【ラブライブ!サンシャイン!!】第7話「TOKYO」 感想ひとりごと
ラブライブ!サンシャイン!!、物語は折り返し地点の7話。前回が内浦のあたたかさにフォーカスを当てた回であっただけに、今回の「TOKYO」は対照的にどんな回になるのか。そして、同時並行で動く3年生の物語はどのような展開を迎えるのか。前回のラストで新しい物語が始まった予感が強く増しただけに、今回の話はどのような展開を迎えるのか予想もつかないまま見ておりました。
Aqoursの勢いとこれから待ち受ける壁
千歌たちは、前回内浦で撮影したPVの再生が伸びてランキングが急上昇していることを知ります。沼津夏祭りのうちわや蝉の音からは季節がすっかり夏になったことを感じさせ、机の上には恋アクで登場したスノードームも置いてありました。
なんかさ…このままいったら、ラブライブ優勝できちゃうかも
千歌の楽観的なセリフ、そして瞬間風速的にAqoursのランキングが上がったことからは死亡フラグ的な匂いも漂ってきます。
ランタンが綺麗だって評判になってみたい
善子の言葉から、Aqoursが評価されているのはあくまでも内浦という場所や人ありきだというようなことも邪推してしまいました。3話でダイヤが言った「街の人たちの善意」が彼女たちの強い見方になっている反面、それが剥がれた時の彼女たちの評価はどうなるのか。彼女たちがラブライブ!を目指すことになれば、避けては通れない問題になると思います。
そして、彼女たちのもとに一通のメールが。「東京スクールアイドルワールド運営委員会」。こういった組織が出来ていることからは、スクールアイドルの拡がりを感じてしまいます。「…東京だぁー!!」と喜ぶ千歌は、これから訪れるであろう困難は考えず、ただ憧れのμ'sがいる東京に行けることに胸を踊らせます。
ルビィの意思を尊重する妹思いのダイヤ
ルビィは東京に行く話を姉のダイヤに持ちかけます。不安そうに姉の気持ちを察しながら話すルビィに、ダイヤはルビィの意思を尊重した言葉をかけます。
お姉ちゃんはやっぱ嫌なの?
ルビィがスクールアイドル続けること…
ルビィは自分の意思で、スクールアイドルを始めると決めたのですよね?
だったら、誰がどう思おうが関係ありません…でしょ?
ごめんなさい、混乱させてしまってますわね。
あなたは気にしなくてもいいの
ルビィの悩みの種が自分だと分かった上で、ダイヤはルビィが決めたことなら自分のことは気にしないようにと声をかけてあげました。6話でも妹思いの一面がかいま見えましたが、回を追う毎にそれがハッキリと分かるような描写が増えているような気がします。
私はただ…いえ。もう遅いから、今日は寝なさい
ただ…に続く言葉は何だったのか。それは次の場面から伺い知ることが出来ました。
ダイヤと鞠莉が語る避けては通れない壁
一転して場面はシリアスに。千歌たちが東京に行くことを止めなかった真意を、ダイヤは鞠莉に問い詰めます。
どういうつもりですの?
あの子たちを今、東京に行かせるのがどういうことか分かっているのでしょう?
ダイヤも期待してるんじゃない?
私達の乗り越えられなかった壁を、乗り越えてくれることを
「私達の乗り越えられなかった壁」6話で彼女たちがスクールアイドルをしていた時の回想で見せた果南の驚いたような表情と関係がありそうです。彼女たちを東京で待ち受けていた壁、それこそが3年生の間に暗い影を落としている原因なのでしょうか。
もし越えられなかったらどうなるか…十分知っているでしょう?
避けるわけにはいかないの。
本気でスクールアイドルとして、学校を救おうと考えているなら
変わっていませんわね。あの頃と
壁を越えられなかった場合、どうなるのか。それは、彼女たちが身を持って知っていることのようでした。
ルビィを止めようとして「ただ…」とダイヤが口籠っていたのは、彼女がスクールアイドルとして東京に出る厳しさを誰よりも知っていたからこそ。ルビィの気持ちを尊重しつつも、止めたいという気持ちも本心ではあるようでした。
避けるわけにはいかないの。本気でスクールアイドルとして、学校を救おうと考えているなら
それに対して「変わっていませんわね。あの頃と 」と言ったダイヤの言葉からは、かつて挫折を味わった時も鞠莉が無茶を承知で壁に向かっていったことが伺い知れるようでした。
沼津からの旅立ち
3年生の不安を余所に千歌たちは東京へ行く支度を整えて浮かれモード。千歌たちの観光気分丸出しのファッションが、これから訪れる大きな困難など知るよしもないことを象徴していたかのようでした。
ルビィ、気持ちを強く持つのですよ?
かつて自分が味わった挫折を妹にさせたくないという思いを持ちながらも、ルビィの意思を尊重したいという優しい姉の表情が見えました。それと同時に、東京に行くことがどれだけ大きな意味を持つことなのか。それを物語るようなセリフでした。
千歌!イベント頑張ってきてね!
これ、クラスみんなから!
それ食べて、浦女の凄い所見せてやって!
クラスの友達が千歌たちを見送りに駅まで来ます。
これ、クラスみんなから!
千歌たちに対して学校のみんなの期待が寄せられていることが分かる一言。この後梨子ちゃんに語るのですが、優しい声援も彼女の中では少なからずプレッシャーになっていたようです。
電車で一路、東京へと向かうシーン。
前作では、根府川駅へ向かう電車はグループのお終いを宣言したμ'sを迎えにゆく電車として描かれていましたが、今回はAqoursを東京へと連れて行くいわば旅立ちの電車として描かれていたのが印象的です。
TOKYO、そしてライバル出現…!?
秋葉原へと降り立った千歌たちは、各々の好きなものに夢中で直走ります。
この緊張感の無さが、後に待ち構えている筈の大きな困難から我々の目を遠ざけさせているかのようです。
一通り各々が好き好きに観光を終えた後で、一行は神田明神にたどり着きます。そして、千歌たちは憧れのμ'sが登った階段を駆け上がります。
μ’sがのぼってたんだ…ここを…
ラブライブを、目指して!
今でも神田明神に聖地巡礼で訪れるファンは多いですが、実際に登ったことがある方なら千歌たちが喜んで階段を駆け上がていた気持ちがよく分かることでしょう。
階段を登り切った千歌。彼女を待ち受けていたのは
周りの音が消えて歌声だけになって、千歌の元に吹きつける風。
第1話UTX前で千歌に吹きつけた風と同じように、また新しい衝撃が千歌を襲います。
もしかして、明日のイベントでいらしたんですか?
そうですか。楽しみにしてます
彼女たちは千歌たちAqoursの存在を知っていました。そして「楽しみにしてます」という含みのある言い方。あえて彼女たちの頭上を飛び越えて跳躍力を見せつけたかのような立ち振舞い。
歌…綺麗だったな…
挑発とも取れる行動に対して、千歌は「歌…綺麗だったな…」と相手の素晴らしい部分に目がいっていましたが、千歌らしい反応で頼もしくもありました。
梨子の感じる期待とプレッシャー
宿泊先の旅館にて、千歌は憧れの音ノ木坂学院に行くことを提案します。しかし、その申し出に対して梨子ちゃんは
…ごめん、私はいい。
先寝てるから、みんなで行ってきて
みんなが寝静まった頃、梨子ちゃんは千歌にその真意を明かします。
…音ノ木坂って、伝統的に音楽で有名な高校なの
私、中学の頃ピアノの全国大会行ったせいか、高校では期待されてて…
期待に応えなきゃって…いつも練習ばかりしてて
でも結局、大会では上手くいかなくて…
音ノ木坂学院で自分に寄せられていた期待、そして期待に応えられなかった自分のやるせなさ。梨子ちゃんが抱えていた過去のことがまた一つ語られました。
そんな梨子ちゃんに対して千歌は、自分も期待とプレッシャーを感じていることを自分なりの言葉で話します。
期待されるって、どういう気持ちなんだろうね…
皆が見送りに来てくれて、嬉しかったけど、実はちょっぴり怖かった。
期待に応えなくちゃって…失敗できないぞって…
千歌は梨子ちゃんの話を聞いて、期待される気持ちは分からないけれども自分が沼津の駅でクラスの友達から応援をもらった時、少しプレッシャーに感じていたことを正直に明かします。
「ごめんね!全然関係ない話をして」と千歌は言いますが、梨子ちゃんは「ありがとう」と返します。無意識に千歌は梨子ちゃんを勇気づけていたように見えますが、第1話で千歌が憧れのμ'sのようになりたいと夢中で語っていた時も「頑張れって言われた気がする」と梨子ちゃんが応えていたように、何気ない千歌の一言が梨子ちゃんの心をまた少しづつ開いていっていることを感じられました。
出逢いの場所で知らされる新たな知らせ
翌朝、千歌は憧れと出逢った場所にひとり立ちます。
ここで初めて見たんだ。スクールアイドルを…μ’sを
遅れること、他の5人も千歌のもとにやってきました。
そして、彼女たちのもとに新しい知らせが
ラブ…ライブ!
今年のラブライブ!が発表になりました!!
どうするの?
勿論出るよ!
μ’sがそうだったように、
学校を救ったように!
今、全力で輝こう!
ラブライブ!の発表に湧く千歌たち。「どうするの?」と曜ちゃんに尋ねられた千歌は「勿論出るよ!μ’sがそうだったように、学校を救ったように!」と、この瞬間を待ち詫びいていたかのように二つ返事で応えていました。
スクールアイドルワールド当日
スクールアイドルワールド当日。視聴者に思わぬサプライズがありました。
ラブライブ!に登場していたレポーターのお姉さんが再び登場。前作のキャラクターで映像ではない形で登場したのは、彼女が初になります。
彼女の口からは、今回の大会の趣旨が語られます。
ええ。会場のお客さんの投票で、
出場するスクールアイドルのランキングを決めることになったの!
上位に入れば一気に有名になるチャンスってことですか?
そうね!Aqoursの出番は2番目!
今回の大会は、その場のお客さんの投票でスクールアイドルのランキングが決まる形式。上位に入ることができれば、これまでの評価は関係なく有名になることができます。
チャンスなんだ…頑張らなきゃ!!
千歌たちはまたとない「チャンス」に心を震わせます。
しかし、この大会のシステム。有名ではないAqoursが人気を掴み取るには絶好の機会ですが、その場のお客さんの投票でランキングが決まるということは裏を返せば勝負は一度切りのパフォーマンスで全てが決まるということ。しかも目に見える数字で自分たちが今いる位置を宣告される。
ある意味で、とてつもなく残酷なシステムだと言えます。3年生が経験した壁の正体はもしかしたらこれなのかもしれません。
Saint Snow
本番直前、彼女たちは前回内浦のあたたかさを受けて撮影した「夢で夜空を照らしたい」のドレス風の衣装に身を包んで舞台袖に立ちます。内浦の思いを背負って勝負に挑もうとする千歌たち。
そんな彼女たちのもとに現れたのは
よろしくお願いしますね
神田明神で出逢った2人の少女でした。舞台の袖の暗いところにいる千歌たちとは対照的に、輝かしい光を背負って2人は登場します。まるで、彼女たちの立ち位置を象徴しているかのようでした。
スクールアイドル…だったんですか
見てて。私達、Saint Snowのステージを
Aqoursの前に立ちはだかる強力なライバル
前作に引き続き、強力なライバルが登場しました。μ'sとA-RISEのような関係になるのか。7話でライバルが登場したことで、内浦から抜けだして新しいステージへと踏み出したことが印象付けられます。
「Saint Snow」2人組のスクールアイドルがライバルになったことも新しいですが、「鹿角聖良」「鹿角理亞」とクレジットで名前が出ていたように、彼女たちは姉妹か双子のようです。彼女たちが憧れるスクールアイドル像は誰なのか。雰囲気からはμ'sというよりA-RISEの方を強く感じさせます。
彼女たちがAqoursに与える影響。まだまだ謎な部分が多いSaint Snowの2人ですが、これからの物語で彼女たちがどうAqoursに作用するのかが気になるところです。
Aqoursを待ち受ける壁
ダイヤと鞠莉がしきりに話していた「壁」。スクールアイドルワールドで千歌たちを待ち受けているものが、その壁に当たるのでしょうか。
今回の実力勝負の大会でAqoursは前回内浦のあたたかさを受けて歌った歌を選んだようですが、大会で評価を下すのはあくまでも会場にいる東京のお客さんであり、今回ばかりは「街の人の善意」を借りることはできません。冒頭で、スカイランタンが綺麗だというのがPVが評価を受けたことの理由だと語られていましたが、今回はそれも使えないことを考えると、千歌たちは厳しい戦いを強いられることになりそうです。
内浦といういわば「自分たちに優しい世界」を抜けだした千歌たちが、東京という新天地でどのように人から評価されるのか。
「くやしくないの?」という次回のタイトルからも既にAqoursが大会で芳しくない結果になることが予想されますが、不安と期待を抱きながらも次回を楽しみに待ちたいと思います。