きりんログ

-愛と青春と声豚の記録-

『孤島の水族館からの脱出〜消えた宝物を取り戻せ!〜』の謎解きを終えて”もう1つの謎”が解けたお話

f:id:ayarieshon:20180523230007j:plain

2018年5月21日(月) 21:00

人生でも屈指の最高の一日が終わった。今は達成感と感動で心が満ち満ちている。それと僅かばかり残る寂しさ。それは最高の体験をした事の証明でもあるのだ。

 

これは、とある孤島に訪れて9人の少女達―浦の星女学院のスクールアイドルAqoursのメンバーに出逢い、謎解きを通じて心を通わせた私の”実体験”の書記である。

 

f:id:ayarieshon:20180524001323j:plain

淡島を訪れたあなた。
島を探索していると、困っている少女達に出会う。
彼女達は浦の星女学院のスクールアイドル、
Aqoursのメンバーだった。
「私たち、明日東京でライブに出るんだけど...
衣装とか大事な物を詰め込んだトランクが
なくなってしまったの!代わりに、
こんな手紙が残されていて...」

---------------------------------------------
お前たちのトランクは預かった。
返して欲しければ、謎を解いて隠し場所を見つけ出せ
---------------------------------------------

「私たちには、もう時間がないの...!
夕方には最後の船が出ちゃう...。
それまでに衣装や楽曲を見つけないと、
ライブに出れないんだ...。
お願い、一緒に謎を解いて、トランクを探して!」

さて、あなたはAqoursのメンバーの宝物を見つけ
ライブに送り出してあげることが出来るだろうか?!

孤島の水族館からの脱出 | リアル脱出ゲーム OFFICIAL WEB SITE

 

貴方は、Aqoursと協力をしながら最高の物語を形作った事はあるだろうか。私は迷う事無く『ある』と言える。表題の謎解きを体験済の方ならご理解頂けると思うが、これ程まで彼女たちの存在を身近に感じて、彼女達が過ごして来た場所の息吹を感じられた事は無い。これは「リアル脱出ゲーム」という名前で呼ぶ事すら憚られる「リアルな物語の体験」。そう、これは自分が主人公となり『ラブライブ!サンシャイン!!』の世界を歩き回る事が出来るリアルなアドベンチャー(冒険)なのだ。

 

リアル脱出ゲーム初心者がイメージで語るのは些か乱暴かもしれないが、アニメ作品の脱出ゲームという物はその作品の名前を使っただけに過ぎない「コラボ商品」という意味合いを強く感じていた事がある。誤解を恐れずに言えば、作品の名前を借りただけの「贋作」。しかし、実際に体験してみる事でこのイメージは見当違いであり、ことこの脱出ゲームに関して言えば、アニメ作品と脱出ゲームのどちらが欠けても成り立たないものだという事が分かった。『リアル脱出ゲーム』×『ラブライブ!サンシャイン!!』。正に相乗効果が生まれる「意味のある」掛け合わせとなっている。

 

 f:id:ayarieshon:20180523231933j:plain

 

まず、実際に体験して思った事として「リアル脱出ゲーム」の前に『ラブライブ!サンシャイン!!』があるという大前提がある。何を言っているのかと言えば、この脱出ゲームの核となるのは「Aqoursの物語」。何よりも彼女達の物語が重要なファクターとして本作の中に登場するのだ。しかも取って付けたような謎解き用のストーリーではなく、TVアニメの1期1話~2期13話までの間の「あの時間」の物語。そう、これはTVアニメで描かれていなかった時間を切り取って「形」にした代物なのである。

 

勿論、この新しく描かれた時間の物語は酒井和男氏や花田十輝氏らが手掛けた訳では無いのだが、間違いなくこれまで我々が見てきた物語の線上にあるストーリーだという事が直感で感じ取れると思う。違和感なくストーリーを受け入れる事が出来るのは、やはり制作者の愛に依る所が大きいのだろう。しかも、酒井氏らTVアニメのスタッフらとは違う制作者らによって作られたものであるにも関わらず極上の物語を味わう事が出来たのだから、作品の一ファンとして愛を一身に受けるこの作品への想いが強くならない訳がない。

 

そして、更に「リアル脱出ゲーム」である事が、この『ラブライブ!サンシャイン!!』の物語を一段も二段も高い場所へと運んで行ってくれている。説明の為、一旦「リアル」と「謎解き(脱出ゲーム)」という要素に分けてみる。まずは「リアル」。

 

お願い、一緒に謎を解いて、トランクを探して!

高海千歌

 

プレーヤーは孤島に辿り着いた折、ライブ衣装を何者かに盗まれて困っている少女「高海千歌」に出逢う所から物語は始まるのだが、プレーヤーは「助っ人さん」として彼女達と協力しながら謎を解いて行く事になる。ここで言う助っ人さんとは、いわばこの特別な物語の「主人公」。そう、孤島の水族館からの脱出では自らが「物語の進捗の鍵を握る重要人物」として振る舞う事になるのだ。

 

助っ人さんは、Aqoursのメンバーと一緒に島を探索する事になるのだが、その道中で謎解きに関わる話は勿論の事、その場所場所に纏わる彼女達の「思い出話」も聞かせて貰える事になる*1。TVアニメの1期、2期で描かれていた淡島での重要な物語の数々。その時々を振り返り、あの時はあんなことがあってあんな気持ちになったよね、だから今はこうだよね、というような滅茶苦茶エモーショナルな話をふいにしてくれる。

 

f:id:ayarieshon:20180524022326j:plain

 

そして、彼女達の話を聞く時、その場所毎の環境音まで彼女達の後ろで聞こえたり、逆に波の音や海鳥の鳴き声、吹く風や太陽の暖かさ、海風の匂いなどを肌で感じられるため、「Aqoursが側にいる」「Aqoursが過ごした場所の息吹が感じられる」という様に、五感全てを使って「リアルな体験」として味わう事が出来るのだ。

 

f:id:ayarieshon:20180524023512j:plain

 

そうして彼女達と足並みを揃えて前に進んで行くとふと思う事がある。自分は「Aqoursの10人目のメンバー」であり、彼女達と協力しながら先に進んで行く様は、まるで「みんなで叶える物語」の体現であると。そう、孤島の水族館からの脱出で描かれる物語はAqoursのメンバーが成長して行く過程だけでなく、自らも一緒に成長しながら『ラブライブ!サンシャイン!!』の物語を「リアル」に形作って行く過程でもあるのだ。「ラブライブ!」の「みんなで叶える物語」の究極のリアル体験の形。そのひとつが、この『リアル脱出ゲーム』×『ラブライブ!サンシャイン!!』なのである。

 

そして「謎解き」。孤島の水族館からの脱出では、謎解き要素は単にプレーヤーがゲームとして消化するだけではなく、物語がゴールへと近付いて行く上で「とある重要なきっかけ」として機能してゆく事になる。言ってしまえば、Aqoursメンバーの宝物を見付ける事が冒険の真の目的ではなく、本当に大切な何か=「輝き」を見付ける為の材料として謎解きが活きてくるのだ。それに気付いた時の感動は、リアルな体験だけに物凄いものがあり、真剣に謎に取り組めば取り組む程「本当の輝き」に近付く事が出来るのだ。

 

f:id:ayarieshon:20180524022413j:plain

 

そうして、Aqoursのメンバーと一緒に真実に辿り着くと最後に待ち受けている光景。それを見た時には、全てをやり遂げた達成感と明らかになった真実が与えてくれる感動が胸の底から湧き上がってくる。

 

もう一度言おう。これは『ラブライブ!サンシャイン!!』の「リアルな物語の体験」。身を持ってAqoursとの一日の冒険を記憶に刻めるかけがえのない時間。人生に一度しか体感出来ないライブを見逃せないのと同等の価値が、この『孤島の水族館からの脱出〜消えた宝物を取り戻せ!〜』には眠っていると思うのだ。

 

2018年5月21日(月) 16:00

全ての謎が解けた頃―太陽が島の裏側へと沈みゆく景色を背中に、胸が熱くなる様な冒険の余韻に浸っていた。

 

f:id:ayarieshon:20180524214945j:plain

 

船は進む。島は遠くに流れてゆく。波に揺られ、潮風を浴びながら。少女達と過ごしたひとときの体験は、確かな充足感と僅かな切なさを持って、私の中に永遠に消えないときめきの記憶として残り続けて行くだろう。

 

P.S. 9人の少女達の頭上に栄光と輝きが降り注ぐ事を願わん

 

『孤島の水族館からの脱出〜消えた宝物を取り戻せ!〜』の謎解きを終えて”もう1つの謎”が解けたお話

f:id:ayarieshon:20180524220854j:plain

 

さて、『孤島の水族館からの脱出〜消えた宝物を取り戻せ!〜』を終えて陸側に戻って来るとこの9人のスタンディが出迎えてくれるのだが、彼女達の立ち姿の中にも伏線があった事が謎解きを終えると気づく事になる。これはこれとしてもちろん感動するのだが、私が意図するもう一つの謎の話ではない。

 

明らかになったもう一つの謎。それは、「『君の瞳を巡る冒険』の本当の素晴らしさ」である。勿論、最初に曲を聞いた時は曲の良さ自体には気付いていたのだが、『未来の僕らは知ってるよ』の衝撃が強過ぎた事もあり、その陰に隠れて強い印象を得る事が出来なかったのは事実だ。

 

しかし、この『ラブライブ!サンシャイン!!』のリアル脱出ゲームを終えた後もう一度この曲を聞いてみるとどうだろう。曲を通して「最高の体験の記憶」が呼び起こされるでは無いか。そして、歌詞の一つ一つが「確かな意味」を持って聞こえてくる。『君の瞳を巡る冒険』の真実。それは、このAqours(仲間)と紡いだ大冒険を体験して初めて知る事が出来る「キセキ」を音楽という形にして閉じ込めた「宝物」の事では無いだろうか。

 

助っ人さんとして彼女達の唄を聞き届けられる最高の夏を待ち侘びながら、明日もまた瞳の虹彩に彼女達の軌跡を映し出してゆくのだ。(完)

 

f:id:ayarieshon:20180524223459j:plain

*1:専用の音声アプリを通じて、Aqoursメンバーの声を聞く事が出来る。