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きりんログ

-愛と青春と声豚の記録-

ラブライブ!The School Idol Movie -シーン別感想③-

劇場版のシーン別の感想は、ちょうど中間の3回目となります。海外パートの感想も書き終わり、いよいよ帰国後のシーンに移ります。ですが、後半のシーンに入る前に、海外パートの振り返りを最初に行ってから、続きの感想を書いていきたいと思います。

前回の記事

ayarieshon.hatenablog.com

海外パートの振り返り

劇場版だからこそ実現出来たμ's海外遠征。そして海外ライブ。しかし、ただ劇場版だからという理由で、海外のストーリーが描かれた訳ではありません。ここでは、海外パートを振り返りながら、その意義について整理しておきたいと思います。

まずは、μ'sが海外に行った理由について。それは、ドーム大会を実現するための実績作り。これについては劇中でも明言されていたことなので、特に語る必要は無いでしょう。

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また、海外ライブは、μ'sの人気を底上げする役割もありました。海外ライブが大成功したことで、μ'sは周囲からの期待を一身に受けることになります。その期待こそが、後半の問題を引き起こす一番の要因になりました。

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そして、μ'sが海外旅行を満喫しているシーンが描かれていましたが、そのおかげで後半の問題に緊迫感が出ていたように思います。海外パートは、ある意味で、非日常的な時間として描かれていました。モラトリアムと言い換えても良いかもしれません。そのおかげで、我々は一度、彼女たちが最後の時間を過ごしているという現実から遠ざけられることになります。しかし、μ'sが帰国してから例の問題が浮上した際に、彼女たちが最後を迎えるという事実に、あらためて気付かされることになります。前半の夢のような時間から一転して、後半の現実の問題へと移行する。その物語の展開が、後半の緊迫感を生み出していた正体の一因だと思いました。

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さて、振り返ってみると、海外パートは後半に繋がる大事な役割を担っていたことが分かります。決して、劇場版だからという理由だけで、海外パートが描かれた訳ではないことが、ご理解いただけたかと思います。そのことを頭の片隅にでも置いて後半のストーリーを追うと、また深みが増すような気がします。

 

帰国の飛行機にて-永遠の約束-

海外ライブを終えた後の、帰国の飛行機のシーン。「また来ようね」。穂乃果とことりはそんな風に語り合っていました。別々の道に進むことになったとしても、また同じ場所に一緒に行きたい。かつて「ずっと一緒にいようね」と神田明神で誓い合ったシーンが思い出されました。そんな2人のやり取りを見て、真姫ちゃんが微笑むシーンも含めて、素敵なシーンだと思いました。

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?←HEARTBEAT-夢と現実-

今の状況を素直に受け入れることが出来ない。そんな彼女たちの気持ちがコミカルに描かれていました。今の彼女たちの戸惑いの気持ちが、端的に歌詞に表れていました。

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ちなみに、にこたちがアパートのエレベーターを昇るシーン。背景の張り紙の文章がすべて英語で書かれていました。今の状況が予想外過ぎて、日本に帰って来た現実感がない。そんな彼女たちの気持ちを暗示しているように思いました。

そして、PVの最後には、TVの中でアイドルとして踊る自分たちの映像を消して、部屋で一息つくシーンがありました。自分たちが落ち着ける場所は、アイドルとして輝くTVの向こう側ではない。みんなと一緒にいられるこの空間なのだ。そんなメッセージが感じられました。

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高坂家にて-高坂家の血筋-

穂乃果たちは、穂むらにもファンの学生が尋ねて来ていることを、雪穂から聞かされることになります。日常にジワジワと忍び寄るファンの影。日常が非日常へと変わりつつあることを、朧げながら感じさせるシーンでした。

しかし、そんな状況をあくまでも楽しんでいたのが、穂乃果の両親でした。穂乃果目当てで訪ねてきたファンに、穂乃果の両親はなんと商売を始めました。どんな状況でも最大限楽しもうとする。そんな心意気に、高坂家の血筋を感じました。穂乃果もお小遣いアップを要求していたあたりに「この親にしてこの子あり」と思いました。

 

求められる次のライブ-みんなのμ's-

穂乃果たちは、次なるライブを求めて、学校を追い回されていました。そして極めつけには、穂乃果は椅子に縛り付けられたりもします。初見ではコミカルなシーンに思えましたが、μ'sが9人の手から離れて「みんなのμ's」となっていくことを、象徴的に表していた悲壮なシーンでもありました。

 

他者から見たμ's-主観と客観-

次なるライブを求められて戸惑う穂乃果たち。穂乃果は「三年生の卒業と共にスクールアイドルの活動が終わりを迎えることは、みんな分かっているはずなのに…」と嘆きます。これまでの物語を通して、彼女たちが間もなく終わりを迎えようとしていることは、我々も知っている事実です。それだけに、穂乃果の意見は最だと思った人は多いのではないでしょうか。しかしそれは、誰もが知っていたことではありませんでした。

真姫はそのことを的確に指摘します。「見ている人にとっては、私たちがスクールアイドルかどうかはあまり関係のないこと」。彼女たちの物語の一部始終を見届けていない人たちからすれば、そう映るのも仕方のないことなのかもしれません。彼女の意見は、直後の理事長の台詞からも的を射ていたことが分かります。

μ'sが最後に向き合うことになったのは、他者から見た自分たち自身でした。穂乃果たちが意識してきたμ'sと、他者から見たμ's。両者に大きな隔たりがあったことに、最後の最後で気付かされることになりました。

 

最後を伝える最後のライブ-希の決意-

悩めるμ'sのメンバーに、希は一つの提案をします。「人気が出て次のライブを求められている今だからこそ、最後を伝える最後のライブをする必要がある」。彼女は笑顔でしたが、その内には強い覚悟があることを感じました。希は、μ'sの名付け親であり、μ'sへの思い入れが誰よりもあります。そんな彼女が真っ先に最後のライブを提案した。希自身が、μ'sがこの9人であることの大切さを知っていたからこそ、覚悟のいる提案が出来たのだと思いました。

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真姫の区切りの曲-やりたいから-

真姫が密かに書いていた曲があることを希はみんなに伝えます。「大会の後も色々あったでしょ」。真姫は自分の中での区切りとして曲を書いていたと言います。真姫にとっては大会が終わってからの一日一日も、これまでと変わらない大切な時間である。そんな真姫の気持ちが伝わってきました。

そして、真姫に続くように、海未も歌詞を書き溜めていたこと、ことりも海外では衣装のことばかり考えていたこと、が話されます。彼女たちは大会の後も引き続きスクールアイドルの活動を続けていた。大会で優勝することが目的だった訳ではなく、「やりたいから」という気持ちを大切にして、彼女たちが活動をしてきたことが分かります。彼女たちが何のためにスクールアイドルをやっていたのか。それが再認識できるシーンでした。

 

μ'sの継続を望む声-別の形でも構わない-

最後を伝える最後のライブをすることを決めた。ようやく彼女たちが覚悟したところで、理事長からある事実が告げられることになります。「みんな、μ'sには続けて欲しいと思っている。ラブライブ!のドーム大会を実現するために、今の熱を絶やしてはいけない。スクールアイドルという形が難しければ、別の形であっても構わない。」「別の形」という言葉からは、真姫の「見ている人にとっては、私たちがスクールアイドルかどうかはあまり関係のないこと」という言葉が、的を射ていたことが分かります。

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再び問われるμ'sのありかた-それぞれの思い-

μ'sを続けるか。それとも、決意を変えずに活動を終わらせるか。9人はそれぞれの思いを伝え合います。

真姫は、活動の継続を望む声があることに対して、「μ'sがそこまでする必要はない」と言います。かつて、「にこちゃん達のいないμ'sなんて私が嫌なの!」と熱い思いを口にした彼女の変わらぬ決意が伝わって来ました。

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その気持ちを受け取ったにこも「真姫の言う通りよ。一度決めたでしょ。」と言います。ファンの注目を浴びている今の状況は、にこ自身がかつて胸に抱いていていた夢そのものでしょう。海外に行った際も「ドーム大会が開催されたら、μ'sはゲストとして呼ばれるかしら~」と楽しそうに語っていました。それでも彼女は過去の決意を変えなかったのは、このメンバーだから自分のすべてを賭けようと思えた、あの日の自分の気持ちがあったからです。

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「ドーム大会が実現すれば、スクールアイドルは大きく羽ばたける」。絵里と希はスクールアイドルの可能性について言及します。彼女たち自身も、気持ちは真姫やにこと同じだったと思います。しかし、μ'sを続ければ新たに夢を叶えられる人たちがいる。冷静にそのことを伝えられたのは、生徒会という立場で活動してきたこと。そしてμ'sを俯瞰できる三年生という立場にいたこととは、無関係ではないように思いました。

「自分たちがアイドルを続けなかったせいで、ドーム大会は無くなっちゃうかもしれない」。花陽と凛はスクールアイドルの未来を心配します。一年生の彼女たちが、自分たちに続くスクールアイドルを心配したこと。それは、かつて学校が廃校の危機に瀕した時、自分たちの下に生徒が入ってこないかもしれない、という差し迫った問題を体験したこととも関係しているように思いました。

それぞれの思いを伝え合う彼女たち。穂乃果は、答えを求められますが、すぐには決断できませんでした。そして穂乃果は、これから強く思い悩み始めることになります。

 

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