きりんログ

-愛と青春と声豚の記録-

【ラブライブ!サンシャイン!!2期】第1話「ネクストステップ」感想ひとりごと

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遂にこの時が来ました。

 

ラブライブ!サンシャイン!!2期」

 

物語としては完璧過ぎる程に本質を描き切ったラブライブ!サンシャイン!!1期13話。

 

ラブライブ東海地区予選の結果は描かれなくても、彼女たちなりの輝き方を示した時点で「憧れ」の物語のゴールは達成したと言っても過言ではありませんでした。

 

1期で物語を終えてもサンシャインは「普通に面白いアニメ」の枠を大きく超えていたのですから、2期をあえて描く必要は無いと言えば無かったのです。

 

しかし、そこをあえて描くのが「ラブライブ!サンシャイン!!

 

「憧れ」の物語のゴールの更にその先にある物語。

 

それは、紛うことなきAqoursが自分たちの足踏みだけで紡ぎ出す「ラブライブ!サンシャイン!!」の物語に他なりません。

 

ここから新しい物語が幕を明けるんだと。

 

2期1話最後にAqoursを照らす陽の光を見て、そう強く確信しました。

 

それでは、彼女たちが踏み出す新しい物語の第一歩。その軌跡を振り返っていきましょう。

 

#1「ネクストステップ」

 

 

アバン

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輝きって、いったいどこから来るんだろう…

あとちょっと…もうちょっと…

 

最初に「MIRAI TICKET」で輝きに手を伸ばす千歌。1期13話からの続きであることを強く感じさせられました。

 

しかし、どこか別の世界のような不思議な感覚。真っ暗な世界、意味深な紙飛行機、差し込む一筋の光。

 

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千歌は涙を流します。千歌が流した涙で、硝子が割れて真っ逆さまに落ちてしまいます。

 

ここの一連の描写が美し過ぎました。劇伴が綺麗だったのも相まっています。

 

それだけに、目にしている光景が夢の世界だということが強く意識されました。

 

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千歌は起床と同時に吠えるしいたけによってベッドからずり落ちます。

 

生活感のある描写によって、ようやくこれまでの不思議な世界が夢の中の世界であったことが確信を持って意識付けられます。

 

ベッドから千歌がずり落ちた直後にしいたけの姿が無かったので、彼女は二重に夢を見ていたのでしょうか。それだけ、深層で千歌は夢を見ていました。

 

この夢が暗示しているものは、2期1話の物語でしょうか、それとも、2期全体の物語でしょうか。いずれにせよ、千歌の涙からは、それが儚く切ないマイナス方向の夢であることは疑う余地は無さそうです。

 

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ハロー、エブリバディ!

本日より、セカンドシーズンのスタートでーす!

 

2期のPVでも度々登場していた鞠莉のこのカット。メタ的に2期の始まりが告げられます。

 

サンシャインは2期で終わらず3期もあるという大方の予想がありますのが、兎にも角にも仮に3期があるとした場合、1期の完結具合も去ることながら、2期1話の展開の早さには驚かされました。

 

あらためてラブライブは本質を描くことに注力した構成を取っているなと思いました。

 

スピード感のある構成からはAqoursの推進力の強さも感じられるのでとても好きです。

 

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それにしても、惜しかったよね
うん、あともう少しで全国大会だったみたい
過ぎたことをいつまで言ってても仕方ないずら

しっかーし!参加賞が二色ボールペンてどうなの?!

決勝大会に進出すると3色になるとか…

未来ずら~

 

東海地区予選の結果がさらりと日常会話の中で告げられます。そのさらり感が素晴らしいのです。

 

やはり、1期13話の東海地区予選の結果がどうなるかが物語の本質ではないことが、2期1話でも伝わってきました。

 

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たしかに、全国大会に進めなかったのは残念でしたけど 

でも、0を1にすることはできた!

ここにいる皆さんの力ですわ

 

これこそが、本質なのです。「0から1にすること」。それを「みんなの力」で成し遂げたこと。それさえあれば、大会の結果は必ずしも重要なことではないのです。

 

「ここにいる皆さんの力ですわ」の台詞の直後でむっちゃんを初めとした浦の星の生徒の笑顔が映るのが良いですね。

 

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そして、今では!入学希望者も1が10になった!

確かに!

それだけではありませんわよ

本日、発表になりました!次のラブライブが!

 

立て続けに、発表が続きます。入学希望者が1から10になったこと。そして、ラブライブの次の大会の開催が決定したこと。

 

やはり、この辺りのスピード感は見ていて気持ちいものがあります。

 

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千歌ちゃん!どうする?

聞くまでもないと思うけど!

 

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出よう!ラブライブ! 

 

やはり、ここは「ラブライブ!」の2期1話がどうしても思い出されます。μ'sの時は1話を通して穂乃果が逡巡する様子が描かれていましたが、千歌は即断でラブライブに出ることを決めました。

 

この違いこそが、Aqoursの新しい物語が始まるんだなということが、自分にとって強く意識された理由でした。

 

千歌が即断することが出来たのは、彼女が憧れのμ'sと同じ場所に立つことで見られる自分たちだけの景色があると確信していたことから。

 

1話冒頭の早い時点でラブライブ出場の宣言をさせたのは、1話ラストでも分かる通り、彼女たちが踏み出すネクストステップにおいてはラブライブより統廃合の阻止が輝く上での最重要課題であり、1話を丸々使って描きたかったのは浦の星の統廃合が決定して新しい目標に向かうまでのAqoursの気持ちの変化だったから。

 

だからこそ、1話の冒頭という早い時点で千歌にラブライブ出場への宣言をさせたのであって、それによって新しい物語に向かって舵取りをするんだということが強く意識させられたのだと思います。

 

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そして、1を10にして、10を100にして!学校を救って…

そうしたら、私達だけの輝きが見つかると思う!きっと!

輝ける!!

 

「0から1へ」という物語をようやく1期を使って描いた上で、それが更に10、100へというのがテンポが良くて、彼女たちの前に進む勢いの強さというのがあらためて浮き彫りになるようです。

 

邪推すれば、この推進力の強さこそが、壁にぶつかって彼女たちの羽がへし折られる反動の大きさにも繋がる訳ですが。

 

オープニング

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遂に2期のオープニング「未来の僕らは知ってるよ」が始まりました。

 

開幕から青空Jumping Heartを意識させる振り付け。しかし、青ジャンとは変わって、千歌と梨子を起点に空に掲げる手が左右非対称になっています。

 

本質は変わらないものの新しい物語が始まるんだということが感じられます。

 

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ジャケットも本当にエモい。前向きなタイトルにも関わらずどこか儚げな表情を浮かべているのが最高ですね。

 

味方なんだ 空もこの海も

 

全編そうなのですが、ここのフレーズが特にAqoursらしくて良いです。自然溢れる内浦だからこそ彼女たちはこの歌詞を描けたのです。

 

「味方なんだ 空もこの海も」だと歌う彼女たちは何と前向きなことか。それはやはり、彼女たちは一度頑張れば輝けるという確信を得られたから。

 

「未来の僕らは知ってるよ」というタイトルに繋がる1期のコンテキストについては以下の記事でも触れていますので合わせてお読みいただければ幸いです。

 

ayarieshon.hatenablog.com

 

 

今日が明日を引き寄せるんだと
ハートの磁石を握って走る

 

ここは、畑亜貴先生節炸裂といったところでしょうか。「今日が明日を引き寄せる」という言い回しも本当前向きで最高ですね。「今が最高」が「未来が最高」を引き寄せるんですよね。

 

このパートの後で2つのカットのAqoursが1つのカットに集約されるパートがあるのですが、ここの演出が本当に神がかってます。

 

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未来をどうしようかな

 

「未来をどうしようかな」。ここの歌詞がパワー有りすぎて堪らないです。「どんな未来かは誰もまだ知らない」けれども、どんな未来にするかの選択権はAqoursの掌の中にあるのです。そう言えるだけの強さを手に入れた彼女たちの成長すら歌詞から感じられて堪らなく愛おしくなりました。

 

2期における何かの象徴になるとも思われる紙飛行機が太陽に向かって飛んでくのも気になります。

 

そして、客席は全て海。1期13話の「MIRAI TICKET」でも描かれていましたし、実際のAqoursのライブに行っても分かりますが、一面青い光が拡がる光景は本当に海が広がっているかのように見えます。海は、彼女たちの味方なのです。

 

彼女たちが向かう航路が彼女たちのステージの目の前に伸びているも印象的です。

 

未来の僕たちはきっと答えを持ってるはずだから

 

ここのパートも繰り返しになりますが、「頑張れば輝けること」を確信した前向きなAqoursの意思が存分に感じられます。

 

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光る風になろう

We catch dream!

 

「光る風になろう」。「ヒカリになろう」と歌ったように、「みんなで輝く」ことことそが彼女たちの輝き方。その後の歌詞は上手く聞き取れなかったのですが、サビ始まりで「未来をどうしようかな」と歌っていたことから、「私たちは未来を掴む」と歌っているのかなと思いました。

 

最後のパートで彼女たちが立つステージの後ろには、内浦のはじまりの海が映し出されているのも良いですね。いくら大きなステージに立っても、彼女たちが沼津を心に留めておいていることが伝わってくるようでいて。

 

以上、オープニングの「未来の僕らは知ってるよ」の感想でした。タイトルが象徴していますが、0から1へと踏み出して輝ける確信を得たAqoursだからこそ歌えるナンバーだということが伝わって来ました。

 

Aパート

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まだぼんやりだけど、でも、私達は輝ける!頑張れば絶対って

そう、感じたんだ

 

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大変そうだけどね

だからいいんだよ! 

 

「私達は輝ける!頑張れば絶対って。そう、感じたんだ」

 

千歌の言葉は、13話を経た上での自信であり、それが冒頭のラブライブ出場を即断した彼女のエンジンだったりします。

 

その直後の梨子との掛け合いの言葉も、「輝くって、楽しむこと」であり、「これから起こる全てを楽しもう」とあの日誓った彼女たちだからこそ、笑い合いながらそう言い合うことができたのだと思いました。

 

 

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でも!パパは待つって約束してくれたじゃない!それを急に… 

 

千歌と梨子が輝ける確信を語り合う側で、不穏な影が忍び寄ります。まるで、彼女たちの自信を嘲笑うかのような「不条理」が。

 

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果南と鞠莉のシリアスな場面とは対象的に、千歌たちの方は日常的な場面が繰り広げられます。この緊張と緩和も、今は気が付かなくても不穏な影が背後にゆっくりと忍び寄っていることが印象づけられます。

 

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だったらちゃんと隠しなさい

この前からコソコソコソコソ…本当にぶっぶー、ですわ

 

かつてないほど優しい「ぶっぶー、ですわ」。1期の9話を経た今、彼女たちは本音を隠そうとしても笑いながらお互いに話し合うことができるのです。

 

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ちょっと待って!その前に、話があるんだ…

実は、学校説明会は…

中止になるの…

 

2年生と1年生、そして3年生が一緒になった今、真実が鞠莉の口から告げられます。

 

Bパート

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中止… 

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説明会は中止。浦の星は正式に来年度の募集をやめる 

そんな…いきなりすぎない?

そうずら、まだ2学期始まったばかりで…

生徒からすればそうかもしれませんが、学校側は既に2年前から統合を模索していたのですわ…

鞠莉が頑張ってお父さんを説得して、今まで先延ばしにしていたの…

 

3年生の口から告げられた次年度からの生徒募集の中止。

 

「生徒からすればそうかもしれませんが」

 

この言葉に今回訪れた問題の「不条理さ」が集約されているような気がします。

 

生徒たちが0から1を成し遂げ、それを10に出来た今、確実に説明会の参加希望者は増えて来てはいますが、その努力すら水泡に帰すのが「不条理」なのです。

 

そんな不条理に相対して、言葉少なに駆け出したのが千歌。

 

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鞠莉ちゃん!どこ?

私が話す!

 

壁にぶつかっても千歌は必死で乗り越えようとします。しかし、

 

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待って!アメリカよ!まりさんのお父さんはアメリカなのよ!? 

みと姉やしま姉やお母さん、あと、お小遣い前借りして、前借りしまくって、アメリカ行って…

そして、もう少しだけ待って欲しいって話す

出来ると思う…?

 

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出来る!! 

 

千歌は決意を曲げようとしません。ここは、輝ける確信があるどうこうの話ではなく、もはや彼女にそれ以外の道は残されていないと言わんばかりの態度のように感じました。それが、「お小遣い前借りして…」という台詞にも繋がります。本当にここの千歌の姿は向こう見ずな勢いを感じながらも見ていて辛くなりました。

 

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鞠莉はさ、この学校が大好きで、この場所が大好きで、留学より自分の将来より、この学校を優先させてきた…

今までどれだけ頑張って学校を存続させようとしてきたか。私たちが知らない所で、どれだけ理事長として頑張ってきたか…

その鞠莉が、今度はもうどうしようもないって言うんだよ? 

 

時間を共にしてきた3年生だからこそ言うことが出来た鞠莉の努力と、その信じる鞠莉が言うからこそ理解出来た今度の問題の大きさ。

 

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ごめんね?テヘペロ

 

気丈に振る舞う鞠莉の優しさも心に響きますが、「違う…そんなんじゃない。そんなんじゃ…」と、「どうしようもないこと」だと千歌は分かっていても「そんなんじゃない」と繰り返すことしか出来なかった千歌の姿を見ると、本当に見ていて心が苦しくなりました。

 

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もしあの時、ラブライブの予選に勝って本大会に出場できてたら、未来は変わってたのかな…

未来は…違ってたのかな…

 

千歌は、「もしもの未来の可能性」について考え始めます。しかし、今を生きるスクールアイドルにとって、今を肯定せずにもしもの未来のことを考えることは決して望むべきことではありません。それは、過去に囚われている証拠でもあります。無印の1期終盤でも「もしも自分が何もしなければ」という姿勢は、負の展開に帰結していました。

 

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「目指せ!!ラブライブ」と書かれた千羽鶴。あたたかい学校のみんなの想いが、今の千歌の胸には突き刺さります。

 

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本当にどうしようもないのかな…?
こればかりは…私達だけじゃね…

もしどうにかなるなら千歌たちがとっくに動いてるよ…

 

生徒会の口から全校生徒に告げられた生徒募集取り止めの知らせ。むつたちが信じる千歌たちが動けなかったことで、彼女たちの気持ちも後ろ向きになります。

 

1話だけでここまでシリアス展開を進めたのは、言葉は悪いですが本当に素晴らしいなと思いました。ここで溜まっていくマイナスの感情こそが、彼女たちが次の大きな輝きへと駆け出す踏み台になるのですから。

 

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あたしね、こうなったのは、もちろん残念だけど、ここまで頑張ってこれてよかったって思ってる

東京とは違って、こんな小さな海辺の町の私達が、ここまでよくやってこれたなって

 

梨子は統廃合を前にしても、前向きな気持ちを語ります。結果ではなく、ここまで頑張ってきた過程は良かったと思っていると。

 

ここの台詞は1期8話でメンバーを悲しませないように気丈に振る舞う千歌の台詞にも重なりますが、ここでの梨子の台詞はそれとは違って本心のように感じました。

 

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本気で言ってる…?

それ、本気で言ってるんだったら

私、梨子ちゃんの事、軽蔑する

 

千歌は、そんな梨子を軽蔑すると突き放します。かつて本音をぶつけることができた梨子だからこそ、彼女は言葉を選ばずに素直な気持ちをぶつけることができました。

 

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がおーー!

うふふ、ピッドガー!普通怪獣リコッピ―だぞー!くらえ、梨子ちゃんビーム!

 

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こんなんだっけ?

 

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やっと笑った

 

1期1話とは千歌と梨子の立ち位置が逆転して、今度は梨子が千歌を励ます側に転じているのが良いですね。1話でも笑顔になった梨子見て微笑む千歌の姿が描かれていましたが、梨子も「やっと笑った」と千歌を元気にするためにこのような行動を取ったのでしょう。

 

次の台詞も合わせて8話に繋がるところなのですが、それは彼女が自らの意思でスクールアイドルになると決めたことの証明に他なりません。

 

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私だって、Aqoursのメンバーよ。皆とこれから一緒に歌っていこうって、曲もいっぱい作ろうって思ってた…

いいなんて思う訳ない、これでいいなんて…

どうすればいいか分からないの…

どうすればいいか…

 

彼女が先に語った前向きな気持ち。それは決して嘘ではありませんが、やはり彼女としても、それで決して「いいなんて思う訳ない」のです。

 

しかし、梨子も千歌と同様に「どうすればいいか分からない」という気持ちがあることを明かします。「違う…そんなんじゃない。そんなんじゃ…」と語った千歌も、決して立ちはだかる現実を認めたくはありませんが、それを変える術が無いので「どうすればいいか分からない」という状態でした。

 

梨子は私だって、Aqoursのメンバーよ。」と語って自らも意思を持っていることを伝えた上で、「どうすればいいか分からない」という同じ気持ちを持っていることを告げましたが、彼女たち全員が「どうすればいいか分からない」という気持ちを共有していることが分かったことで余計に辛い気持ちにもなりました。

 

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千歌は思い悩みます。様々なことが脳裏に浮かびます。

 

みんなで歌ったステージで輝くということが朧げながらも分かったこと、その輝きを手にして0を1に、1を10に出来ても学校の説明会の中止を阻止する術が分からないこと、学校のみんなの気持ちが集まっていたこと、ともだちの梨子の気持ちも自分と一緒であること―

 

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あ…

 

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塞ぎ込んでいた千歌の中の暗闇に差し込む一筋の大きなヒカリ。そして、そのヒカリへと向かって飛ぶ一枚の紙飛行機。

 

彼女は、それを見て何かを心に決め一心不乱に駆け出します。

 

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そして、

 

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ガオーーーーー!!

 

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普通怪獣の咆哮が静かな内浦に木霊します。それは、広い世界に比べれば、内浦の浜辺の側にある小さな学校から上がる、ひとりの少女の小さ過ぎる叫びでした。それでも、その声は、この場所から大きく拡がっていく。そうなることが、少女から校庭、校庭から内浦へと拡がる光景を見て、確信を持ってそうだと信じることができました。

 

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起こしてみせる!キセキを、絶対に!

それまで、泣かない!

泣くもんか!!

 

彼女は誓います。それがどんな不条理であっても、立ち向かう術が今は思い付かなくても。「キセキ」を絶対に起こすのだと。

 

誓いを口にした千歌の元に訪れたのは―

 

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やっぱり来た!

曜ちゃん、どうして…

分かんない。でも…ほら!

 

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気づいたら来てた!

 

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鞠莉ちゃん…

 

同じ誓いを胸に決めた、みんなの姿でした。

 

以心伝心ずら!

うん!

聞こえたぞ闇の囁きが…

なんかよくわからないけどね!

そう?私は分かるよ。きっと…

 

彼女たちは、自らの言葉で、それぞれが自らの想いで立ち上がることを決めて、その気持ちがみんな一緒であることを伝えます。

 

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きっと、諦めたくないんだよ…

諦めたくないんだよ!

 

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鞠莉ちゃんが頑張ってたのは分かる

 

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でも、私も、皆もまだ何もしてない! 

そうね…

 

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無駄かもしれない…けど、最後まで頑張りたい!あがきたい!

ほんの少し見えた輝きを探したい…見つけたい!

 

千歌は、自分たちが何もしていないと語ります。その行動が無駄かもしれない。それでも、最後まで頑張りたい、足掻きたいのだと。

 

「足掻きたい」という言い回しはこれまでに無かったこともあり、今の千歌だからこそ、Aqoursだからこそ、言うことができたのだと、彼女たち自身の言葉なのだと、強く思わされました。

 

ほんの少し見えた輝きを探したい…見つけたい!

 

彼女たちがみんなと歌ったステージで掴み取った輝きは決して無駄じゃなかった。0から1へと踏み出した小さな一歩は決して無駄じゃなかった。もしもの未来を願うのではなく、過去を、そして今を肯定することが出来た千歌。もう彼女たちに怖いものはありません。いや、怖くてもなお駆け出すのです。

 

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諦めが悪いからね、千歌は昔から!

それは果南さんも同じですわ

お姉ちゃんも!

 

みんなの気持ちが今ひとつになります。

 

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みんなはどう?

 

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いいんじゃない?あがくだけあがきまくろうよ

 

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やるからには…キセキを!

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キセキを!

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キセキを!

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キセキを!

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キセキを!

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キセキを!

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キセキを!

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キセキを! 

 

「キセキを起こそう」と誓った9人。その声に応じて、山間から太陽が登り陽の光が差し込みます。気持ちがカタチになるラブライブの世界。それは間違いなく、彼女たちが「ネクストステップ」へと踏み出した瞬間でした。

 

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「キセキを起こすこと」を9人全員がそれぞれ自分たちの意思で口にしました。それこそが、Aqoursの物語であり、ラブライブ!サンシャイン!!』の物語なのです。

 

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起こそうキセキを!

あがこう精いっぱい!

 

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全身全霊、最後の最後まで!

みんなで…

 

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輝こう!!

 

あとがき

ラブライブ!サンシャイン!!』2期1話「ネクストステップ」視聴終了しました。

 

冒頭でも述べましたが1期13話が完璧過ぎる締め方だったあまり、2期1話が蛇足にならないか心配でしたがそれはやはり杞憂に終わりました。

 

2期1話を待ち望む期待感と緊張感、そして視聴中の止まらない涙。それは1期1話の時と全く変わりありませんでした。

 

一度輝ける確信を得た千歌たちが、統廃合の決定という覆せない不条理に心を折られながらも、再び立ち上がって「キセキ」を起こそうとするまでの物語がこの1話の中に確かに詰まっていたかと思うとそれだけで感無量です。

 

私は見終わった後に放心状態になりました。まるで、劇場版をまるまる一本見終えた後のような充実感と疲労感。

 

最高の13話を届けてくれた後で、最高の14話目を届けてくれたこと。本当に感謝しかありません。

 

1期も合わせるとAqoursは何度壁にぶつかり、そして立ち上がってきたでしょうか。しかも、今回の問題は覆せるのかどうかさえも分からない大きな問題。しかし、それでも「キセキ」を信じてがむしゃらに立ち上がろうとする姿勢は、Aqoursらしくもあり、彼女たちの最大限の輝きを感じました。

 

彼女たちのそんな姿を見ると、君ここの「君はなんども立ち上がれるかい?」という歌詞が思い浮かびます。やはり、彼女たちの歌はブレずに全てが詰まっているのだとあらためて思わされました。

 

そして、なんと言っても統廃合決定という不条理に対して、まだ立ち向かう術は何も無いけど、それは無駄かもしれないけど、決して諦めようとはしない「無謀さ」。『青空Jumping Heart』を始めとした曲の中でも歌われている無謀さですが、やはりそれがAqoursの真骨頂であると私は思っています。

 

―まさにおっしゃっている通りのことを、”青空Jumping Heart”の歌詞に感じていました。この曲の歌詞って、すごく無謀じゃないですか。
「そうですね」
―その無謀さが、泣けます(笑)。
「それは、わたしたちが失ったものだからですね(笑)。そう、時間は戻らないんです」
―そうなんですよね。だから、『ラブライブ!』の楽曲から受け手が感じるエモーションの大きな部分が、この曲には含まれていて。「無謀に何かを夢見ることはどれだけ輝いていて、楽しそうなんだ」っていう。
畑亜貴「Cut 2017年 5月号」 

 

私たちの多くはそれを持ち合わせていなかったり、既に失ってしまっている「無謀さ」。しがらみに捕らわれ挑戦することをやめたり、自然と夢を見ないで生きる選択肢を選んでしまっていたり。なので、彼女たちががむしゃらに壁にぶつかっていく姿勢は、私たちには眩しすぎる程にキラキラと輝いて見えて、それを見ているだけで胸が熱くなり泣けてくるのです。

 

千歌の台詞の中に登場した「足掻く」という言葉も、「無謀」と密接に繋がる言葉だと思っています。

 

そして、「無謀さ」と同時に2期1話を見て感じられたことが、2期においては自らの力で「キセキ」を起こすということが物語の主軸になって来そうなところ。ラストにAqours9人全員が「キセキ」を口にしたことからもそれは伺えます。

 

そして、ラブライブにて初めて出てきたモチーフの紙飛行機

 

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それは、自らの力でキセキを起こすことの象徴でありAqours自身のことを暗示しているのではないでしょうか。

 

ラブライブでは、「鳥」が象徴として登場していました。それは、大きく羽ばたくμ'sの姿。そして、彼女たちの羽ばたきは、「羽根」という象徴であまねくスクールアイドルに夢や奇跡として振りまかれました。

 

しかし、2期1話で現れた統廃合の決定という大き過ぎる問題。そこには、舞い降りて来た奇跡というものは介在しないように思えます。そこで彼女たちが決めたこと。それは、自分たちの力で「キセキ」を起こすためにひたすら足掻くこと。

 

紙飛行機は、輝きへ、太陽へと向かって飛んでいました。ここで言う輝きや太陽とは、「キセキ」のこと。Aqoursは、キセキに向かって足掻くことを誓いました。

 

紙飛行機は、鳥のような推進力は無いけど、力を加えさえすれば飛んで行けるもの。Aqoursは、自らの力で、そして光る追い風の力を借りて飛んでいくのでしょう。

 

紙飛行機は、自分たちの力でキセキへと向かって飛び立つAqoursのこと。

 

いずれにせよ、2期13話を見終わる頃にはその答えは分かっていることでしょう。今は焦らず慌てず、彼女たちの新しい物語の行く末を、キセキの物語を最後まで見届けたいと思います。

 

エンディング

「勇気はどこに?君の胸に!」

 

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この曲は何と前向きなのでしょうか。聞いていると元気を貰えます。歌詞は、2期1話のストーリーがそのまま丸々詰まっているような内容なので、全てにあえて触れる必要は無いように思えます。

 

「僕だって最初から出来た訳じゃないよ」と歌ってくれた上で「勇気を出してみて」と歌ってくれる優しさと心強さ。Aqoursが僕らを応援してくれている」と思い、聴きながら涙が出てきそうでした。

 

私が一番好きな部分は、サビの以下のパート。

 

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失敗なんて 誰でもあるよ

夢は(消えない!) 夢は(消えない!)

 

ドラムの音と共に繰り返し力強いメッセージをくれる、優しく心強い彼女たちの想いが伝わってくるようでいて、本当に大好きな一節でした。(おわり)

 

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「次回、雨の音!」