きりんログ

-愛と青春と声豚の記録-

ラブライブ!The School Idol Movie -シーン別感想④-

劇場版のシーン別感想も早くも4回目を迎えました。μ'sの継続を望む声に対して、彼女たちはそれぞれの思いを口にしました。それを聞いた穂乃果は、決断を迫られます。しかし、彼女はすぐに答えを出すことは出来ませんでした。そして、穂乃果は、μ's以外の様々な人の意見も聞くことになります。

前回の記事 

ayarieshon.hatenablog.com

雪穂と亜里沙の想い-アイドルを始めよう!-

穂乃果は、雪穂と亜里沙のスクールアイドルへの想いを知ります。「ロシアに帰っている場合ではありません!」。亜里沙は、少しの時間も無駄にしたくないと、スクールアイドル活動への意欲を燃やします。「オススメの練習場所ってある?」。雪穂も、音ノ木坂に入学する前から、スクールアイドルとして活動できる場所を姉に相談します。

スクールアイドルとして今正に駆け出そうとしている雪穂と亜利沙たち。彼女たちの前向きな姿勢は、今の穂乃果にはとても眩しく思えたことでしょう。穂乃果自身も、かつては駆け出しの輝き溢れるスクールアイドルでした。それだけに、雪穂たちの気持ちが理解できたのと同時に、思い悩み燻っている今の自分自身がやるせなかった。

そんな穂乃果の気持ちを察した亜里沙は、「楽しく…ないの?」と穂乃果に尋ねます。また、「自分たちも、μ'sのように見ていて楽しくなれるスクールアイドルになりたい。」と、続けます。

2期の11話で、亜里沙は、「私の好きなμ'sに、私はいない! だから私は私のハラショーなスクールアイドルを目指します!」と宣言していました。彼女が目指していたスクールアイドル像は、μ'sのように見ている人を楽しませられるようなスクールアイドルだったことが、劇場版で分かりました。

f:id:ayarieshon:20150808131030j:plain

また、2期の12話の学校の屋上で、街中の光を眺めて応援してくれている人たちとの繋がりを意識するシーンでは、穂乃果は次のように語っていました。

「偶然流れてきた私たちの歌を聞いて、何かを考えたり、ちょっぴり楽しくなったり、ちょっぴり元気になったり、ちょっぴり笑顔になっているかもしれない。」

ラブライブ!2期12話『ラストライブ』より

 

「ちょっぴり楽しくなったり」という台詞に差し掛かったカットでは、雪穂と亜里沙がμ'sの曲を笑顔で聞いているシーンが映ります。劇場版を見てからこのシーンをあらためて見ると、亜里沙が語った「楽しい」という言葉の意味が深みを増しました。

f:id:ayarieshon:20150804225908j:plain

 

A-RISEの想い-刹那を永遠に-

穂乃果は、共にラブライブ!を戦ってきたA-RISEの気持ちも知ることになります。彼女たちは、スクールアイドルを辞めた後もプロのアイドルとしてステージに立ち続ける道を選びました。ツバサは「この3人で一緒にいれなくなるは寂しい」と語ります。常に強くあろうとして来たA-RISE。そんな彼女たちからは、想像も出来ないような台詞でした。

「今の一瞬をずっと続けていきたいと思っている。」

3人でいられる今の一瞬一瞬が大切だからこそ、A-RISEとして永遠に一緒に活動したい。一方で、9人でいられる時間が大切だからこそ、その時間だけμ'sを続けようとした穂乃果たち。「仲間と一緒にいられる今の時間が好き」という気持ちは同じですが、それを永遠のものにしたいか、今限りのものにしたいか、彼女たちの考え方の違いが表れたシーンでした。

f:id:ayarieshon:20150805235932p:plain

 

雨の中で叫ぶ穂乃果-悩みの理由-

色んな人たちがそれぞれの想いを抱えていることを知った穂乃果。雨の中で叫びうずくまる彼女の姿からは、かつてないほど思い悩んでいることが伺い知れました

彼女がそれほど悩んでいた理由は、「周りからの期待に応えたい」という思いが、一番にあったからだと思います。TVシリーズでは、廃校や吹雪という不条理の中でも、それに立ち向かう穂乃果の姿が描かれていました。その度に、周りからの応援に支えられることで、穂乃果は壁を乗り越えることができました。しかし、劇場版で穂乃果に牙を向いたのは、かつて自分たちを支えてきた人たちが送ってくれた温かい声援でした。それだけに、穂乃果はとても複雑な感情を抱いていたのだと思います。

 

女性シンガーとの再会-彼女の正体-

穂乃果は、雨の中で再び女性シンガーと会うことになります。マイクを返し損ねたことを穂乃果が伝えると、女性シンガーは「ごめ~ん!」とおどけた表情で答えていました。その時の言い方や表情が、どことなく穂乃果に似ていたように感じた人も多いのではないでしょうか。

女性シンガーの正体ですが、各所で言われている通り、私は未来の穂乃果自身であると思います。茶色い髪の毛、青い目、天然な性格、日本でグループ活動を続けてある時に解散したこと…。穂乃果との類似点を挙げればキリがないと思います。

穂乃果演じる新田恵海さんと女性シンガー演じる高山みなみさんは、劇場版の収録にてご一緒する機会があったそうです。その際は、新田さんがまず演技を行ってから、それを真似して高山さんが収録する。そのような形式でアフレコを行っていたと、舞台挨拶で語られていたそうです。

 

迷いを飛び越える穂乃果-あの頃の気持ち-

穂乃果の家には立ち寄らずに、立ち去ろうとする女性シンガー。彼女は去り際に「答えは見つかった?」と、穂乃果に尋ねます。その瞬間、穂乃果は強い雨風に吹かれます。

そして目を開けた穂乃果は、一面に鮮やかな花々が広がる世界を目にします。この世界は、穂乃果自身の心象が風景になっているように思いました。一面に咲く鮮やかな色の花々は、穂乃果を取り囲むμ'sを初めとした仲間たち。また、穂乃果の目の前に立ちはだかる大きな水たまりは、穂乃果の迷いです。

f:id:ayarieshon:20150802083749j:plain

「飛べるよ、いつだって飛べる、あの頃のように!」

女性シンガーは穂乃果の背中を押すような台詞を口にします。ここでいう「あの頃」とは、「楽しい」という気持ちを持って水たまりを飛び越えられた、穂乃果自身の子供時代を想像させます。また、μ'sとして楽しい時間を過ごしてきた時間も、「あの頃」に含まれているように思いました。

水たまりを飛び越える穂乃果。彼女が迷いを乗り越えることが出来た瞬間でした。今の穂乃果に足りなかったのは、「楽しい」というシンプルな感情。穂乃果は、その気持ちさえあれば何でも乗り越えられることを、我々は何回も目にしてきました。

 

絵里から届くメール-三年生が出した答え-

迷いを断ち切ることが出来た穂乃果。翌朝、絵里からメールが届きます。「穂乃果、絵里です」。それに続くメールには、三年生が相談して出した結論が書かれていました。

穂乃果、絵里です

あれから3人で話し合いました
人気が出たこと
続けて欲しいと言われたこと
ラブライブ!のために力になれること
嬉しく思います
だけど結果は変わりませんでした
μ’sを続けることはありません

私たちはやっぱり
スクールアイドルであることに
こだわりたい
私たちはスクールアイドルが好き

 

絵里は、周りから期待されていること、そして、自分たちがそれに応えられて来たことを嬉しく思っている、と語ります。先ほど穂乃果は、「周りからの期待に応えたい」と語っていましたが、三年生も「周りからの期待」に対して特別な感情を抱いていたことが分かりました。

しかし、絵里たち三年生は「μ'sを続けることはありません」と決断を下しました。「スクールアイドルであることにこだわりたい」「私たちはスクールアイドルが好き」その言葉に続けて、穂乃果は次のように語ります。

「この9人が偶然集まり、学校のために歌い、競い合いながらも、お互いに手を取り合う。そんな限られた時間の中で。せいいっぱい輝こうとするスクールアイドルが好き。」

 

彼女たちは、限られた時間の中で輝くことができるスクールアイドルだったからこそ、自分たちはμ'sを続けてこれたのだ、という結論に至りました。TVシリーズの1期と2期を通して、スクールアイドルの輝きを体現をしてきたμ's。しかし、「スクールアイドル」の価値について言及されたことは、劇場版が初めてでした。その点において劇場版は、スクールアイドルに重点を置いた物語であると言えるでしょう。

また、劇場版では、三年生がはじめに決断をしたことが印象的でした。かつてμ'sが解散を決めた時は、学校に残る二年生と一年生が中心になって答えを出しました。しかし、劇場版では、学校を去る立場である三年生が先に答えを出した。TVシリーズと劇場版の両方で合わさって初めて物語が完結することを、強く意識させられました。

学校に向かう穂乃果-穂乃果の答え-

三年生の結論を聞いて、自分自身の中でも答えを見付けることが出来た穂乃果。神田明神、そして学校へと向かう際には次のように語ります。

「私は学校のために歌を始め、スクールアイドルを始めた。そして、μ'sと出会った。ラブライブ!で優勝できたのは、奇跡じゃなくて、スクールアイドルとして歌うことに夢中になれたから。そして、何よりも、楽しかったから!」

それは、穂乃果がずっと考えていた「何のために歌うのか」という問いへの答えでした。スクールアイドルの活動に「夢中になれた」そして、「楽しかったから」こそ、穂乃果は駆け抜けてくることが出来ました。

ラブライブ!で優勝したのは、奇跡じゃなくて」

かつて学校を救うために穂乃果たちが全力で歌った『僕らは今のなかで』に、「それなら起こるよ、奇跡は必然」という歌詞があります。穂乃果たちが成し遂げたことは、夢中で駆け抜けてきたことの必然の結果である。それが昔から予言されていたかのような歌詞であることに、驚かされました。

f:id:ayarieshon:20150805233716j:plain

 

次の記事

ayarieshon.hatenablog.com