きりんログ

-愛と青春と声豚の記録-

【ラブライブ!サンシャイン!!】第2話「転校生をつかまえろ!」 感想ひとりごと

千歌「一緒にスクールアイドル始めませんか!?」

梨子「ごめんなさい!!」

千歌「ええーーーっ!!?」

 

最高の引きで終わった第1話から続く第2話。

展開を楽しみにしながら視聴しました。

 

前回のラブライブ!サンシャイン!!

ラブライブ!」ではお馴染みだった冒頭の「前回のラブライブ!」。それが踏襲されていたことに感動してしました。第2話での担当は、第1話でスクールアイドル部設立のお手伝いをした曜ちゃん。加藤さん作曲の劇伴も相まって、物語への期待感が一気に高まります。

 

海に還る者

音ノ木坂学院高校で、1年生時にピアノのコンクールに出場した梨子ちゃん。1話で「海の音が聞きたい」と語っていた梨子ちゃんですが、彼女の演目が「海に帰る者」であった事と関係がありそうです。ピアノを弾く事ができなかった梨子ちゃんに対する会場からのざわめき。彼女は心に傷を負いました。

 

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頑なに誘いを断り続ける梨子

千歌からの誘いを断り続ける梨子ちゃんを見て、自分の思いはハッキリと相手に伝えられる意思の固い子なんだなと思い嬉しくなりました。ここはTVアニメから新しく感じたところですが、彼女の個性がこのような形でG'sから変わっていたことには好感を持てました。

 

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アイドルを始めよう!

曜ちゃんがスクールアイドルの衣装をスケッチブックに描いて見せるシーンを見て、前作の2話を思い出しました。しかし、イラストのタッチがことりちゃんと似ています。1話の時も書きましたが、やはり彼女はことりちゃんポジションに当たるのでしょうか(今後、変わっていく可能性は十分にありますが)。

衣装のデザインはスタダを意識していたようですが、オレンジ色が新鮮で、第3話でこの衣装を着て踊る千歌の姿を見れるんじゃないかと思って今から楽しみでいます。

 

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しかし、講堂に誰もいない、だけど「やりたいからやる」といった上手い話の流れは、前作で一通りやってしまっているので、物語の要となる第3話がどうなるのかが今から楽しみでもあり怖くもあるのは正直なところです。

 

μ'sが神話になった世界

μ'sを「ゆーず」と読んでしまう千歌。1話で彼女が「μ's」に憧れていることを知っている我々としては、当然グループの名前は抑えているものだと思っていたので、千歌の読み間違いには自分の耳を疑いました。我々の常識を逆手に取って落としてくる演出は天晴れ。読み間違いの仕方は、完全に穂乃果と一緒だったのでシンパシーを感じました。

 

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そして、激昂するダイヤ様のターンに移ります。

 

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μ'sはスクールアイドルたちにとっての伝説、聖域、聖典。宇宙にも等しき生命の源ですわよ。その名前を間違えるとは…片腹痛いですわ。

 

1話でもスクールアイドルについて流暢に語っていたダイヤ様ですが、ここで正真正銘彼女がμ'sファンだったことが明かされます。

「スクールアイドルたちにとっての」という発言からは、彼女がかつてスクールアイドルをやっていたこともほぼ確定のよう。

兎にも角にも、私が一番嬉しかったのは、本作においてμ'sは千歌だけでなく全スクールアイドルにとっての憧れの的となっていること。「ラブライブ!サンシャイン!!」の世界が、μ'sが「神話の女神」として存在する世界だということを、再確認することができました。

ちなみに、ここで既に千歌とダイヤの間でμ's(スクールアイドル)への価値観の違いが露見していることは面白いなと思いました。

第一に、μ'sについて千歌は「普通だから輝いて見えた」と語っていたのに対して、ダイヤはμ'sを雲の上の存在と思っているようです。

そして、彼女たちの知識の差。ダイヤはノンストップでμ'sの知識を披露していましたが、千歌は曲を全部聞いたとは言っていたものの、グループ名すら認識していなかった始末。ダイヤ様はμ'sのことが好きで調べ上げたんだなということが伝わって来ますが、一方千歌は知識は無くても純粋にμ'sのことが好きなんだなという気持ちは伝わって来ます。意思の固さは似ていると1話では思いましたが、やはり考え方の部分で二人は対照的だなと思い、その対比が面白いなと思いました。

 

一年生組の状況

1話に続いて「やっぱり可愛い」と言われるまるちゃん。客観的に見て可愛いんだと再認識しました。そして、物陰に隠れていたルビィちゃんは飴につられて飛び出してきてしまいましたが、小動物みたいで可愛かったです。第2話では、千歌に抱きつかれても鳴き声を上げなかったり、バスの中で会話をしていたりと、千歌にも少しだけ心を開いた様子です。

しかし、自己紹介でピンチを迎えた善子は、まさかの不登校。これは、普通に心配です…

 

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千歌と梨子の海辺の語り合い

梨子ちゃんは自分の過去を千歌に打ち明けます。小さい頃からピアノをやっていたが、最近はいくらやっても上達しなくて、やる気も出ないこと。そこで、自分の環境を変えて、海の音を聞ければ何か変わるのではないかという思いがあること。彼女が海の音を聞きたがっていたのは「自分を変えたい」という意思があったからでした。

そんな梨子ちゃんに対して、千歌は「変わるよ、きっと。」と言います。「簡単に言わないでよ。」と返す言葉からは、自分を変えることの難しさは自分が一番知っていることが分かります。それでも千歌は、「分かってるよ。でもね、そんな気がする。」と言うことができました。千歌がそう言うことができたのは、普通だった自分が本当に変わることができたから。そのように、私は思いました。

 

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その後、千歌は「じゃあ、海の音だけ聞きに行ってみようよ。スクールアイドル関係なしに!」と渋る梨子ちゃんを再び誘います。強引ではないところが、千歌らしいなと思いました。前作の穂乃果が悩んでいる人の手を引っ張っていってくれる存在だとしたら、千歌は手を繋いで目的地まで一緒に歩いていってくれる存在と言えばいいのでしょうか。私は、千歌からそんな印象を受けました。

また、千歌の言葉は、自分の目的のため(スクールアイドル部に加入して欲しい)ではなく、純粋に梨子ちゃんのために投げかけられたものでもありました。後半で、「誰かを笑顔にするのがスクールアイドル」という言葉が登場しますが、梨子を笑顔にさせたいという思いが彼女を突き動かしました。

しかし、1話に引き続き、重要な場面では海が登場しています。彼女たちが今後Aqoursとして活動していつか振り返った時思い出されるのが海だったなら、やはり彼女たちにとって内浦はかけがえのない場所として強く意識することになるのではないでしょうか。

 

海の音

真っ暗な海の底を見つめる梨子ちゃん。かつてピアノの演奏を断念した自分の姿が思い出されます。

 

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そんな時、二人に促されて天を見上げると。

海を照らす太陽の光と共に、海の音が梨子のもとに聞こえてきました。

 

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暗い場所ばかり見ていては、明るい音楽は聞こえない。コンクールのためとか、上達するためとか、義務感からピアノを弾いていたのでは、いつまでも閉塞感から脱することはできない。自分から「やりたい」と思わないと「自分を変える」ことはできない。このシーンからはそんなメッセージを読み取りました。

また、梨子がコンクールで上手く行かなかった理由のひとつに、悩んでいた時に手を差し伸べてくれる仲間がいなかったことが大きいのかなと思いました。内浦の海の中で天を見上げた時は、千歌と曜ちゃんが一緒でした。手を繋いで一緒に答えを探してくれる仲間がいること。だから梨子は海の音を聴くことができたのではないでしょうか。

 

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千歌は穂乃果のように誰かを引っ張る力は無いけど、同じ目線に立って自分も「輝きたい!!」と思わせてくれる力があると思いました。前作では太陽を呼びこむのはいつも穂乃果の役目でしたが、今回太陽の光が差し込んできたのは梨子ちゃん自身が目覚めようとしたからであって、千歌はその手助けをしただけに過ぎないのかなと思いました。

 

スクールアイドルに恋する気持ち

千歌の働きかけで、梨子ちゃんが曲作りのお手伝いをしてくれる事になりました。

梨子ちゃんは作曲に際して、千歌に歌詞を求めます。「詞」を探して回る千歌は窓を開けたり、かばんの中身を開けたりして探します。「詞ってなに~♪」と急に歌い始める姿はミュージカルらしくあり、彼女が作詞の経験が無い事が印象付けられます。

そして、場面は千歌の家の旅館に。姉妹喧嘩に巻き込まれて人形が顔面にヒットする姿は、かつて枕投げで豹変した海未ちゃんの姿が重なります。

 

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「スノハレ」みたいな恋愛の歌詞が書きたいと語る千歌に対して「恋愛経験ないんでしょ?」と切り捨てる梨子ちゃん。前作を見れば、曲作りに恋愛経験が必要ではなかったことが分かります。

 

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μ'sメンバーに恋愛経験があったか真剣にネットで調べ始める千歌の姿を見て、曜ちゃんは「千歌ちゃんはスクールアイドルに恋してるからね。」と言います。 

そしてハッと気づいた曜ちゃんと梨子ちゃんに「スクールアイドルにドキドキする気持ちとか、大好きって感覚とか」「それなら書ける気しない?」と言われた瞬間、千歌は目を輝かせて「うん、書ける!それならいくらでも書けるよ!」と答えました。

スクールアイドルが好きという気持ちをそのまま歌詞に乗せる。恋愛経験がなかったμ'sがみんなで歌詞を紡ぎだし、学校のみんなのために大好きを大好きのまま歌ったように。千歌は自分の中の好きという気持ちをストレートに歌詞で表現しようとします。

そんな姿を見て、梨子ちゃんはかつて純粋な気持ちでピアノを弾いていた頃の自分の姿を思い出します。幼少の頃の彼女は「自分がキラキラになるの!」と、ピュアな気持ちだけでピアノを弾いていました。

 

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「スクールアイドルになりたいって。μ'sみたいになりたいって。」千歌は、自分がそう思えたのは、μ'sの「ユメノトビラ」のおかげだったと言います。

 

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Because school idols make you smile!

大好きを大好きと言える千歌。そんな千歌とは対照的に、梨子は自分の部屋で鬱蒼とした気持ちを抱えていました。

 

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梨子は「ユメノトビラ」を聴きます。ピアノを諦めた自分を思い出しながらも、千歌が大好きと言っていた曲を奏でながら歌を歌います。

 

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そんな時、

 

ユメノトビラ ずっと探し続けてた」

 

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窓の向こうの部屋の千歌と目が合い、千歌はユメノトビラの歌詞を引用します。再び好きという気持ちを語り始める千歌に対して、梨子はその胸の内を明かします。

 

梨子「私、どうしたらいいんだろう。 何やっても楽しくなくて、変われなくて。」

千歌「やってみない?スクールアイドル。」

梨子「ダメよ。このままピアノを諦める訳には。」

千歌「やってみて笑顔になれたら、変われたら、また弾けばいい。諦めることないよ。」

 

千歌「梨子ちゃんの力になれるなら私は嬉しい。みんなを笑顔にするのがスクールアイドルだもん。」

 

梨子「千歌ちゃん!!」

千歌「それってとっても素敵なことだよ。」

 

「流石に届かないね…」

 

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「待って、ダメーー!!」

 

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みんなを笑顔にするのがスクールアイドル

「みんなを笑顔にするのがスクールアイドル」かつての音ノ木坂スクールアイドル部の部長にこちゃんの言葉です。

誰か(梨子ちゃん自身)を笑顔にできるスクールアイドルをはじめて、それで笑顔になれたら、変われたら、またピアノを弾けばいい。

千歌から発せられた「スクールアイドルを始めないか」いう問いかけは、ここではもう新しい部員を加入させるための言葉ではなく、梨子ちゃんを笑顔にするためにだけ発せられた言葉に変わっていました。

μ'sの曲が好きで、μ'sに憧れを持った千歌が取った行動。それは、μ'sがスクールアイドル活動に込めた想いを確かに受け取り、自らもそうなりたいと思った末に自然と出てきたものでした。自分は、梨子ちゃんに手を差し伸べる千歌を見て、「どんなときもずっと」でこちら側に手を差し伸べてきた穂乃果の姿を思い出しました。もしかしたら、あの時手を差し伸ばされていたひとりが、高海千歌だったのではないかと。μ'sから想いを受け取った千歌が、梨子ちゃんに手を差し伸べた。そんなことを考えると、ラブライブ!サンシャイン!!だけではなくラブライブ!も輝きが増すように思います。

千歌の声を受け取った梨子ちゃんが、最後に「高海さん」ではなく「千歌ちゃん」と叫んだことも相まって、必死の千歌の想いが届いたことが劇的に描かれた素敵なシーンでした。

 

ユメノトビラ

ユメノトビラが引用された意味については歌詞を見ていただければ分かるかと思いますが、いまの千歌に重なる部分が随所にあります。

 

ユメノトビラ ずっと探し続けた

 

ユメノトビラでは「青春のプロローグ」と歌われていますが、千歌にとっての青春は「輝きたい‼︎」と思い始めた瞬間から始まりました。そんな何かに夢中になれる場所をずっと探し続けていた。そんな時、自分と重なる歌詞をμ'sの「ユメノトビラ」に見つけたことが、自分もμ'sのようなスクールアイドルに「なりたい」と思い「いつかなれる」と本気で思い始めたことのきっかけだったのではないでしょうか。

 

輝け…迷いながら立ち上がるよ 

 

上記の歌詞も「輝きたい!!」というテーマにも合致しています。

 

そして何より、

 

Yes! 予感の星たち胸に降ってきた

 

という歌詞は、Aqoursの始まりの曲である「君のこころは輝いてるかい?」の

 

君のこころは輝いてるかい?
胸に聞いたら"Yes!!"と答えるさ 

 

の部分に結びつきます。

 

千歌の今の境遇、そしてAqoursの歌詞に通じる部分が多くあること。それが、ユメノトビラが第2話で使用された意味だと考えました。

 

ユメ語るよりユメ歌おう

1話の特殊EDとは変わって、2話からは正規のEDになりました。「ユメ語るよりユメ歌おう」映像も歌詞も曲も全て最高でした。

映像ではカップリングが話題となっていますが、私は第一に、手を翳して太陽を見上げる千歌ちゃんの姿が印象的でした。「G's magazine」の6月号の表紙です。

 

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ポンポンを持って横並びで踊るAqours。これはμ'sの「きっと青春が聞こえる」や「どんなときもずっと」を思い出させます。

 

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9人で内浦の海を見つめるAqoursの姿。手を繋ぐまるちゃんとルビィ。肩より高い位置でしっかりと手を繋ぐ曜ちゃんとヨハネ(今後の物語で二人の仲が濃くなっていく事を感じさせます。)。手を繋ぐ千歌と梨子ちゃん。そして、ダイヤを中心としてがっちりと方を組み合う3年生組。この1枚だけで色々な展開が想像できます。

 

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砂浜に描かれた「Aqours」という文字と9人分の靴。屋上に「μ's」と書いた「どんなときもずっと」に重なります。そう考えると、いつか波でかき消されてしまうのかなと考えてしまい、儚い気持ちにもなりました。

 

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歌詞は多くを語る必要がありませんが、ただひとつ「ユメを語る言葉より ユメを語る歌にしよう」という歌詞は、穂乃果が2期13話の卒業式で述べた送辞が思い出されます。

 

子供のころから言葉より先に行動しちゃう方で、時々周りに迷惑をかけたりして、自分をうまく表現することが本当に苦手で、不器用で。でもそんな時、私は歌に出会いました。歌は気持ちを素直に伝えられます。歌うことでみんなと同じ気持ちになれます。歌うことで心が通じ合えます。私はそんな歌が好きです。歌うことが大好きです。 

 

言葉より歌で思いを届ける。ラブライブ!から受け継がれているテーマだと思いました。

 

さいごに

1話が最高なだけにハードルが上がっていた2話ですが素晴らしく思えました。「ユメノトビラ」の歌詞やμ'sの想いを引用しながら、梨子の自発的な「輝きたい!!」という意思を引き出す。よく練られたお話だと思いました。

 

第2話を見て、あらためて思ったことがあります。「ラブライブ!サンシャイン!!」は、「叶え!あなたの夢」と告げられた側の立場の少女の物語であり、μ'sの活動を追いかけて来た我々の多くが共感できる物語であると。

前作では、夢は諦めなければ叶うことや、限られた時間の中で輝こうとすることの尊さなどが謳われていました。また、物語のクライマックスには他のスクールアイドルたちに想いは継承され、「今度はあなたの番だよ」と言いたげな曲のフレーズも幾つかありました。

そして本作は、μ'sに憧れを抱いている少女が主人公になりました。彼女は「あなた」の中のひとりに当たります。

彼女はいたって普通。穂乃果のような人を惹きつける力が元からあった訳ではない。ゆえに、千歌の境遇や気持ちは我々が共感できる部分が多い。6年間を追いかけて来た我々が、千歌と目線に立って見る物語。それが、新しい青春の物語の形なのかなと思いました。

 

次回は「ファーストステップ」。前作の「ファーストライブ」をオマージュしたタイトルです。物語の要になりそうな第3話。今から楽しみに待ちたいと思います。

 

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