【ラブライブ!サンシャイン!!2期】#7「残された時間」感想ひとりごと
感謝
「残された時間」は、最高の形でAqoursの転換点となる物語を描き切ってくれました。
浦の星の生徒たちがラストに決めたこと、それは待ち望んでいたもの―
いや、待ち望んでいたものを何倍も、何十倍にして届けてくれました。
見守り続けている大好きな作品において、最高の物語を見られたこと。
これ以上ない喜びでした。
最高の物語を届けてくれた、制作スタッフならびにキャストへの感謝の気持ちは、感想の言葉に変えさせていただきたいと思います。
アバン
やった…やったの…?
夢じゃないよね…ハッってならないよね
1話冒頭の千歌の夢の中にも出てきた地区大会のステージ。今はもう夢ではなく、ハッっと目覚めるものではなく、千歌たちAqoursは地区大会において輝かしい結果を確かに掴むことができました。
だって決勝だよ?ドームだよ?本当だったら奇跡じゃん!
奇跡を…奇跡を起こしたの私たち
それは、奇跡を起こせることを証明した瞬間。
ただ一生懸命、夢中になって、何かをしようとしている
なんとかしたい、何かを変えたい!それだけのことかもしれない!
だから…
起こせるよキセキ!私達にも!
精一杯足掻いた結果、勝ち取った未来。
本気をぶつけ合って手に入れよう未来を
「未来の僕らは知ってるよ」の歌詞がこれ程響く瞬間はありませんでした。
それと同時に、7話を繰り返し見た時に抱く僅かな寂しさ。
しかし、私たちも今は前を向いて、浦の星の生徒たちが望む、Aqoursにしかできない、”学校を救う”という夢の行方を見届けなくてはなりません。
Aパート
それにしてもアキバドームかぁ…
どんな場所なんだろうね
いい曲を作りたい
ダンスももっともっと元気にしよ!
彼女たちの前向きな想いと言葉。奇跡を起こした彼女たちの目は、ひたすらに未来を見つめています。
生徒数の差を考えれば当然ですわ
これだけの人が見て、私達を応援してくれた
彼女たちが圧倒的なパフォーマンスを掴み取って披露した結果、逆境を覆して、沢山の人の注目を集めるという結果を得ることが出来ました。
あっ!じゃあ入学希望者も…
学校を廃校から救うためにラブライブで輝かしい成績を残したAqours。当然、目標としていた入学希望者の数が気になります。
しかし―
携帯、フリーズしているだけだよね…
昨日だって何人か増えてたし、全く変わってないなんて…
辛く重い現実が積み重なっていくカウントダウンが今火蓋を切られました。
鞠莉ちゃんのお父さんに言われてる期限って、今夜だよね?
大丈夫。まだ時間はありますわ
学校に行けば正確な数は分かりますわよね?
よし!帰ろう!
千歌の前向きな言葉。そして、奇跡を起こした彼女たちであればこそ、未来を信じて、その先の輝きへと志向する意志。
それは、この先に訪れる結果を知っている者なら、誰しもが悲しく残酷な光景に映ったことでしょう。
変わってない…
運命の輪は残酷にも廻り続けます。
決勝に進んで再生数が凄いことになってるって
何とか明日の朝まで伸ばしてもらいましたわ
ただ、日本時間で朝の5時。そこまでに100人に達しなければ、募集ページは停止すると
今動いている時計の針は止められない。運命を変えるために彼女たちは最後まで可能性を途絶やさない手段を講じて足掻きます。
あ!今一人増えた!
駅前!浦の星をお願いしますって皆にお願いして…それから…
繋がり続ける希望。その希望がある限り千歌は奔走しようと飛び出そうとします。彼女はこれまでもそういう走り方で希望を繋ぎ続けて来ました。
今からじゃ無理よ…
じゃあ!今からライブやろう!それをネットで…
落ち着いて!大丈夫、大丈夫だよ…
か細い希望の糸を手繰り寄せるかのような手立て。幾ら僅かな、いや無に等しくても千歌は最後の最後まで諦める姿勢を見せません。
その姿勢には尊敬の念を抱くと同時に今の状況下では辛く残酷なものに映りました。
「落ち着いて!大丈夫、大丈夫だよ…」
無謀を貫く千歌を抱き締め受け止める曜の姿。ずっと千歌の側にいて気持ちを理解ってあげていた曜。6話の海岸で気持ちは分かると言いつつも止めなかった曜ですが、それでも今はこれ以上無理を続ける千歌を抱き留めなくちゃと思った曜の気持ちを考えると込み上げる涙を止められませんでした。
信じるしかないよ。今日の私達を
…そうだよね、あれだけの人に見てもらえたんだもん。大丈夫だよね
「信じるしかないよ。今日の私達を」
前向きな果南の言葉。全力で精一杯頑張ってラブライブ!で輝かしい成績を残した今日の自分たちを信じよう。
その言葉を聞いた千歌の声には100%の信じる気持ちは感じられませんでした。今の状況が切羽詰まって来ていること。あらためて彼女たちの繊細な心の機微の描写や声色からそのことが伝わって来ました。
あっ!また一人増えた!
あれっきり…全然増えない…
ルビィが告げる入学希望者が増えた時の明るい声と、それと反して変わらなかった時の暗い声。前者が余計に元気であればこそ、そのギャップが私たちに現実の辛さ重さを響かせます。
これが現実なのですわ
これだけの人が浦の星の名前を知っても、わざわざここまで通おうとは思わない
現実を語る3年生。笑顔で語る姿は余計に心の琴線を刺激してきます。
「これだけの人が浦の星の名前を知っても、わざわざここまで通おうとは思わない」
ラブライブ!でもことサンシャイン!!においてはプロジェクト開始当初から前作とは大きく異なる問題として提起されていた、学校が立地する場所。やはりその問題は、最後まで彼女たちに現実を突きつける要因になり続けました。
サンシャイン!!の舞台は、静岡県沼津市の海辺の町、内浦。ラブライブ!の舞台である秋葉原がビルに囲まれた「都会の街」とするならば、内浦は海に面した「田舎の浜辺の街」ということになる。舞台の場所からして前作とは対象的である。まず、これがサンシャイン!!における物語の大きな特徴のひとつであると言えよう。
Aqoursのこれまでとこれから~新しい青春の物語のはじまり~ - きりんログ - 2016/05/12
全く世話が焼けるったらありゃしない!私はリトルデーモンの事で手一杯なのに
仕方ないずら。今のAqoursを作ったのは、千歌ちゃん達2年生の3人
その前のAqoursを作ったのは、お姉ちゃん達3年生3人だもん
責任感じているずらよ
そんなもの感じなくてもいいのに…少なくとも私は感謝しか…
買い出しに行く時の1年生善子、ルビィ、花丸の3人。ルビィと花丸が語るように、2年生は今のAqoursの発起人ですし、3年生はその前のAqoursの発起人。そのことを1年生の彼女たちが口にすることは普段の彼女たちからは想像できない現実的な言葉であり、今がいつもとは違う状況であることが浮き彫りになり涙が誘われます。
「そんなもの感じなくてもいいのに…少なくとも私は感謝しか…」
善子がふと口にした彼女の本音。いつも本音を堕天使言葉に隠して面と向かって表さない彼女だからこそ、ふいの本音の言葉が胸に刺さります。自分たちがAqoursを作ったという責任なんて感じなくていい。少なくとも私は感謝している。これまで彼女が変わることができたのもAqoursに誘われたきっかけが無ければ無かったことかもしれませんし、一緒の学校で沢山の友達といられるようになったのもAqoursのお陰だと。
だからマル達が面倒見るずら。それが仲間ずら
何かいいな、そういうの。支え合ってる気がする
いつもは聞けない彼女たちの想い。それを知れたのは嬉しくもあり、やはりこういう状況だからこそ聞けたことだと思うと、悲しみ漂う劇伴も相まって複雑な気持ちになりました。
94人…
後6人…時間は?
あと1時間もない
僅かながらも増え続け100人に届きそうになる入学希望者の数。しかし、それと同時に「残された時間」も僅かしかありません。
太陽が昇り澄み切った朝。差し迫る現実から遠ざけられたような空気感。
思い返せば冒頭から9人だけで話が進行していたこともあって、どこか世界から切り離された9人だけの空間のような不思議な静けさが漂っていました。
あと6人!お願い!!
お願いします!
お~~~~い!!
浦の星は、良い学校だぞーー!!
内浦に響き渡る彼女たちだけの声。反響して返ってくるのも彼女たちの声だけでした。9人だけしかいない朝だということが強調されます。
結果が差し迫っているのに、やはり笑顔で、いつもと変わらぬ表情でいる彼女たちの姿を見ると、もう変えられない現実、最期が差し迫っているんだという静かな悲しみが押し寄せてくる感覚がありました。
お~~~い!
絶対後悔させないぞーー!
皆良い子ばっかだぞーーー!!
私が~保証する~~~!!
梨子が叫ぶ「私が保証する」という言葉。音ノ木坂から来た彼女だからこそ叫ぶことができる言葉にはクるものがありました。
千歌ちゃん!!来て!!
あと3人!!
刻一刻と迫る制限時間。増える入学希望者の数。
…98!!
大丈夫!大丈夫…!!
絶対に届く…大丈夫…届く…届く…
運命の時間―
募集終了…
時間切れですわ
そんな…大丈夫だよ。あと1日あれば、半日あれば、1時間でいい
それで絶対大丈夫だって…
何度も掛け合いましたわ
一晩中、何度も何度も
ですが、もう2度も期限を引き伸ばしてもらっているのです
いくらパパでも全てを自分一人の権限で決める事は出来ない。もう限界だって…
今頃もう、統合の手続きに入ってる…
遂に迎えてしまった約束の時。「廃校阻止」。その目標は叶いませんでした。100人を目前とした時点での募集終了。現実を変えるために千歌を始めとして鞠莉の父に掛け合おうと声を挙げます。
しかし、鞠莉、ダイヤらは既に一晩中掛け合ったいたと。必死に足掻いた結果訪れた現実の波。
「いくらパパでも全てを自分一人の権限で決める事は出来ない。もう限界だって…」
鞠莉の父も尽力していたことが分かりますが、そんな父でももう手の及ばない結果。
じゃあ…本当にダメってこと?
訪れた現実、そしてその現実をもう変えることが出来ないと分かった9人。
だめだよ。だって私達まだ足掻いてない。精一杯足掻こうって約束したじゃん!
やれる事を全部やろうって言ったじゃん…!
自分たちは何も出来なかった、足掻こうと約束したのにと語る千歌。
全部やったよ。そして、決勝に進んだ。私達はやれる事はやった
果南の言う通り。出来ることは全てやった、全力で足掻いた結果が決勝進出を導いた。そしてまた、やれる事全てをやった結果が、今の「廃校決定」なのです。
じゃあ何で、学校がなくなっちゃうの…学校を守れないの…そんなの…そんなの…
「じゃあ何で」
千歌のこの言葉に全ての感情が詰まっていました。全力で足掻いたのにどうして学校が無くなってしまうのか、学校を守れないのかと。
確かに、ラブライブ!で輝かしい結果を残したからと言って必ずしも入学希望者が増えて目標を達成できる訳ではない。道理ではそうなのかもしれませんが、今の千歌にはそんなことなんてどうでもいいのです。ただ、目の前にある、自分たちが足掻いた過程とは異なる現実が目の前にあることへの憤り、悔しさ。
ぶつけようの無い気持ちをぶつけられない姿は見ていて苦しいものがありました。
もう一度だけパパに連絡してみる!
これ以上言ったら、鞠莉が理事長を辞めるように言われる
受け入れるしかない。学校はなくなる
受け入れるしか無い現実。学校は無くなるのだと。
Bパート
浦の星女学院は、次年度より沼津の高校と統合する事になります
皆さんは来年の春よりそちらの高校の生徒として、明るく元気な高校生活を送ってもらいたいと思います!
理事長の鞠莉から告げられる統廃合の知らせ。言葉として現実に浦の星の生徒たち全員に伝えられることになりました。
「明るく元気な高校生活を送ってもらいたいと思います!」
おそらく鞠莉自身の気持ちに反する言葉を発した鞠莉。彼女の気持ちを察すると立場上避けられないものであり心の中にある悲しみが伺えます。
一人教室で抜け殻のように外の景色を見つめる千歌。
そんな千歌に声をかけてくれたのは、同じクラスのよしみ、いつき、むつの3人でした。
千歌ー!いよいよ決勝だね!ラブライブ!
このまま優勝までぶっちぎっちゃってよー!
またいい曲聞かせてね!
そうだよね!優勝目指して頑張る!
クラスのみんなからの応援に、本心とは異なることを言う千歌。一瞬、本音を言おうとしても押し留めたところに彼女の複雑な気持ちがうかがえます。
そして、それを教室の外で聞く梨子の表情にも陰りが。
今は前を向こう?ラブライブはまだ終わってないんだから…
分かってる
前を向こうと励ます梨子。「分かってる」と言いつつも、それを拒絶する千歌。言葉少なに立ち去る千歌の姿からその気持ちが伺えます。
学校が統合になったのは残念ですが、ラブライブは待ってくれませんわ
今日から気持ちを新たに決勝目指して頑張ろう!
もちろんよ!5万5000のリトルデーモンが待っている魔窟だもの!
お姉ちゃん達は、3年生はこれが最後のラブライブだから…
だから、絶対に優勝したい!
学校が統合になったのは残念だけど、ラブライブ!は待ってくれない。気持ちを切り替えて明日の方を向いて頑張らなくては。そんな3年生の励ましの言葉。
堕天使言葉で場の空気を変えようとする善子の優しさ。
ルビィが語る、お姉ちゃん達にとっては最後のラブライブだから、絶対に優勝したいという強い決意。
じゃあ優勝だね!
そんな簡単な事じゃないけどね
でも、そのつもりでいかないと
うん、優勝しよう…
全員が互いに仲間として支え合う言葉を掛け合います。
そうだよね、今はラブライブに集中してよっと
励ます言葉を掛け合うもどこか空っぽになったような表情と背中。穏やかな夕焼けが痛いほどに優しく彼女たちを包み込みます。
そして、ふと思い出すあの時のこと―
千歌ちゃん…
千歌は涙を流します。
どうしたのみんな?
今日は、やめておこうか
えっ?何で?平気だよ?
鞠莉ちゃん達、最後のライブなんだよ?それに…
言葉とは裏腹に零れては滴り落ちていく涙。
奇跡を起こすまで「泣くもんか!!」と言葉にするも涙を流すかつての千歌の姿が重なりました。
論理では前を向こうと言っていても、心では割り切れないのです。
千歌だけじゃない。皆そうなの
ここにいる全員、そう簡単に割り切れると思っているんですの?
千歌の涙を見た3年生は、千歌だけでなくここにいる全員が割り切れない気持ちを持っていると教えてくれます。
やっぱり、私はちゃんと考えた方が良いと思う
本当にこのままラブライブの決勝に出るのか、それとも…
そうですわね
丁寧に繊細に描かれる9人の表情と心の機微。
ま、待ってよ。そんなの出るに決まってるよ!
決勝だよ!?ダイヤさん達の!
本当にそう思ってる?自分の心に聞いてみて
千歌っちだけじゃない。ここにいる皆
本当の自分たちの気持ちは何なのか。無理に自分の気持ちを捻じ曲げて言葉を紡ぐ千歌に対して、そしてここいいる全員に対して鞠莉は自分の心に聞いてみてと投げかけます。
全員が「これまで」のことと向かい合います。自分が好きなもの、目指したいもの、大切な人。
「空も心も晴れるから」
Aqoursが歌った歌が物語の中で新たな意味が付与されて流れます。
繋がりそうで 繋がらないの
心と心
船が夕焼けを渡るよ
悩みを持ち去るように
9人の近くを飛んで行く想いの羽根。自分の心と向き合う彼女たちを見届けながら離れていくように想いの羽根は夕焼けの夜空に飛び去っていきます。
やっぱり、皆ここに来たね
結局皆同じ気持ちって事でしょ?
出た方が良いって言うのは分かる
でも、学校は救えなかった
なのに決勝に出て歌って
たとえそれで優勝したって
たしかにそうですわね
9人の気持ちは一緒。想いを同じくした少女たちが学校の屋上に集まる様は、かつて悩みながらも最後までやり遂げたもう9人の少女たちの姿に自然と重なるものがあります。
でも、千歌達は学校を救う為にスクールアイドルを始めた訳じゃない
輝きを探すため
ラブライブ!の決勝に出て歌って優勝したとしても変わらない、学校は救えなかったという事実。それでも、果南や曜の言う通り、千歌たちは学校を救うためにスクールアイドルを始めた訳ではなく自分たちの輝きを探すためにだと語ります。
皆それぞれ自分達だけの輝きを見つけるため。でも…
でも―
見つからない。だってこれで優勝しても、学校はなくなっちゃうんだよ?
奇跡を起こして、学校を救って、だから輝けたんだ。輝きを見つけられたんだ
学校が救えなかったのに、輝きが見つかるなんて思えない!
「奇跡を起こして、学校を救って、だから輝けたんだ。輝きを見つけられたんだ」
千歌は元々学校を救うためではなく、輝きを探すためにスクールアイドルを始めました。でも今は、大切だと気づいた学校を救うことが、奇跡を起こして浦の星の廃校を阻止することが、ラブライブ!において優勝することの原動力になりました。
”純粋な欲”は心のエンジンなんです。情熱でどこまでも走っていくような……それがなければ物語は始まらない監督 酒井和男 「ラブライブ!サンシャイン!! TVアニメオフィシャルBOOK」
千歌は言います。
「学校が救えなかったのに、輝きが見つかるなんて思えない!」
学校を救うためにラブライブ!に出場したのに、それを果たせなくなった今輝きなんて見つかる訳ないと。
私ね、今はラブライブなんてどうでもよくなってる。私達の輝きなんてどうでもいい!
それは、ラブライブ!なんてどうでもいいとさえ言う程。学校を救えなかった以上、自分たちの輝きなんてどうえもいいと。
かつて千歌は語りました。
ただ一生懸命、夢中になって、何かをしようとしている
なんとかしたい、何かを変えたい!それだけのことかもしれない!
だから…
起こせるよキセキ!私達にも!
「なんとかしたい、何かを変えたい!」
その気持ちがキセキを呼び寄せると。
そしてまた、
私達9人が見た事。心を動かされた事。目指したい事
その素直な気持ちの中に、輝きはきっとある!
皆信じてくれてありがとう!
「目指したい事。その素直な気持ちの中に、輝きはきっとある!」
のだと。
しかし、今は変えたいと思っている「学校」も無くなることが決まりました。「学校を救う」という目指しているもの自体が叶わなくなりました。だからキセキは起こらなかったし、自分たちの輝きも見つかる訳が無いのだと。
千歌は今も願います。学校を救いたい気持ちを。
学校を救いたい!皆と一緒に頑張ってきたここを…
そんな時―
浦の星に木霊する声がありました。
じゃあ救ってよ!!
9人に閉ざされた世界を切り裂く一片の声。
だったら救って!ラブライブに出て、
優勝して!
出来るならそうしたい!皆ともっともっと足掻いて、そして!
そして?
そして!学校を存続させられたら…
それだけが学校を救うって事?私たちみんなに聞いたよ
千歌たちにどうして欲しいか、どうなったら嬉しいか
みんな一緒だった!
ラブライブで優勝して欲しい!
千歌たちのためだけじゃない。私たちのために!学校のために!
この学校の名前を残してきて欲しい!
学校の…
千歌達しかいないの!
千歌達にしか出来ないの!
だから!輝いて!!
「それだけが学校を救うって事?」
学校を学校として存続させること。むつ達はそれだけが学校を救うことではないと言います。
「私たちみんなに聞いたよ。千歌たちにどうして欲しいか、どうなったら嬉しいか。みんな一緒だった!」
想いをひとつにしたのは千歌たちだけではありません。それは、浦の星女学院すべての生徒がそうだったのでした。
「ラブライブで優勝して欲しい!千歌たちのためだけじゃない。私たちのために!学校のために!この学校の名前を残してきて欲しい!」
それは、学校を存続させることが学校を救うことだと定義した千歌たちには決して思い付かなかったこと。「ラブライブ!で優勝して学校の名前を残すこと」も、学校を救うことになるのです。
そして、千歌たちのためだけじゃなくて、私たちのために、学校のために優勝して欲しいという力強い言葉には、涙を禁じ得ませんでした。
「千歌達しかいないの!千歌達にしか出来ないの!」
想いを託すということ。それも「勇気」がいることだと思います。
それはまた、ラブライブ!の地区大会を突破して、決勝に進むという奇跡を成し遂げた千歌たちだからこそ、信じてお願いできたこと。
千歌ー!いよいよ決勝だね!ラブライブ!
このまま優勝までぶっちぎっちゃってよー!
またいい曲聞かせてね!
いつだって学校のみんなは、普通の高校生であり、しかも自分の周りにいる同級生である千歌たちがキラキラと輝きながら、学校のためにいくつもの奇跡を起こし続ける姿を見て、きっと他の誰よりも「勇気」を貰っていたことでしょう。
10!
受け取った勇気は形を変えて、10人目のAqoursから千歌たちに想いが託されます。
「浦の星女学院スクールアイドル、Aqours!その名前をラブライブの歴史に、あの舞台に永遠に残して欲しい。Aqoursと共に、浦の星女学院の名前を!」
浦の星女学院を背負ったAqoursがラブライブ!に優勝することで、ラブライブ!の歴史に、ラブライブ!の舞台に「浦の星女学院」という学校の名前が永遠に残ること。つまりそれは、沢山の人が記憶する「ラブライブ!」という大会において優勝するということは、沢山の人たちの記憶の中に学校の名前が残り続けるということ。
それが「学校を救うこと」だと、浦の星の生徒たちは再定義しました。
自分達の物も、優勝の記念品も、記録も
物なんかなくても、心は繋がっているからって
それでいいんだよって
それでも、「物なんかなくても、心は繋がっているから」という考え方の部分に、ラブライブ!における「学校を救うこと」は全て詰まっているような気がしています。つまり、どちらも学校を救うことには変わりないのです。
「だから!輝いて!!」
学校を救うために、浦の星女学院の名前を永遠に人々の記憶に刻むために輝いてという、あまりにも強過ぎるメッセージ。
「奇跡を起こして、学校を救って、だから輝けたんだ。輝きを見つけられたんだ」
千歌は、学校を救える事で輝けると考えていた訳ですが、そうではなく、輝くことで学校を救えるのだと。
浦の星女学院が学校として存続し得ない以上、浦の星のみんなのそうした想いは、千歌達の心のエンジンに決意の火を点火することになります。
優勝して、学校の名前を…
ラブライブ!に…
千歌ちゃん、や・め・る?
やめる訳ないじゃん!
決まってんじゃん!決まってんじゃん!決まってんじゃん!
優勝する!ぶっちぎりで優勝する!
相手なんか関係ない!秋葉ドームも!決勝も関係ない!
優勝する!優勝して、この学校の名前を、一生消えない思い出を作ろう!
決意が固まった千歌のことは、もう誰にも止められません。
明日へと、未来へと走り出したい気持ちは、全員がもう抑えられません。
ついに普通じゃない、本当の怪獣になっちゃうのかも。千歌ちゃんは…
かつて千歌は、憧れの背中を追いかける内に「ありのままの普通の自分」を受け入れることができるようになりました。
やっと分かりました。
私で良いんですよね
千歌は、自分が信じる仲間から肯定されることで、「自分」も含めた本当の9人でステージに立つことができるようになりました。
自分の事を普通だって思っている人が、諦めずに挑み続ける
それが出来るって凄い事よ!凄い勇気が必要だと思う!
そんな千歌ちゃんだから、皆頑張ろうって思える!Aqoursをやってみようって思えたんだよ!
そして今、千歌は真に「普通怪獣」の殻を破って、新しい夢に向かって駆け出そうとしています。
そんな彼女の元に舞い降りてきたのは―
仲間だけを見て、
目の前の景色を見て、
まっすぐに走る…それがμ’sですよね
それが、輝くことなんですよね!
かつてμ'sへと想いを馳せた時、「仲間だけを見て、目の前の景色を見て、まっすぐに走る」ことが輝くことだと定義した、千歌が受け取った白い羽根ではなく。
自分たちでしか追い駆けられない、まだ誰も見たことも走ったこともない夢の軌道―
その道を千歌が走り始めたからこそこの世界に生まれた、Aqours色の青い羽根。
「新しいみんなで叶える物語」が今始まりを告げました。
Aqoursのこれまでとこれから~新しい青春の物語のはじまり~
以前、私はこの「Aqoursのこれまでとこれから〜新しい青春の物語のはじまり〜」というタイトルで、G'sマガジン誌上で描かれて来たAqoursの物語を元に、ラブライブ!サンシャイン‼︎のこれからの展開を想像するという記事を書きました。
まだご覧になってない方には是非お読み頂きたい記事なのですが、今回の「残された時間」で描かれた内容が、G's誌上で描かれてきた内容と大きく異ならないものであることを述べた上で、7話の感想の締め括りとさせて頂きたいと思います。
まず、見て頂きたいのがこちら。
絶対絶対この仲間たちと最高の舞台で輝きたい!!それが今の千歌の大切な夢――。浦の星がなくなっても、私たちがここにいた証――絶対残してみせるんだ。
高海千歌「電撃G's magazine 2016年2月号」
Aqoursの発起人である高海千歌の言葉。いかがでしょうか。7話でAqoursが、浦の星のみんなが決めた「ラブライブ!で優勝することが学校を救うこと」と違わず、両者がぴったりと繋がる内容のものではないでしょうか。
それは、Aqoursのリーダーの千歌の言葉だけに止まりません。
ずっと――この学校に通うのが嫌だった。もっと都会の、かっこいい刺激のある学校に入って、いろんなことがしたいって思ったの。だから浦女が廃校になって無くなっちゃうのなんて、当たり前だと思ってたし、それどころか、本当はもう少し早く無くなっててくれたら、もっと別の学校にいけたかもしれないのに、なんて思ったこともあるわ。でも――。Aqoursが始まってから。この景色が好きになったの。(中略)もうすぐなくなっちゃうこの学校で。私たちがいたこと。この学校があったこと。せめてみんなの中に形として残したい――。この気持ちが、海や山を越えて遠くに届きますように。
津島善子「電撃G's magazine 2016年4月号」
ここ内浦の漁港から――私たち、みんなに伝えたいんだ。私たちが――ここにいること。みんなですごく頑張ってること。いつか、この場所が空っぽの廃校になっても。私たち、Aqoursがいたこと――ずっとずっと。覚えててほしいんだ♡
渡辺曜「電撃G's magazine 2016年4月号」
「私たちがいた証」「みんなの中に形として残したい」「覚えてほしい」
その言葉はどれも「残された時間」で描かれたメッセージと紐づくもの。
両者のAqoursがひとつになった今、ここからまた本当の「新しいみんなで叶える物語」がはじまる予感がしませんか?