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きりんログ

-愛と青春と声豚の記録-

【ラブライブ!サンシャイン!!】第12話「はばたきのとき」 感想ひとりごと

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千歌と曜ちゃんの気持ちが繋がって、全員が同じ方向を向いた11話。そこから、12話では何を描くのか楽しみにしていました。予告で見たタイトル「はばたきのとき」。本話を見た今なら、そのタイトルが意味していたものが何かが分かります。それは、μ'sからはばたく時。μ'sの背中を追いかけ続けてきた9人が、自らの足でAqoursの第一歩を踏み出す回。12話は、我々が「Aqoursにはこうあって欲しい」と朧げながら抱いていた気持ちが実際に描かれたような印象を受けました。

 

それぞれが好きなことで頑張った結果

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最初は、Aqoursラブライブ予備予選の結果発表をソワソワしながら待つ場面。皆ソワソワしたり、一度ボケが挟まったりすることろは、無印の予選の結果待ちのシーンと重なります。Aqoursは見事予選を通過。その事実を知った梨子ちゃんから「予選突破おめでとう」とのお祝いの電話がかかってきます。

 

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ちゃんと弾けたよ

探していた曲が弾けた気がする

 

梨子ちゃんも、自分がずっと探していた形で曲を演奏できた様子。そして、見事コンクールで入賞をしたとの報告が。千歌たちと梨子ちゃんが違う場所で、それぞれの目標に向き合っていたこと。そして、それが確かな結果に結びついたこと。大きな安心感を覚えました。曜ちゃんも「じゃあ、次は9人で歌おうよ!!全員揃って、ラブライブに!!」と、次は9人でステージに立つことを約束します。しかし、そこに飛び込んできたのは。

 

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学校説明会の参加希望者数が一向に増えていないという現実でした。再生数も伸びて、周りからの評判も確実に上がっている。しかし、ラブライブの大会のお話によって見えなくなっていた「廃校」のお話がここで再浮上しました。

 

再び突きつけられるゼロの現実

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はぁ…またゼロか… 

あれだけ再生されてるんだよ?

予備予選終わった帰りだって…

(サイン、握手、写真を求められて)

って感じで大人気だったのに…。

これで生徒が全然増えなかったら、どうすればいいんだろう…

 

予備予選を突破して周りの反応も変わって確かな手応えを実感している今、生徒数が増えない理由が分からないといった状況。

 

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μ’sは、この時期にはもう廃校を阻止してたんだよね?

学校存続が、ほぼ決まってたらしいよ

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差…あるなぁ…

 

詳しい時期的な情報は分かりませんが、μ'sは廃校を阻止してからラブライブに出場を果たしていました。一方Aqoursは、ラブライブ出場を果たしたものの未だ廃校の問題を抱えた状態にあります。「この時期にはもう廃校を阻止していた」という曜ちゃんの言葉から、彼女たちがμ'sに比べて出遅れていることが明らかになります。

 

そして、千歌の「差…あるなぁ…」というつぶやき。最終的に「μ'sと自分たちの違い」を考えることは大事ではないということに気がつく訳ですが、この時点ではμ'sとAqoursを比較して自分たちを捉えていたことが伺えます。

 

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ここでスクールアイドルをやるってことは、それほど大変ってこと

東京みたいに、ほっといても人が集まる所じゃないんだよ、ここは 

 

果南は、現実問題として、内浦でスクールアイドルをすることはハードルが高いと千歌に伝えます。

 

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でも、それを言い訳にしちゃダメだと思う

それが分かった上で、私達はスクールアイドルやってるんだもん! 

 

しかし千歌は、その現実に対しては既に自分の中で向き合っていました。

 

助けてって。ここには何もないって
でも違ったんだ。

ラブライブ!サンシャイン!!」第6話「PVを作ろう」

 

6話で、自分の住む内浦には沢山の人の善意があることを知った千歌。千歌は内浦でスクールアイドルを続けることの難しさを自覚しながらも、内浦には何もない訳ではないことを語っていました。しかし、その後に続く言葉

 

追いかけて見せるよ…ずっと! 

ラブライブ!サンシャイン!!」第6話「PVを作ろう」

 

この時点では、千歌はまだμ'sの背中を追いかけていたことが分かります。

 

μ'sと自分たちの違い

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もう学校を救っていたのか…

あの時は、自分とそんなに変わらないって

普通の人達が、頑張ってキラキラ輝いているって…

だから、出来るんじゃないかって思ったんだけど…

何が違うんだろう…リーダーの差、かな?…

 

μ'sに出会った頃は、自分と同じような普通の高校生にも関わらずキラキラと輝いている姿を見て「私にもできるんじゃないか」と、感じ取った千歌。

 

みんな私と同じようなどこにでもいる普通の高校生なのに…キラキラしてた。それで思ったの。一生懸命練習して、みんなで心をひとつにしてステージに立つと、こんなにも格好良くて、感動できて…素敵になれるんだって…!スクールアイドルってこんなにも…!こんなにも…こんなにも…!!キラキラ輝けるんだって…!!!

ラブライブ!サンシャイン!!」第1話「輝きたい!!」

 

でも、今はラブライブの厳しさを思い知って、入学希望者数が増えない現実にぶつかって、μ'sが遥か遠くにいることを思い知りました。千歌は「何が違うんだろう…リーダーの差、かな?…」と言うように、Aqoursとμ's、自分と穂乃果の違いを想像します。理想と現実のギャップに気が付いた千歌は、そのギャップを強く意識するようになりました。

 

自分たちとμ'sを比較してしまう千歌。ですが、最終的にμ'sと自分たちは違うという結論に辿り着く上で、その思い巡らしは必要な作業に思えました。大切なのは、自分たちと目指すべきものを見比べた上で、自分たちがどのような意思を持って進むべき道を決めるかということ。それは、AqoursとSaint Snowの掛け合いの中にも表れます。

 

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もう考えててもしょうがない!行ってみるか!

 

千歌は、行動を起こそうと再び東京へ行く決意を固めます。他のメンバーと会話する中で「μ'sと自分たちの違い」そして「μ'sが音ノ木坂を救えた理由」「μ'sの何が凄かったのか」知るために、東京へ行くことを千歌は提案します。

 

うん。見つけたいんだ。

μ’sと私達のどこが違うのか、

μ’sがどうして音ノ木坂を救えたのか、

何が凄かったのか。

それをこの目で見て、皆で考えたいの

 

その疑問の"答え"が、全て同じところにあることを千歌はこの後気がつくことになります。

 

それぞれが目指すべきスクールアイドル

東京へ再び降り立った千歌たち。東京の神社で「ある人たち」に話が聞けるということで、黒澤姉妹はテンションが上がります。

 

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彼女たちが想像していたのは誰だったのか。彼女たちの想像を裏切る形で、神田明神にはSaint Snowの二人がいました。

 

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再び再会したライバル。どのような会話が繰り広げられるのか楽しみでした。

 

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私と理亜は、A-RISEを見てスクールアイドルを始めようと思いました

だから、私達も考えたことがあります。

A-RISEやμ’sの何が凄いのか。何が違うのか

 

Saint Snowの二人から告げられる真実。彼女たちは、UTX学院のかつてのスクールアイドルA-RISEを目指してスクールアイドルをしていたのでした。そして彼女たちも、今の千歌と同様に目指すべき存在と今の自分たちの何が違うか考えていました。

 

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答えは出ました?

いいえ。ただ、勝つしかない。

勝って追いついて、同じ景色を見るしか無いのかもって

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……勝ちたいですか? ラブライブ勝ちたいですか?!

勝ちたくなければ、何故ラブライブに出るのです?

μ’sやA-RISEは、何故ラブライブに出場したのです?

 

聖良も理亜も、自分たちとA-RISE、μ'sたちとの違いについては分かり兼ねていました。彼女たちは、それを知るためには「勝つしかない。勝って追いついて、同じ景色を見るしか無い」と語ります。「勝ちたいですか? 」という千歌の質問に対しても、迷いなく「勝ちたくなければ、何故ラブライブに出るのです?μ’sやA-RISEは、何故ラブライブに出場したのです?」と答えていました。

 

ここで二つ、Saint Snowのスクールアイドルに対する考え方の違いが見えてきました。まずは、彼女たちもAqoursと同様に目指すべきスクールアイドルがいて、その姿を追いかけ続けていること。その姿は、AqoursもSaint Snowも変わりません。

 

しかし、二つ目。彼女たちは大会で優勝してA-RISEと同じ場所に立たなければA-RISEがなぜ凄かったのか知ることは出来ない。Saint Snowの二人が「勝つこと」を目的としてスクールアイドルをやっていることを語ります。

 

彼女たちがそういう考えに至ったのは、彼女たちの目指すべきスクールアイドル像がA-RISEであったことが大きいように思われます。

 

私達はあなた達よりも強くあろうとしてきた
それがA-RISEの誇り、スタイル、だから負けるはずがない

 「ラブライブ!」2期10話「μ's」

 

かつて、A-RISEのリーダーのツバサは、穂乃果に対してこう語りました。他のどのスクールアイドルよりも強くあろうとステージに立ち続け、誰にも「負けるはずがない」という意思を持っていたツバサ。それが自分たちの誇りであり、スタイルであると語ります。確かに劇場版でA-RISEは、「3人でいる時間が大切だから」と本心を語っていましたが、表向きにはおそらくその本心を隠し続けて、プロフェッショナルなスクールアイドル「A-RISE」として永遠にステージに立ち続ける道を選んだことだと思います。

 

A-RISEを憧れてスクールアイドルを始めたSaint Snowの二人は、A-RISEがプロとして孤高に輝き続ける姿を見て、自分たちも強くあることに拘るようになった。それは、必然のように思えました。

 

またしかし、A-RISEも「スクールアイドルの素晴らしさを広めたい」という想いはμ's同様に持っていたと思われることから、Saint SnowがA-RISEの一面しか見えていないのだと感じました。Saint SnowがA-RISEの一面しか見ていなかった理由は、A-RISEが表立って自分たちの意思を告げていなかったこともありますが、もう一つ、今のスクールアイドル界の人口が増加している為に、レベルの向上と競争主義の世界に変わってしまったせいでその本質が見えづらくなってしまったこともあると思います。競争主義の世界の中で、Saint Snowの二人はA-RISEが孤高に輝き続ける姿を目にした。それが、Saint Snowが勝つことを目的にスクールアイドルを続けている理由ではないでしょうか。

 

ちなみに、Saint Snowが示したスクールアイドルへの考え方。それは、本編の最後に描かれるAqoursの考え方とは異なるものですが、スクールアイドルに対する価値観が違っているに過ぎないと言えば過ぎないと言えます。どちらが正解ではなく、スクールアイドルに対する価値観が異なっていた。

 

ただ前作で「スクールアイドルの素晴らしさを大きく広げた存在」として描かれていたのはμ'sの方。これは、想像でしかありませんが、競争主義に走るスクールアイドルの世界で再び大切にされるのは、もしかしたらμ'sのような「みんなで叶える物語」のスクールアイドル像なのかもしれません。そして、競争主義に走る混沌としたスクールアイドルの世界に、μ'sの本当の願いを受け取ったAqoursが再びスクールアイドルに輝きを取り戻す物語。それが、ラブライブ!サンシャイン!!が描き出そうとしている物語のひとつなのかなと思いました。

 

音ノ木坂学院にμ'sが残したもの

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ねえ!音ノ木坂、行ってみない?

 

決勝大会の会場がアキバドームだと聞いて、想像も出来ないと語るAqoursのメンバー。そんなメンバーに対して、梨子ちゃんが音ノ木坂学院に行くことを提案しました。以前東京に来た時は、自分がピアノで成果を残さなければいけないというプレッシャーを音ノ木坂学院から感じていたから、母校には行きたがっていませんでした。しかし、今の梨子ちゃんは自分の過去、そしてピアノと向き合って、その壁を乗り越えることが出来ました。それゆえに、梨子ちゃんは仲間に提案することが出来たのだと思いました。

 

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そして9人は、あのμ'sがいた音ノ木坂学院の前に立ちます。

 

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ここが…μ’sのいた…

この学校を…守った

ラブライブに出て…奇跡を成し遂げた…

 

自分の憧れであるμ'sが守り、奇跡を成し遂げた。初めて目の当たりにする音ノ木坂学院の姿に、9人は興奮の声を口にします。そこに現れたのは、音ノ木坂学院の制服を着た少女。

 

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もしかして、スクールアイドルの方ですか? 

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残念ですけど…

ここには、何も残ってなくて…

μ’sの人達、何も残していかなかったらしいです 

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自分達の物も、優勝の記念品も、記録も 

物なんかなくても、心は繋がっているからって

それでいいんだよって

 

μ'sが去った音ノ木坂学院。音ノ木坂学院に輝きをもたらしたμ'sは、学校に自分達の物も、優勝の記念品も、記録も残していなかった。なぜなら、物なんかなくても、心は繋がっているから。μ'sがいなくなった今でも尚、彼女たちが伝説として語り継がれていることが少女の言葉から感じ取ることができました。

 

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千歌の前に、穂乃果に似た少女が現れます。脇目も振らずに手すりを軽々と滑って、千歌にピースサインを送る少女。

 

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その少女を目の当たりにして、何かを感じ取った様子の千歌の表情。少女の自由で真っ直ぐな姿を見て、「自由であること」「まっすぐであること」の大切さを思います。

 

私は良かった

ここに来てハッキリ分かった

私、この学校好きだったんだなって

 

梨子ちゃんも、音ノ木坂学院に来て、自分が本当はこの学校のことが好きだったということに気がついたと語ってくれました。それも、彼女が自らの壁を乗り越えられたからです。

 

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ありがとうございました! 

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μ'sを、音ノ木坂学院を語ってくれた少女の姿は、既にどこにもいませんでした。

 

彼女は本当に今在籍している生徒なのか。それとも、本当はいない存在なのか。劇場版ラブライブ!で登場した女性シンガーように、彼女の実態は不明です。しかし、それを考えること自体は大きな意味を持たず、大切なのは彼女に与えられた役割の方ではないでしょうか。

 

私は、彼女は千歌に「μ'sが音ノ木坂を救えた理由」「μ'sの何が凄かったのか」考えさせる役割を持っていたと考えます。その疑問の答えはこの後の夕暮れの海の場面で語られることになるわけですが、東京にその答えを探しに来た千歌に自ら考えさせ答えに辿り着くように導いた存在。それが名も無き少女の正体であり、強いて言うならば自分へと疑問を問いかける自分自身を投影したような存在なのかなと思いました。

 

千歌が出した"答え"

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μ’sの何が凄いのか、私達とどこが違うのか…ハッキリとは分からなかったかな 

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私は…学校は救いたい。けど、セイントスノーの2人みたいには思えない

あの2人、なんか1年の頃の私みたいで 

 

東京に行き、音ノ木坂学院に行き、μ'sの足跡を辿った9人。果南を始めとして「μ'sと自分たちの違い」そして「μ'sが音ノ木坂を救えた理由」「μ'sの何が凄かったのか」はハッキリとは分からなかったようです。それでも漠然と、学校は救いたいけど勝ち負けだけに拘りたくないという気持ちを持っていることは口にします。

 

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ふと千歌は夕暮れに染まる海を見つめて

 

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ねえ!海、見ていかない? 

 

千歌が見た海は、μ'sがお終いを宣言した海。千歌はその事実を知らないと思われますが、何かμ'sがかつていた海を見て特別なものを感じ取った。そして、ずっと探していたことの"答え"が分かった。千歌の表情からは、それを伺い知ることができました。

 

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千歌は、自分の答えを口にします。

 

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私ね、分かった気がする。

μ'sの何が凄かったのか

多分、比べたらダメなんだよ…

追いかけちゃダメなんだよ。

μ’sも、ラブライブも、輝きも

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私は…なんとなくわかる

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一番になりたいとか、誰かに勝ちたいとか…μ’sって、そうじゃなかったんじゃないかな

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μ'sの凄い所って…きっと何もない所を、何もない場所を、思いっきり走ったことだと思う

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みんなの夢を、叶えるために

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自由に!

まっすぐに!

だから飛べたんだ!

 

千歌が東京に探しに来た「μ'sが音ノ木坂を救えた理由」。その答えは、μ'sがみんなの夢を叶えるために、何もない場所を自由に真っ直ぐに駆け抜けたこと。「自分たちが勝ちたい」という気持ちではなく、「みんなが同じ気持ちで頑張って、前に進んで、少しづつ夢を叶えていく」ことをずっと信じて輝き続けてきたから。そして、それこそが「μ'sの何が凄かったのか」の答えでもあると。

 

μ'sが凄かったのは「無謀な夢から始まった」道なき道を「自由に」「まっすぐに」駆け抜けてきたから。そのμ'sが走ってきた道をμ'sの背中を追いかけて走ることは、既にμ'sがそうしたように「自由に」走っているとは言えません。そして、μ'sの「真っ直ぐな想い」がみんなを結んだ。

 

「μ'sが音ノ木坂を救えた理由」「μ'sの何が凄かったのか」それに対して千歌が出した答えは、自ずと「μ'sと自分たちの違い」にも答えを出すことにも繋がります。μ'sは自由に走り抜けたけど、Aqoursはそのμ'sの背中を追いかけているに過ぎない。千歌はそのμ'sとAqoursの違いに気がついて、Aqoursとして、高海千歌としてμ'sとは違う道を駆け出す決意を言葉にします。

 

千歌は、μ'sの背中を追いかけることはやめると言いますが、決してμ'sへの「憧れ」の気持ちを捨てた訳ではないことは忘れてはなりません。むしろ、千歌は誰よりもμ'sへの憧れの気持ちを持っていたからこそ、その答えに辿り着くことができた。千歌が憧れを捨てた訳ではないことが、次の「μ'sみたいに輝く」という言葉からも分かります。

 

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μ’sみたいに輝くってことは、μ’sの背中を追いかけることじゃない

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自由に走るってことなんじゃないかな?

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全身全霊!

なんにも捕らわれずに!

自分達の気持ちに従って!

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自由に

ランエンドラン

自分たちで決めて、自分たちの足で

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なんかワクワクするズラ

ルビィも!

全速前進、だね!

自由に走ったらバラバラになっちゃわない?

どこに向かって走るの?

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私は…0を1にしたい!

あの時のままで、終わりたくない

 

「0を1にしたい」。ラブライブ予備予選の0もそうですし、入学希望者が0という現状もそう。彼女が、自らの意思で向かう先を決めたことこそが、μ'sとは違う道を歩みだすと誓ったことの証明に他なりません。

 

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ゼロからイチへ!

今、全力で輝こう!Aqours

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サンシャイーン!!

 

Dear穂乃果さん

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Dear穂乃果さん。

私はμ’sが大好きです

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普通の子が精一杯輝いていたμ’sを見て、

どうしたらそうなれるのか…

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穂乃果さんみたいなリーダーになれるのか…ずっと考えてきました

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やっと分かりました。

私で良いんですよね

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仲間だけを見て、

目の前の景色を見て、

まっすぐに走る…それがμ’sですよね

それが、輝くことなんですよね!

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μ'sのことが大好きで、穂乃果に憧れ続けてきた千歌。その姿は、第1話から描かれ続けてきました。

 

何かに夢中になりたくて。何かに全力になりたくて。脇目もふらずに走りたくて。でも――何をやっていいか分からなくて。

ラブライブ!サンシャイン!!」第1話「輝きたい!!」

 

そんな燻っていた自分の元に現れたのが、他でもないμ'sであり穂乃果でした。彼女にとって、それまで「普通の自分」はずっと後ろめたいものでしたが、μ'sに出会ったことで普通の自分でも輝くことが出来ると知り、スクールアイドルを始めました。いわば、μ'sの背中を追いかけることで、普通の自分に自信を持つことが出来た訳です。

 

それなのに千歌は、最後に「私で良いんですよね」という答えを出しました。つまり、ありのままの自分でいいんだと。それは、μ'sの背中を追いかけるのをやめることであり、これまで後ろめたかった本当の自分をさらけ出すことに他なりません。

 

それは、普通の少女・高海千歌が「高海千歌」として歩み始めようとした覚悟。その覚悟に強く勇気づけられると共に、ラブライブ!の主題のひとつ「自己肯定」を果たすことが出来たひとりの主人公がここに誕生しました。

 

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私は、私の景色を見つけます。

あなたの背中ではなく、自分だけの景色を探して走ります

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みんなと一緒に!

いつか…いつか!!

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あ…

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羽根を掴むことが出来た千歌。

 

ラブライブ!でも夢や希望、継承の象徴として描かれてきた白い羽根。穂乃果たちが手にしていたその羽根をようやく千歌は手にすることが出来ました。

 

羽根は1話から登場していました。

 

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羽根は輝きを目にした少女の元には必ず落ちてくるんだと思います。

 

それでも、実際に羽根を掴むことが出来るのは、本当に自分の夢を見つけることが出来た少女のみ。

 

ラブライブ!2期のEDでμ'sが手にしていた羽根、劇場版のEDでは、その羽根は希望の象徴としてあまねくスクールアイドルの元へと飛んでいきました。そして、それは新しい物語の先導主・高海千歌が、自分の夢を見つけることで手にすることができました。

 

羽根は継承の象徴であるともいいますが、必ずしも「μ'sの意思」を継承するものではないということが、この12話を見て確信しました。μ'sが残したかったもの、それは「スクールアイドルの素晴らしさ」。ただ、それだけです。μ'sが音ノ木坂学院に何も残さなかったこと、穂乃果が「これでいいんだよ」と学校の屋上に水で描いては消えたμ'sの文字のこと。そのことが、何よりもμ'sの本当の願いを示しており、継承すべきものはμ'sの意思そのものではなかったことが分かります。

 

本当に大切なことは、「スクールアイドルが好き」という気持ちを持って、自分の夢を見つけて自由に走り出すこと。千歌が手にした羽根にはそうした想いが込められているのだと確信しました。

 

μ'sが本当に残したかった「スクールアイドルの素晴らしさ」を継承するという意味では、白い羽根はμ'sの想いを継承する象徴であると言えます。千歌が羽根を手にすることが出来たのは、勝ち負けを良しとして競争主義に走るスクールアイドル界において、純粋に「スクールアイドルが好き」いう気持ちを持つことができたから。その点では、千歌はμ'sの本当の想いを受け継いでいる主人公であると言え、スクールアイドルに再び奇跡を、輝きを取り戻せる可能性を持った存在であると言えます。

 

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千歌の決意が、壁から剥がされたμ'sのポスターから伝わって来ました。

 

μ'sの想いを継承した絢瀬亜里沙という存在

ラブライブ!サンシャイン!!第12話「はばたきのとき」。自らの夢を見つけてμ'sとは違う道を歩み出すAqoursの羽ばたきの物語が描かれていました。冒頭でも言いましたが、ずっとこの瞬間を信じて見てきました。なので、それが叶ったようでいて、信じて来たものが全てこの一話に詰まっていたような気がして、とても嬉しくありました。それも、「μ'sのお終いの宣言」そして「残される者の決意」を描いたラブライブ!2期11話の演出を担当した酒井和男氏が、ラブライブ!サンシャイン!!の監督であり本話の演出を再び担当してくれたお陰に他なりません。

 

μ'sの本当の想いを受け継いだ存在として、前作では「絢瀬亜里沙」という少女がいました。(「高坂雪穂」も同じ想いを持っていましたが、μ'sの想いを語ったことからここでは絢瀬亜里沙として語ります。)彼女は、千歌と同様にμ'sのことが大好きでした。その上、μ'sに入りたいという強い想いさえ持っていました。そんな彼女が、自分が本当にμ'sのことが好きな理由を考えた時に、自分がμ'sに入ることは違うんだという答えに辿り着きました。

 

私、μ’sが好き。9人が大好き。みんなと一緒に、一歩ずつ進むその姿が大好きなんだって。私が大好きなスクールアイドル、μ’sに、私はいない。だから、私は、私のいるハラショーなスクールアイドルを目指します、雪穂といっしょに!

ラブライブ!」2期11話「私たちが決めたこと」

 

みんなと一緒に、一歩づつ進むμ'sが好き。自分が大好きな9人のμ'sが好き。その想いを語り、μ'sとは違うスクールアイドルを目指すと穂乃果に告げます。その姿が、「Dear穂乃果さん」「私で良いんですよね」と語った千歌の姿にも重なります。亜里沙が劇場版で「自分たちも、μ'sのように見ていて楽しくなれるスクールアイドルになりたい。」と語っていたところから、決してμ'sへの憧れは捨てないまま自分の進むべき道を決意したことが分かります。そこも、千歌と同じ。

 

μ'sの本当の想いを継いだ少女たち。彼女たちの想いは、必ず燦然と輝く結晶になることでしょう。

 

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