きりんログ

-愛と青春と声豚の記録-

舞台『BOX-SING』感想

皆さんこんにちは、きりんです。最近どうしても輝きが心から溢れ出して長い文章を書いてしまいがちな日々な続いていたのですが、たまにはさくっと短い記事を書いてもいいんじゃないかなと思ったこともあり今回短めの記事を書きました。文章が短ければそれだけ体験したものの感想やレポを書き残せしておけますしね。実はこれまでにもいくつか書き留めておきたいものがあったのですが‥「しっかりとしたものを書かなくちゃいけない」。という自分に課した謎のプレッシャーで書き逃してしまったものもあったり。(特に舞台『ブラックダイス』の感想は書きたかった‥)

 

さて、今日は久し振りに素晴らしいなと感じる舞台に出逢いました。その舞台というのがこちら。

 

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BOX-SING〜5ROUND〜

 

私は「ボクシング」と読んでいましたが‥「ボックスシング」が正しいんでしょうかね。実際の表記も「BOXING」ではなく「BOX-SING」です。どうしてこういう表記なのかというのもストーリーを見ると一目瞭然。

 

日本ボクシング界に新たな風をふき込んでいるファイトソングバトル
このファイトソングバトルが新人王東西決勝戦にも導入されることとなった。

BOX-SING 2017/8/30 - 2017/9/3 | object,Inc

  

平たく言うと「ボクシング」と「シング(歌)」の融合。舞台上ではボクシングをする選手たちの横でアーティストが歌を歌います。選手たちにはそれぞれ専属のアーティストが付いていて、選手がピンチになるとアーティストが応援の代わりに歌を歌ってそれが選手の力になって‥と、ここまで書くと何か漫画の設定のように思えてきますね。

 

しかし、実際青年漫画の世界に飛び込んだような熱さ」がこの舞台にはありましたし、それがこの舞台の魅力だと思っています。おそらく原作の無いオリジナルストーリーなんですけど確かに「こんな漫画があってもおかしくない」と感じました。

 

あらすじは、同じ学校出身の親友同士だった2人が、再びリングで相まみえることになり、実は片方の主人公のセコンドが対戦相手の兄の元宿命のライバルだったり、実は主人公同士同じ学校の子をかつて好きで恋愛関係でもつれていたり、実はその女の子が今は一方の主人公専属のアーティストの立場だったり‥と、ここまでストーリーを振り返ってみるとあらためて漫画っぽいですね。この「複雑に絡み合う人間ドラマ」なんかも私が青年漫画らしさを感じた理由です。

 

あとは、とにかく「キャラクターの濃さ」。「マイク栗原」という黄色いシャツ、黄色いパンツに包まれた、サングラスをかけ煙草を吸う謎の曲者セコンド。流暢な大阪弁で若干胡散臭さもあるおっちゃんな皇拳ジムの「本並会長」。この2人が癖が強くてかなり好きになりました。いかにも漫画に登場しそうなキャラクターたちですよね。その点、主人公たちは爽やかなイケメンたちで実にらしいバランス。

 

あとは「継承」もサブストーリーとしてあるのも魅力でした。実は本作はシリーズものの1つで、この前にもストーリーがあります。その彼らが本作ではセコンドを務めていたり、劇中に登場する回想のなかで活躍している選手だったり‥これも王道中の王道。このおかげで「前作も見たいし、次回作も見たい」と思わせられました。

 

ちなみに、一番胸に刺さった場面は、運営の事情で片方の主人公の専属となったアーティストが、元恋人だったもう片方の主人公の方を試合中に応援して歌い出してしまうシーン。もちろんそんなことはあってはいけないのですが、「自分の好きという気持ちに素直になって相手選手を応援する」のが完全に人間らしさを繰り出していて好きになりました。それを経て、結局はその展開も盛り上がったということで運営的にはOKになってしまう大人の事情も絡んでくるですけどね‥

 

さて、ここまで青年漫画のような熱さが魅力だと語ってきましたが、舞台ならではの魅力ももちろん沢山ありました。まずは、小さい会場ならではの音と臨場感。開幕と同時にボクシンググローブ同士がぶつかる音、割れんばかりの歓声が大音量でダイレクトに響いてきました。さながらボクシングの試合会場にいるかのような臨場感でした。あとはやはりステージとの距離の近さを感じました。私は今回最前列のプレミアムシートで見ていたのですが、ボクシングの試合やアーティストのライブステージは観客席に演者が飛び出して来て文字通り目の前ゼロ距離で繰り広げられていました。少し乗り出したらパンチが当たりそうでいて選手たちの汗がかかりそうなくらい。そのおかげでだいぶ没入感のあるステージでした。一番の見せ場のボクシングの試合もステージや観客席を使って選手たちが縦横無尽に駆け回りリングのロープもなく視界が良好だったので、観客である自分たちがもはやリングの中で試合を見ているかのような錯覚にも陥りました。

 

あとは観客も参加することでより物語を体感できる舞台だったなという印象もあります。アーティストのライブの時は自然と観客席から手拍子が起こりましたし、選手が入場してきた時はボクシンググローブでタッチしに私たちの元に来てくれて拳を合わせたりと、もはやライブといっても過言ではありませんでした。自分は舞台へは数多く足を運んだ訳ではなく他の舞台では当たり前なことだったのかもしれませんが、自分にとってはこれが特に新鮮な体験でした。とにかく今回の舞台で今までにない体験をできたことが、自分にとって大きな収穫でした。舞台って面白いななんて思いました。

 

さて、勢いで書いてしまった文章なので綺麗にまとめることはできませんが、あらためて舞台は遠回りのように見えて実は一番近い非現実世界への入り口なのだと強く感じました。この作品に限ったことではありませんが、自分は最初舞台は敷居が高いコンテンツだと思っていました。そう思っている方は実際多いのではないでしょうか。しかし、一度足を運んでみるとそれは杞憂だったことに気づきます。特に今回のような青年漫画のような王道ストーリーの舞台や、私が普段行く2.5次元舞台はそれを強く感じます。ストーリーやキャラクターは2次元的な場所に寄り添いながらも、3次元の生身の人間にしか生み出せないその場所その瞬間限りのパワー。これを身を持って体感できることが一番の舞台の魅力なのだと、今回の舞台を通してあらためて感じました。