【ラブライブ!サンシャイン!!2期】#4「ダイヤさんと呼ばないで」感想ひとりごと
アバン
だって、あんなに上手くいって、あんなに素敵な歌を歌えたんだもん!
絶対突破してる!
ラブライブ予備予選の結果が発表されるという重要な場面の中、ひとり堂々と佇む千歌。こう言い切ることができたのも、9人でステージを踏めたこと。そして、「キセキ」は諦めず変えたいと思い行動した結果という答えに辿り着いたからこそ。
自信満々に「未来の僕らは知ってるよ」と言わんばかりに、まだ見ぬ結果を確信する千歌は頼もしくもあります。やはり、一度輝けることを知ったからこそ未来を信じることができる千歌は強いですね。
チャットでSaint Snowの聖良と会話する仲にまでなった千歌。ファンブックでも語られてましたが、やはりAqoursとSaint Snowの関係性は、μ'sとA-RISEの憧れの関係性ではなく、同じ場所に立つ者同士良き「ライバル」でもあり一緒にラブライブを目指す「仲間」であると見ることができます。1期でも遠く離れた北海道の地でSaint Snowも頑張ってるんだなと言う場面がありましたよね。
予備予選は千歌の言っていた通り無事突破。善子が引き当てた不運な「24(不死)」も今見れば不思議と験担ぎの数字だったように思えます。
そして、
やったずら~!
うむ!よきにはからえ!
鞠莉!
オーイエス!
予備予選の芳しい結果に喜びの気持ちを分かち合うメンバーたち。
ダイヤが見つめる先には、自分と同じ3年生で、後輩とボディタッチや呼び捨てで言葉を交わし合う果南や鞠莉の姿がありました。
Aパート
とは言ったものの…
また?今度は何?!
セルフパロ。というより、何度も押し寄せるセカイからの試練に対して「今度もまた新しい問題が」となり続いていた2期ですが、一応ラブライブも説明会も区切りが付いた今、「とは言ったものの…」と新しい問題をほのめかすような発言をあえて入れてくる少しシニカルなスタイルには脱帽です。
果南ちゃんは、どう思うずらー?
そうだねぇ…
果南…ちゃん…?
「ダイヤさんと呼ばないで」の片鱗が見えてきました。
鞠莉ちゃん!
小原家の力は借りられませーん!
マリ…ちゃん…!?
先輩にも関わらず「ちゃん」付けで呼ぶ後輩たち。そこには先輩後輩という垣根は無く、また「先輩禁止」という行動も必要ありませんでした。思えば、1期の11話の時点で曜が「鞠莉ちゃん」と呼ぶなど、敬称を付けた呼び方はとうの昔に辞めていました。ファンブックにも書かれていたことですが、内浦という場所は人と人の距離が近いのであえてこういう事をしなくもて自然と打ち解けるのでしょう。
そうであればこそ、ダイヤは思い悩みます。
え?もしかしてダイヤ、妬いてるの?
ま、まさか!生徒会長としてちゃんと規律を守らねば、皆に示しがつきませんわ!
ただ…何でもありませんわ!
鞠莉さん達も上級生であることの自覚をなくさないように!
すぐにダイヤの変化に勘付いた鞠莉と果南。長年連れ添って来た仲だからこそダイヤの変化に気づけたと思うとあらためて彼女たちの関係の深さが伺えます。
ダイヤは自分のことになると、へっぽこぴーだから
はぁ…鞠莉ちゃん、果南ちゃん…か…
果南の発言から分かる、「ダイヤは自分のことになるとダメ」。彼女はこれまで生徒会長として堂々たる振る舞いや、Aqoursとしてメンバーを見守りながら引っ張る場面もありましたが、自分のことになるとからっきしダメになるとのこと。ラブライブではこれまでも表層のキャラクター性とは相反するギャップのある悩みや内面を持っているキャラクターが魅力として描かれてきましたが、彼女も周りを見ているというしっかり者という性格の反面、その実自分のことになると目が当てられないという内面性は非常に好感が持てるものでした。
下級生たちとの距離を縮めようとするダイヤ。その距離の縮め方が不器用なのも愛嬌があって実に見ていて可愛らしいものがあります。
でも、
ブッブ~ですわ!!
安直すぎですわ!バイトはそう簡単ではありません!
大抵土日含む週4日からのシフトですので、9人揃って練習っていうのも難しくなります!
だいたい何でも簡単に決め過ぎてはいけません!ちゃんとなさい!
無理な「らしくない」距離の詰め方をすると、すぐに化けの皮が剥がれます。普通なら聞き流してもいいような話にもしっかりと答えていくところこそがダイヤらしさなのですから。
あっ……。
本人は不本意な様子ですが。
抑えようとしていても自然に出てくるものが個性なのです。
この後も「黒澤ダイヤ」という人物がどういう人となりをしているかということが象徴的なエピソードを通して描かれます。前もって簡単に言っておくと、それらは全てダイヤらしさ、つまり個性であり、変えなくていいものが人にはあるということを描くための布石でもある訳です。
たしかに、ダイヤさんの言う通りね
流石ダイヤさん!
でもじゃあどうするの?何かあります?ダイヤさん?
それでも、やはりダイヤ「さん」の集中砲火を浴びます。
凄い、お姉ちゃん!
ダイヤさんは、こんなことも思いつくずらね!
さっすがダイヤさん!
唯一お姉「ちゃん」呼びのルビィ。しかし、彼女は妹なので「さん」呼びをしないのは当たり前。ここでもダイヤはしっかりもののお姉ちゃん・先輩として描かれます。
(一緒に帰ろ?ダイヤちゃん!)
(これ、読むずら!ダイヤちゃん!)
(はい!この前の写真だよ、ダイヤちゃん)
ダイヤ「ちゃん」と呼ばれる妄想が止まりません。
しっかりもののダイヤとは対極的にお金を集めるためにフリマを始めた千歌はたったの5円で人形を譲ってしまいます。これもダイヤのしっかりもの加減をより強調するために描いているようです。
いらっしゃいませ!!
残念ですが、原価的にそれ以下はぶっぶーですわ!
はっきりと言っておきますが、新品ではございませんが未使用品!出品にあたっては一つ一つ丁寧にクリーニングを施した自慢の一品!
それをこのお値段!!既に価格破壊となっておりますわ!!
目的のためなら心を鬼にしてしっかりと論理を並び立てるダイヤ。これもダイヤらしさ(?)です。
上手く繕おうとすればする程ドツボにハマっていくダイヤ。
そんな中、鞠莉と果南以外で最初にダイヤの変化に気付いたのは、
果南ちゃん。ダイヤさん、何かあった?
千歌はそういうところ不思議と鼻が利くよね
心配しないで私と鞠莉がちゃんとやっておくから
いつもメンバーの心の機微や表情を伺ってきた千歌でした。1期1話から既に、梨子の顔色を伺って「普通怪獣」を繰り出したり、10話の合宿の場面で9人ドミノ倒しになった場面でも彼女は梨子の笑顔を見て安心していました。8話では周りの気持ちを伺い過ぎて本音を言えなくなるという場面もありましたが、彼女が今回限り鼻が利いた訳ではなく彼女の性格として「周りの人間の心情を伺う」というものが元々あったからこそ、他のメンバーでは気付けなかったダイヤの微妙な変化にも気づくことができたのだと思いました。
やっぱりダイヤ、何か隠してるでしょー
下級生と仲良くなりたいなら、素直に言えばいいのにー
違いますわ!私は別に…
ダイヤはごまかす時、必ずほくろの所をかくんだよ!
な、なんでもないですわ!
果南と鞠莉には全てお見通し。ダイヤが子供の頃から変わってない癖を持っているのも微笑ましいですが、それをずっと彼女と時間を共にしてきた2人が指摘するのもやはり3人の関係性の深さが感じられて良いですね。
ぷっ…
あはははははは!
笑わないでと言っておいて、それが振りのように大笑いで応える果南と鞠莉。街の夕暮れの静かな空気感といい、そこに3人だけの笑いが響きわたる感じといい、3人の間には地元の気の知れた友達感が漂っているのがとても良いですね。
Bパート
それにしてもダイヤが…
「ダイヤちゃん」て呼ばれたいなんて…
ダイヤが、ダイヤ「ちゃん」と呼ばれたいと心のなかで思っていること。それは遂に果南と鞠莉、そして私たちにも言葉として明らかにされるところとなります。
こんな形でメンバー間に距離があるのは、今後のためにもよくなくなくないというか…
羨ましいんだー?
ち・が・い・ま・す・わ!
言葉では繕いますが、鞠莉や果南にはもう何を言っても通じません。ひたすら笑顔な鞠莉や余裕ぶって微笑む果南の顔がそれを物語っています。
ダイヤ…ちゃん
べ、べつに、そんなの求めている訳ではありませんから…
もう顔にも言葉にも本音が出まくりです。
そして、下級生たちとの距離を縮めてダイヤちゃんと呼ばれよう作戦が始まります。
ダイヤは堅すぎ
まずは、話しやすい話題を振って…
話しやすく…
ち、千歌さん?
き、今日は良い天気ですわね…
は、はぁ…
花丸さん、うどんは嫌い?
ぇ…
なに?何かあった?
分からないずら…けど多分あれは…
すっごい怒ってるずら~!!
話しやすい話題を振ろうと天気の話題やうどんの好き嫌いの話をするダイヤ。ぎこちなさ過ぎます。彼女が普段とは違う様相を呈して千歌と花丸に話しかけたことで、むしろ「違和感」が物凄く「怒ってる?」とさえ2人には思われるほど。無理なキャラ変は禁物です。
犬が苦手組の梨子とルビィの2人に襲いかかってくるアシカさん。
”ピッ!!”
静かに!!プールにお戻りなさい!
て、ダメですわ。こんな風にしてたら、また堅いと思われて…
アシカを制して2人を助けるダイヤさん。どこまで行っても彼女はしっかりとしています。
だいたいダイヤは自分から近づこうとしないからね
小学校の頃もいつも私たちとべったりだったしね
自分から行かないと始まらないよ
下級生たちとの距離を縮めてダイヤちゃんと呼ばれよう作戦その2。自分から「ちゃん」付けをする作戦が始まります。
ダイヤさんも配ります?
ありがとう、曜ちゃん…
善子ちゃんもおアルバイト一緒に頑張りましょう~!
今の背筋に冷たいものが走る違和感…
分かる…
自ら「ちゃん」付けで呼ぶことで2人に近づこうと積極性を見せたダイヤ。ですが、善子も曜もそんなダイヤから感じ取った「違和感」を口にします。
何か凄い怒っていたような…
悩んでいたような…
やっぱり何かあったんだよ甘いわね。あれは、闇に染まりしものの微笑み…
遂に全員がダイヤの違和感を口に出し始めることになりました。この時ばかりは善子の表現も的を得ているように聞こえます。
「これ以上混乱させても仕方ない」と痺れを切らした果南と鞠莉。遂に下級生全員にも事の顛末を話すことになります。
ダイヤ…ちゃん?!
うん。皆ともう少し距離を近づけたいってことなんだと思うけど…
小学校の頃から、私達以外は、なかなか気づかなくて…
真面目でちゃんとしてて、頭が良くてお嬢様で、頼りがいはあるけどどこか雲の上の存在で…
皆そう思うから、ダイヤもそう振舞わなきゃって、どんどん距離を取っていって…
果南と鞠莉の口から告げられる幼少期のダイヤ。真面目で頭が良くて頼りがいがあるのは昔から変わらないようですが、それは周りの人からそう思われれば思われる程にダイヤ自身もそう振る舞わなくちゃいけないと思うようになって、周りとの距離を取っていって。
人の性格は往々にして元から全て備わっているものではなく、周囲の人間にどう思われているか、その期待に応えられているかという思いは、誰しも持ったことがあるかと思われます。さらに彼女は名家の生まれで生徒会長だからこそ余計に周りからそういった目で見られていたのでしょうし、自分もそう振る舞うべきだと思うようになったのでしょう。
人の性格はひとりでは作られずに、常に誰かとの関わり合いの中で育まれていくものなのです。
本当は、凄い寂しがり屋なのにね…
この台詞は言わずもがな。『GALAXY HidE and SeeK』を感じさせます。
うぅー…皆、ちゃんとしてよー…
水族館に来た園児たちが走り回って収集がつかなくなる中、昔のダイヤを彷彿とさせる女の子がまとめようとするもするも纏まりがつかず泣きそうになってしまいます。
どうしよう…
収拾がつかないよー…
そんな中行動を唯一起こせたのが、
さぁ!皆!
スタジアムに集まれー!
園児の皆、走ったり大声を出すのは他の人に迷惑になるからぶっぶー、ですわ!皆、ちゃんとしましょうね!
誰よりも冷静に状況を見て対処することができるしっかりもののダイヤでした。まるで水族館の調教師のお姉さんであるかのように声を挙げることで園児たちの注意を引かせます。そして、舞を踊ってみせるダイヤ。園児たちは笑顔になってそれを眺めます。
アイコンタクトで園児たちをまとめようとしていた女の子に無言のメッセージを送ります。昔の自分が重なって見えた、かはダイヤのみが知る所ですが、こうやって困ってる人を放っておけなくて助けてあげる優しさもダイヤの良いところです。1期3話の講堂ライブでも困っていた千歌たちに発電機を用意してあげるなど、彼女のそういった誰かを放っておけない優しさはこれまでも見て取れるものでした。
結局、私は私でしかないのですわね…
アレコレ考えて自分で積極性を出して行動をしても結局は何も変わらなかったと嘆くダイヤ。
そんなダイヤに対して千歌は次のように語りかけます。
それでいいと思います!
私、ダイヤさんはダイヤさんでいて欲しいと思います
たしかに、果南ちゃんや鞠莉ちゃんと違って、ふざけたり冗談言ったりできないなって思うこともあるけど
でも、ダイヤさんはいざとなった時頼りになって、私達がだらけてる時は叱っくれる
ちゃんとしてるんです!
果南と鞠莉のようにふざけたり冗談言えないこともあるけれども、他の人には無い頼りがいや叱ってくれる優しさもある。そして、何よりも「ちゃんとしてる」と。これまで登場した何気ないシーンの全ては、ダイヤが「ちゃんとしてる」ことを訴えるために描かれてきたものでした。何ものにも代えがたいダイヤだけの個性。そこを千歌たちは、ちゃんと見てくれていたのでした。それは、無理に繕おうとして違和感があったダイヤではなく、素のいつも通りのダイヤだからこそ持ち合わせているもの。かつて個性を捨てちゃダメだと千歌たちに言われた善子も今となっては笑顔でダイヤのことを見つめてたのも感慨深いものがありました。
だから皆安心できるし、そんなダイヤさんが大好きです!
だからこれからもずっとダイヤさんでいてください!
よろしくお願いします!
ダイヤさんはダイヤさんのまま、ありのままでいいのだと。あらためて「よろしくお願いします!」と8人で並んで言ったのは良いですね。「ようこそAqoursへ!」とルビィが言った時から時間を経て、8人で「これまでと変わらぬダイヤ」を迎え入れる構図は思わず見ていて込み上げてくるものがありました。
私はどっちでもいいのですわよ!別に…
「何かを隠している」「素直に言えない」「ごまかす」時に見せる口元のほくろを掻くダイヤの癖。彼女がこの時隠していたもの。それは、ありのままの自分を迎え入れてくれて大好きだと言ってくれた8人への「好き」や「ありがとう」の気持ち。それともう1つ。千歌たちの言葉はとても嬉しくありつつも、本当はやっぱりダイヤ「ちゃん」と呼んで欲しいという気持ち。
そんなダイヤの癖に気づくことができたのは幼い頃から時間を共にしていた果南と鞠莉だけ。他の6人には何のことかはさっぱり。
でも、
せーの!
ダイヤちゃん!
彼女がそう呼ばれたかったことを知っていた千歌たちは「ダイヤちゃん!」と大きな声で彼女の名前を呼びました。
一見すると堅物だけど、その実大切な人たちへの気持ちは素直に言えないような繊細な心の持ち主であるダイヤ。彼女が不器用ながらも周りに馴染もうと努力する微笑ましいストーリーの顛末に、ありのままの彼女を好きでいてくれた上で、彼女の望みが千歌たちの声によって叶えられるというエピソード。
心が温まり最後にホロリと泣ける。実に素敵すぎるお話でした。
果たして次回から、彼女は「ダイヤちゃん」と呼ばれるのか。はたまた、「ダイヤさん」のままなのか。そして、ダイヤから見た下級生たちの呼び方は変化するのか。
いずれにせよ、彼女たちの距離は確実に今回のエピソードで縮まったはずなので、そういった余白の部分も楽しみに待ちながら、次のエピソードを迎えたいと思います。
次回予告
次回!「犬を拾う。」