇華したものを見られたような気がしているので大好きだったりします。
それらは、『ラブライブ!』が大好きだった自分の価値観にはぴたっとハマるものでした。
それゆえに、私は『ラブライブ!サンシャイン!!』が大好きです。
『ラブライブ!』の続編は、『ラブライブ!サンシャイン!!』でなければならなかった
あらためて、ファンブックを手にしつつ、アニメの物語を振り返って行くことで、そんなことを胸を張って言えるような気持ちになりました。
続きましては、「『ラブライブ!サンシャイン!!』に無駄なシーンは無い」と題しまして、細かいシーンに込められたメッセージについて考察していきたいと思います。これをお読みいただければ、「『ラブライブ!サンシャイン!!』に無駄なシーンは無い」とそう思っていただけることかと思います。