きりんログ

-愛と青春と声豚の記録-

【REVIEW THE STARLiGHT】少女☆歌劇 レヴュースタァライト -The LIVE- #1 感想

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ミュージカル✕アニメーションで紡ぐ、二層展開式少女歌劇 

 

2017年9月に幕を開けた『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』。この記事「REVIEW THE STARLiGHT」は、二層展開式と銘打った内の「ミュージカル」に焦点を当てて感想を綴っていくものだ。

 

私は、初演を見た時に自分の中で生まれた「心の昂り」が忘れられない。もう一度、あの空間と時間を「体感」したい。確固たる己を持つ9人の少女たちの「輝き」にもう一度触れたい。再演である「revival」が決まった時には、迷うことは無かった。本稿は、私が参加した初演/再演含めた「-The LIVE- #1」の感想を書き留めておく記事である。

(※ネタバレ含む)

 

 

レヴュースタァライトとの出逢い-観劇の動機-

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sp.bushiroad.com

 

私が、本作を知るきっかけになったのが、『ミルキィホームズブシロード10周年&スクフェス4周年記念ライブ in横浜アリーナ』。とあるアーティストのライブを見るために参加したライブイベントにて本作が始動することが告知された。

 

「ミュージカル✕アニメーションで紡ぐ、二層展開式少女歌劇」。私は、伊波杏樹さんや神田沙也加さんがきっかけでこの数年程舞台に好んで足を運んでいたこともあり、「『舞台』を題材にしたアニメ」であること、そして、その「声優による生の『舞台』」も行われるという舞台を軸とした「二層展開」に興味を惹かれた。

 

また、同イベント内で行われたキャスト発表。三森すずこさん、伊藤彩沙さん、相羽あいなさん等知っているキャストの名前が多数。中でも三森すずこさんは、私が愛するμ's(『ラブライブ!』)の一人で、富田麻帆さんは、私が好きな「Wing of Destiny」(『ギャラクシーエンジェル2』)を歌うアーティストであり、そうした「魅力的なキャスト」も興味を惹かれたポイントだ。

 

そして、私が本作を見に行く決定打となったのが、本作の演出が「児玉明子」さんだったこと。児玉さんは、私が観劇したライブ・スペクタクル『NARUTO -ナルト-』、そして、舞台『FAIRY TAIL』で演出を務めており、中でも『NARUTO -ナルト-』は初めて見た2.5次元舞台で「こんな世界もあったのか」とセンセーショナルに2.5次元舞台の素晴らしさを教えてもらった作品でもある。

 

「『舞台』を軸とした二層展開式の作品」、「魅力的なキャスト」、「児玉明子による演出」。以上が、私が本作を観劇しようと思った動機である。

 

舞台少女たちが織りなすドラマの面白さ-夢を持つ9人の輝きへの物語-

まず、第一に私が伝えたいレヴュースタァライトの魅力が、「ドラマが面白い」という所である。

 

私が作品を見る上で一番大事にしているのがドラマの面白さ。それは、物語における「心臓」といってもいいかもしれない。そこに流れる役者たちの「血」があって初めて最高の舞台になると私は考えている。

 

私に刺さったのが、トップスタァを目指して1つの輝きを奪い合う少女たちが、「9人全員で輝きたい」と誓うようになるまでの熱いストーリー展開である。

 

STORY

舞台少女たちの学び舎・聖翔音楽学園。

俳優育成科2年A組の愛城華恋、天堂真矢、星見純那、露崎まひる、西條クロディーヌ、大場なな、石動双葉、花柳香子は、厳しくも愛情溢れる教師たちに導かれながら、舞台女優になることを夢見て日々切磋琢磨していた。

そんな平和な学園生活を一変させたのが、英国帰りの転校生・神楽ひかり。

彼女の出現を機に突如学園で開催されるオーディションは、

トップスタァになれるというたった一人の勝者の座をかけ、己の夢をかけて戦うバトルロイヤルだった……。

トップスタァの証・ポジションゼロをめぐり、互いの情熱と情熱をぶつけ合いながら熾烈な戦いに身を投じていく舞台少女たち。

そして、ライトに照らされたステージで戦う彼女たちを見つめる者とは一体――。

Show Must GO ON! 動き出したら止まらない、舞台少女たちの本気が爆発する!

『少女☆歌劇 レヴュースタァライト -The LIVE- #1 revival』パンフレット

 

まず、本作における主人公は「舞台少女」と呼ばれ、トップスタァになるべく学園に集った9人の少女たちである。彼女たちのバックボーンは様々で、かつて見た「レヴュー(舞台)」に憧れる者や、大切な人と一緒に舞台に立ちたいと願う者、スタァになることが自分の運命だと感じている者、日本舞踊の名家出身の者など。

 

ただし、彼女たちの殆どに共通しているのが、それぞれに「夢」を持っており、その夢を叶えるために唯一の座である「トップスタァ」を目指しているということ。

 

彼女たちは、学園にて突如開催された1対1のバトルロワイヤル形式の「オーディション」にて、同じクラスの者同士や昔からの同門の者同士であってもお互いに競い傷つけ輝きを奪い合う。たった一つだけの輝きを掴むために。

 

お互いの夢や信念に従って戦う舞台少女たちの姿は見ていて「格好良く」もあり、その為には友情すら犠牲にして頂点に上り詰めて行かんとする姿は「儚く」もある。

 

ただし、そこに一石を投じたのが本作のメインヒロインと言ってもいい「愛城華恋」だ。彼女は、普段は前向きで明るい性格ながら朝起きるのが苦手という言ってしまえば”冴えないヒロイン”。だが、彼女が一度舞台に立てば、自分の一途な信念に従って「仲間」のために情熱を燃やすことができる”最強のヒロイン”になるのだ。

 

たったひとりがきらめくこと…
本当にそれが大事なのかな?
私は9人で輝きたいよ!

愛城華恋(小山百代)

 

舞台少女たちは彼女の言葉に呼応するように、ひとりひとりが順番に立ち上がり「輝きを奪い合うこと」をやめ「9人で輝きたい」と誓うようになる。(ここのクライマックスのシーンがとにかく熱いので劇場に足を運ぶなり映像媒体を購入するなりしてご自身の目で見ていただきたい。)

 

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news.nicovideo.jp

 

ここまでが-The LIVE- #1で描かれたストーリーだ。言葉では伝えられることに限りがあるのだが、とにかくそれぞれが夢を抱えた少女たちが本気でぶつかり合いながらみんなで輝くことを選ぶストーリーには「純粋な熱さ」があり、それは「王道」と言ってもいいかもしれない。

 

ただし王道と言えどそれが陳腐には成らないのは舞台ならではの幾つかの「仕掛け」があるのだが、それらは次章以降で触れていきたいと思う。

 

外連味が効いた舞台演出-児玉明子が手掛ける2.5次元舞台-

舞台を見ていて目を見張るのが9人の少女たちの舞台上での振る舞い。日常シーンでは生徒会長キャラクターや気弱キャラクターなど親しみやすいキャラクターたちなのだが、一度舞台に上がれば「戦う舞台少女たち」。その姿が、とにかく「格好良い」のだ。

 

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www.animatetimes.com

 

その舞台少女たちが違和感なく格好よく見えるのは、言わずもがな役者たちの頑張りと地道な稽古がひとつ物を言っているからであろう。

 

そして、レヴュースタァライトにおいてとりわけ格好良い舞台を作れているのは、児玉明子が手掛ける外連味の効いた舞台演出。これが効いていると私は感じた。レヴュースタァライトの外連味のある舞台演出は、観客が「アトラクション」的な興奮を味わえること、そして、アニメ作品の「ファンタジー部分を再現」する事にも寄与している。

 

私が見た児玉さんの『NARUTO -ナルト-』、『FAIRY TAIL』でも印象的だったのが、「デジタル技術を活かした舞台装置」である。舞台やスクリーンに投影するプロジェクションマッピング技術は、本作でもウリの一つだろう。

 

その他にも「照明」、「音楽」、「演技」に至るまで派手な演出が効いており、これによって観客が静的に観劇するのではなく、まるでアトラクションに乗ったような形で舞台を「体感」して「臨場感に溢れた興奮」を味わえるのだと思った。「舞台は生に限る」。本作において、それに説得力を加えている重要な要素が、児玉明子が手掛ける外連味の効いた舞台演出であろう。

 

また、その外連味が効いた舞台演出は、2次元作品を3次元のものとして違和感なく成り立たせていることにも当然ながら寄与している。本作では「殺陣」のシーンにて役者の前に半透明なスクリーンが表れるのだが、そこに2次元的な「舞台少女の変身」や「剣戟による火花」といった派手なファンタジー演出を映し出すことにより、2次元な要素を3次元に巧くミックスさせている。これにより、観客はあたかも「2次元の世界に飛び込んだような」、あるいは、「2次元の世界が3次元に顕出したかのような」体験が得られるのだろう。

 

以上、児玉明子が一つ得意とする外連味が効いた2.5次元的舞台演出が本作を見て感じた、違和感なく舞台少女たちが格好良く振る舞える理由であり、王道展開の熱いストーリーが陳腐にならない理由のひとつだろう。

 

観客参加型舞台-動的な体験-

本作は、観客が静的に観劇するのではなく、「動的に参加」して「体験」できる舞台であると強く感じた。その参加体験があるか無いかで、「作品の世界への没入具合」は大きく変わってくるのであろう。

 

まず、観客は舞台上に立つ舞台少女たちと同じ「生徒」として演劇に参加することになる。我々は、舞台少女たちが在籍する「俳優育成科」の生徒たちが立つ舞台を裏方から支える「舞台創造科」の生徒である。

 

その事実が、舞台上に立つ2年A組の教師の口から告げられ舞台少女たちの目が我々に向けられる瞬間があるのだが、ここで自分たちも舞台を形作る一端を担う存在だということに気付かされる。すると、どうであろうか。目の前の舞台が舞台越しの別の世界のお話ではなく、自分たちがいる世界の出来事のように物語を見る事ができるようになる。

 

そして更に極めつけが、本作のウリの一つでもある二部の「ライブパート」である。一部の舞台で見た舞台少女たちの歌を、二部では我々がペンライトを振りながら一緒に盛り上がる事が出来るのだが、物語を見終えた時点からシームレスにライブに参加する事が出来るためかつて無い程の体験を味わえることになる。もちろん、観客からのコールがあり、舞台少女たちからの煽りもあるので、一部でもあった「俳優育成科」と「舞台創造科」という関係性が二部では更に深まることになるのだ。

 

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舞台少女たちの、再演への並々ならぬ想い!「少女☆歌劇 レヴュースタァライト ―The LIVE―」#1 revival | ニコニコニュース

 

以上が、本作が観客参加型の舞台であり、それにより我々観客が作品に没入してかつてない体験を味わえることができるレヴュースタァライトの魅力である。これもやはり数ある2.5次元舞台や、声優、アニメ関連イベントの中でもありきたりなコンテンツにならないための仕掛けになるのだろう。

 

斬新な設定と王道設定-レヴュースタァライト世界におけるルール-

作品を差別化するためのひとつの方法が斬新な設定を用いること。レヴュースタァライトにおいても、「面白い」と思わせるような設定が随所に散りばめられており、それが見る者を「飽きさせない工夫」に繋がっているのだろう。

 

まず、面白い設定だと感じたのが、オーディションのルールである。先程も少し触れたオーディションだが、これは主人公たち舞台少女が在籍する聖翔音楽学園にて、突如執り行われるようになった「バトルロワイヤル」である。

 

このバトルロワイヤルでは、少女たちが1対1で「演じること」で戦い、相手を倒すことで勝敗が決するのだが、その戦い方が斬新で、まずそれを説明するためには彼女たちが戦う舞台には「テーマ」が課せられることを知っておく必要がある。

 

テーマは毎回異なり、「激昂」「傲慢」「絶望」「迷宮」「孤独」「嫉妬」など様々。舞台少女たちは、そのテーマに沿って、その場で1対1でお互いに演じ合っていくことになる。

 

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『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』舞台公演のレポートが到着! 謎のオーディション主催者「キリン」の声で津田健次郎さんが出演 | アニメイトタイムズ

 

勝敗は、舞台上でいかにテーマに沿った表現を出来たかによるのだが、彼女たちがテーマ通りに演じると与えられるのが「武器」。

 

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舞台少女たちの、再演への並々ならぬ想い!「少女☆歌劇 レヴュースタァライト ―The LIVE―」#1 revival | ニコニコニュース

 

武器の種類は様々で剣や斧、弓など様々。この武器を用いて剣戟を繰り広げる。そしてその剣戟の結果、相手を倒した者が勝者となるのだ。このように、テーマに沿って「演じること」で武器を手にし、勝敗を決するのが斬新なルールだと私は感じた。

 

また、面白いのが、この「武器」を手にする時の方法である。先程少女たちがテーマに沿って演じると武器を手にすることができると言ったが、その武器を与えるのが何を隠そう「舞台」そのものなのだ。

 

レヴュースタァライトにおいては「舞台」は「生きている」と表現してもいいかもしれない。舞台は、少女たちの「想い」や「演技」に呼応して「変化」していくのだ。舞台少女の気持ちが変われば舞台は彼女たちを受け入れてスポットライトを彼女たちに当てるし、心の底からテーマに沿った気持ちで演じられれば舞台は少女たちに武器を与えることになる。その設定が特にレヴュースタァライトにおいて斬新だと感じた。

 

そして、斬新な設定だけに留まらず、純粋に「物語の引き」の部分を楽しめるような王道的な設定もある。

 

ひとつは表面的には明るいキャラクターたちが抱える「暗い部分」。「周りからの期待」「輝けない自分」「過去の舞台に囚われている」など。これらが今後明かされていくであろうストーリーとして楽しみな「引き」の部分であり、舞台少女たちにより「人間味」を付与している要素でもあると言えよう。

 

もうひとつは、レヴュースタァライトには「黒幕」がいること。実は、9人が突如繰り広げることになったバトルロワイヤルを仕組んだのはその黒幕であり、まだ名前と声とシルエットしか明かされていないのだが、それが「キリン」なる人物である。彼が教師たちを動かし、舞台少女たちを互いに戦わせていたのだ。

 

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『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』舞台公演のレポートが到着! 謎のオーディション主催者「キリン」の声で津田健次郎さんが出演 | アニメイトタイムズ

 

#1のラストには舞台少女たちが手を取り力を合わせて「みんなで輝く」ことを選ぶのだが、黒幕はこれを否定して「コロス」という刺客を差し向ける。コロスと激しい殺陣を繰り広げた舞台少女たちは勝利。黒幕が作り上げたオーディションのシステムに叛逆した愛城華恋たちは、彼女たちを受け入れない黒幕の存在と戦っていくことになるのであろう。黒幕は王道の熱い作品には欠かせない存在である。

 

以上が、レヴュースタァライトにおいてとりわけ斬新で面白いと感じた設定や、熱いストーリーには欠かせない王道的な設定である。これらも観客が見て興味を惹かれ続けるポイントになるだろう。

 

魅力的なキャスト陣-様々なフィールドで培った個性-

長い息のあるいは人気のコンテンツにおいて特に重要になって来るのがキャスト陣の魅力度であろう。レヴュースタァライトに関しても、9人全員が魅力的で個性豊かなメンバーが揃っている事から、作品自体の魅力度を高めることに一役買っている。様々なフィールドで活躍してきた各々の経験を活かして臨む役者たちの姿は、多様性に溢れていて見ているだけで楽しいものだ。

 

また、ミュージカル女優のプリンシパルを目指した三森すずこは、エリートである役柄もあってバレエ的なアクションが多く付けられている。舞台経験豊富な富田麻帆は演じる天堂真矢にふさわしく、一挙手一投足一歌唱の切れ味が素晴らしい。舞台経験は少ない伊藤彩沙だが、その通りのよい声&歌声はさすが声優とうならされたし、三森に憧れを抱いて声優の世界に足を踏み入れた佐藤日向は、最年少ながら豊富な経験に裏付けされた歌・ダンス・演技で総合力の高さを見せた。三森と対となる小山百代は歌声が高音域に進むにしたがって、まさにまばゆいばかりの輝きを感じさせた。岩田陽葵も、小泉萌香も、相羽あいなも、生田輝も、それぞれがそれぞれの経験を生かしてキャラクターに息吹を与えており、キャラクターと演者どちらの個性と血潮が感じられる舞台であった。

www.lisani.jp

 

キャスト個々のバックボーンや細かいキャラクターなどについては勉強不足で恐縮だが、メディア出演してる様子や各種インタビュー、舞台のアフタートークの限られた場面を見ていても個々人の個性の強さについては感じられたので、これから彼女たちの人となりを知っていくのが楽しみである。

 

 

舞台に彩りを添える音楽-実力派の楽曲制作陣-

面白いドラマにキャスト陣の血が注がれ、そこに更に彩りを加えるのが音楽。レヴュースタァライトでも楽曲の素晴らしさには目を見張るものがあるのだが、制作陣を見ると実力派揃いなので納得感が強い。

 

特に舞台で一番盛り上がる場面、「舞台少女たちが織りなすドラマの面白さ-夢を持つ9人の輝きへの物語-」の章でも述べた舞台少女たちの心が一つになるクライマックスの場面で流れる「Star Divine」という楽曲が至高である。「王道に格好良い曲」なのだが、外連味たっぷりの舞台には本当にこの曲がよく似合う。歌詞も物語に寄り添っている為、舞台中に聞いては深く感情に働きかけ、舞台が終わってから聞いても心に灯るものがある。「切っ先に栄光止まれ」というサビの最後の歌詞のところでキャストの振付が歌詞とシンクロするのも注目だ。

 

「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」1stシングルCD「プロローグ -Star Divine-」

「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」1stシングルCD「プロローグ -Star Divine-」

 

 

また、「Star Divine」が収録されている同CDに収録されている「舞台少女心得」も良い。こちらはA面の「Star Divine」に反してポップな曲調なのだが、等身大の舞台少女という目線で歌詞が描かれていのが面白い。格好良い楽曲だけでなくレヴュースタァライトの日常面の明るさを表現したようなポップな楽曲が脇を固めていると、よりライブで楽しめる幅が広がる。「世界は私たちの大きな舞台だから」という歌詞が作品に寄り添いつつ印象に残るキャッチーな歌詞である。

 

この他にも素晴らしい楽曲が沢山あるのだが、レヴュースタァライトには楽曲が多くありそれだけで感想が一杯になってしまうのでこの辺りで割愛させていただくことにする。

 

楽曲制作陣についてだが、作曲・編曲を担当するのが主に音楽クリエイター集団の「Arte Refact」(アルテ・リファクト)。私が最高だと述べた「Star Divine」については、本多友紀氏による作曲。『ラブライブ!サンシャイン!!』「Guilty Eyes Fever」 (歌:Guilty Kiss)や『アイドルマスター SideM』 『プリパラ』シリーズの楽曲などを数多く手がけている。

 

「舞台少女心得」の編曲を手掛けた酒井拓也氏は、『ラブライブ!サンシャイン!!』「MIRACLE WAVE」「ハミングフレンド」(歌:Aqours)、『アイドルマスター ミリオンライブ!』『プリパラ』シリーズの編曲を数多く手がけている。

 

また、作詞は全て中村彼方氏が手がけており、少女時代 やでんぱ組.incなどに始まり、「けいおん!」イメージソングの多くや、内田彩「アップルミント」「Like a Bird」など、三森すずこ「Heart Collection」などアニメ・声優アーティストファンにも馴染みが深い楽曲ばかり手がけている人気クリエイターだ。

 

このように実力派の楽曲制作陣が手掛ける楽曲はどれも舞台に彩りを添え、より一層観客の感情に訴えかけることに寄与している。

 

総括

ここまで述べてきた、レヴュースタァライト#1を見て私が感じたことを総括する。

 

まず、本作の核としてあるのは舞台少女たちによって形作られる面白いドラマ。これが心臓となり、キャストの熱演が血となり「舞台」としての地盤が出来上がる。

 

そして、そのドラマを支える仕組みが幾つかある。

 

格好良い舞台少女たちを助力する演出的技巧。これで無理なくかつ外連味たっぷりの観客が「体験」できる舞台が出来上がる。

そしてその体験要素を更に引き上げ観客を舞台の世界に「引き込む」のが舞台側と観客側の境界線を無くすことにも一役買っているライブパート要素。これがあると無いのとでは没入感が大きく関わってくるであろう。

また、観客を飽きさせない斬新な設定と王道的な設定もいい塩梅で盛り込まれている。

そして固定ファンの獲得には欠かせない脇を固める魅力的なキャスト陣。

実力派制作陣による楽曲も舞台に彩りを添えている。

 

以上のように、確かなドラマを軸として、それを支える演出、ライブ、設定、キャスト、楽曲がマッチして「少女☆歌劇 レヴュースタァライト -The LIVE-」という舞台が完成しているのだと。#1を通して私が感じたことだ。

 

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舞台少女たちの、再演への並々ならぬ想い!「少女☆歌劇 レヴュースタァライト ―The LIVE―」#1 revival | ニコニコニュース

 

レヴュースタァライトのこれから-TVアニメとの二層展開式-

これまで二層展開式と銘打った内の1つミュージカルの方に絞って魅力を語ってきた。今後のレヴュースタァライトへの期待として、TVアニメの展開が挙げられる。舞台にて熱く面白かったストーリーをいかにTVアニメで表現出来るか、および映像ならではの表現を交えて最高の作品になってくれたらと祈っている。

 

 

ブシロードの木谷社長も述べているが、TVアニメと舞台が同じキャストということで舞台における声の違和感というものは殆どゼロになると言ってもいい。そして、TVアニメの物語が面白くなることで、声が一致しているのはもちろんのこと、キャラクターとの動きや感情のシンクロといった所も注目していきたい。

 

正直TVアニメでの話は未知であるが、主人公が在籍する「スタァライト九九組」だけに留まらず、他の学年やクラス、学園との接触もあるのではないだろうか。また、学園モノということで自ずと「卒業」が待っているはずだが、それを活かした限られた時間の中での青春ストーリーも密かに期待している。

 

このように想像が止まらなくなるくらいの気になる設定が盛り沢山のレヴュースタァライト。「二層展開式」がアニメの開始によってどのような働きを見せていくのか楽しみなところである。

 

 

キャストたちが気持ちに嘘偽りなく演じた舞台少女たちの物語――

 

私は舞台が大好きなのですが、それは役者やスタッフたちが力を合わせ、頑張って作った舞台から、たくさんの感動とエネルギーを貰えるからです。そしてこの作品は舞台の上で輝くために、悩み苦しみながら戦う、舞台少女たちのお話です。毎日稽古を重ねながら悩み苦しみ、そして実際に舞台の上で一生懸命に演じ、歌い、踊り、戦うキャストたちの姿は、自分たちがそれぞれ演じる役の姿に重なり、更なる大きな感動と元気になれるエネルギーをお客様にお届けできるだろうと信じています。

演出・児玉明子『少女☆歌劇 レヴュースタァライト -The LIVE- #1』パンフレット

 

それはただの舞台女優を目指す者たちの物語ではない。

 

このストーリーは舞台女優を目指す者たちの話しだけではありません。見えないゴール、観客席に熱気に向かって突き進む女たちの人生も描いたものです。人生そのものを裸にされる舞台の上で女優はどう表現してゆくのか……

脚本・三浦香『少女☆歌劇 レヴュースタァライト -The LIVE- #1 revival』パンフレット

  

描き出されるのは輝きに恋い焦がれた少女たちの「人生」そのもの。

 

Show Must GO ON!舞台少女たちの物語の幕は開かれた――