【ラブライブ!サンシャイン!!2期】#6「Aqours WAVE」感想ひとりごと
『ラブライブ!サンシャイン!!』2期6話。
窮地に達した時、それまで肯定していた人たちが今度は自分を肯定してくれること。
「みんなで叶える物語」の「みんな」の最後のピースに当てはまるのは「自分」だということ。
それらのメッセージは私の胸を強く打ち、Aqoursの新しい波がひとつの輝きの形を表した瞬間、大粒の涙が私の頬を伝いました。
アバン
ラブライブ地区大会で再び同じステージに立つことになった千歌たち。
リベンジだね!
0から1へと踏み出したあの場所―
1話の千歌の夢にて地区大会で披露した「MIRAI TICKET」が現われる程、あのステージはAqoursにとって「輝き」を象徴する出来事でした。
しかし、当時の最大限のAqoursの輝きを持ってしても成し得なかった地区大会突破。
確かに、0から1へという大きな意義を持つステージではありましたが、今の彼女たちには絶対的にラブライブで最高のパフォーマンスを披露して結果を勝ち取る必要がある以上、あらためて前回自分たちが乗り越えられなかった地区大会へと挑む覚悟や緊張感は凄まじいものであることが、全員の表情から伝わってきました。
大きな壁が立ちはだかる前の彼女たちのそれとは大きく異なります。
6話では、一度乗り越えられなかった場所を乗り越えるためにはという課題が彼女たちに突きつけられます。
つまり、次の地区予選が…
イエス。ラストチャンスそこに賭けるしか無いということですね
廃校の問題に対して1番コンタクトを取れる鞠莉を含む3年生ら。入学希望者が目標値に届いていないこと、期限が差し迫っていること。事実上次のラブライブに賭けるしか無いということが、具体的な数字や時間としても明確に伝えられます。やはり、地区大会は前回乗り越えられなかった場所であり、それを絶対的に乗り越えなくてはいけない壁であることが、千歌ら、鞠莉らの言葉や雰囲気から分かります。
Aパート
あっ!全国大会進出が有力視されてるグループだって
ラブライブ人気あるから、そういうの予想する人も多いみたい
「ドラマ」「映画」「テレビ」「海外」に並んでニューストピックのひとつのジャンルになっている「ラブライブ!」。よくラブライブはスクールアイドルによる甲子園だという例えもありますが、彼女たちの世界では「ラブライブ!」がひとつの独立したジャンルとして人気を博していることが伺えます。
この後のSaint Snowの聖良の話の中にも先駆者たちの話がありましたが、A-RISEやμ'sが築き上げたスクールアイドルの輝きがあったからこそ、今の世界にはスクールアイドルが沢山いますし、ラブライブ!が人気を博したり、技術偏重の傾向があることは忘れてはいけません。
その中でいかにして、大勢の人たちに輝きを伝えられるか―。
ちなみに、先程の3年生らがいた部屋にも掲げられていた地区予選大会のポスターにも「輝け!」とあり、「輝き」というキーワードがスクールアイドルの世界では普遍的に使われていることが分かります。
前回は地区大会で涙を飲んだAqoursだが、今大会予備予選の内容は全国大会出場者にも引けを取らない見事なパフォーマンスだった。今後の成長に期待したい
期待…
千歌の「期待…」という噛みしめる言葉。
期待されるって、どういう気持ちなんだろうね…
皆が見送りに来てくれて、嬉しかったけど、実はちょっぴり怖かった。
期待に応えなくちゃって…失敗できないぞって…
以前、千歌は実体験を持って感じた「期待」について語る場面がありましたが、心強い反面、やはり今の千歌にもプレッシャーという側面があるように思えました。「みんな」からの期待。それは、後半のみんなへの「恩返し」の話へも繋がっていきます。
そんな簡単な話ではありませんわ
会場には出場グループの学校の生徒が応援に来ているのよ
ネット投票もあるとは言え、生徒数が多い方が有利…
生徒数で言えば浦の星が一番不利ですわ
2期のこれまでの話に引き続きやはり世界は彼女たちに新しい壁を与え続けます。いよいよ後が無くなっていくかという時。果南が持つ最後の手立てを使うかという展開に移ります。
やっぱりそれしかないかもね
鞠莉も言う通り、やはり最後の手段を講じるしかないといったところ。
まさか、やるなんて言うんじゃないよね?
まさか、やらないとか言うんじゃないよね?
お互いに反対の想いが、同じ文体で言われるところが素敵ですね。
今回は私も鞠莉さんに賛成ですわ
学校の存続の為やれる事は全てやる。それが生徒会長としての義務だと思っていますので
かつて生徒会長としての義務感に縛られていた生徒会長がいましたが、ここでダイヤが「義務」と言いつつも義務感に苛まれていた訳では無いことがこれまでの彼女の言動、続く言動を見ていると分かる気がします。
それにこれがラストチャンスですわ
ただ私は、後悔しないようにするだけ…これが最後のラブライブだしね
前回果南も口にしましたが、彼女たち3年生にとってはラストチャンスとなるラブライブ!の大会。学校廃校の件もそうですが、彼女たちにとっては同じくらいラブライブという大会にかける想いというものは大きくある訳です。学校のためは勿論のこと、自分たちのためという意義も強く持って地区大会に臨もうとしていることが分かります。
でも、出来る事じゃない。これは出来ない事
そんな事はない。あの時ももう少しだった。もう少しで…
でも出来なかった…それどころか、鞠莉の足まで…
あの怪我は私がいけなかったの…果南に追いつきたいって頑張りすぎたせいで…
「未熟DREAMER」でも描かれた鞠莉の怪我の裏に隠された真相のストーリー。運動神経も体力も抜群な果南に追いつこうとした結果引き起こされた足の怪我。
だめ…だめだよ…
届かないものに手を伸ばそうとして、そのせいで誰かを傷つけて
それを千歌達に押し付けるなんて…
ダイヤも「そうですわ、それに今は9人。私達だけではありませんわ。」と語りますが、そもそも果南は届かないラブライブ!の結果や高いレベルのパフォーマンスを追い求めた結果として、鞠莉が傷ついて、後は描かれていた通りの2年間になったと語り、それを千歌に押し付けるのも甚だおかしいと語ります。
つまり、果南にとっては、鞠莉を傷つけてしまった「過去」を否定し、「今」の千歌たちに希望を託すことすらも肯定しようとしません。ダイヤの言う通り今のAqoursは9人いて自分たちだけではないと語りますが、それを受け入れられないのは「果南の仲間想いの優しさ」に起因するものでしょう。鞠莉、ダイヤが大切で、千歌達のことが好きだからこそ、傷つけたくないという純粋な想い。彼女は甘んじて過去を否定し今を肯定しないのではなく、周りの大切な人を思っているからこそそういった想いに辿り着いたのだと思いました。
「仲間想いの優しさ」。思えば、この性格は今のAqoursのリーダーの千歌にもあるものですよね。同様に千歌もこの優しさがあるせいで「くやしくないの?」にて自分の感情を内側に押しとどめていて「今」抱えている想いを伝えられなかった訳ですし、この後の話にある自分より周りの人を肯定する姿勢にも結びついているのだと思います。
と考えるならば、千歌も果南も自分より周りのことを気にかける性格や、自分の行動の結果を肯定してあげられない姿勢など、本質的には似た部分があるリーダーだということが分かります。
こんなの…!!
「過去」の象徴であるノートを、投げ捨てようとする果南。それを、受け止めようとする鞠莉。
否定しないで。あの頃の事を
私にとってはとても大切な思い出。だからこそやり遂げたい
あの時夢見た私達のAqoursを完成させたい!
鞠莉は果南が投げ捨てた過去の象徴であるノートを拾い、過去を肯定します。それは、空白の2年間を生んだきっかけだったとしても、あの頃の事は鞠莉にとっては大切な果南、ダイヤと一緒に過ごした大切な思い出には変わりないから。自分たちの行動は決して否定はしない。つまり、それは「自分たちを肯定する」ということ。過去を、自分の行動を肯定することができなかった果南とは対極にあるものですし、この後の千歌の話にもリンクします。
鞠莉はそうであればこそ最後まで結果を出せるようにやり遂げたいとも語りますし、あの時夢見た自分たちのAqoursを完成させたいとも語ります。真に「あの時置いてきたものを、もう一度取り戻そう!」ということになる訳です。
確かな前回のストーリーとの続きを感じられるシーン。
はい、出場グループの中では生徒数が一番少ない…
たしかに不利ですね
圧倒的なパフォーマンスを見せて、生徒数のハンデを逆転するしかない…
ですよね…でも圧倒的って…
それは上手さだけではないと思います
むしろ今の出演者の多くは先輩達に引けを取らない、歌とダンスのレベルにある。ですが肩を並べたとは誰も思ってはいません
千歌は生徒数のハンデがあることを聖良に相談します。やはり彼女たちはライバルでありラブライブ!を目指す仲間であるという関係性。
技術偏重にあるラブライブ!の大会である中、そのハンデを覆すためには圧倒的なパフォーマンスを見せるしか無いと語ります。ただ、その圧倒的なパフォーマンスというのは、スクールアイドルの先人たちに引けを取らない歌とダンスのレベルを見せればいいというものではない。
ラブライブが始まって、その人気を形作った先駆者達の輝き。決して手の届かない光…
手の…届かない光…
圧倒的なパフォーマンス。それは、ラブライブの人気を形作った先駆者(μ's、A-RISEをはじめとした)たちの「輝き」が光るパフォーマンス。それを聖良は「決して手の届かない光」だと語ります。
かつて先人たちの「手の届かない光」に手を伸ばそうとした千歌。今の自分たちとはとてつもない程の差を感じた千歌はその光に手を伸ばすことを辞めました。それは、「μ's」が形作った大きな輝き。
え?Aqoursらしさ?
うん。私達だけの道を歩くってどういう事だろう。私達の輝きって何だろう
一度「μ's」が作った大きな輝きに手を伸ばすも、自分たちだけの輝きを見つけることが大切だと心に決め、μ'sの背中を追いかけることを諦めた千歌。
私は、私の景色を見つけます。
あなたの背中ではなく、自分だけの景色を探して走ります
その気持ちが確かに今もあることが、聖良の「決して手の届かない光」という言葉を聞いても先人たちの輝きを追い求めるのではなく「Aqoursらしさ」を追い求めることが大事だと語る姿から想像できました。
ただし、1期13話「サンシャイン!!」にて「私たちだけの道を歩こうと」と言っても「私達だけの道を歩く」って、「私達の輝き」ってどういうことなんだろうという事に明確な答えが出ている訳ではありません。
だからこそ千歌は言います。
それを見つける事が大切なんだって、ラブライブに出て分かったのに
それが何なのか、まだ言葉に出来ない。まだ形になってない
だから、形にしたい
自分たちだけの道を歩くってどういうことなのか、自分たちの輝きって何なのか。それを言葉に出来ない、形になってないからこそ形にしたいという想い。
やはりサンシャインの2期においては、無印から度々登場していた「輝き」という言葉に正面から向き合って深く描き出そうとしている機運が伺えます。
『ラブライブ!サンシャイン!!』に向けた期待として、その「キセキ」や「輝き」に対してどれだけより深く突き詰めて描き出してくれるかが私個人としてはあります。
「キセキ」や「輝き」について向き合う少女たちの心の機微が描かれるかもしれないという期待。それがより強くなったのは思えば2期1話の冒頭の千歌の台詞だったのかもしれません。
輝きって、いったいどこから来るんだろう
このタイミングでこんな話が千歌さんから出るなんて、運命ですわ!
2年前、私達3人がラブライブ決勝に進む為に作ったフォーメーションがありますの
でも、それをやろうとして鞠莉は足を痛めた。それに、皆の負担が大きいの
今、そこまでしてやる意味があるの?
なんで?果南ちゃん!今そこまでしなくていつするの?
最初に約束したよね!
精一杯足掻こうよ!ラブライブはすぐそこなんだよ!?
今こそ足掻いて、やれる事は全部やりたいんだよ!
2年前果南たちがラブライブ!決勝に進むために作るも鞠莉の足を痛めることになった負担の大きいフォーメーション。果南は「そこまでしてやる意味があるの? 」という問いかけを投げますが、「今そこまでしなくていつするの?」と千歌は即答します。千歌は、廃校を阻止するために出来ることなら「やれる事は全部やりたいんだよ!」と2期1話「ネクストステップ」から変わらぬ信念があることを語ります。
でも、これはセンターを務める人の負担が大きいの…
あの時は私だったけど、千歌にそれが出来るの?
大丈夫。やるよ、私!
「自分」への負担が大きいパフォーマンス。しかし、千歌がそれだけで信念を曲げるはずが無いことは、これまでの彼女を見てきた人なら誰もが思ったはずです。自分にできるか、負担が大きいかどうかではなく、やるかどうかなんです。
今のAqoursをブレークスルーするためには必ず超えなくちゃいけないウォールがありマース
今がその時かもしれませんわね
言っとくけど、危ないと判断したら私はラブライブを棄権してでも千歌を止めるからね
今のAqoursをブレークスルー、つまり打ち破る。またひとつステップアップするためには、今のAqoursのパフォーマンスを進化させなければならない。これから挑むパフォーマンスは、ラブライブ!にてハンデを覆すための「圧倒的なパフォーマンス」。
再び誰かが傷つきそうになった時は果南は止めると語ります。千歌のことを想った彼女の意思は強くあるようです。
果南から受け取ったノートに書かれていたパフォーマンスを習得しようとする千歌。果南が負担が大きいというだけあってもちろん独りの力では習得できません。
あれ、やりたかったね。私達で…
それなら何で千歌達にやらせるの?まるで押し付けるみたいに
千歌っちなら出来るって信じてるから。今のAqoursなら必ず成功する
果南だって信じてるんでしょ?
遠い過去を振り返るように「あれ、やりたかったね。私達で…」と語る鞠莉。でもその言葉には後ろめたい気持ちは無く、千歌なら、今のAqoursなら必ず出来ると信じているこそ「やりたかったね」と過去形で語ることができるのです。そしてその気持ちは果南の中にもあるとも。
Bパート
千歌ー!頑張ってー!
学校でも練習に励む千歌。学校のみんなが声援をくれるもまだパフォーマンスは成功しません。
地区大会まで後2週間なんだよ?ここで無理して怪我したら…
うん、分かってる。でも、やってみたいんだ
私ね、一番最初にここで歌った時に思ったの。皆がいなければ何も出来なかったって…
本番が近づいていて怪我をして欠場するリスクがあるも、千歌は「やってみたいんだ」と言い切ります。
「私ね、一番最初にここで歌った時に思ったの。皆がいなければ何も出来なかったって…」
一番最初にここで歌った時、つまり1期3話「ファーストステップ」で1人ではなく梨子と曜と一緒になって初めてスクールアイドルとして、Aqoursとして歌った瞬間。その時にも千歌は学校の「みんな」や街の「みんな」、そして将来Aqoursになる「みんな」の力を借りながら、ようやくライブを成功するに至りました。
ラブライブ地区大会の時も、この前の予備予選の時も、皆が一緒だったから頑張れた
学校の皆にも、町の人達にも助けてもらって…
だから、ひとつくらい恩返ししたい!
地区大会の時も「みんな」の「10!」という声に背中を押されて輝くことが出来ましたし、予備予選の時も9人が手を取り合いながら学校や街の「みんな」の力を借りながら2つのことを成し遂げることができました。
彼女が最初から今に至るまで実体験として「みんな」の力を借りてやってこれたからこそ、その「借り」を返すために「恩返し」をしたいと語った訳です。
顔に絆創膏を腕には湿布を貼る千歌。練習を沢山重ねてきていることが伺えます。
気持ちは分かるんだけど、やっぱり心配…
だよね…
じゃ、2人で止めたら?私が言うより2人が言ったほうが千歌聞くと思うよ
気持ちは分かる、けど心配。心配、だけど気持ちは分かる。そんな逡巡を繰り返している2人。果南の言葉は、昔から一緒にいる姉妹的な立ち位置の果南より、親友的な立ち位置の梨子と曜の方が話を聞いてくれるということでしょうか。
千歌ちゃん、普通怪獣だったんです
普通怪獣ちかちー
何でも普通で、いつもキラキラ輝いている光を遠くから眺めてて…
本当は凄い力があるのに…
自分は普通だっていつも一歩引いて…
梨子と曜は語ります。千歌は、自分のことをいつも普通だと言い、自分からは遥か遠い先にあると思っている輝きを、遠い眼差しでずっと見つめていると。
だから、自分の力で何とかしたいって思ってる
ただ見ているんじゃなくて、自分の手で…
自分のことをいつも普通だと一歩引いているからこそ、遠くの輝きを掴むために自分の力で何とかしたいと。ただ遠くの輝きを見ているだけじゃなくて、自分の手でつかみたいと。それこそが、梨子が語る、千歌の持つ「本当の凄い力」。
自分と同じで普通の高校生なのにキラキラと輝くμ'sを見てスクールアイドルを志した千歌ですが、そんな彼女はまた普通だからこそ自分の力で輝きへと手を伸ばします。でも、それって誰にも出来ることじゃなくて、本当は千歌にしか出来ない凄いこと。
2期1話「ネクストステップ」で普通怪獣の咆哮をあげた千歌ですが、普通だからこそ、そして普通なのに、廃校を阻止するために出来ることは「自分の力」で精一杯足掻こうと決意したのでした。
あんなこと言われたら
千歌。約束して。明日の朝までに出来なかったら諦めるって
よくやったよ千歌。もう限界でしょ?
2年前、自分が挑戦してたから尚更分かっちゃうのかなぁ、難しさが
曜の言う通り、自分が挑戦したからこそ千歌にかかる負担が大きいと分かって止めようとしたのでしょう。ただ、果南はそれだけの理由で千歌を一度突き放した訳ではないように思います。果南も心の中では千歌がパフォーマンスを成功させることを信じている。だからこそ、明確に期限を決めてそれまでに出来なかったら諦めるように言い切ることが出来たのだと。そして、千歌は決して諦めることは無いと。
思えば果南は千歌の理解者でもありました。1期12話「はばたきのとき」で千歌が見つけた輝き方への答えに「私は…なんとなくわかる」と言ってあげていたり、2期1話「ネクストステップ」の9人集合の場面で「諦めが悪いからね、千歌は昔から!」と昔から親しいからこそ諦めない性格だと分かっていたり。だからこそ今回も果南は千歌のことを心の中では信じていたのだと思います。
千歌は繰り返し練習します。傷だらけになりながら、果南に定められた期限までにパフォーマンスを習得しようと。
千歌ちゃん!
焦らないで。力を抜いて、練習通りに
出来るよ。絶対出来る!!
千歌に1番最初から寄り添っていた曜と梨子からの2人から激励の言葉が。
千歌ちゃーん!ファイトー!
頑張るズラー!
次にAqoursのメンバーになった1年生の3人も千歌が練習する所に駆け付け、彼女たちの応援の声も飛び交います。
再び技に挑戦する千歌。
あぁー!!出来るパターンだろこれー!!
千歌も言いますが、仲間の応援があれば普通「出来るパターン」なのです。
何でだろう。何で出来ないんだろう
梨子ちゃんも曜ちゃんも、皆こんなに応援してくれてるのに…
嫌だ。嫌だよ!私、何もしてないのに!何も出来てないのに!
梨子と曜、そしてルビィ、花丸、善子。彼女たちの応援がある今。それでも千歌が技を完成させることが出来ないのは―
そこに現れた2人の普通怪獣がその”答え”を示します。
普通怪獣ヨウソローだぞー!
おっと、好きにはさせぬ!りこっぴーもいるぞー
まだ自分は普通だって思ってる?
普通怪獣チカチーで、リーダーなのに皆に助けられて、ここまで来たのに自分は何も出来てないって。違う?
だって…そうでしょ…
「普通怪獣チカチーで、リーダーなのに皆に助けられて、ここまで来たのに自分は何も出来てない」
曜と梨子は千歌の考えはお見通しです。自分は普通で何も出来ていないけど、みんなの助けのおかげでここまで来られた。千歌が学校で練習している時に「みんな」のお陰の話をしていましたが、その話がここに繋がります。
千歌ちゃん、今こうしていられるのは誰のお陰?
それは、学校の皆でしょ、町の人達に、曜ちゃん、梨子ちゃん…それに…
学校の時と変わらず、千歌は今こうしていられるのは「みんな」である「学校の友達」「町の人達」「曜ちゃん」「梨子ちゃん」それに…と語ります。
一番大切な人を忘れてませんか?
今のAqoursが出来たのは誰のお陰?最初にやろうって言ったのは誰?
「一番大切な人を忘れてませんか?」
「みんな」に含まれるべき、一番大切な人。
「今のAqoursが出来たのは誰のお陰?最初にやろうって言ったのは誰?」
今のAqoursを作る事が出来た、最初にスクールアイドルをやろうと言った、決して忘れてはいけない大事な一人。
それは―
千歌ちゃんがいたから私はスクールアイドルを始めた
私もそう。皆だってそう
「高海千歌」である「自分」。
千歌がいたからこそ、曜も梨子もスクールアイドルを始めることができた。それはみんなだってそう。
他の誰でも、今のAqoursは作れなかった
千歌ちゃんがいたから今があるんだよ。その事は忘れないで
他の誰でもなく、千歌でなければ今のAqoursは作れなかった。千歌がいたからこそ今がある。
千歌はこれまで周りの仲間を肯定し続けて来ましたが、自分が窮地に達した時に自分を肯定してくれたのは他でも無い仲間の存在でした。
自分が肯定する仲間が自分を肯定してくれたこと。それは千歌が自分自身のことを肯定してあげるきっかけになりました。
「みんなで叶える物語」の「みんな」に必要だけど、当たり前で忘れがちなのが「自分自身」の存在。
そして、Aqoursは再び同じステージに辿り着きます。
ただし、あの時と違うのは本当の意味で「9人」になったAqoursとしてステージに挑むこと。「仲間」と「自分」を肯定した今、新しい世界の扉への鍵が開くように、今のAqoursだからこそ進むことが出来る道が新しく出来ました。
自分の事を普通だって思っている人が、諦めずに挑み続ける
それが出来るって凄い事よ!凄い勇気が必要だと思う!
先程も果南に伝えた千歌の本当に凄いところ。それは、自分の事を普通だって思っている人が諦めずに挑み続けること。とてつもない「勇気」が必要なことです。
そんな千歌ちゃんだから、皆頑張ろうって思える!Aqoursをやってみようって思えたんだよ!
普通なのにキラキラした姿に憧れてスクールアイドルになった千歌ですが、そんな千歌は自分のことを普通だと言っていて、でも好きなこと、やりたいことには嘘をつかずに諦めず挑み続ける。そんな姿を見せてくれるからこそ、普通怪獣である曜も梨子も、他のみんなも頑張ろうって、Aqoursをやってみようと思えた。
ほとんどの人はみんな普通怪獣なのかもしれません。でも、そんな普通怪獣がやりたいことに真っ直ぐにぶつかっていこうとするからこそ、多くの人は胸を打たれて前に進む「勇気」を受け取ることができるのです。
恩返しだなんて思わないで!皆ワクワクしてるんだよ!
千歌ちゃんと一緒に自分達だけの輝きを見つけられるのを
その証拠に、みんなが今Aqoursとしてここにいます。同じように全力で足掻いてみんな怪我をしながらも学校を救おうと諦めず挑戦を続けています。
「恩返しだなんて思わないで」
学校で練習している時にみんなのおかげだけでここまでこれたと、みんなに「借り」を感じて「恩返し」をしないといけない、と語っていましたが、もちろん既に周りのみんなが千歌の姿に勇気を貰っていますし、何よりも「千歌ちゃんと一緒に自分達だけの輝きを見つけられるのを」「皆ワクワクしてるんだよ!」と、貸し借りの関係ではなく、ただ千歌と一緒に自分たちの輝きを見つけられることが楽しみだからこそ、そんな「期待」を背負った気持ちは感じなくていいのだと。
千歌、時間だよ。準備はいい?
笑顔で千歌を待ち構える果南。その表情には一点の疑いも曇りもありません。ただひたすらに千歌の成功を確信している顔。
そして―
ありがとう、千歌
その「ありがとう」にはどんな想いが込められていたのでしょう。2年前にAqoursとして成し遂げられなかったことを千歌が成し遂げてくれようとしていることへの感謝。自分が大好きなAqoursに対して大好きな気持ちを持ってくれていることへの感謝。新たなリーダーとしてAqoursを新しい場所へと導いてくれたことへの感謝。その一言には語り尽くせないほどの万感の想いが詰まっていたように思います。
MIRACLE WAVE
再びの地区予選大会のステージで歌うのは「キセキ」をタイトルに冠した「MIRACLE WAVE」。
完全に9人になって初めて完成した「Aqoursの新しい波」が歌となり形となり「新しい9人の輝き」を生み出します。
衣装は「チアガール」でしょうか。頑張る人を「応援」する歌詞も含まれています。
限界まで やっちゃえ 最後まで
焦れったい自分 超える時だよ
最初のパートを歌うのは梨子と曜。私はここを諦めず頑張る千歌を応援する2人の声のように聞こえました。
悔しくて じっとしてられない
そんな気持ちだった みんなきっと
分かるんだね
津島善子役の小林愛香さんが提案したという「ドルフィン」の振付。これまでのAqoursに無かった振付であることからも、「圧倒的なパフォーマンス」を見せるために9人が全員頑張って練習したことが伝わってきます。ひとりづつ順番に折りたたまっていくさまは、まさに「WAVE」。ダンスにおいてもAqoursが起こす新しい波を表現している訳です。
千歌が飛び込んでくるところは果南視点。Aqoursのみんなに囲まれながら技に挑戦する千歌の姿。この時の果南の気持ちを想像すると熱く込み上げてくるものがあります。
見事、千歌は諦めず挑戦して習得した技に成功。それは正にAqoursが「キセキ」を成し遂げられることを体現したかのような「圧倒的なパフォーマンス」そのものでした。
8人は笑顔で千歌のパフォーマンスの成功を喜びます。これぞライブ感の真骨頂。
できるかな?(Hi!) できる!(Hi!)
叫ぶ心が (欲しがる輝き)
目の前で 君に見せるんだ
「できるかな?」と尋ねて「できる!」と言い切れる力強さ。「君のこころは輝いてるかい?」と尋ねて「Yes!」と言い切ることができる心強さと似たものを感じます。
「目の前で 君に見せるんだ」
ここは千歌から果南へのメッセージのように聞こえました。自分のことを信じてくれた果南へと、言葉ではなく歌とパフォーマンスという形で答える姿勢。それは正真正銘のスクールアイドルに他なりません。
涙を流しながら笑顔で歌う果南、鞠莉、ダイヤ。「あれ、やりたかったね。私達で…」と語っていた鞠莉でしたが、今が最高だと言わんばかりに涙を流しながら本当に楽しそうに歌う姿からは、2年間、いやそれ以上に渡る出逢いから今までの「軌跡」というものを胸に抱きながら、今3人で、9人で一緒のステージで歌えていることへの想いというものが伝わって来るようです。
涙を流しながらも楽しそうに歌う姿に千歌もさりげなく気づく演出も憎いですね。
熱い熱い ジャンプで!
無数の光に照らされてジャンプするAqours。「輝き」が形となって現れます。
新しい光 つかめるだろうか
信じようよ(Yeah!)
MIRACLE WAVEが
ミラクル呼ぶよ
1人づつ膝を付いていって、回転して9人繋げて返ってくる振付は正に寄せては返す「波」のよう。「MIRACLE WAVEがミラクル呼ぶよ」という歌詞も合わさって、Aqoursが起こした「MIRACLE WAVE(圧倒的な波)」が「ミラクル(奇跡)」となって波のように返ってくるよと歌っているようです。
渾身のパフォーマンス。生徒数のハンデを感じさせない歓声を会場から受け取ります。
今日ここでこの9人で歌えた事が本当に嬉しいよ
私達だけの輝き。それが何なのか。どんな形をしているのか
文字通り最高のパフォーマンスを終えた今、千歌はありのままの気持ちを口にします。
「今日ここでこの9人で歌えた事が本当に嬉しいよ」
そして、「私達だけの輝き。それが何なのか。どんな形をしているのか」という問いかけ。
輝きって、いったいどこから来るんだろう
その問いかけの答えが今日少しだけ分かったような気がします。
私達9人が見た事。心を動かされた事。目指したい事
その素直な気持ちの中に、輝きはきっとある!
皆信じてくれてありがとう!
「輝き」は自分たちが見た事、心を動かされた事、目指したい事。その素直な気持ちの中にきっとあるんだと。
「輝き」は、感動や夢へと向かおうとする純粋な心の内側に生まれるものなんだと。
「皆信じてくれてありがとう!」
自分を信じてくれたことへの素直な感謝の気持ちを、自分が信じるみんなへと伝えます。
9人で交わすハイタッチ。外側の目に見える輝きと内側の目に見えない輝きが交差して最高の景色をそこに映し出しました。
勇気はどこに?君の胸に!
2期6話、最高の形で地区大会へと望む瞬間が描かれていました。
ここでは、別書きとして「勇気はどこに?君の胸に!」に触れながら、6話とリンクするところについて簡単に書き留めておきたいと思います。
大きく書きたいことは2つ。1つはタイトルと6話の関連性。そしてもう1つは歌詞と6話の関連性。
まず、タイトルと6話の関連性ですが、これは2期が始まる前に書いた以下の文章と重複する部分があるので要点だけ。
2期1話の最初に「輝きって、いったいどこから来るんだろう」という千歌のモノローグ、そして3話の「キセキ」を探求する姿勢から、サンシャインではラブライブにおける「輝き」という概念をより詳しく描き出してくれるだろうという期待。
その期待に答えてくれたものであり、千歌が最初に投げかけた問いかけの答えの1つとして、6話では「私達9人が見た事。心を動かされた事。目指したい事。その素直な気持ちの中に、輝きはきっとある!」と提示してくれました。つまり、輝きは心の内側にあるものだと。
加えて6話では曜と梨子が、千歌は自分を普通だと定義しているのも関わらず諦めず挑み続ける姿勢から「勇気」を受け取ったと語っていました。それは輝きを追い求める上では無くてはならないもの。
そう、「勇気はどこに?君の胸に!」とは、正に輝きを追い求めるための勇気は自分の内側にあるという、6話の要点をまとめたようなタイトルになる訳です。
私達がゼロから作り上げたものってなんだろう。
形の無いものを追いかけて、迷って、怖くて、泣いて。
そんなゼロから逃げ出したいって。
でも…何も無いはずなのに。
いつも心に灯る光。
この9人でしか出来ないことが必ずあるって信じさせてくれる光。
私たちAqoursは、そこから生まれたんだ!
叶えてみせるよ、私達の物語を!この輝きで!!1期13話「サンシャイン!!」
かつて、彼女たちを突き動かしていた内側の「素直な気持ち」つまり「純粋な欲」は「憧れ」から来るものでした。それは6話の千歌の台詞で言うところの「心を動かされた事」に当たるもの。
そして今彼女たちが内側に持つ「純粋な欲」は「目指したい事」から来るものであり、それに加えて内側に「勇気」を持つことでAqoursは新しく前に進む力を手に入れました。
さて、もう1つの歌詞と6話の関連性。
全編通して6話を感じさせる歌詞は多いのですがあえて1つ取り上げるなら2番の2年生パート。
信じてあげなよ 自分だけのチカラ
君が君であろうと
してるチカラ
確かめに
行かなくちゃ
元気に さあ出発だ!
ここの歌詞が、正に6話で千歌のことを信じて肯定してあげた時の流れそのものですし、曜、梨子がこのパートを担当しているのも劇中のシーンと重なります。
また、歌の中では、千歌が「信じてあげなよ 自分だけのチカラ」と歌い、地区大会で新しい輝きを手に入れた今時点の千歌だからこそ歌えるものであると同時に、力強く「君」である私たちにも歌いかけてくれていることを考えると、曲を聴いているだけで胸が一杯になります。
「勇気はどこに?君の胸に!」、6話と特に関連性の強い曲である事がお分かりいただけたのではないでしょうか。