【ラブライブ!サンシャイン!!2期】#13「私たちの輝き」感想ひとりごと~君だけの色で輝く物語~
はじめに
皆様、はじめましての方ははじめまして。いつも読んで頂けている方は本当にありがとうございます。「きりん」と申します。
突然の私事から始まり恐縮ですが、2015年7月19日に始めた『きりんログ』は、今回の記事で掲載数が「100」を突破いたしました。
正直、ブログを始めた当初はこんな未来が訪れるとは夢にも思いませんでした。小学生の頃は、原稿用紙1枚を埋めるのもやっとの私でしたから。
そんな私がブログを始めようと思った最初のきっかけは、自分が受け取った輝きを残しておきたい、拡めたいと思わせてくれた『ラブライブ!』です。
最初に書いたのは、『ラブライブ!The School Idol Movie』の感想記事。大好きなμ'sが最後に出してくれた最高の答えには涙しましたし、興奮しましたし、救われたような不思議な気持ちになりました。そして、自然と動く筆。今思えば、これが私自身の「輝きたい!!」という最初の気持ちだったのかもしれません。
そして今私は、『ラブライブ!サンシャイン!!』の記事を書き続けてきました。G'sマガジンのことや、歌のこと、ライブのこと、沼津のこと。TVアニメに至っては、1期1話から今回の2期13話に至るまで1話も漏らさずに書いてきました。
毎話1万字以上の感想を書いてきて、読んで頂ける人には負担になっていたかもしれず恐縮ではありますが、どうしても今感じた全ての想いを未来に残しておきたいという気持ちが私の中に強くあったので、このような台詞とシーンをひとつひとつ拾っていく形となりました。
今こうして感想を書き続けて来られたのは、『ラブライブ!』があったから、『ラブライブ!サンシャイン!!』があったから。μ'sがいて、Aqoursがいたから。そして、ひとえに自分が書いた感想を読みましたという声を頂けたり、読んだ感想を届けてくれた皆様の声があってのことだと強く感じております。
これまで何も取り柄がなく、真剣になれるものなかった自分が見つけたもの。それこそが、私にとって『ラブライブ!』であり、『ラブライブ!サンシャイン!!』でした。そして、「みんな」から声を貰って、駆け抜けて来た「軌跡」。それこそが、私が見つけた自分だけの「輝き」なのだと。
記事が100を突破したこと、そして、2期13話でAqoursが最後に出してくれた最高の答えを聞いた時に、あらためてそのように思うことができました。
さて、私事が長くなりましたが、私は以前G'sマガジンに掲載されていた誌上企画を読んだ時に、作品への期待を込めて次のような記事を書きました。
彼女たちがスクールアイドルをする目的。それは、「自分たちがいた証を残す」こと。
廃校は決定しており、それは覆せない。しかし、たとえ自分たちがいた学校が無くなったとしても、そこに確かに自分たちがいたこと、そこが大切な仲間たちといた場所であったことの証を残したい―。
それこそが、千歌ら9人の少女たちがスクールアイドル活動をする本当の目的であり、ラブライブ!サンシャイン!!が描き出したい新しい青春の物語なのではないだろうか。
きっかけは誰か(μ's)への憧れからでも、自分たちが本当に望む夢―輝くスクールアイドルになって自分たちがいた証を残すこと―に向かって全力で走り出す青春の物語。
新たなスクールアイドルプロジェクト-みんなで叶える物語-のはじまりである。
Aqoursは見事に、自分たちがいたこと、大切な仲間たちといた場所を証としてラブライブ!の舞台に、歴史に刻む姿を、最高の物語として見せてくれました。自分が大好きな作品の最後に、Aqoursが輝き切る姿を見られたこと。嬉しすぎて涙が止まりませんでした。
そして、更に自分が『ラブライブ!サンシャイン!!』の2期を見始めた時に期待し始めたもう1つのこと。
『ラブライブ!サンシャイン!!』に向けた期待として、その「キセキ」や「輝き」に対してどれだけより深く突き詰めて描き出してくれるかが私個人としてはあります。
…
「キセキ」や「輝き」について向き合う少女たちの心の機微が描かれるかもしれないという期待。それがより強くなったのは思えば2期1話の冒頭の千歌の台詞だったのかもしれません。
輝きって、いったいどこから来るんだろう
Aqoursによる「輝き」という本質への探求。それこそが、私が期待していたもう1つのテーマでした。
その期待を胸に抱いていよいよ迎えた2期13話「私たちの輝き」。見ている最中に止まらない涙。見終えた時の感動、興奮、救われたような不思議な気持ちは、私が見た中で1番好きな映画である『ラブライブ!The School Idol Movie』を見終えた時に感じたものと同じものでした。あるいは、それ以上のものが私個人としてはあったかもしれません。
なぜなら、これは「自分の物語」として、千歌たちに、むつたちに自分の姿を重ねて見ていたから。だからこそ、自分には胸が痛くなるほどに刺さりました。そして、本当のラストに私がAqoursから感じ取ったメッセージ。そして、そのメッセージに至るまでの過程、感想をお読み頂けると嬉しく思います。それでは、前置きが長くなりましたが、2期13話「私たちの輝き」の感想を始めていきたいと思います。
Aパート
冒頭から、ラブライブ!の優勝旗が浜に掲げられます。あっさりと優勝したことが伝えられること。やはり、『ラブライブ!』という作品において、優勝した事実は本質を描くための手段でしか無いこと。それを感じたような気がしました。なぜAqoursは優勝したかったのか、彼女たちが優勝した先に輝きはあるのか。本当に描きたいものはそれなのだと。
それでも、やはり「優勝」の事実は、胸に来るものがあります。「やり残したことなどどないと言いたいねいつの日にか」。閉校祭で、そう誓った浦の星女学院の生徒全員の想いが確かな「証」として結実した瞬間なのですから。
それと同時に、「浦の星女学院」の名前はラブライブ!だけでなく、ラブライブ!に魅せられた全ての人、ひいてはその人たちに魅せられる未来の全ての人に残って行くのだと。そう確信できて、安堵できた瞬間でもありました。
あら?千歌少し見ない間に‥太った?
娘の成長を母が感じ取るシーンって見ているだけで心が温かまりますよね。内容はぶっきらぼうでも、時間が開いたからこそ気づいた娘の変化に言葉を紡ぐ千歌の母を見ていると、やっぱり当たり前だけど彼女は千歌の母親なのだとそう思わされました。
そして、すっかり溺愛して「犬を飼う。」までになった梨子。「新しい日常」が訪れたことの象徴でもあります。
高海家の愛犬しいたけにも家族ができました。こちらも「新しい日常」の象徴。生命の誕生は無印から描かれていたものでした。ちなみに12話でしいたけがお留守番してた伏線もここで回収されたことになりますよね。
またか~~!
桜の木の上から堕天降臨する善子。1年前の「春」がリフレインします。桜の木と共に、同じ行動を善子がとったことで、季節が一巡したことが余計に感じられました。
ドタバタな1年生の姿を見て笑い合う3年生たち。これは1年前には無い光景でした。彼女たちは確かに前に進んだ。当たり前の日常だけど、今こうしてみんなで卒業式を迎えられる事実が嬉しくもありました。
どう緊張してる?
まさか…
むしろ誇らしいですわ、この場に立ち会えることが
今は「やり残したことなどない」からこそ「誇らしい」という気持ちを持って卒業・閉校式を迎えられるのでしょう。彼女たちにとって、素敵な思い出をくれた浦の星は「誇り」なのです。もしも、彼女たちが廃校が決定した時にスクールアイドルを辞めてしまっていたら、彼女たちは否定的な気分で卒業式を迎えていたのではないでしょうか。
ここ、こんなに広かったんだ
今は持ち込んだ衣装や物が無くなって広くなった部室。「スクールアイドルへの想い」で埋め尽くされていたからこそ、余計に今は広く感じて見えるのでしょう。そして、何も無くなった教室は、「旅立ち」を物語っているよう。
全部無くなっちゃったね…
そんなことない…
ずっと残っていくこれからも
かつて、「旅立ち」から「思い出はポケットのなか」と『HAPPY PARTY TRAIN』にて歌ったことが思い出されます。また、その言葉を果南が言うからこそ、余計に胸に来るものがありました。
「一番真面目に、一番私たちらしく」。確かにAqoursらしく「自由」な締めくくり方です。
ダイヤちゃん!
寄せ書きなんだって、最後にみんなでって!
浦の星女学院への感謝の思いを、学校のみんなが校舎への「寄せ書き」という形で表します。この時ばかりは、浦の星女学院はただの学校ではなく、ひとりの人間のように思えました。広い捉え方をするならば、浦の星女学院はAqoursの10人目のメンバーだったと表現してもいいかもしれません。
これから式だというのに
こんなに汚れてしまってどうするんですの
でも昔からこういう感じじゃん
私たちもこの学校も
Aqoursらしさが出来上がったのも、この浦の星があってのことだと。果南の言葉から、あらためてそう感じました。
なんかこうやってみると
色んなことがあったなって思い出すよね
練習したり、みんなでふざけたり
校舎に寄せ書きをして学校とあらためて向き合ったことで、色んな思い出が蘇ってきました。スクールアイドルとして練習したこと、みんなでふざけあったこと。
ダメだよルビィちゃん
最後まで泣かないって
約束したんだから
ルビィはふいに悲しみが襲って来て涙を流してしまいました。それに続くようにどこか悲しい表情をするメンバーたち。その描写がとてもリアルに映りました。楽しい中でもふと最期だということを思い出した瞬間に悲しみが襲って来るんですよね。
言葉で「泣かない」と言っても、寂しいものは寂しいのです。だって、大好きなお姉ちゃん、鞠莉、果南が卒業し、ずっと思い出を作ってきたこの学校も無くなってしまうのですから。悲しくないという方が嘘です。
だね!明るく一番の笑顔で
千歌は悲しい表情を浮かべながらも、今を受け入れて門出を明るく迎えようと言います。そう言うことができたのも、千歌が最後までやり遂げようと一度誓ったから。
なんかね、ラブライブが終わるまでは…決勝で結果が出るまでは、そこから先の事は考えちゃいけない気がするんだ…
それが、学校の皆と、卒業する鞠莉ちゃん、果南ちゃん、ダイヤさんに対する礼儀だと思う
かつてそう語った千歌たちだからこそ、最後の最後まで笑顔でいようと言うことができたのだと思いました。
遂に、その時がやって来ました。3年生の卒業式。
なんか変だね、鞠莉から貰うなんて
一生の宝物だよ。大切にね
卒業生から卒業生に渡される卒業証書。確かに不思議な光景です。そして、今は卒業する時なのに、鞠莉も果南もダイヤもみんな笑顔。やはり彼女たちは誇らしい気持ちで式に臨んでいるのです。
今日この日、浦の星女学院はその長い歴史に幕を閉じる事になりました
でも、私達の心にこの学校の景色はずっと残っていきます
それを胸に新たな道を歩める事を、浦の星女学院の生徒であった事を誇りに思います
只今をもって、浦の星女学院を
閉校します!
生徒会長であるダイヤの口から浦の星女学院の「閉校」の二文字が告げられました。ただし、悲しみの別れではなく、浦女は自分たちの心の中にも残っていくし、それを胸に新たな道を進めることが誇らしいと。
それは、決して過ぎ去って行く「過去」ではなく、これから来たる「未来」に向かって歩きだそうという誓いに他なりません。彼女たち浦の星女学院の生徒たちは、12話までに描かれていたように「未来」へと向かう決意をしたのでした。
そして――
私達はやったんだ!
ラブライブで!
優勝したんだ!!
Aqoursの言葉で語られる「優勝」の二文字。明るく大きな声で高らかに叫ぶ千歌たちの姿が輝いて見えました。
アキバドームの舞台で歌われる『青空Jumping Heart』。今『WATER BLUE NEW WORLD』と合わさって、『未来の僕らは知ってるよ』で登場する「空」と「海」の両方が決勝の舞台で歌われたことになります。
『青空Jumping Heart』は、μ'sの時のように観客からのアンコールが巻き起こって歌われたのでしょうか。彼女たちが歌っている時に舞い落ちて来ていた銀テープ。それは、Aqoursが優勝した時に舞い落ちて来たものなのかもしれません。
Aqoursの全員が万感の思いで見つめる先には――
「WINNER Aqours」の文字が。確かに彼女たちは優勝したのだと。優勝旗、優勝したという言葉、そしてAqours優勝の瞬間。その全てが揃った時、かつてない程の感動に包まれました。
さて、そろそろ時間ですわよ
まだ誰も帰ろうとしてない
ふふ、放っといたら明日でも明後日でも残ってそう
完全に籠城ずら
そしたら、また学校を続けて良いって言われるかも
そんな事になったら皆びっくりだよ
だね
ちゃんと終わらせよう。皆でそう決めたんだから
卒業式が終わってもなお学校のみんなは帰ろうとしませんが、その光景がとてもリアルに映りました。確かに、卒業の時は新しい門出の時と言っても、名残惜しい気持ち、あるいは、ずっと学校で楽しいことをし続けていたいという気持ちがあったように思います。
千歌たちは、その光景を見て冗談交じりで学校が続くかもという話をしていますが、全てをやり遂げたからこそ今はそんな話が出来るのでしょう。
ただ、善子はひとり物思いに耽っています。
ちゃんと終わらせよう。確かに言葉では分かっているのですが、先程のふいに涙を流してしまったルビィみたいに、やはり心の中には寂しい気持ちもあるのです。
旅立とうという気持ちとまだ居続けたいという気持ち。それは、Aqoursがまるでひとりの人であるかのように、相反する気持ちを持ち合わせているようにも見えました。善子だから葛藤を持っている訳ではなく、一人の人間として相反する両極の気持ちを持っていることを、気持ちが割れるAqoursの姿を通して描いているように思いました。
学校のみんなが書いてくれた『WATER BLUE NEW WORLD』の衣装で歌うAqoursの黒板絵。
2017年12月31日 撮影者:きりん
それは、つじ写真館(@tujiphotostudio)さんが協力して描いてくれたAqours。
最終話の黒板アートについて、
— つじ写真館´(●●)` (@tujiphotostudio) 2017年12月31日
こちらは黒板担当の私個人として、書かせてもらいました。
たびたびの長文申し訳ありません💦
本当に、ありがとうございました!#lovelive_sunshine pic.twitter.com/uVBSza2zt1
劇中の「学校のみんな」だけに留まらず、Aqoursの輝きを受け取った「私たちみんな」の気持ちが篭っているようで。
みんなで思い出しながら描いたんだよ!
あの時私たちから見えていた千歌たち
輝いてたな本当…目が開かないくらい!
そう思えたからこそ、むつたちが語る言葉が他人事ではなく私たち自身の言葉のように聞こえて、この台詞を聞いた瞬間は涙が止まりませんでした。
私達にも見えてたよ、輝いてる皆が…
会場いっぱいに広がる、皆の光が!
畳み掛けるように涙が溢れ出て来ます。なぜなら、輝きを目にしていたのは私たちだけではなく、彼女たちの姿を応援している私たち自身も輝いてると言ってくれたのですから。それは、彼女たちを信じて応援して来た私たちを肯定してくれたような、この上なく嬉しい言葉でした。
そして、Aqoursが探し求めていた「輝き」は、Aqoursを応援する「みんな」であり、Aqours自身が輝こうとした時に初めて見つかるものであると。とてつもないカタルシスを覚えました。確かに、この後の話で「輝き」は別のものだと語られますが、ここで言われているように「輝くAqoursを応援するみんな」もまた「輝き」であると。私は信じたいと思っています。
じゃあ全部輝いてたんだ!
うん、そうだよ!全部輝いてた!
とてつもなく大きな輝きの正体。それは、Aqoursと、Aqoursの輝きに魅せられたみんなの輝きが合わさった「ひとつの光」でした。「みんな一緒に輝こう!!」「ヒカリになろう」。それは、かつて彼女たちが言ったこと、歌ったこと。あらためて決勝の舞台でみんなで一緒に輝いた時、とてつもなく大きな輝きがそこには生まれたのでした。
じゃあ閉じるよ…
想いを確かめあった2年生は、教室の扉を閉め別れを告げるのでした。
ルビィ達も新しい学校に行くんだよね…
ちょっと怖いずら…
ルビィだって…でも、花丸ちゃん達とスクールアイドルやって来れたんだもん。大丈夫かな!
今はスクールアイドルを花丸たちと最後までやり遂げたからこそ、ルビィは「未来」に向かうことができます。「今は大好きなみんなと歌えることが一番嬉しい!」。12話でそう語り、「同時にやっぱりどうなるか分からない明日の方がちょっぴり楽しみでもあって」と11話で語った、全力で駆け抜けて来て成長したルビィだからこそ言える台詞だと思うと、親心を感じて涙してしまいました。
一緒に閉めよう?
嫌よ!
一緒に閉めるズラ
嫌だってば!
一緒に閉めるズラ!
お願いだから…
学校の屋上にいた時から別れの寂しさを表情で物語っていた善子。彼女たちが思い出を紡いで来た教室と別れようとした時も、善子は拒否の姿勢を示しました。彼女はやはり別れが寂しくて扉を閉めるのが嫌なのです。扉を閉めてしまうと二度とこの教室とも会うことができないから。
そんな善子に珍しく語調を荒げて言葉を放ったのは花丸。彼女自身の本心も寂しい気持ちでいっぱいで、強い言葉で、強い気持ちを持たないと別れられないと知っていたからこそ彼女は語調を荒げたのでしょう。最後は懇願するように言葉を紡ぎます。
分かったわよ…
ごめんね…
いいわよ別に…
今までマルたちを守ってくれてありがとう
ありがとね…
バイバイ…
「ありがとう」。それは、沢山の思い出をくれた教室、学校への感謝の気持ち。その言葉を見ると、やはり浦の星女学院はひとりの人間であるかのように思えてくるのです。
私ね、ずーっと言っておきたい事があったんだ
ん?
実は、梨子ちゃんの事が…
だーーーーーー…
ーーい好き!
私も
「友情ヨーソロー」完結編といったところでしょうか。曜が梨子に本当の思いを直接言葉で伝えたところで、千歌を含めた3人が本当に心の底から1ミリの後腐れなく笑い合える関係性になったのだと思います。
みんなと一緒に過ごせて本当に楽しかった!
うん、楽しかった!
彼女たちも、Aqoursの音楽を作る場所にもなった音楽室と別れを告げます。ルビィが言ったように、みんなと一緒に過ごせて本当に楽しかった。「楽しかった」と過去形に変わった時、「みんなで叶える物語」が「みんなで叶えた物語」に変わった瞬間にも思えました。
鞠莉さん
卒業証書、感謝状。小原鞠莉殿
右の者は生徒でありながら本校の為に理事長として
尽力してきた事をここに証明し、感謝と共に表彰します
「浦の星女学院全校生徒一同」からの感謝状。11話のキャンプファイヤーのシーンで鞠莉は浦の星を守れなくて、浦の星の生徒だったみんなに謝るというシーンがありましたが、みんな鞠莉を咎める訳はなく、むしろ自分たちが大好きな学校のために尽力してきてくれた鞠莉に対して感謝の気持ちを抱いていたのでした。
それが、直接鞠莉に言葉で伝えられたこと。どれだけ彼女の重荷が無くなったかは想像するに難くありません。
受け取って鞠莉
鞠莉は感謝状を受け取ろうとしません。だって、感謝状を受け取ってしまったら、そこで全てが終わってしまうから。その気持ちは、善子が扉を閉めたくなかった気持ちと同じだと思っています。
そんな鞠莉に対して、果南たちは言葉を紡いでくれます。
大丈夫、空はちゃんと繋がってる。どんなに離れて、見えなくなっても
いつかまた一緒になれる
ありがとう…
それは、10話でも12話でも確かめ合ったこと。別々の場所に旅立っても、空は繋がっていて、3人の気持ちは繋がっているから大丈夫だと。また、一緒になれるからと。その言葉を受け取った鞠莉は、あらためて感謝状を受け取ることができたのでした。
さよなら…
鞠莉たち3年生も、3人の想いが沢山詰まった生徒会室との別れを告げます。
最後はここ…
最後は、Aqoursにとっての始まりの場所、Aqoursにとってスクールアイドルとして沢山の思い出を作って来た場所。スクールアイドル部の部室。
ここがあったから
皆で頑張って来られた
ここがあったから、前を向けた
毎日の練習も
楽しい衣装作りも
腰が痛くても
難しいダンスも
不安や緊張も全部受け止めてくれた
帰って来られる場がここにあったから
ありがとう!
今沢山の感謝の気持ちを伝えて大切な場所だった部室とも別れを告げます。「スクールアイドル陪」の札は取って胸に抱き抱えて。きっと千歌は統廃合後の学校でスクールアイドルを始めるとなってもこの札を使い続けるのでしょう。いつだって、気持ちは浦の星のスクールアイドル部の部室と共に。
笑顔の少女たち。誇り高き学び舎へと感謝の眼差しを向けて。
そして今訪れる、浦の星女学院との訣別の時――
千歌ちゃん
千歌
舞い落ちる桜の吹雪。笑顔で訣別しようとしていたのに。それぞれが教室や部室に別れを告げて、ひとつづつ扉を閉めて来たのに。一番大きな最後の別れの扉を閉める時に、ふっと湧き上がってくる寂しさの感情。
浦の星の思い出は…
笑顔の思い出にするんだ…
それは堪え切れるものではありません。別れは等しく寂しいもの。
泣くもんか…泣いてたまるか…
感情に抗いきれない想い。そう強く思えば思うほど別れは辛く悲しくなります。彼女たちの姿を見ていて、涙が延々と流れ、それが留まることはありませんでした。
千歌ちゃん…一緒に
閉じよう
閉められる門扉。沈みゆく夕日。今、内浦の浜辺にある小さな学校――でも世界中どこを探しても見つからないくらいの沢山の愛と沢山の感謝を受けた学校が、その長い歴史に幕を下ろしました。
Bパート
どうしてあそこなの?
皆から良く見える所が良かったから
いつ来ても、いつ戻っても出迎えてくれるようにね
海辺に立てられてた優勝旗。それは、みんなが内浦に来た時、帰って来た時に出迎えられるように。遠くに行ってしまう鞠莉や果南、ダイヤのことを特に思ってのことではないでしょうか。その旗を見ればいつだってAqoursのことを、浦の星女学院のことを思い出せるように。その「目印」として、千歌は浜に旗を立てたのでしょう。
3年生の子達はもう発ったの?
うん…鞠莉ちゃんもダイヤちゃんも果南ちゃんも、もういないよ…
ねぇ、覚えてる?昔の千歌はうまくいかない事があると、人の目を気にして本当は悔しいのにごまかして、諦めたふりをしてた
紙飛行機の時だってそう
千歌の母の口から全てが語られます。これまで千歌の母は娘が諦めずに悔しいという感情を吐露した時は笑みを浮かべていました。それは、過去に千歌が上手くいかない事があると、人目を気にして本当は悔しいのにごまかして、諦めたふりをしてたいたから。
「紙飛行機の時だってそう」。2期1話から登場した「紙飛行機」は、「千歌の想いの象徴」と言い換えても良いのかもしれません。飛ばない紙飛行機は、千歌の諦めの気持ちの象徴ですし、どこまでも飛んでいく紙飛行機は、千歌の諦めない気持ちの象徴。現に、千歌が奇跡を起こすため諦めず足掻こうと誓った時は、紙飛行機は大空へと飛翔していきました。
諦めず足掻こうと誓う直前に見た夢の中でも、紙飛行機はどこまでも飛んでいっていました。紙飛行機が目指す強いヒカリは「奇跡」の象徴。奇跡を起こすために諦めず足掻こうとした千歌自身の気持ちが紙飛行機というモチーフに変わって描かれていたのです。
私、見つけたんだよね。私達だけの輝き
あそこにあったんだよね
本当にそう思ってる?
μ'sと同じ憧れの舞台に立って、自分たちだけの景色を見ても尚、自分たちだけの輝きが本当にそこにあったのか分からなかった千歌。千歌の母は、それを鋭く察して言葉にします。
飛ばしては落ちる紙飛行機。
相変わらずバカチカだね
何度だって飛ばせばいいのよ、千歌ちゃん!
「何度だって飛ばせばいい」。それはつまり「諦めない」ということ。必死に「足掻く」ということ。
本気でぶつかって感じた気持ちの先に、答えはあったはずだよ!諦めなかった千歌にはきっと何かが待ってるよ
奇跡を起こすために諦めず足掻いて来た千歌。「本気でぶつかって感じた気持ちの先に、答えはあったはず」。確かに、千歌がこれまで奇跡を起こそうと精一杯足掻いた先には必ず答えが待っていました。
ラブライブ!と学校説明会が重なってしまった時、両方が大切だと奇跡を信じて奔走した先に、”道を探す手掛かり”と”答え”が千歌たちを待っていました。時間が残り僅かな中で奇跡を信じて難しい技に挑戦した時も、仲間が信じる自分を信じることで最終的に”答え”に辿り着くことができました。
またある時は、奇跡を信じて足掻いても廃校を阻止できませんでした。しかし、その先に待っていたのは、別の形で学校を救うという学校のみんなからの”答え”。何度でも諦めず立ち上がろうとする姿勢に奇跡は舞い降りて来たのです。
そして、ラブライブ!で優勝することができたのも、それまで積み重ねて来た努力と奇跡を信じて諦めなかった気持ちの結果です。必ずそこには輝かしい”答え”が待っていました。
このように、千歌が本気でぶつかって感じた気持ちの先には、答えが必ずあったのです。
そして、今千歌の母は再び言います。「諦めなかった千歌にはきっと何かが待ってるよ」と。千歌が探す輝きも諦めなければ見つかる、と。
行けー!飛べーー!!
千歌が、諦めず足掻こうとする気持ちを言葉にした瞬間――
奇跡の風が吹き――
紙飛行機を遠くへと飛ばしました。千歌の諦めの象徴だった落ちゆく紙飛行機は、千歌の声に呼応するように、どこまでも飛んでゆく、諦めない気持ちの象徴の紙飛行機へと変わりました。
ここで見過ごせ無いのが現実で紙飛行機が空へと飛んで行っていること。2期1話で彼方まで飛んで行く飛行機は全て夢の中か、象徴的に描かれていた時だけでした。
千歌は走り出します。
その道は、2期1話でも駆け抜けた学校へと続く道。奇跡を信じて諦めず足掻こうと誓って走り出した時の道。
紙飛行機は学校の屋上へと。
失礼しまーす…
学校に立ち入る千歌。思い出の場所を巡る度にそこで聞こえて来たのは――
ごめんなさい
くんくん、制服ー!
離して!離せって言ってるの!
良いというまで離さない!
二人共おやめなさい!皆見てますわよ!
ルビィ!スクールアイドルがやりたい!花丸ちゃんと!
丸に出来るかな…
変な事言うわよ、時々儀式とかするかも…リトルデーモンになれって言うかも…
スクールアイドルとしての時間を過ごしていた時のみんなの声。胸の中に閉まっていた思い出が蘇って来るようにみんなの声が走馬灯のように千歌の頭の中を駆け巡ります。
ワンツースリーフォー…今のところの移動はもう少し早く はい!
善子ちゃんは…ヨハネ!気持ち急いで!
承知!空間移動使います
私は嘘つきだ…泣かないって決めたよね。千歌…
どうして、思い出しちゃうの…
どうして聞こえてくるの…どうして…どうして…
止めどなく溢れ出てくる涙。それは何度も千歌が流して来た言葉とは裏腹に流れてくる涙。
今、再び浦の星女学院を訪れ、仲間と歩んで来た沢山の記憶を思い出した千歌は、その仲間たちの声を耳にします。
閉じられた浦の星女学院。それなのに遠くから聞こえてくるみんなの声。
そして、体育館へと消えていく居もしない筈の人影。
それは現実なのか、はたまた幻なのか。千歌はその声に、その姿に導かれるように――「輝き」のはじまりの場所へと駆け抜けていった時のように、千歌はスクールアイドルAqoursの、9人のはじまりの場所へと今全力で駆け抜けて行きます。
WONDERFUL STORIES
普通の私の日常に、突然舞い降りた奇跡
何かに夢中になりたくて何かに全力になりたくて
脇目も振らずに走りたくて
でも何をやって良いか分からなくて
くすぶっていた私の全てを吹き飛ばし、舞い降りた
それは…その輝きは!!
1期1話「輝きたい!!」の冒頭のシーンがフラッシュバックします。千歌のモノローグ。それは、もしかしたら今この時点の千歌が過去を振り返って語った言葉なのかもしれません。無印でUTXのモニター前に立つ穂乃果の時もそうであったように。
あるいは、今千歌が再び成長した姿で語る「輝き」についてのモノローグ。千歌の中で出した輝きの答えがそうであるように、彼女たちの物語を「軌跡」として1からスタートさせるための舞台装置だったのかもしれません。
千歌!
遅いじゃん!
また遅刻だよ!
みんな…
でもどうして?
じゃーん!
夢か現か分からない声に導かれるように体育館へと辿り着いた千歌を待ち受けていたのは、浦の星のみんなでした。そして――
夢じゃないよ
千歌と皆で歌いたいって
最後に!
この場所で!
約束の地で!
待ってたズラ!
千歌ちゃん!
歌おう!
一緒に!
うん!
奇跡の風が吹いて学校へと導かれ、白昼夢のような声と姿に導かれるように千歌は体育館へと辿り着きました。これは夢なのか。1期13話の演劇のように、ストーリーを追い駆けることを諦めて、彼女たちの精神的な部分を描き出そうとした演出なのか。
はたまた「夢じゃないよ」という曜の台詞の通り、これは現実に起こっている出来事なのか。確かに、先に描かれていた3年生が旅立つ様子は千歌の想像、あるいは無印1期13話のように本当に戻ってきたと考えれば辻褄は合います。
本当の答えはどちらなのでしょうか。あるいはその両方が交錯した景色なのか――
しかし、ここで大事なのは、それが現実なのか演出なのかといった部分ではなく、千歌たちが追い求めてきた「輝き」は何なのかという、物語の本質となる部分。
一緒に!!
彼女たちが見つけた「輝き」――
それは、輝き始めた時からずっと自分たちの側にあったもの。近くにあり過ぎて、今を全力で駆け抜けていた時には見えなかったもの――
彼女たちは、自分たちが探し追い求め、ようやく見つけたその「輝き」を、みんなと心が通じ合える「歌」で体現します。
ひとりひとりの色の輝きで満ち溢れたステージ。「普通」なのに「キラキラ」とした輝きを放つことができる「スクールアイドル」の衣装である制服。体育館で制服を着て歌い踊る姿は、千歌が「輝きたい!!」と思うきかっけにもなった『START:DASH!!』を彷彿とさせます。
彼女たちは、自分たちらしいポーズを次々と披露していきます。そして、次の仲間へと想いのバトンを渡して行きます。
その光景は、かつて9人の歌の女神たちが最後に歌い紡いだ『MOMENT RING』と重なるものがありました。
体育館まで駆け抜けて来た千歌のモノローグは、「無謀な夢から始まって」を表現して。そして、自分たちらしいポーズを見せて歌い繋いでいく姿、そして、これから歌の中で描き出してゆくこれまでの光景は、「奇跡のように全てが繋がって」を体現するように。
しかしそれは、確かにここまで全力で駆け抜けてきたスクールアイドル「Aqours」の9人でしか紡ぎ出すことのできない「軌跡(奇跡)の歌」。
ユメを駆けてきた僕たちのWonderful stories
それは、夢を駆けてきた「今」の彼女たちでしか紡げない「瞬間の輝き」を重ねた歌。
wonderfulとは
すばらしい、すてきな、不思議な、驚くべき、驚嘆すべき
無印から感じていたことですが、「輝き」は色んな感情を兼ね備えた言葉だと思っています。興奮、感動、愉快、ときめき、喜び、幸せ、楽しい、心が弾む、心躍る 、胸が高鳴る、ワクワク、ドキドキ。それらを一言で包んだ概念が「輝き」であり、「すばらしい、すてきな」という「wonderful」に集約されるのだと。
「wonderful」な瞬間。つまり、「瞬間の輝き」である「Wonderful moment」(『MOMENT RING』)を積み重ねたものが「Wonderful stories」なのだと。
そして、複数形になったSTORIES(物語)も、彼女たちのひとつひとつの歩みが「今」となり、その「今を重ね」(『WATER BLUE NEW WORLD』)作られたのがこの『WONDERFUL STORIES』なのだということが強く感じられるようなっています。
全力で輝いたストーリーさ
「全力で輝いたストーリー」。「輝いた」と過去形になった「輝きたい!!」という言葉は、ここまで歩んで来た道程も遂に佳境を迎えたことを感じさせます。それと同時に、「みんなで輝く物語」も「みんなで輝いた物語」へと変わったことを感じさせられました。
それこそが「みんなで叶える物語」の新しい形であり、「ラブライブ!サンシャイン!!」が紡ぎ出そうとしている新しい物語:「みんなで輝く物語」の姿なのかもしれません。
そして、MVの中にも学校のみんなが描いた黒板絵が登場します。
それに。沼津市様や内浦にお住いの方々、商店街の皆様がアニメサンシャインでいろいろと変化してしまう事を前向きにあたたかく受け止めて下さったのが何よりの支えでした。心より感謝しておりますありがとうございました。
— 酒井かずお (@okazuon) 2018年1月1日
Aqoursが歌う歌の中に、変化を前向きに受け入れてくれた沼津の方が描いた絵を登場させたことにも、作り手側の想いというものを強く感じてました。アニメで表現する者として、アニメで恩返ししたいという想いが。
いつもいつも追いかけていた
ここからAqoursがスクールアイドルとして歌ってきた「物語」が、「軌跡」として描き紡がれていきます。過去のライブシーンを重ねて描く姿は、同じように2期を締め括った『Happy maker!』を彷彿とさせるもの。
届きそうで届かない
『決めたよ Hand in Hand』。それは、千歌、曜、梨子の3人で最初に歌った歌。まだ、Aqoursとして歌った時でもなく、全員がスクールアイドルとして歌っていた訳ではありませんでした。
未来を
そして、今は3人ではなく9人で歌っている。それは、ミュージカルのカーテンコールのような。物語の幕切れに劇中の苦楽を超えてキャストたち全員で歌う時のような。そんなフィナーレに巻き起こるような感動がありました。
だからだから君に会えたよ
『ダイスキだったらダイジョウブ』。3人でスクールアイドル「Aqours」を結成して初めて歌った歌。会場が満員にならなければスクールアイドル部の申請は却下。その時の物語が再びミュージカルの形式で描かれます。
一緒にいてくれて
あの時は会場でAqoursの姿を見ていた1年生も。あの時は素直になれずにそれぞれ別々の道を歩んでいた3年生も。今では、その時のことを「素敵な物語(Wonderful stories)」として全員で振り返ることができます。花丸が持つライブのビラ、果南が持つ傘、ダイヤの脇にある発電機という細かいアイテムも、その時の記憶を呼び起こす鍵となっています。
ありがとう
「一緒にいてくれてありがとう」。それは、劇中の物語で歌われたAqoursの歌では、おそらく初めて登場したフレーズ。その言葉は、画面のこちら側の私たちに語りかけてくれるように歌ってくれています。
そうすると、これは『MOMENT RING』のように、「みんなで叶える物語」を駆け抜けて来た上で「School idol project」を総じた歌のようにも聞こえて来ます。
君にはありがとうと何度も言ってもまだ足りないね
μ'sが一緒に駆け抜けて来てくれた私たちへの感謝の気持ちを歌にしてくれたように、Aqoursもその気持ちを歌にして届けてくれました。
足りないって気分悔しかったんだ
ダイヤ、果南、鞠莉で活動していた3人のAqours。千歌が「悔しい」という声を挙げたように、一度苦汁を飲んだ3年生が「悔しい」というフレーズを歌います。
もっと欲しくなる
特別な何か探す冒険
1年生、2年生の6人のAqoursで歌った『夢で夜空を照らしたい』。学校と街への想いを歌にした物語が蘇って来ます。
そしてここに来て やっと見つけた!
輝きって、いったいどこから来るんだろう
ずっと「輝き」を追い求め続けて来た千歌は、答えを「やっと見つけた」と歌います。
本当は持ってたんだよ 僕たちは
みんな持ってた 胸に
ようやく9人のAqoursになって初めて歌った『未熟DREAMER』。『WONDERFUL STORIES』の中でも2つのAqoursがひとつになる「軌跡」が描かれました。
眠る輝き 目覚める前のチカラ
『想いよひとつになれ』。「何かを掴むことで何かを諦めない」。それぞれの夢に向かっても想いをひとつにすることで自分たちの夢をカタチにしました。
「本当は持ってたんだよ 僕たちは みんな持ってた 胸に眠る輝き 目覚める前のチカラ」
千歌たちが見つけた「輝き」の原動力。それは、彼女たち自身が初めから胸の中に宿していた「輝きたい!!」という純粋な気持ちそのものでした。
”純粋な欲”は心のエンジンなんです。情熱でどこまでも走っていくような……それがなければ物語は始まらない監督 酒井和男 「ラブライブ!サンシャイン!! TVアニメオフィシャルBOOK」嘘偽りのない、誰かに憧れて、「自分もあの人たちのように輝きたい!!」という”純粋な欲”こそが、彼女たちをここまで突き動かしてきました。
Aqoursは憧れから生まれたグループです。1stシングルからもずっとあるテーマで、輝きはどこから来るのか?それを忘れないようにしました。
監督 酒井和男 「ラブライブ!サンシャイン!! TVアニメオフィシャルBOOK」
「輝きはどこから来るのか?」という問いには、「Aqoursにとっての輝きは、心に抱いた”憧れ”から来た」と言うことができます。心から溢れ出した”純粋な欲”こそが、心のエンジンであり、輝きなのです。
「輝きはどこから来るのか?」。2期1話でも千歌の言葉として表れていましたが、酒井監督は「1stシングルから」テーマにしてきたと語っています。
そして今、ようやく千歌が見つけたと言う「輝き」の原動力。それは、胸の中から来る「輝きたい!!」という”純粋な気持ち”そのものであり、それこそがここまでの「軌跡」を成し遂げるまでに必要な「心のエンジン」だったのです。
TVアニメ1期放映前に流れた予告のキャッチコピー「私たち、輝きたい!!」。それこそが、「心のエンジン」であり、2期13話「私たちの輝き」の源泉こそが1期1話の「輝きたい!!」というタイトルだと分かった時にはとてつもないカタルシスを覚えました。「本当は持ってたんだよ 僕たちは みんな持ってた」という歌詞に重なる通り、「答え」は初めから私たちの目の前に用意されていたのです。
夢を駆けてきた
僕たちの物語
いっぱいの!
9人で立ったラブライブ!地区予選の舞台で踊った『MIRAI TICKET』。「0から1へ」と踏み出し、「10!」へと輝きを拡げたステージ。
思い出からは
「雨の音」から着想を得て個性の調和を持って9人のAqoursとして歌った『MY舞☆TONIGHT』。奇跡を信じて精一杯足掻くことで、学校説明会とラブライブ!予備予選という2つの壁を乗り越えることができました。
流れるメロディー
本当の意味で9人の力を合わせて歌ったと言っても過言ではない『MIRACLE WAVE』。圧倒的なパフォーマンスを完成させる最後の1ピースは、仲間が信じる自分自身を信じてあげることでした。
新しい夢がきこえる
Saint Snowと力を合わせて歌った『Awaken the power』。11人でしか作れない誰も見たことのない輝きがそこには生まれました。
遠くへまた行こうよ
Dreaming days
Aqoursがラブライブ!決勝の最後のステージで見せた『WATER BLUE NEW WORLD』。「過去」と「今」を抱き締めて「未来」へと向かう壮大な誓いを歌にして高らかに全てを届けました。
「夢を駆けてきた 僕たちの物語」
それこそが、千歌たちが見つけた「輝き」の答え。奇跡を起こすために全力で足掻いて来た「軌跡」こそが、ずっと探し求めていた輝きの正体。
「いっぱいの思い出からは 流れるメロディー 新しい夢がきこえる 遠くへまた行こうよ Dreaming days」
MVでも描かれているように、彼女たちのいっぱいの思い出から聞こえる数々のメロディー。そこから更に「新しい夢」が生まれる、と。それは、「今を重ねそして未来へ向かおう!」(『WATER BLUE NEW WORLD』)と歌ったAqoursの想いと違わぬものでした。彼女たちは青い羽根を振り撒きながら「未来」へ向かってこれから先も形を変えながら羽撃いて行くのです。
千歌は言葉でも、自分たちが探し追い求めてようやく見つけた「輝き」のことを語ります。
分かった、私が探していた輝き。私達の輝き
足掻いて足掻いて足掻きまくって、やっと分かった!
最初からあったんだ!
初めて見たあの時から
千歌が「輝き」を見つけ、自分も「輝きたい!!」と見つけた瞬間。その時から「輝き」はあった。その時から、千歌たちでしか紡げない「青い羽根」は既に生まれていた、と。
でも、それに気づけたのは、千歌たちが奇跡を起こすために足掻いて足掻いて足掻きまくったから。しかしそれは、決して今を全力で駆け抜けている途中では見つからないもの。でも、今を全力で駆け抜けないと、その先に見つからないもの。なぜなら、彼女たちが見つけた輝きは、彼女たちが全力で駆け抜けてきた結果初めて轍として生まれる「軌跡」そのものだったのだから。
何もかも、一歩一歩
私達が過ごした時間の全てが…それが輝きだったんだ
探していた私達の輝きだったんだ…
彼女たちの歌にもある『未来の僕らは知ってるよ』というタイトル。今なら、初めて未来に立った瞬間に輝きの正体を知ることができるのだという意味が込められているのだと思うことができます。彼女たちが過ごしてきた全ての時間、全ての「今」を積み重ねた先に初めて生まれるものこそが輝きだったのだと。
そして、「未来の僕たちはきっと答えを持ってるはずだから」と信じる心こそが精一杯足掻くチカラになり、そして「未来の僕たち」でしか知り得ない「答え」こそが精一杯足掻いて来た軌跡だという構造は、あらためてラブライブ!楽曲の「物語との繋がりのチカラ」の強さを思い知らされました。
青い鳥 探してた
見つけたんだ でも
籠にはね 入れないで
自由に飛ばそう yes!
「青い鳥」は「幸せ」の象徴。私は、そのひとつが「輝き」だと捉えました。輝きを見つけても大切に胸の中に閉じ込めておいてはいけない。「自由」に「心が輝く方へ」(2期3話『虹』)、自分の気持ちに従って飛ばしてあげることが大事なのだと。それが、Aqoursらしい詩的なメッセージに隠されることによって、とてつもなく心強く優しく穏やかな海に包まれるような気持ちになりました。
答えはいつでも この胸にある
気がついて
ヒカリがあるよ
輝きを見つけたAqoursが、私たちにも輝こうと言わんばかりに歌ってくれます。
そうだね!
本当は!
持ってたんだよ
僕たちは
みんな持ってた
胸に
眠る輝き 目覚める前の
チカラ!
太陽のヒカリを浴びながら最高の笑顔で輝いて踊る9人の姿。青い空の下、緑の芝生の上で踊る姿は、スクールアイドルらしさに溢れ。大切な浦の星女学院と一緒にこれまでの集大成となる歌を歌い切ります。
ユメを駆けてきた
僕たちの
物語 いっぱいの
思い出からは
流れるメロディー
新しいユメが 聞こえる
いつかまた
始まるんだよ
次のDreaming days
彼女たちが歌い終わった時には、青空に「虹」が架かりました。
それは、「奇跡」を起こせると信じて全力で諦めず足掻いてきた「軌跡」の証。
起こるよ!
だって…だって!
虹がかかったもん!
「虹」すなわち「輝跡」
雨が通った後に虹がかかるように、彼女たちが今未来を変えたいと思い全力で駆け抜けた轍が輝きの軌跡を作り出す。
明けましておめでとうございます!
— 酒井かずお (@okazuon) 2018年1月1日
あらためてラブライブサンシャインをご視聴して下さった方々、スタッフ、キャストの皆さま心から感謝しております!サンシャインという作品に携わる事が出来てAqoursという存在に出会えた事も奇跡みたいなものです。ありがとうございました。
No Rain, No Rainbow !
「No Rain, No Rainbow !」
雨が通った後に虹がかかるように、彼女たちが今未来を変えたい(奇跡)と思い全力で駆け抜けてきた轍(軌跡)。それこそが――
「輝跡」
なのです。
そして、2期13話のラストで描かれた虹。9色に輝く虹の上にはまだ何色にも染まっていない10色目のヒカリの線がありました。
そう、それは10人目のAqoursでもあり、この物語を見届けて来た「君」へと贈る虹なのです。彼女たちが、最後の最後に届けてくれた私たちへのメッセージ。
それは――
『君だけの色で輝く物語』を紡いでいって欲しい。
Aqoursが届けてくれた、世界で一番素敵なメッセージに胸がいっぱいになりました。
おわりに
あらためまして、2期13話「私たちの輝き」の感想を最後までお読み頂き本当にありがとうございました。
Aqoursが最後に届けてくれたメッセージ。これから、そのメッセージを胸に刻んで生きたいと思えるくらいに私の胸の中に熱く焼き付いた言葉になりました。
ラブライブ!はいつも物語の中に閉じずに、物語を受け取る私たちにも手を差し伸べてくれるので、私自身もとても勇気を貰える作品だと感じているところです。
さて、TVアニメが終了して間もなく発表された『ラブライブ!サンシャイン!!』の劇場版の制作決定の告知。
明日もきっと、輝いてる。
それは、全力で駆け抜けてきたAqoursだからこそ言える、未来へと希望を抱いた言葉に他なりません。今日が輝けば、明日も輝くんだと。
今は、劇場版を素直に喜べる状態には無く、2期13話の余韻が強くあり気持ちに整理が付いていないというのが正直な気持ちとしてあります。
それでも、劇場版は間違いなく自分にとって忘れられないくらいに最高の物語になること。それだけは、確信しています。
それは、これまでに自分にとって一点の曇りもなく最高だと感じられる作品にラブライブ!がなっていたから。そして、その最高の物語を描いてくれた制作陣、もうひとつの物語を紡いでくれるキャストがいるから。
あらためて、この場を借りて感謝の気持ちを伝えさせてください。そして、その言葉を最後に、『ラブライブ!サンシャイン!!』2期の感想の締め括りとさせてください。
【ラブライブ!サンシャイン!!制作陣、キャスト一同へ】
最高の物語を、最高の感動を届けてくださり、本当にいつもありがとうございます。世界一愛を受けて作られている物語だということは、作品やライブ、各種インタビューを聞いている限り明らかなものだと感じております。自分が大好きな作品が沢山の人の愛を持って作られていることほど嬉しいことはありませんし、何よりも愛に溢れた作品だからこそ、ここまで沢山の人から愛される作品にもなっているのでしょう。
そして、その物語がきっかけとなって、同じ作品を愛する友人が自分の周りにも増えました。もしも、この作品が無かったらと思うと今の自分は無いと思っていますし、今充実した人生を送ることができていないかもしれません。
そして更に自分の人生を充実させるためにも、Aqoursから受け取ったメッセージを胸に刻みながら、自分だけの色で輝く人生を送っていきたいと思っています。大好きな物語と大切な仲間と共に。
胸を張って大好きだと言えるラブライブ!へと感謝を込めて!