きりんログ

-愛と青春と声豚の記録-

挑戦の太陽に照らされて! / Aqours 3rd LoveLive! Tour 埼玉 感想

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僕らの想いを乗せて未来へと駆け抜けて行った10両編成の列車の終着駅ー9人の少女達は、一回りも二回りも大きくなった姿で聖地・埼玉メットライフドームに帰って来てくれました。

 

11月17日、18日、ライブツアーの一箇所目とは思えない程、充足感に満ちたライブ。それは偏に、2ndから進化したAqoursのパフォーマンスが確かな結果を伴ってそこに表れていたから。ありったけの努力をして積み重ねた彼女達の軌跡の全てが、歌やダンス、言葉として形になり、その場所で確かに見届ける事ができたから。

 

「彼女達の全ての軌跡が輝きだった」。言うは易し行うは難し。物語を再現するだけでも難しいAqoursが辿って来た道程をその渾身で体現するように、あの空間を彩る全ての音や光さえも味方に付けてその歌と言葉で四方八方へと輝きを拡めるように、「WONDERFUL STORIES」というタイトルに帰結し得るだけのものが、確かな形を伴ってあの場所に生まれたのでした。

 

 

Aqoursは挑戦の象徴

私が3rdの最初の地で彼女達を見届けた姿を総括するならば「挑戦の象徴」。これだけは何があっても揺るがない。それは、勝者としてラブライブ!の頂に君臨し続ける姿ではなく、私達と近い場所に居ながらも、常に新しい場所を目指して足掻く事をやめない「挑戦者」としての姿。彼女達が決勝の舞台に立っても尚「新しい場所探す時が来た」「次の輝きへと」と歌い続けた事を決して忘れてはいけない。*1

 

彼女達が何かを変えようと挑戦する姿を見ていると、見ている私達も勇気を貰えて何かに挑戦しよう、頑張ろう、決して諦めない、と思えてくる。胸に眠る輝きを目覚めさせてくれるだけの力が、彼女達の挑戦する姿にはある。

 

MIRACLE WAVE

 

伊波杏樹さんが努力して挑戦して結果を残す姿を見て、自分もこれから何があっても諦めないようにしようと思った。この先何があろうとも伊波杏樹さんを信じ続けようと思った。心に灯る勇気を貰った。

 

やっぱりAqoursってすごい。 だからこそ私たちは輝き続けないといけないし、絶対に努力を怠っちゃいけないと思います。これからも、精進していきたいと思います。

伊波杏樹

 

「輝きたい!!」ではなく、「輝き続けなくちゃいけない」という覚悟。「絶対に努力を怠っちゃいけない」という強い意志。並大抵のものではない。そう誓う理由は「Aqoursってすごい」から。努力して確かな形として結実した末に勝ち得た「私達はやり遂げたんだ」という自信は、彼女達の更なる挑戦の帆を進める追い風になったのだ。そして、「精進」という言葉で結ぶ伊波さんの姿はとても眩しかった。太陽のようだった。

 

逢田梨香子さんも語る。

3rdライブを経てAqoursもっと成長できると思いました。Aqoursは、常に挑戦していく存在でありたいです。

逢田梨香子

 

Aqoursは、常に挑戦していく存在」。『MIRACLE WAVE』を見て、Aqoursの全てのパフォーマンスを見届けながら感じていた事を逢田さんがストレートに表現してみせてくれた。大舞台で挑戦する姿を見せてくれた彼女の言葉には説得力がある。そう、Aqoursは「挑戦の象徴」であるのだ。そう宣誓してくれる事は本当に嬉しい。彼女達にその役を担わせるのは些か傲慢なことかもしれないが、Aqoursには永遠に挑戦し続ける存在であり続けて欲しいと私は願っている。心の底から渇望している。浦の星の生徒たちが私達のために優勝してと叫んだように、私も彼女達の終わりなき挑戦を願っている。

 

そして、挑戦の象徴であり続ける事で抱える痛みは、挑戦者でない者が推し量る事すら恐れ多いことかもしれない。期待に応えて、そうあり続けることに囚われすぎないかと一度は心配したが、そう思う事すら失礼なのではないかと思った。私達に出来る事はただ彼女達を信じ続ける事のみ。応援すること。そして、彼女達から受け取った勇気の焔を絶やさないこと。無駄にしないこと。

 

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だから僕らはがんばって挑戦だよね

勇気はどこに?君の胸に!

 

彼女達は「挑戦の象徴」として、これからも私達の期待に応え続けてくれることだろう。私達にも挑戦する勇気を与え続けてくれることだろう。いつか、何かに挑戦した自分の姿が誰かの挑戦へと繋がるように。気持ちが薄れそうな時はここに立ち返ろう。あの日彼女たちが自分たちの力で巻き起こした奇跡の波を思いだそう。

 

有言実行

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びっくりしたか!

伊波杏樹

この言葉を聞いた時にあの日の事を思い出して目頭が熱くなった。2日目にはハッキリと「『絶対にびっくりさせてやるからな!』と2ndで言ったけど覚えてるか」と言ってみせてくれた。彼女はかつて口にしていた。「気持ちは言葉にしないと伝わらない」と。そして今、遂に過去の自分の宣言へのアンサーとして「びっくりしたか!」という言葉を彼女は言い放つ。その時の太陽のような彼女の笑顔は眩しくて目に焼き付いている。

 

有言実行」。言うは易し行うは難し。8ヶ月前に宣言して、今日宣言通りやり遂げた事を告げたという事は、その間ずっと彼女の中に「自分で誓ったことを必ず実現しなきゃ」という想いがあり続けたということだ。それは彼女を奮い立たせるモチベーションになったのだろうか。己にどれだけのプレッシャーを課すことになったのだろうか。やり遂げなければいけないという事実だけがそこにあるだけだったのだろうか。

 

いずれにしても、伊波さんは本当に心が強い人だと思った。私は、有言実行が嫌いだ。なぜなら、自分の言葉に責任を持つのが怖いからだ。端から言わなければ何事もなく終わる。そこには、ただ何もなかったという事実だけが残る。でもそれって逃げることと同義だし、大人のやり方で巧く繕ってるだけ。

 

だから、彼女が有言実行して本当に成功させる姿を見て、現実から逃げてきた自分が恥ずかしくなった。それが今の自分の取り繕わない、ありのままの事実だ。結局、何度も繰り返しになるが、彼女の挑戦する姿を見て、今の自分は本当に自分に誇れる自分なんだろうかって本気で思った。そう考えられるきっかけになった。

 

先に、伊波さんは心が強いと言ったが、そうあろうとしているだけなのかもしれない。誰よりも世界で愛している少女のため。ステージ上で彼女に素晴らしい景色を見せてあげるために。だから、自分もそうありたい。誰かのために、何かのために、自分のために心を奮い立たせて、私も何かに挑戦したい。

 

もっともっと驚かせてやるからな。見たことのない景色を見せてやる!

伊波杏樹

 

月並みだけど伊波杏樹さんがAqoursのリーダーで本当に良かった。広い世界の中で彼女に巡り合うことが出来て本当に良かった。

 

指切り約束をしたということは、決してその誓いは破れないし、破らないということ。いつか胸を張った姿で、彼女に会いたいな。ちょっと恥ずかしそうにはにかむ彼女の笑顔を裏切らないためにも、全力で自分だけの見たことない夢の軌道を見つけよう。まずは、0の場所に立つところから始めよう。

 

成長の物語は続く

先ほどの「もっともっと驚かせてやるからな」という伊波さんの言葉。Aqoursは更に成長していこうとしている。

 

降幡さんは最後のMCで誓った。

ルビィとしてもっと成長していきたいです。ルビィはどんどん成長するんだ!

降幡愛

 

成長したいと思う意志。3rd前に、そこに至る「Aqoursの成長の軌跡」に焦点を当てて書いた記事の中で、成長するルビィに置いていかれまいと焦りを感じてる、という降幡さんの想いを紹介した。

 

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ルビィが急にステップアップしちゃって。「ヤバい、追いつかなきゃ!」って思いながらも、手の届かないとこにルビィが行っちゃった感じ……っていうのが終わっての感想ですね。一緒にって思っていたら、どんどん先に行っちゃったんで、いまはルビィに追いつかなきゃっていう焦りが大きいです。

降幡愛 VOICE BRODY vol.2

ayarieshon.hatenablog.com

 

そして今、降幡さんは「ルビィとしてもっと成長していきたい」と宣言した。彼女は遠く前を走って行ってしまったルビィにやっと追いついたのだろう。ようやくルビィと同じ場所に立つことができたのだろう。だからこそ、彼女はようやく「ルビィとして」成長を誓うことができたのではないだろうか。

 

Aqoursは成長し続けていっている。それはなぜかと考えたが、やはり「挑戦」することをやめないからだろう。挑戦して、失敗すれば涙する。それでも、挑戦したことは無駄にはならない。成長への大きな糧となる。簡単な話だ。歩みを止めれば現状維持、いや落ちていく事もあるかもしれない。彼女達は挑戦の歩みを止めない。だからこそ、彼女達は成長し続ける。

 

とはいいつつ挑戦し続けることは決して簡単なことではない。ましてや、「結果」として残すことは本当に難しい事だ。「挑戦したことは無駄にはならない」が、「結果として残すこと」にもやっぱり大きな意味があると私は思う。

 

3rdでのAqoursのパフォーマンス全体を振り返ってみてどうだろうか。1stや2ndの時も感じたが、それ以前より目に見えるレベルで全体的に向上している。成長している。そして、3rdではAqoursの全員が斉藤朱夏さんや小林愛香さんのようなダンス経験者にも引けを取らないレベルで進化していた。*2

 

「成長していこう」という言葉だけじゃなくて、それがしっかりと「結果」として表れていたのだ。やっぱり私は結果を残すことも努力する過程と同じくらい大事だと思う。最初からそう思っていたという訳ではなく、ラブライブ!サンシャイン!!からそう教えられたからだ。

 

Aqoursラブライブ!で優勝して、浦の星女学院Aqoursの名前を「証」としてラブライブ!に一生消えない「形」として刻んだ。「結果」を残す以外に彼女達に残された選択肢は無かった。背水の陣。「勝ちたいですか?」から始まった仲間たちとの問答も、結果を残すために決勝のステージに進む上では必要なものだった。

 

だから、私は結果にこだわるキャストAqoursの姿が好きだし、1stの『想いよひとつになれ』でプロとして失敗は失敗だと認めた逢田さんや、3rd2日目の『MIRACLE WAVE』で着地を失敗して大粒の涙を零した伊波さんのことを尊敬している。思い描いた結果通りに行かずに涙を流すということは、それだけ思い描く理想や夢があるということだ。*3

 

彼女達は成長し続ける。挑戦をやめない限り。キャストもキャラに負けずに成長している。どちらの努力が止まっても成り立たない特別な物語だから、ラブライブ!なのだろう。

 

虹の彼方に

3rdライブにて、かねてより制作が決定していた劇場版のタイトルと公開日が発表された。2019年1月4日『ラブライブ!サンシャイン!! The School Idol Movie Over the Rainbow 』。

 

Over the Rainbow」とは、「虹の彼方に」という意味。ラブライブ!サンシャイン!!では、「虹」は「奇跡」の象徴としてモチーフとして用いられて来た。No Rain, No Rainbow。何かを変えようと足掻いた雨の先には、奇跡という名の虹が出る。そして、その軌跡こそが輝跡になるのだ。

 

つまり、劇場版では自分たちが辿り着いた奇跡さえ超えて行こうという事になる。「奇跡の向こう側」。ラブライブ!シリーズで描かれなかった新しい物語が見られそうで今から期待に胸を踊らせている。

 

私は、2期13話の感想記事を書いた時に、10本目の虹の存在について触れた。

 

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2期13話のラストで描かれた虹。9色に輝く虹の上にはまだ何色にも染まっていない10色目のヒカリの線がありました。そう、それは10人目のAqoursでもあり、この物語を見届けて来た「君」へと贈る虹なのです。彼女たちが、最後の最後に届けてくれた私たちへのメッセージ。それは――

『君だけの色で輝く物語』を紡いでいって欲しい。

ayarieshon.hatenablog.com

 

私は、今回の劇場版のタイトルを聞いて、「虹の遥か上空にかかる」無色の虹はもう一つの解釈ができるなと思いました。それが、「Over the Rainbow」、「奇跡(虹)の向こう側にかかる誰も見たことのない新しい可能性」。

 

虹の向こうの空は青く
信じた夢はすべて現実のものとなる

虹の向こうのどこかに
青い鳥は飛ぶ
虹を超える鳥達
僕も飛んで行くよ

虹の彼方に オズの魔法使い 歌詞と試聴

 

原案となったであろうオズの魔法使いの『Over the Rainbow』の通り、まだ見ぬ「新世界」がその場所にあるのだろうか。

 

劇場版のタイトルを聞いても更に先の世界を目指す姿にやはり「挑戦」を感じた。そもそも、今は「Aqours Hop! Step! Jump! Project!」なのだから、更に先へと進んで行くのは当然のことだろう。Jump!する先には「もっと高いところに行けるんじゃないか」という期待感すらある。

 

私のこころは輝いたよ!君のこころは輝いてるかい?

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Aqoursの歌の原点だし、1期最後のAqoursから僕らへのメッセージだし、2期でも奇跡を起こすために歌われた曲だし、この言葉には本当に思い入れが強くある。本来は『君のこころは輝いてるかい?』だけど、この言葉へと続く言葉を思い量るに「私のこころは輝いたよ!」が前に入るよねといったところだ。

 

Aqoursは画面のこちら側の僕らに対しても手を差し伸べてくれた。シンプルだけど力強くてあたたかくて大事なメッセージを何度も何度も繰り返し。「君のこころは輝いてるかい?」はその一つだし、『WATER BLUE NEW WORLD』ラストでこちら側に向かってくる青い羽根もその一つだ。

 

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『WONDERFUL STORIES』の10本目の白い虹は先ほど説明した通り。

 

これは、ラブライブ!サンシャイン!!がどうというより、ラブライブ!自体が「何度も同じことを力強いメッセージで繰り返してくれる作品」なのである。

 

それで、「君のこころは輝いてるかい?」から繋がる「『君だけの色で輝く物語』を紡いでいって欲しい」というメッセージは、今回のライブでも感じられるところが幾つもあった。それは、Aqoursの1人1人が輝く姿を持って体現してくれた。

 

WONDERFUL STORIES

 

印象的なのが、落ちサビ前にクラウチングスタートを切って全員が別々の場所へと走って行く振付。これは、別々の場所へと駆け出す9人の未来を象徴しているのだろう。「ひとりひとり それぞれの道 やがて選ぶと知ってたのかい?」という歌詞があることからも明らかだ。

 

そして、ダメ押しだったのがライブの照明の演出。3rdではラブライブ!決勝の舞台さながら電飾がステージに張り巡らされていたが、この『WONDERFUL STORIES』では、途中まで電飾が9色に光り輝いていた後で、 途中から電飾が白色に光り輝いていた。そう、それは9色の虹ともう1色のまだ何色にも染まっていない白い虹の表現なのだ。

 

μ'sが振り撒いた白い羽根を、自分たちだけの青色に染めたAqours。そして、3rdのパンフレットを見てもらえると分かると思うが、Aqoursのメンバーはそれぞれのメンバーカラーに染まった羽根を手に持っている。そう、彼女達は、『WATER BLUE NEW WORLD』で青色に輝いた後で、9色の虹がモチーフとして登場する『WONDERFUL STORIES』にてそれぞれの色で輝こうと言っているのである。

 

そして、このタイミングでソロ楽曲が来た事にも強い意味を感じる。彼女達がAqoursとして駆け抜けて来て成長した今だからこそ、それぞれの色でそれぞれの歌を紡ぎ出す事ができる。もちろん全員の楽曲を聞いた人なら分かると思うが、曲のジャンルもバラバラでそれぞれの個性がこれでもかと詰め込まれている。やはり彼女達は、それぞれの道で自分だけの色で輝いていくのだ。*4

 

そして、このライブで発表されたもう一つの大きな事。それが、『ラブライブ!サンシャイン!! Aqours 4th Love Live! ~Sailing to the Sunshine~』の開催。

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タイトルが輝きへの航海なのに輝きを撒き散らして行っていること、つまり輝跡をモチーフとしていることも象徴的だが、何よりもその輝跡が「9色の光」であることは見逃せない。

 

3rdのロゴと比較して貰えれば一目瞭然だが、3rdではその輝きはAqoursの「青色」一色である。

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繰り返しになるが、彼女達の輝きはAqoursとしての青色から、それぞれの9人のメンバーの9色の輝きへと変化して行っている。

 

一連のメッセージを見て、ライブを終えて私はこう思った。「明日から1人1人がそれぞれの道で輝こう!」。それが、彼女達から私達に送られた今のメッセージなのではないかと。

 

MIRACLE WAVEについて

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『MIRACLE WAVE』については、まだまだ書き足りないので書き残しておく。

 

千歌飛んだよ!

この9人でAqoursWAVE完成させたぞ!

これがAqoursのパワーだ!

伊波杏樹

 

彼女の言葉を聞いて誰もが思っただろう。彼女はどこまで行っても高海千歌としてステージに立ち続けているのだと。

 

しかし、飛び切った後の彼女のやり切った笑顔は高海千歌というより伊波杏樹としての喜びが大きいように私には見えた。しかも、これまでに見たことのないような喜び様。感覚の話かもしれないが、高海千歌として喜ぶ以上に素で喜びを表現しているように見えたのだ。だからこそ、私はあのパフォーマンスに伊波さんがどれだけ賭けてきたかを容易に想像できたし、これまで努力を重ねて「挑戦」の日々を送って来たかが一瞬の表情から分かった。しかし、いくら練習で出来ていたとしても本番は想像を絶する怖さがあるだろうし、それゆえに成功した時の喜びはひとしおだった筈だ。そして、それが「絶対に努力を怠っちゃいけない」というMCにも繋がっていく。

 

曲を歌い終わった後でAqoursの全員で組んだ円陣でも予定調和を超えた、お互いに成功を称え合う姿が見て取れた。全員が心の底から全力で喜び合っている。そして、伊波さんはやはり全てを出し尽くした表情を浮かべていた。あの日以来流してなかった涙も流していた。これまでのライブでも堪えていた時はあったものの、あそこまで涙を顕にする伊波さんの姿は珍しい。繰り返しになるが、彼女の精一杯があのジャンプには込められていたのだ。

 

でもその姿は伊波杏樹であり、やはり同時に高海千歌であるのかなとも思った。伊波さんが全力で挑戦をやめずに努力した過程が結果へと繋がったのであり、それは高海千歌が2期6話で見せた姿に完璧に重なるものである。そして、その過程でも結果でも感情に嘘がない。彼女達の気持ちはもしかしたら同じところにあったのかもしれない。いや、必ず一致した部分があった筈だ。

 

また、『MIRACLE WAVE』では、Aqours全員としての圧巻のパフォーマンスも見て取れた。

 

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あそこまで綺麗にドルフィンが決まるのも凄かったし、寄せては返すAqoursWAVEを完璧にこなしているのも凄かった。もはやアニメを見てるのか、現実を見てるのか分からず彼女達の行く末を見守ってたと思う。

 

彼女達のパフォーマンスが渾身のものだったことが、曲終わりに全員が息切れを起こしていた事からも伝わって来た。最初のリリイベの時を思い出すと一曲だけで息切れしていた彼女達は、1stや2ndでも分かる様に多くの曲を披露した後でも笑顔で歌い踊る姿がそこにあった。しかし、そんな彼女達でも息切れを起こす程の激しいパフォーマンス。それが、『MIRACLE WAVE』だったのだと。

 

別にアニメ上で大変だという触れ込みでアニメだけで表現する事はいくらでも可能だろう。冷めた言い方をするなら、アニメはフィクションだからだ。しかし、それでは実際に三次元で形だけでも劣るパフォーマンスをした時に「嘘」が生まれてしまう。それでも構わないという人もいるだろうが、ラブライブ!は決してそうではない。自ら高いハードルを設定して、全員が一丸となって超えていく物語なのだ。

 

『MIRACLE WAVE』でも、ラブライブ!史上最も難度が高いと言っても過言ではない壁を見事に打破してくれた。彼女達が起こした息切れからは全力のパフォーマンスだった事、そしてやはり「挑戦」が大前提としてあった事が伝わって来る。

 

最初のハグで飛ばなきゃって思った

伊波杏樹

最初のハグはあんちゃんに成功してほしいと思って選んだ

諏訪ななか

 

諏訪ななかさんが自己紹介の時に見せるハグにまさかそんな大事な役割が伴う日が来るなんて。でも、アニメを思い返せば果南のハグは自分の気持ちを伝えて相手との距離を近づけるためのものだったし、今回は本来の意味を持って使われたと言ってもいいかもしれない。2期6話で千歌に厳しくもエールを送った果南の様に、諏訪さんはAqoursのリーダーの伊波さんにハグをする事で心からのエールを送ったのだ。

 

諏訪さんは、「あんちゃんに色々なものを背負わせた」とも言っていたと思うが、ジャンプを決めて曲が終わった後には果南に重なる様な包み込む様な優しい笑顔で、全員の期待を背負い大技を成功させた伊波さんに対して感謝の念を伝えていた。

 

AqoursWAVE成功させてくれてありがとう

諏訪ななか

 

この言葉を言う時の諏訪さんと伊波さん、そして彼女達を囲むAqoursの表情がキラキラと輝いていて「ああ、これが青春なんだな」って思えた。彼女達の抱擁を見て千歌と果南達の姿が重なって見えたし、そうでなくとも志を一つにして壁を超えた1人と1人の人間同士の心の通い合いを見て私は気付けば涙を流していたのだろう。

 

思えば、8人はドルフィン終わりに全員が伊波さんの方を祈るような表情で見つめていたし、ジャンプが成功した時にはアニメで見た以上の喜びようも見せ、モニターには9分割されたフレームがあったが、その枠すらフレームアウトするメンバーもいるくらいの喜びっぷりだった。それだけ、伊波さんのジャンプの成功を全員が願っていた。成功をした瞬間には、ありったけの喜びの感情を爆発させていた。その瞬間こそが、正に『MIRACLE WAVE』が「完成」した瞬間だったのだ。

 

この9人でAqoursWAVE完成させたぞ!」と伊波さんは言っていたが、全員の力で勝ち取った「結果」なのである。見事努力を「形」にした彼女達。今日に向けて全力で練習して来た日々、そして全員で動き、願い。期待を一身に背負って大技を成功させた伊波さんとAqours全員が一丸となった姿は、正に熱血の青春スポ根漫画顔負けの汗のほとばしりっぷりだった。完成させた形は確かな彼女達の自信に繋がっただろう。

 

ちなみに、2日目は着地のみ失敗してしまい「最後よろけちった、ごめ~ん」と悔しさを誤魔化すような伊波さんの言葉もあったが、密かに下を向いて大粒の涙を零していた伊波さんの姿は見逃していない。それだけ、彼女の中では大きな理想と、成功させたいという強い想いがあったということなのだ。彼女は、高海千歌として生きている。Aqoursのリーダーとして、そして伊波杏樹としての悔しさを全てひっくるめて自分の内側にぶつけていた。

 

Aqoursの『MIRACLE WAVE』の完成はメンバーは勿論の事、スタッフ全員の悲願だった事も伺える。伊波さんがジャンプを成功させた時にガッツポーズを取ったスタッフさんがいらっしゃったらしい。以前、Aqoursの振付を担当しているコレオグラファーの石川ゆみ先生が『らき☆すた』の武道館ライブの話をしていたが、本番だけ見事成功したダンスにスタッフ全員が手を合わせて喜んだというエピソードを語っていた。今回のジャンプの成功も、スタッフ全員悲願の成功だったのだろう。正に全てをひっくるめてみんなで叶える物語。それが、ラブライブ!のありかたなのだ。

 

Saint Snowの二人も彼女達の挑戦を見届けていたと田野さんの佐藤さんが語っていた。「これから出るのに見ると泣いちゃってダメだけど見たら泣いちゃった」と言っており、舞台の影から彼女達のチャレンジを見守っていたことが語られた。事実と小説は違うが、アニメでは描かれなかった物語が見られるのもまたラブライブ!のライブの醍醐味である。

 

田野さんが「あんちゃんが努力していたことを知っていた」と漏らしていた事も良かった。伊波さんはきっと自分では努力して来たとは言わないだろうし、彼女の努力は彼女のパフォーマンスから透けて見えていたから直接彼女から言葉なんて出なくても良かった。でも、やっぱり彼女の努力が第三者から言葉で語られ、それが報われた事には涙を流さずにはいられなかったし、そういった事を言えるポジションや性格を持つ田野さんにも感謝しかない。

 

函館UCでの立場とは逆転しているのも見逃せない。函館UCの感想の中で逢田梨香子さんの言葉を紹介したが、函館の時はSaint Snowの圧倒的なパフォーマンスや直向きに練習する姿に刺激を貰ったという。

 

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Saint Snowさんが加わって、練習風景も見ていて、「もっと自分たちも頑張らなくちゃ」という気持ちになりました。

逢田梨香子

これこそが、Saint Snowがライブに参戦することで生まれたAqoursの中での化学反応であり、彼女たちにとっての”さらなる成長への起爆剤”になったのだと思います。そんな化学反応を一言で表すなら「切磋琢磨」。劇場版ラブライブ!でも謳われていた「競い合いながらも、お互いに手を取り合う」スクールアイドルの姿勢こそが、彼女たちがHop! Step! Jump!するための大きな原動力になるのでしょう。

ayarieshon.hatenablog.com

 

相互の努力を見つめ合い、刺激し合いながら、勇気を交換し合いながら切磋琢磨できる存在。リアルな彼女達の絡み合いを見て、やはりAqoursSaint Snowは素晴らしい関係性の中にいるスクールアイドル同士なのだなと、胸が熱くなったのである。

 

このように振り返ると、『MIRACLE WAVE』の立役者は伊波さんに違いないが、Aqoursを始めとしたライブに関わる全ての人間の想いの糸が絡み合い、伊波さんという挑戦者の一点に集約して勝ち取った未来だった事があらためて分かった。『MIRACLE WAVE』は、みんなで叶えた「奇跡」の象徴なのである。

 

諏訪ななかさんのご機嫌はいかが果南?

小さい話かもしれないが、個人的に印象的に残った事があるので書き留めておきたい。それが、松浦果南役の諏訪ななかさんのテンションが高かったこと。いつも以上にご機嫌がよく、伸び伸びとMCをしていたのうに思えたのは私だけだろうか。

 

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私が勝手に推し量ってしまうのは恐縮だが、今回の伸び伸びとした様子は、やはり2ndライブでは自身が演じる果南、そして自身がセンターを務める『HAPPY PARTY TRAIN』を背負ったツアーであればこそのプレッシャーを感じていたのからではないだろうか。

 

その時の彼女の姿を知っており、満足の行くパフォーマンスを出来なかった悔しさも語った姿も見てきたからこそ、3rdで伸び伸びと話す諏訪さんの姿が微笑ましく思えたのだ。

 

ちなみに、これは余談だが、3rdライブ埼玉では『HAPPY PARTY TRAIN』が披露されなかった。ワンマンライブでナンバリングシングルの披露が無い事は珍しいが、2ndのツアーから地続きのツアーだからこそ既に文脈として消化された『HAPPY PARTY TRAIN』を今回はやらなかったと見る事ができるし、もしも披露されていたとしてもまたこの場所で演ることの意義は大きくあったと感じていた事だろう。

 

つまり、どちらの選択肢でも最強なのである。加点方式なのである。都合の良い解釈だと言われればそれまでかもしれないが、それだけ選べる最高の選択肢は幾通りもあるし、「未来をどうしようかな」なのである。この話をするとどうしても函館の『Awaken The Power』を思い出してしまうが、私は函館ではやるとは思ってなかったし、心の何処かではやっぱりやるのではないかとも思っていた。どちらでも最高の答えだった。やれば、函館という聖地で『Awaken The Power』が完成した事を祝福するし、やらなくても2期の物語を最大限に体現できる3rdで披露してこそなんぼのものだと思っただろう。*5

 

今回の3rdでSaint Snowがユニット曲を歌いそうな流れも正直あったが、これも同じである。これは、あくまでもAqoursのライブ。だから、やらなかった。しかし。もし彼女達がSaint Snowの曲を披露してオーディエンスを沸かせ、AqoursPresentsのゲストという体で歌っていても私は大絶賛していたであろう。それだけ彼女達のライブは自由度が高いし、固定観念に嵌って楽しめる余地を狭めてしまっては勿体無いと思うのだ。

 

『WONDERFUL STORIES』らしさ

今回のライブは随所から『WONDERFUL STORIES』らしさを感じた。全てが輝きの軌跡で、集大成のようなライブだった。それは、2期の物語を駆け抜ける姿もそうだし、文字通りラストにセンターステージに駆け抜けて行った斉藤さんの姿も1stライブを思わせてくれて軌跡の集大成という印象を受けていた。

 

そして、何よりも『WONDERFUL STORIES』らしさを感じたのが、伊波さんの発言。

 

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踊ってて、みんなの顔見てると、キラキラしてて、それを一番近くで見られるのは私の特権!でもそれは、みんなが輝きで照らしてくれるから見られる訳で、本当に「感謝」っていう言葉しかありません。

伊波杏樹

 

輝きは初めからあった。輝きはみんなだった。2期の答え或いは『WONDERFUL STORIES』に通底するエッセンスが確かに伊波さんの言葉からも感じたのだ。思い返せば伊波さんや高槻さんを始めとしたメンバーもインタビューで似たような事を語っていた。

 

本当に目の前に(黒澤)ルビィちゃんとか(渡辺)曜ちゃんとかが、自分の目に映ってるように感じる瞬間があるんですよ。その瞬間、伊波杏樹はたぶんいないんです。そこには高海千歌ちゃんがいるのかな?もう、心の底からフルパワーで笑顔があふれ出している瞬間がすごく多かった。その瞬間は彼女たちとリンクしてその景色を届けて、その景色をみんなと見ているんだなという実感がすごく湧きました。

伊波杏樹 VOICE BRODY vol.2

振り返ったとき、輝きの中にいるって思えるのはメンバーがいるからだと思います。メンバーを見てて輝いてるなって思うとき、これはきっとAqoursとしても輝いているんだなって

高槻かなこ VOICE BRODY vol.2

ayarieshon.hatenablog.com

 

それにしても自分ではなく「みんな」の話をするのも伊波さんらしい。『MIRACLE WAVE』であれだけの大技をやってのけながらも自分の事は余り話さず、最後にはみんなのお陰というお話で締め括るのはやっぱり素敵な人だし、最高のリーダーだと思わざるを得ない。

 

そして期せずして、自分の事は二の次で仲間の事を語るのは高海千歌らしいとも言える。彼女は世界の誰よりも演じる役を愛してあげたいと語るが、千歌と長く濃い時間を共有して来たからこそ、彼女から学ぶ事や意図せず重なってくる想いやマインドもあった事だろうし、そもそも彼女達自身の個性も反映された部分のある物語なのだから、語る言葉が似てくるのは当然の帰結なのだろう。

 

『愛』と『思いやり』を持って」といつも語る彼女だからこそ誰もが信頼を置ける存在なのであり、その二つの大切さを彼女から教えて貰ったし、だからこそ彼女に対して誠実に、そして自分に胸を張って生きていきたいと思ったのである。

 

WATER BLUE NEW WORLDの体現

WBNWの斉藤朱夏さん、諏訪ななかさんが髪を束ねていて雰囲気が違っていたからドキッとした。それはさておき、『WATER BLUE NEW WORLD』は本当に全てが圧巻だった。Aqoursの集大成があの曲の中に詰め込まれていた。

 

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【ライブレポート】Aqoursのライブツアー、メットライフドームで開幕「この9人で本当によかった」 - 音楽ナタリー

 

青く染まるステージ、スモークが焚かれて雲の上の様なステージの中に9人が現れたかと思えば、そこで確かに2期12話で見たラブライブ!決勝で歌い舞い踊る9人の姿があった。劇中の少女達に遜色が無いどころか、もはや彼女達はそうとしか見えない。

 

そして、サビ前に差しかかかりパージされる衣装、桜内梨子を中心に青い翼が広げられる演出。舞い散る青色の羽根。ステージ全体があの時に見た青い鳥そのものだった。

 

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これはAqoursだけでなくラブライブ!サンシャイン!!チーム全員で創り上げた最高の舞台。フィクションをフィクションで終わらせない。ラブライブ!はフィクションをノンフィクションに進化させる作品なのだ。

 

ただアニメで描かれた光景を再現するだけで無く現実にした時に違和感の無い様に仕上げていく難しさは素人の私でも想像出来るものである。それでも、ラブライブ!チームは愛を持っている。愛を持って最高の一瞬の為に、最高の舞台を創り上げていく。そこにAqoursの全力のパフォーマンスが乗っかって始めてラブライブ!でしか描き出せない最高のステージが生まれるのである。

 

WBMWではその集大成が見られたようで、言葉にならない瞬間とはこういう事を言うのだろうと思い、最高の奥義にただただ息を呑むしか無かったのである。

 

完成した青空Jumping Heart

以前、酒井和男監督は、1stライブの『MIRAI TICKET』のパフォーマンスを持って1期13話は完成したと語っていたが、今回の『青空Jumping Heart』とアンコールアニメを持って2期の物語も完成を見たと言っても過言ではない。

 

TVアニメでは勿論アンコールアニメの様な物語が無くても最高の結末が描き出されていた訳だが、今回のアンコールアニメを見てからはこの新しい間の物語は必要なものだと思うようになった*6

 

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第一に、これまで語られなかったもう一方側からの感謝の気持ちや、実はあの時あんな気持ちだったよという事が描かれた事が本当に憎いくらい素晴らしい。これを見て泣かずにはいられなかった。「孤島の水族館からの脱出」でもあったが、これまでの物語と物語の間を紡ぐような話が展開されるのが私は本当に大好きなのである。

 

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第二に、リアルに会場に集まった観客の声を持ってアニメが完成し、アンコールが始まるという演出も素晴らしかった。私達は確かに10人目のAqoursとして、物語に組み込まれたのだ。「孤島の水族館からの脱出」の時といい、ラブライブ!の究極の没入感を体験できる最近の手腕は半端ない。

 

ちなみに個人的に刺さったのが、Aqoursに浦女の生徒達も祝花を贈っていたが、Saint Snowが贈っていたのも来るものがあった。花の立て札に書かれていた言葉は、「優勝しないと許さないんだからね」。やはり物語と物語の隙間を埋めてくれるような、実はあの瞬間に存在していた物語が見られる事には最高の感動を禁じ得ずにはいられないのである。

 

11人のAwaken The Power

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【ライブレポート】Aqoursのライブツアー、メットライフドームで開幕「この9人で本当によかった」 - 音楽ナタリー

 

来ると分かっていたが、それでも「最高」だと思わずにはいられなかった。いや、想像の遥か何十倍、何百倍もの感動のパフォーマンスがそこにはあった。11人で紡いだ集大成の愛の歌。今回のライブの盛り上がりのピークのひとつだったと言っても過言では無いだろう。

 

姉様」「お姉ちゃん」「一緒に歌ってくれてありがとう

どういたしまして

佐藤日向、降幡愛、小宮有紗、田野アサミ

 

曲終わりに思わず泣き出してしまった降幡さんの姿も印象的だった。黒澤ルビィとしてステージに立って、ルビィに重なる万感の想いが生まれたのだろう。ようやくルビィと並んだ場所で、愛する人と気持ちを共有する事が出来たのだろう。

 

突発的にやる事になったが、Saint Snowの声に応じて見る事ができた青と白のキラキラの景色は本当に美しかった。その様は正に今日しか見れない彼女達だけの「雪の結晶

」。2期12話でAqoursが見つけた輝きのひとつがみんなが紡いでくれた青い光だった訳だが、それと同じ様に、彼女達を照らすひとつひとつの光が輝きとなり青と白の景色は太陽に照らされ煌めくダイヤモンドダストの様にも見えた。

 

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この空間を作っているのはお客さんと私達だけじゃありません!そこにいるのはわかってるぞ!関係者のみなさん!そして全セクションのスタッフの皆さん!最後まで盛り上げてくれますか!

田野アサミ

 

Aqoursなら絶対にやらないであろうMCを軽快にやってくれる。それがひたすら気持ちがいい。やっぱりこういう方がひとりいるだけで空気感がガラリと変わるよなぁと思いながら、内田彩さんや三森すずこさんに近しい世代の方という事もあり無限に信頼が高まらざるを得ない。

 

それはさておき、彼女の呼びかけにはしっかりと関係者の方々は手を振り返していたし、カメラマンさんを始めとしたスタッフも手を振り返していたという。

 

そんな光景を見ているとやっぱり色々な場所でスタッフさんがこのライブを支えているんだなとも思い、久保ユリカさんのMCではないが不思議と心強い気持ちになった。みんなで叶える物語だなとこの時にも思えた。キャストだけでなく、スタッフも一緒に成長して完成したライブ。それがこの3rdライブだったんだって。

 

衣装も本当に凄かった。最初アニメで見た時はお伽噺の様な衣装だったので、実際に再現してキャストが着たら衣装負けするのでは無いかと思ったが杞憂も杞憂。劇中を遥かに超える似合いっぷりを披露しており、田野さんや佐藤さんの着こなしは勿論の事、スタッフさんの努力と拘りも衣装から透けて見えていた。

 

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メットライフドームは半野外という事もあり、二日目は寒さも感じたが、この寒さが少しだけ函館にいるような気分になれて、その空気感を感じながら味わう『Awaken The Power』は格別だった。正直ライブ前の雨は好きでは無いが、この時ばかりはそれに感謝したし、恋アクやさかなかなんだかでも同じ様に冷たい水の中にいる雰囲気になれて、文字通り肌で曲の世界を感じる事が出来たのである。

 

Aqoursの軌跡を辿ってAqoursのキセキを見届ける

個人的な話だが、今回のライブの初日は沼津シネマサンシャインにてLVでAqoursのライブを見届けた。理由は幾つかあるが、第一にAqoursの軌跡を辿った上でライブを見届けてみたかった事がある。

 

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気心の知れた友人と一緒に走る伊豆スカイラインは2期10話さながらだったし、Aqoursが奇跡が起こる事を信じて踊った狩野ドームや、始まりの海岸など、Aqoursの軌跡を辿った上で見るAqoursのライブは本当に格別だった。終始あたたかくエモーショナルな気分で彼女達の勇姿を見届ける事が出来た。

 

第二に、彼女達が育った沼津側で彼女達を応援したかった事がある。勝手に沼津に住んでるような気分で見届けさせて貰ったが、だからこそ刺さったキャストの言葉もある。

 

Aqours」を、「ラブライブ!サンシャイン!!」を、「沼津」をこれからもよろしくお願いします!

伊波杏樹

 

彼女がこれまでも何度も紡いできた言葉である。でも、今回は沼津側で見届けただけに「沼津」という言葉がいつも以上に刺さった。勿論、「Aqours」「ラブライブ!サンシャイン!!」という言葉も、ラブライブ!という大きな作品を背負いながらも自分達の輝きを模索するんだという姿勢を感じて毎回感涙してしまうのだが、今回はロケーションもあり「沼津」というAqoursが大切にする場所を表す言葉が異様に刺さったのである。

 

9人9色ソロ楽曲の輝き

今回ラブライブ!サンシャイン‼︎のライブで初めてソロ楽曲が披露された事も書き留めて置かなければならない。先にも述べたが、グループとして成長してAqoursの輝きを見つけた今だからこそ、それぞれの色で輝き始める事ができるのである。

 

『One More Sunshine Story』

伊波杏樹さんは、かねてよりミュージカルに出演することを夢に見ていたが、舞台で生きて来た経験或いは人生での体験を元に、そこで培ったエッセンスを全てこのステージ上で放出していた様に思えた。それだけのものが彼女のパフォーマンスにはあった。ミュージカル女優としての片鱗を感じる事が出来た。9人全員に言える事かもしれないが、歌をただ歌うだけでなく表情や身体の全てを使って表現する「女優」「表現者」としての姿がそこにはあったのだ。

 

細かい所作や、歌い終わったあとの表情に至るまで全てが高海千歌にしか見えなかった。『勇気はどこに?君の胸に!』のソロパートでの最高の笑顔もそうだが、顔や姿は勿論高海千歌ではないが、確かにその場所に高海千歌がいるとしか思えない程の凄みを感じられるのだ。


『おやすみなさん!』

高槻さんの歌の素晴らしさは語るまでも無いが、おやすみなさん!の所の振付がとにかく可愛かった。正に、おやすみ×みなさんである。振りコピすると楽しいのでまだやってない人は是非やってみる事をお薦めする。


『in this unstable world』

この曲は披露されるまでも無くヤバい曲だと思っていたが実際に見てみても本当にヤバかった。ヨハネの性質は勿論の事、小林さんの歌とダンスを存分に発揮させる構成だった。見せ場の落ちサビの魔法陣の所は痺れた。徹底的に格好良いヨハネを見る事が出来た。正に彼女の好きを全開にしてありのままに彼女の個性が感じられる様なパフォーマンスに仕上がっていた。


『Pianoforte Monologue』

言うまでも無くエモーショナル過ぎる曲だった。1期11話のコンクールの衣装で、しかも他のメンバーへの感謝の気持ちが実際に舞台上で紡がれると特別なものになった。梨子が鍵盤で跳ねた時には9色の音符が飛び跳ねていたが、鍵盤で楽しそうに跳ねる梨子の姿を見て子供の頃に「ピアノを弾いていると、空飛んでるみたいなの。自分がキラキラになるの。お星さまみたいに」と言っていた事を思い出し、微笑ましい気持ちになった。

 

そして、彼女が跳ねるたびに9色の音符が飛び跳ねるのを見て、彼女の奇跡の出逢いの全てが音になっているのだろうと思いしみじみとなった。『四月は君の嘘』の舞台で、人は一人では生きていけず、誰かと関わり合い、その先に音として生まれるという話があったが、それと同じ様に彼女の出逢いの軌跡の全てが彼女にしか奏でられない音として生まれ変わっていっているのだと思うと、またエモーショナルな気持ちになった。

 

Beginner’s Sailing

私はこの曲は1期の「無謀」寄りの曲で、王道の主人公ソングだと感じるところが多くあったが、堂々とステージの隅から隅まで駆け抜ける斉藤さんの姿を見て、正に渡辺曜としてステージに立っているのだなと思い眺めていた。以前感じた歌の不安定さも全く感じられず、もう全く曜として歌い、走る姿は本当に天真爛漫で溌剌とした成長した少女の姿だった。


RED GEM WINK

黒澤ルビィの可愛さの全てが凝縮されていた様な時間だった。余計な言葉はいらない。黒澤ルビィがトロッコに乗っていた。

 
WHITE FIRST LOVE

伊波さんと双璧を成すくらい女優気質な彼女の歌唱は本当に心を掴まれた。歌が歌だけに本当に心が縛られる様な痛みすら感じた。ステージの全てが彼女の清廉さを象徴した様な白で彩られた雪の城の様で、彼女の美しく静謐な佇まいには目を奪われっぱなしだった。そんな白の世界を侵食する赤い恋の情動。美しい硝子の様な世界が変化していく様は、あの短い時間で一つの物語を見届けていく様な尊い時間だった。

 

New winding road

ライブハウス・メットライフドーム。もはや完全にあの時間は小原鞠莉並びに鈴木愛奈さんのワンマンライブだった。歌詞が出る演出もシンガーソングライターの様でいて良い。正に何年後かに彼女が歌い紡ぐ歌の様に聞こえた。

 

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さかなかなんだか

歌詞もそうだが、魚の様に自由に駆け回り歌う諏訪さんの姿は正に自由な未来を体現しているようだった。先ほども言ったが二日目は寒さも相まって水の中にいるような気分で歌を聴くことができた。

 

田野アサミさんのMC

先ほどから田野さんのMCを何度か引用しているがやはり彼女のMCはAqoursでは言いにくい、言わない事を的確に言ってくれるから聞いていて楽しい。印象的だったのが「函館でAwaken The Powerやると思ったよね!」という言葉。これに関してはファン同士でも色々な意見があったが、そこに敢えて突っ込んで話をしてくれる大胆さが本当に格好良い。

 

ちなみに田野さんが長く出演されているラジオ「もちこみっ!」にて函館UCの話をされていた際、人生で初めて「エゴサ」をしたというお話もされていた。人生で初めてのことをするくらい思い入れのあるステージだったという事だが、恐らくその流れで一連の議論を見た事もあっての上記の発言なのだろう。歯に衣着せぬ物言いをする田野さん、恐るべしである。

 

でも最後は「3rdライブで大きい会場でみんなに見せられて良かったです!」と大人なまとめ方をしていたのも好印象だった。

 

2日目には、こんなに広い会場に立つ事が出来たこと、Aqoursに、みんなにこの場所に連れて来て貰った事に感極まって涙を浮かべる場面もあったが、函館UCでも似た様な場面がありそれも思い出した。私はどうしても田野さんがかつて所属していた「BOYSTYLE」を思い出してしまうのだが、彼女達が立った一番大きい場所でもキャパが1000人程度の場所だし、彼女の夢のまた一つ叶ったのだと思うと心がじわりとした。

 

 

後で知ったのだが、渡辺和紀さんが見に来ていた事も運命を感じた。全てのことに意味がある。

 

また、今回のツイートを見てるとAqoursを見に来たという関係者の方が多く、ジャンルを問わず様々な業界人も彼女達の事を注目しているのだと思い、これまで以上に色々な人にAqoursの魅力は伝わっていっているし、もっともっと沢山の人に彼女達の凄さを見て欲しいなと思った。彼女達は自信を持って誰にでも自慢できる最高のグループなのだから。

 

伊波杏樹さんが語るメットライフドームの大きさ

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2ndライブツアーの時に感じたドームの大きさは全く違うものになっていて、みんなとこの9人で一緒に色んなところを走ってきたから、足跡をつけてきたから。

伊波杏樹

 

最後のMCにて伊波さんがこの様な旨の発言をしていた。普通、人は広く思える場所も見慣れると狭く感じる事が往々だと思うのだが、彼女はむしろ逆だと言う。

 

彼女の真意を分かるとは断言できないが、きっとFace to Faceやファンミ等で色んな場所で色んな人と会って、色々な人の顔が具体的に思い浮かべられる程に会場を見渡す事が出来たから広く思えたのではないだろうか。

 

そこには、ぼんやりとしたファンの光だけでなく具体的な誰かの光がある。色んな人たちと会って一緒に紡いできた思い出がある。一緒に歩んだ輝跡がこの会場中に充満している。だからこそ、以前よりメットライフドームが大きく感じたのであり、彼女は素直な言葉を紡いだのだろう。

 

Aqours 3rd LoveLive! Tour ~WONDERFUL STORIES~埼玉公演を終えて

色々と言いたい事は山の様にあるものの、真っ先に言いたいのはAqoursは「挑戦の象徴」として輝いてくれたこと。これである。自分達で作り上げた高く無謀なハードルに対しても、決して努力を諦めずに挑戦し、確かな結果を持って最高のパフォーマンスを完成させて見せてくれた。そして、言葉でも、挑戦する存在であり続けたい、そうでなければならないと宣誓してくれた。

 

私はブログを書くのが好きなのだが、それが言葉だけにならないよう、いつも彼女たちの挑戦の姿を胸に秘めながら何事にも諦めず取り組んでいきたい。言葉だけで言うのは不誠実だから、ちゃんと形で示して証を残していきたい。

 

そして、4thライブの決定と、会場として選ばれたのが「東京ドーム」という聖地。誰が何と言おうとあの場所はμ'sが立った事によって聖地となった。しかし、だからと言って物語の中でAqoursが立った場所には違いない。東京ドームに立つのは早すぎるという意見や、もっと勿体ぶって発表をする事も出来ただろうが、このツアーの最初の地で、しかも第一弾の情報として思うよりもあっさりと発表してくれたことにも意味を感じざるを得ない。

 

そう、Aqoursにとって東京ドームはゴールではなくあくまで「通過点」なのだ。彼女達にはラブライブ!を軽々と超えて行って欲しい。既存のラブライブ!という枠に囚われずに、道なき道を突き進んで行って欲しい。誰も見たことが無い自分達だけの景色を見せて欲しい。それが何よりも憧れる存在に対する恩返しになるだろうし、スクールアイドルとして輝きを拡め還元して行くという事なのだろう。むしろ、彼女達がラブライブ!に囚われずに輝いて行く事が、結局はラブライブ!らしさに帰結すると思うのだから。

 

とは言っても、まだまだ3rdライブツアーは始まったばかり。次は大阪城ホール。全力で日々を生きながら、彼女達のステージを見届けに行きたいと思う。

 

2018/6/11

『声優と夜遊び』にて4thライブが決まったAqoursに対して、内田彩さんから「頑張れ」の声があった。必ず誰かが見てくれている。だから、自由に羽撃いて欲しい。

*1:いや、思えば最初から彼女達は挑戦者であった。その軌跡の全てを通して超えられない壁のように見えた壁をいくつも超えてきた。「まだ夢に気付いたばかり」と思い続ける大切さ。高槻さんも大切だと語るフレーズだが、WBNWに至っても尚「夢が見たい想いはいつでも僕たちを繋いでいてくれるから」と歌うところからも、彼女達が最初から今まで挑戦者としてあり続けたことが伺える。

*2:『君の瞳を巡る冒険』のダンスの「止め」の動きは難しいが違和感なく綺麗なレベルで仕上がっている。『SKY JOURNEY』のフォーメーション変化にも対応している、等。by ちんおじ

*3:それでも、やはり彼女達の努力は無駄にならないと思う。次に繋がる足がかりになると思う。そして、「生だからいいんじゃない」と失敗して一度は結果を得られなくても肯定してあげられるのは同じ様に挑戦をする者にだけ与えられる権利なのだろうと思った。

*4:思えば、『僕たちはひとつの光』だってそうだろう。ファイナルライブで見せた9色に展開する衣装は、その代表的な象徴だ。やはりラブライブ!は同じメッセージを何度も繰り返してくれるのである。

*5:函館の時は、まだ披露する事が物語的に出来なかったと言い換えてもいいかもしれない。フラグを回収した上で満を辞して新しい曲を歌えるようになるのだ。

*6:しかし、ラブライブ!サンシャイン!!は無印と比べても、どこまで行っても本当に丁寧な作品である。