きりんログ

-愛と青春と声豚の記録-

Aqours 1st LIVEに寄せて ~もう9人の物語~

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Aqours1stライブが迫る日、TVアニメや楽曲の振り返りはこれまでして来たのでラブライブ!プロジェクトを支える大きな柱のひとつである「キャスト」が紡いできた物語に焦点を絞ってこれまでの活動を振り返りたいと思います。

 

今更、皆まで言うことは無いことはご承知おきかもしれませんが、ラブライブ!プロジェクトにおいては、とりわけキャストの存在がコンテンツにおいて一翼を担ってきました。それは、キャストがキャラクターとシンクロするライブがファンの間で大切にされてきたから。

 

別にラブライブ!が初めてそこの領域に踏み込んだ訳ではなく、これをヒットの要因として語るにはこれほど説明として不十分なものはありません。ただ、本作はそのシンクロの度合いが凄まじいレベルにあることは事実ですし、それが相互補完的にキャストが劇中のキャラクターに近づいていき、逆に作品がキャストに寄っていくといったところにも物語があったことは、沢山の人に愛され最期に大きな夢を叶えたことと無関係ではないと思っています。

 

詳しいラブライブ!プロジェクトの振り返りは以下の記事をご覧ください。

ayarieshon.hatenablog.com

 

そして、「ラブライブ!サンシャイン!!」でもプロジェクト開始からおよそ2年の間にキャストによるミニライブでその一端が披露されてきました。2月25日、26日の二日間にはその集大成でもあり、新たな始まりでもあるAqoursの1stライブが開催されようとしています。

 

その1stライブの前に、キャストがどのような思いを抱えて本プロジェクトに参加し、どのような思いを持ちながら日々を過ごしているのか、といった部分を掘り下げて振り返っていきたいと思います。また、彼女たちがキャラクターや作品とシンクロする部分、あるいは、彼女たちにしかない物語。そこにも触れつつ、直前に控える9人の少女たちによる新たな物語への旅立ちへと思いを馳せたいと思います。

 

伊波 杏樹さん

 

私は以前から『ラブライブ!』の大ファンだったんです。お気に入りのメンバーは小泉花陽ちゃん。μ'sのライブにも何度も足を運んでいて…。そんな私にとって、μ'sは手の届かない雲の上の存在でした。

電撃G'sマガジン2016年9月号

 

Aqoursのリーダー、伊波さん。彼女を見ていて思うのが、伊波さんは彼女自身が演じる千歌にマインドや境遇の点で似ている点が多いこと。μ'sの、ラブライブ!の根っからの大ファンだったという伊波さん。μ'sのことが大好きで、μ'sに憧れる気持ちを抱いている姿は、劇中に登場する高海千歌そのものと言ってもいいでしょう。

 

よく声優さんに対する質問で「あなたが役と似ている部分は?」という質問がありますが、ラブライブ!のキャストの方々は役と似ている部分を多く持った人が多い印象を受けます。それは、やはり本作がキャラクター自身になりきって歌って踊るライブをメインコンテンツとして据えるプロジェクトだからでしょうか。本作においては、キャラクターと似ている部分は単なる声優さん自身の個性という領域を超えて、キャラクターとしてステージ上でパフォーマンスする上での重要な要素にさえなりうると思います。

 

「地球最後の日に見たいアニメ」には、「ラブライブ!」という声も2名ほど上がっていましたが、伊波さんが質問された時も「やっぱりラブライブ!ですかね~」と答えられていたのが印象的でした。

アニメ大好きオーディション「アニストテレス vol.5」の記録 - きりんログ

 

アニストテレスというオーディションの司会のお仕事の時もラブライブ!愛を語っていた伊波さんですが、ラブライブ!という作品への憧れが強すぎるあまりに、オーディションに受からなかったら声優のお仕事を諦めようとさえ考えていたというほど。

 

舞台のお仕事をしつつ、声優のオーディションに挑戦する日々が続いていたけど、なかなか合格できずにいて。でも、『ラブライブ!』は憧れの作品!!このオーディションに私が2年間で培ってきたもの、吸収してきたものを全部捧げようという強い気持ちで臨みました。このオーディションに受からなかったら、声優をあきらめようとまで考えてたほどです。

電撃G'sマガジン2016年9月号

 

強い気持ちで臨んだオーディションに伊波さんは念願の合格を果たします。しかし、実際に合格してからというものの、ラブライブ!プロジェクトが築き上げてきたこれまでの数々の成功はプレッシャーという形で伊波さんの肩に重くのしかかりました。彼女演じる高海千歌Aqoursのリーダーだったということも、自分がそれを背負わなくちゃとプレッシャーを強く感じた一因でもあったようです。

 

先代のμ'sが築き上げてきた夢や信頼や輝き…。そのすべてを背負ったんだって、リーダーとして失敗は許されないんだって。

電撃G'sマガジン2016年9月号 

 

μ'sの築き上げてきた夢や信頼や輝きを背負わなくちゃという重責。それは、劇中には登場しないキャストならではの悩みでした。劇中では決してμ'sの後輩ではなくμ'sに憧れたスクールアイドルの1グループとしてAqoursは描かれていましたが、実際にコンテンツを引き継いだキャストからしてみれば、そのような思いを抱えていることは自然なことでしたでしょうし、世間の目もそういった見方をする人たちが少なかったとは言えなかったのが現実でした。

 

私はずっとμ'sの高坂穂乃果ちゃんを見てきたので。いつも元気で前向きですよね?千歌ちゃんも穂乃果ちゃんと同じように、私にはない輝きを持っているから、そこに自分から手を伸ばそうとは思えませんでした。リーダーにふさわしくない私が、千歌役をやっているという申し訳なさもあり、あんなに大好きだった『ラブライブ!』を、素直に好きといえない時期があったくらい。

電撃G'sマガジン2016年9月号

 

これまでずっとラブライブ!という作品を愛して追いかけ続けてきた伊波さんですが、高坂穂乃果に憧れる"普通の少女"として描かれてきた高海千歌という存在でさえ自分にはない輝きを持っている遠い存在として見ていた時期があったそうです。自分と役のギャップ、それは好きな作品を素直に好きと言えないほどでした。

 

そんな伊波さんを救ってくれたのは、他でもないAqoursメンバー8人の存在。

 

みんなの声が背後から聞こえてきたら、大切なことを実感したんです。「私は1人じゃない。いつも助けてくれる仲間が必ず近くにいるんだ」と。

電撃G'sマガジン2016年9月号 

 

ステージ上で一番前に立つ伊波さんに届いたのは、心強い信頼できる仲間たちの声。奇しくも伊波さんの背中を支えたのは、劇中でも語られるような1人では決して作れない仲間たちの輝きでした。そして、劇中に登場する千歌の言葉も彼女を支える力になったと話します。

 

千歌ちゃんの言葉が、私にすごく勇気を与えてくれるんですよ。彼女はポジティブな言葉で「Aqoursは9人で1つなんだよ」と教えてくれて。芯がしっかりした女の子だからこそ、周囲の人が支えたくなるんでしょうね…。私も千歌ちゃんの見ている世界を見たいし、感じることを全部感じたい。互いに手を取り合って、千歌ちゃんに少しでも近付きたい…。

電撃G'sマガジン2016年9月号

 

千歌の言葉に触れて前に進む勇気を貰った伊波さん。今は、「役になる」のではなく高海千歌として「生きる」覚悟を持つようになりました。

 

今の伊波さんは、もうμ'sに憧れるだけの普通の少女ではなく、9人で進む未来には無限の可能性があるとも語っています。

 

9人だったらなんでもできて、9人だったらどこにでも行けるということをこの目で見てみたいですね。始めたことは最後までやり遂げたいし、やりこなしていきたい。もう無理って思うことをやめたから…。

電撃G'sマガジン2016年9月号

 

その言葉は、1期ラストの「君のこころは輝いてるかい?」という千歌の台詞に重なるものでした。

 

私達がゼロから作り上げたものってなんだろう。 形の無いものを追いかけて、迷って、怖くて、泣いて。 そんなゼロから逃げ出したいって。 でも…何も無いはずなのに。 いつも心に灯る光。 この9人でしか出来ないことが必ずあるって信じさせてくれる光。 私たちAqoursは、そこから生まれたんだ! 叶えてみせるよ、私達の物語を!この輝きで!!

高海千歌

【ラブライブ!サンシャイン!!】第13話「サンシャイン!!」~みんなで輝く物語~ 感想ひとりごと - きりんログ

 

逢田 梨香子さん

 

転校生という立場や、性格が自分に似ているところがたくさんあるなぁって。「この9人の中なら梨子ちゃんが一番!!」と最初から決めていました。

電撃G'sマガジン2016年9月号

 

逢田さんはAqoursの中では最年長であり、いつもメンバーのことを見守ってあげているような印象を持っています。実際に、他のメンバーからもそういった声があがっていたかと思います。

 

逢田さん演じるのはμ'sがいた音ノ木坂学院から転校してきた桜内梨子ですが、逢田さんにとって梨子は、自分と似た境遇や性格を持っていたためオーディション前から特別な感情を抱いていたそうです。確かに、逢田さん自身も海外へと転校したり、おしとやかに見えて実際は芯の強い性格など、似た点は多いように見受けられます。

 

そんな逢田さんは、梨子への愛情からか最初はアフレコ時にやる気が空回りしてしまったそうです。

 

最初はやる気が空回りして、声を別人のように作り込んでしまったこともありました。でも、スタッフさんから「梨香子は梨子ちゃんと似ているところが多いんだから、自然体で演じたほうが梨子ちゃんらしいんじゃない?」とアドバイスをいただいて。

電撃G'sマガジン2016年9月号

 

客観的な立場にいる制作陣から見ても、梨子とは似ている部分が多かったと言われる逢田さん。役者として「梨子の声を作る」といった意識を一度捨てて、彼女自身が自然体で演じることこそが梨子として生きられる唯一の答えでした。

 

激しい歌やダンス経験は無かった逢田さんは、実際に桜内梨子として初めてステージに立った「ラブライブ!サンシャイン!! Aqoursスペシャル課外活動 みんな準備はできてるかい?~せーので SUNSHINE!!~」では、その大変さを思い知ったようです。

 

あの時、私はステージの上が戦場だということを初めて知りました。3曲ほど披露したのですが、息が上がってしまって…。μ'sが笑顔で歌って踊っていたけど、それはアスリート的な体力と日々の鍛錬が成せることだったんですよね。

電撃G'sマガジン2016年9月号

 

初めてファンの前でキャラクターとシンクロしたパフォーマンスを披露したAqours。逢田さんが語るように、自らがスクールアイドルとしてステージに立ったことで、先代のμ'sの凄さを思い知るきっかけになりました。

 

笑顔で歌って踊るスクールアイドルの所作が日々の鍛錬に裏打ちされたものであること。前作の劇中でも、スクールアイドルの大変さとして腕立て伏せをしながら笑顔でいられるか、といった場面がありましたが、私は自然とその場面を思い出してしまいました。

 

逢田さんいわく、Aqoursはただ9人いればいいという訳ではなく、それぞれに足りないものを持って補い合いながらひとつのグループとして存在しているので、決してメンバーがひとりでも欠けてはいけないと語ります。

 

お互いに足りないものを持っているので、1人でも欠けたらダメ。それぞれの役割分担があって、補い合いながらやっています。メンバー同士はとっても仲よしだけど、よきライバルでもあるので、それぞれが心のどこかで負けたくないと思っているはず。

電撃G'sマガジン2016年9月号

 

仲良しだけど同時によきライバルでもある関係性。彼女たちはお互いに一番負けたくない存在ゆえに仲間なのです。

 

自分にないものをみんなそれぞれがたくさん持っているから、他のメンバーに対しても尊敬できる部分がたくさんあります。役割分担ではありませんが、個性や立ち位置がそれぞれにあるから、誰一人欠けられないんです

B.L.T.VOICE GIRLS vol.27

 

別々のフィールドでそれぞれの活動を頑張って来た彼女たちがひとつになったグループ、それがAqours。ゆえに、お互いが培ってきた得意分野や持ち味が光り、補い合いながら大きな輝きへと変わる。かつて先代のμ'sがNYライブで同様のことを語ったように、お互いが異なる得意分野を持っているからこそ、それをリスペクトしながら最高のチームになるのでしょう。

 

斉藤 朱夏さん

 

声優さんがお芝居だけでなく、役柄とシンクロしながら歌って踊るスタイルが私にはとても新鮮で、その魅力に惹き込まれたんです。(中略)それに私は小学校のころからジャズヒップホップを中心にいろんなダンスを習ってきたので、その特技が『ラブライブ!』なら存分に生かせるのではという期待もありました。

電撃G'sマガジン2016年9月号

 

Aqoursの中では最年少の斉藤朱夏さん。持ち前の明るく朗らかな性格や、君ここの馬跳びに代表されるような抜群の運動神経の良さを持った斉藤さんは、いつ見ても曜ちゃんにこれほどふさわしいキャストはいないなと思わされる存在です。

 

彼女がラブライブ!プロジェクトに飛び込んだのは、自身が幼少期からずっと続けてきたダンスをしながら歌うキャラクターとシンクロするそのスタンスに魅力を感じていたからだと言います。

 

そんな斉藤さんにとって自身が演じる曜ちゃんはプロフィールを読んだ時からシンパシーを感じていたそうです。

 

趣味が筋トレで特技が高飛び込み、「前逆宙返り3回半抱え型」なんて大技ができちゃうくらい、とにかくアクティブで運動神経抜群な渡辺躍ちゃん。初めてメンパープロフィールを読んだときは、なんて元気な女の子なんだという印象を受けました。私も、小学4年生からずっとダンスを続けていたり、中学の頃は部活でバドミントンをやっていたりとわりとアクティブなほうではあるので、シンパシーを感じましたね。

B.L.T.VOICE GIRLS vol.27

 

動きが機敏でダンスの端々からも運動神経の良さが滲み出ている斉藤さん。傍から見ていても曜ちゃんに似ているなと思えますが、ご本人もシンパシーを感じているというのは納得です。

 

斉藤さんとしては、役者として何度か舞台を踏んだ経験はあるようですが、声優としてアフレコをする経験はラブライブ!サンシャイン!!まで、無かったそうです。緊張すると手が震えるという斉藤さんですが、そんな彼女を支えたのは他でもないAqoursのメンバー。

 

やっぱり、9人いっしょになると、心強いんですよ。私には声優としてのキャリアがないので、アフレコの時もみんながいっぱい支えてくれて。

電撃G'sマガジン2016年9月号

 

声優としてアフレコ経験者もいる他のメンバーの存在は、斉藤さんにとってとても心強かったそうです。斉藤さんは、その分自分が得意なダンスではメンバーをサポートできる部分は率先してサポートしているとのこと。逢田さんも語られていましたが、それぞれに得意分野や役割分担があるからこそ、ひとつのグループとして強い輝きを放つことができるのです。

 

ステージに立つ斉藤さんには、ひとつの目標が出来ました。それは、斉藤朱夏としてではなく彼女が演じる渡辺曜としてステージに立つこと。

 

今の課題は、斉藤朱夏としてではなく、渡辺曜としてステージに立つこと。本当に頭のてっぺんからつま先まで渡辺曜になりきって、お客さんからは斉藤朱夏じゃなくて、渡辺曜に見えたらベストなんじゃないかなと思っています。

B.L.T.VOICE GIRLS vol.27

 

頭のてっぺんからつま先までという言葉を聞いて、自然と私の中でμ'sの中にも役そのものになりたいと語っていたキャストがいたことを思い出しました。

 

本気でキャラクターとしてステージに立ちたいと願う斉藤さん。そう願うことこそがキャラクターに近づく第一歩であり、それを見つめる我々としては自然と彼女を応援したいという気持ちが芽生えます。1stライブでは、Aqours渡辺曜としてステージに立つ姿を見届けられることが今から楽しみです。

 

小林 愛香さん

 

μ'sのキャスト9人は歌と演技の両方を担当していますし、「もっと広い視野で音楽に関わることで、私ががんばれる場所があるかもしれない。自分の可能性が広がるかもしれない」と思って。

電撃G'sマガジン2016年10月号

 

子供の頃からバレエやダンスを経験して、歌が好きで、いつか歌手になりたいという夢を持っていた小林さん。2011年にソロ歌手としてデビューしますが、その活動は思い描いたようにはいかなかったようです。

 

その中で彼女が出逢ったのがラブライブ!プロジェクト。

 

歌もダンスもやっていたので、『ラブライブ!』ならそれを生かせると思いました。「声優のオーディション受けない?」って過去に何度か事務所の方に聞かれた時は断っていて。

日経エンタテイメント アニメスペシャル 声優バイブル2017

 

過去にも何度か声優オーディションの話は受けていたという小林さんですが、その誘いはすべて断っていたといいます。それでも、ラブライブ!なら自分が得意な歌とダンスを生かせるかもしれない。そう思い、またμ'sの姿を見て、これまで自分が経験してきた歌とダンスを生かしながら広い視野で音楽に関われることができ、自分の可能性も広がるかもしれない。そんな想いを持って、小林さんはラブライブ!プロジェクトへの挑戦を決めたそうです。

 

そんな小林さんは、ヨハネに出逢うことで実際に音楽の可能性が広がった様子。

 

私自身、"天使モード"の声が出ることに驚きました。ヨハネに出会って、今までは自分で自分の限界を決めていたんだなって、初めて気づきましたね。

電撃G'sマガジン2016年10月号

 

二面性を持ったヨハネに出逢い彼女を演じることで、自分の中にも別の声が出せる"可能性"があることに気づけたそうです。

 

そんな彼女は、メンバーの中でも適応能力が凄く器用な部分があるとのこと。

 

​(降幡)それぞれが、さまざまな活動をしていたメンバー9人が集まったのですが、あいきゃんはなかでも、適応能力がスゴくて、今まで経験したことがないことでも率先してできてしまうんです(中略)力の加減とか、集中と緩和の使い方が上手い。善子……じゃなくて、ヨハネになって歌うのも本人は大変かもしれないけど、それを見せずに余裕ある感じでこなしてしまうんです。

B.L.T.VOICE GIRLS vol.27

 

自身も率先してダンスの部分でメンバーをサポートしていきたいと語る小林さん。歌やダンスに留まらず、新しいことへの適応能力が高い小林さんには是非Aqoursの中でも他のメンバーを引っ張っていってくれるような大きな存在になられることを楽しみにしています。

 

高槻 かなこさん

 

私はこれまで運動をしてなかったので誰よりも体力がなくて。1人だけみんなから置いていかれ、さらに不注意から足を捻挫しちゃって、せっかく参加したのに1日見学…。

電撃G'sマガジン2016年10月号

 

いつも明るく面白い高槻さん。彼女はこれまで音楽活動を続けてきましたが、ダンスや運動は未経験のようで体力の点で他のメンバーに遅れを取っていました。「ラブライブ!サンシャイン!! Aqoursスペシャル課外活動 みんな準備はできてるかい?~せーので SUNSHINE!!~」でもイベント中で流れた合宿の映像でも映っていたように、ランニングで9人の一番後ろを走る高槻さんの姿がありました。その姿は4話で淡島の階段を登っていたマルちゃんに重なって見えます。

 

そんな彼女も日々の努力の積み重ねによって自信をつけることに成功します。

 

昔の私は失敗するのがイヤで、新しいことに挑戦するのが怖かった…。でも、Aqoursの活動を通じて、本気でがんばったことは"本当の自信"になっていくということを学びました。μ'sの物語にも『サンシャイン!!』にも夢を叶えるために、日々の積み重ねを大事にするシーンがあります。それって今まさに、私が体験していることなんですよね。

電撃G'sマガジン2016年10月号

 

かつては失敗を恐れて新しいことに挑戦することが怖かった高槻さん。Aqoursの活動を通じて本気で頑張ったことで本当の自信につながったと語っています。高槻さんも指摘するように、その姿はまさに劇中のスクールアイドルの姿に重なります。

 

本音をいうと、私は外見もかわいい系じゃないし、ファンやスタッフのみなさんに「花丸役は似合わない」といわれる日がくるかもと悩んでいたこともあります。声優としてのキャリアがない私にはアフレコも初体験。極度の緊張で声が出ない時もあって…。でも、TVアニメの台本を読んでいくうちに、マルちゃんの他人のことばかりを気づかい、自分のことが二の次になってしまう優しい性格に惚れ込んでしまったんです。気づいたら、誰にも渡したくないくらい彼女を好きになっていました。

電撃G'sマガジン2016年10月号

 

表の明るい高槻さんの姿からは想像できない悩みを抱えていたようですが、自身が演じるマルちゃんの友達想いの姿を見て、愛おしく誰にも渡したくないと思うようになったそうです。そう思ってからは、マルちゃんのために自分の力のすべてを尽くしてあげようと決意したと語ります。

 

「誰になにをいわれても、マルちゃんの気持ちを伝えるために、私が持つカのすべてを出して演じよう。それが運命的に私のもとに訪れてくれた彼女への最大の恩返しだ」と。今ではそう思っています。

電撃G'sマガジン2016年10月号

 

今の彼女の使命、それは全身全霊でマルちゃんの気持ちを見てくれている人たちに伝えること。それが運命の出逢いから始まって、苦手なことから逃げていた自分を変えてくれたマルちゃんへの最大の恩返しだと、そう語るまでに彼女は成長しました。

 

私はずっと1人だったので合宿の前は「みんなの輪に入れなかったらどうしよう」と心配してたんです。ところが、すぐに打ち解けて自然にしゃべれたんですよ。あの時はそれが不思議だったんですけど、今ならその理由がわかる気がします。やっぱり『ラブライブ!」が好きで、μ'sが好きで、同じ夢を抱いた仲間だったからなんだと。キャストのみんなで制服を着てイベントに参加していると、スクールアイドル部の活動のようで青春を感じます。こんな仲間たちと学生時代を過こしたかった!!そう…私にとってAqoursの活動は、生まれて初めての青春時代ですね。

電撃G'sマガジン2016年10月号

 

かつてはひとりで音楽活動を行い、集団活動も苦手だと語っていた高槻さんですが、Aqoursのメンバーとはすぐに打ち解けられたのは『ラブライブ!』という作品のことが、μ'sのことがメンバーみんな好きだったからだと語ります。

 

そして、今が青春時代であると。そう胸を張って言う姿はまさに大好きなμ'sに憧れながら、スクールアイドルのことが大好きで、今しかない青春を駆け抜ける劇中のAqoursのメンバーそのものだな、と思ってしまいました。

 

降幡 愛さん

 

私はもともと『ラブライブ!』のTVアニメが大好きで、夢中になって観ていました。スクールアイドルを必死に目指す穏乃果ちゃんたちの姿が、声優になろうと試行錯誤する自分の姿と重なって。その悩みに共感したり、励まされたり、もういろいろ…。なので、憧れの作品に出演したい一心でオーディションを受けたんです。

電撃G'sマガジン2016年10月号

 

ラブライブ!が大好きだったという降幡さん。ただファンのひとりとして作品を見ていただけでなく、劇中で大好きなスクールアイドルに向かってひた走る穂乃果たちの姿に自分に重ね合わせて見ていたようです。好きなものに憧れて必死になる姿は、μ'sに憧れてスクールアイドルを目指すAqoursメンバーそのもの。

 

最終のスタジオオーディションで、役柄や「ラブライプ!」への想いを語っているうちに感極まって大号泣してしまったんです。酒井(和男)監督が声をかけてくださっても返答ができないくらい。あの時は、"今、ここに立っている自分"が信じられなくて、本当にうれしくて、夢のようで…。

電撃G'sマガジン2016年10月号

 

オーディションで"好き"への想いが強すぎて大号泣してしまった降幡さん。ラブライブ!プロジェクトは本当にキャラクターとリンクする部分が多いキャストの方々ばかりですが、オーディションでの降幡さんの姿は黒澤ルビィそのもの。何か役を演じる上で、特にラブライブ!プロジェクトでは、技量を超えていかに"キャラクターらしさ"をその人が持っているかというところに焦点を当てて人を見ているような印象を受けます。降幡さんを初め他のメンバーがどこかキャラクターとシンクロする部分を持っているのも、サンシャインプロジェクトに選ばれた理由の大きな部分を担っているのかもしれません。

 

内心は「未熟な私がこんなにかわいいルビィを演じられるのかな?」という不安との戦いで…。(中略)収録を重ねていくうちに彼女の内面がよくわかっていき、泣き虫だったり、慌てん坊だったり、私自身と根っこの部分がすごく似ていることに気づいたんですね。それからはルビィが心の中にいるのを感じながら演じることで、頭で考えなくても自然に声が出せるようになったんです。

電撃G'sマガジン2016年10月号

 

オーディションの話を聞けば本当にルビィとシンクロしているように見える降幡さんですが、最初は演じることに対する自信を持っていなかったようです。それでも、ルビィと一緒の時間を過ごす内に根っこの部分では似た者同士だと自分でも気付いたという降幡さん。今では、心の中にルビィがいることを感じながら自然に演じることが出来ているそうです。

 

ルビィを演じるうえで姉・ダイヤ役の(小宮)有紗と本当の姉妹みたいな関係が築けたのも私の中では大きいです。(中略)お互いのダメなところも、いいところも認められる仲かな。それが本当に黒澤姉妹みたいで。ルビィがダイヤを想うのと同じ感覚で、有紗と接している瞬間があります。

電撃G'sマガジン2016年10月号

 

姉役の小宮さんとも実際に姉妹のような関係性を築けていることも注目に値するところです。

 

μ'sの最後のシングル「MOMENT RING」をいつも忘れないでいたい。「無謀な夢から始まって~」という歌詞がグッとくるんですよ。今日もインタビューの前に聴いてきました。私たちも誰かに無謀なことだと思われても、あきらめずに奇跡をつなげて、未来へ挑戦していきたいです。そして、ファンのみなさんといっしょに"今"を全力で楽しんでいきたいです。

電撃G'sマガジン2016年10月号

 

個人的にμ'sの活動を追いかけ続けてきて「MOMENT RING」の素晴らしさを身に沁みて知っている私としては、降幡さんのこの発言を聞いた時は涙が出そうになりました。Aqoursは別にμ'sの後輩という立場でありませんが、μ'sの思いが絶えることなく次の世代に受け継がれていることを知ると本当に感慨深いものがあります。

 

諏訪 ななかさん

 

当時から、歌と演技とダンスが楽しめるミュージカルに興味があったので、その勉強もしながら。いろいろなオーディションに応募を繰り返す日々を過こしていたある日、私が絶対に合格したいオーディションが舞い込んできたんでず。それが「ラブライブ!サンシャイン!!」でした。私は以前から声優さんが、歌って、踊って、お芝居をするという、μ'sのスタイルが大好きで。それってミュージカルと同じワクワクを感じるエンターテイメントだなあと…。

電撃G'sマガジン2016年11月号

 

普段は落ち着いていて一歩引いたところから周りを見ている印象を受ける諏訪さん。ですが、彼女は一度ステージに立てば、誰よりも笑顔で歌って楽しそうに踊るまさにスクールアイドルの姿を見せる人であります。

 

諏訪さんは、元々ミュージカルに興味があったと言っています。声優さんが歌って踊ってお芝居をするμ'sのスタイルが大好きなミュージカルのワクワク感に似ていると感じ、サンシャインプロジェクトに飛び込んでみようという気になったそうです。彼女が満面の笑みで歌って踊るのもひょっとしてミュージカルを意識したものなのかもしれません。

 

そんな諏訪さんは、自分が演じる果南とは似ている部分が多いと語ります。

 

性格面では果南と重なるところが多くて、今では"もう1人の自分"みたいな親近感があります。(中略)いろいろな葛藤や想いが胸に渦巻いているけれど、それを言葉にしない。特に3年生組に対しては、仲間のことを思いやるあまり、考えすぎてなにも言えなくなってしまう女の子……。私自身、いっぱい考えてはいるけど、その言葉を口にしたあとの人間関係を考えると、なにも言えなくなってしまうタイプなので、果南の気持ちがよくわかる気がして。

電撃G'sマガジン2016年11月号

 

諏訪さん自身も不器用なところがあり、いろいろな思いが胸の内にあるけれどそれを言葉としてなかなか出せないで、そこが果南と似ているそうです。一方で、自分には無いおおらかさも果南と一緒の時間を過ごす内に彼女の中に入ってきたようです。

 

果南を演じているうちに、その海のように広くておおらかな性格が自然と私に入ってきたみたいです。それが晴れた日の海風のように心地よくて、私のプレッシャーも軽くなっていくようで。果南を理解しようと必死に歩み寄っているうちに、自然と2人でいっしょに走り出していた感覚…。焦ることなんかない、前向きな気持ちでいれば大丈夫だって、果南に教えてもらいました。

電撃G'sマガジン2016年11月号

 

諏訪さんの元々の性格に加え、果南のおおらかな性格が自分の中に入り込んできた。それは心地のよいもので、焦らず前向きな気持ちになれると語ります。果南演じる諏訪さんが、彼女を演じている内に段々と果南に性格が似て来たというお話は、大変興味深いものでした。そんな諏訪さんの目標は、輝きの中に果南を立たせて、見てくれる人たちがそこに果南がいたと思ってくれるようなパフォーマンスをすること。

 

その輝きの中に完璧に果南を立たせたいです。一瞬でも松浦果南がいたなって、思っていただけることが私を導いてくれた彼女への、愛してくれるファンのみなさんへの最大の恩返しだと思っています。

電撃G'sマガジン2016年11月号

 

果南から前向きな気持ちを貰った諏訪さんは、自分を導いてくれた果南とそして彼女を愛してくれるファンへの恩返しとして夢を語りました。そんな諏訪さんがステージ上で涙を流したことがあります。

 

デビューから約1年半が過ぎて思うのは、信頼した相手の前では感情を隠せないし、逆に隠さなくてもいいんだなっていうことです。ライバルで、最大の仲間である9人と力を合わせ、あの日―。1月11日のメルパルクホールのステージで円陣を組んだ時に、心に描いた夢へ向かって進んでいきたいです。

電撃G'sマガジン2016年11月号

 

彼女は、「Aqours夏休み課外活動 ~みんなでいっしょに夏まつり~ in 沼津」にて涙を見せました。いつも気丈に振る舞っているように見えるだけに、その姿を意外だと思った方は多いのではないでしょうか。彼女は言います。信頼した相手の前では感情を隠せない。本当に信頼できる仲間たちと、ひとつの夢に向かって進んでいく姿をいつまでも見守り続けていたい。彼女を見ているとそんな気分にさせられます。

 

小宮 有紗さん

 

約1年間、アフレコ作業をするうちに、全身を使って演技する役者とは違い、声だけですべてを表現する声優の奥の深さというか、お芝居にすこくおもしろさを感じるようになって。事務所のマネージャーさんに「いつか声優もやりたい。アニメーションなどにも挑戦したい」と話していたんです。

電撃G'sマガジン2016年11月号

 

これまで、女優として活躍してきた小宮さん。戦隊ヒーローのお仕事の時、声優さんと一緒に仕事をした際に、声だけですべてを表現する声優の奥深さを感じるようになったそうです。いろいろなお芝居をしてみたいという想いはずっとあったらしく、更に芝居の幅を広げられる可能性を感じ、声優の仕事に挑戦することを決められました。

 

そして、ラブライブ!プロジェクトを知り参加しようと思ったきっかけは、奇しくも高坂穂乃果役の新田恵海さんと同じ舞台を踏んだ機会があったこと。声優という本業でありながら、高いダンスと歌のパフォーマンスを追求する姿勢。その姿勢に共感を得て、憧れを持つようになりました。

 

ある舞台でμ'sの新田恵海さんとごいっしょさせていただいて、その時に『ラブライブ!』のことを知りました。キャラクターに命を吹き込む声優でありながら、ライブで歌やダンスパフォーマンスを披露するというμ'sの活動に衝撃を受けたんです。しかも、本業ではないダンスや歌がちょっと下手でもいいとか、そういう妥協がいっさいないじゃないですか?ファンのみなさんのために、スクールアイドルとしてとことん高いレベルを目指すというμ'sの姿勢にすこく共感して。キャストのみなさんが本気で全力でプロジエクトに挑んでいる印象があって、憧れました。

電撃G'sマガジン2016年11月号

 

作中には登場しないシリーズを超えたキャスト同士の邂逅。彼女たちだけのドラマがそこにはありました。

 

ずっと女優業を続けてきた小宮さんにとって、Aqoursの活動は仲間と一緒に何かを作り上げていく感覚が強いと語ります。

 

女優のときは基本的にはひとりだし、自分との戦いという面が強いかもしれませんが、ここには信頼できる仲間がいるし、みんなで一緒にいいものを作り上げていきたいという思いが強いです。そして、それぞれ得意分野が違うので、お互いにいい影響を与え合える関係だと思っています。

B.L.T.VOICE GIRLS vol.27

 

逢田さんも指摘しているところですが、Aqoursのメンバーはそれぞれのフィールドで活動してきて全員が異なる得意分野を持っているので、お互いにいい影響を与え合える関係にあるそうです。

 

ダンスだったら、しゅかしゅー(斉藤朱夏)が上手なので、彼女を基準にして揃えたり。歌だったら(高槻)かなこちゃんやあいきゃん(小林愛香)が引っ張ってくれたり。そのなかで、私もお芝居の面でみんなを引っ張っていけたらいいなと思っています。

B.L.T.VOICE GIRLS vol.27

 

女優というフィールドで自分との戦いという経験があったからこそ、小宮さんはグループ活動での周りの人との補い合いの大切さを知っている。そんな彼女は、諏訪さんも「女優としての経験が豊富な分、言葉に気迫がある」だと指摘するように、自分にしかできない役を全うすることで輝こうとしているひとりなのです。

 

鈴木 愛奈さん

 

それまでアニメ作品を観て、涙を流すほど心を揺さぶられたことはなかったので、本当に衝撃的で。「μ'sの熱いドラマがおもしろい」とまわりの人たちに熱く語っていたんです。

電撃G'sマガジン2016年11月号

 

小学生の頃からアニメが好きでアニメに関わる仕事をしたいとい想いを持ちながらも自分の声は声優には向いていないと燻っていたところ、「第7回全日本アニソングランプリ」でファイナリストになったことで更にアニメに関わる仕事に対する思いが強くなったのが本気でこのお仕事に挑戦しようときっかけだという鈴木さん。

 

以前からラブライブ!のことが大好きで、ラブライブ!のドラマの面白さを知り、周りにそれを喧伝していたくらいだという鈴木さん。ラブライブ!が憧れの作品だっただけに、本作への出演が決まったときは嬉しさのあまり大号泣してしまったそうです。

 

私は『ラブライブ!』という作品がずっと大好きだったので、『ラブライブ!サンシャイン!!』への出演が決まったときは、嬉しさで大泣きしてしまいました(笑)。ずっと感動して、しばらくは夢の中にいるようなフワフワした気持ちで現実味をあまり感じられませんでした。

B.L.T.VOICE GIRLS vol.27

 

自分が夢見ていた場所に立った鈴木さん。プロジェクトへの参加当時は自分のことで精一杯で周りのことがあまり見えていなかったそうです。

 

鞠莉は9人の中でもみんなを見守る立場。私自身は1年前の時点ではまだ自分のことで精一杯で、周りのことはあまり見えていませんでした。歌やダンスなどみんなで頑張ってひとつのものを作り上げていくなかで、周りを見ると自分が持っていないものをみんながたくさん持っていると気づき、今は少しずつですがそこから吸収させてもらっています。

B.L.T.VOICE GIRLS vol.27

 

Aqoursの9人で歌やダンスを通じてひとつのものを作り上げる過程のなかで、周りを見る機会が増えていった。そのなかで、他のメンバーから自分にはないものを吸収していけたそうです。

 

鞠莉という役を頂き、彼女がどう思っているのかを考えるようになったからこそ、私自身も周りを見られるようになりました。いわば今の私は彼女が与えてくれたものだと思っています。

B.L.T.VOICE GIRLS vol.27

 

鈴木さんいわく、周りのことを見られるようになったのは鞠莉のおかげだと。鞠莉が9人のことを見守る立場にあり、彼女の思いを考えているうちに自分も周りのことを見られるようになった。諏訪さんも果南を演じるうちに性格が似てきたと語っていましたが、鈴木さんも鞠莉のことを考えながら演じるうちに自分も同じ振る舞いが自分でできるようになったと語ります。「今の私は彼女が与えてくれたもの」というように、鞠莉がいたからこそ、今の鈴木さんがあるというのは何か胸が熱くなるものがあります。

 

Step! ZERO to ONE

ここまでAqoursメンバー9人それぞれの軌跡を振り返ってきました。彼女たちがどのような思いを抱えて本プロジェクトに参加し、どのような思いを持ちながら日々を過ごしてきたのか。そこには確かに、キャラクターや作品とシンクロする物語もありながら、彼女たちにしかない物語も確かにあったことが分かりました。

 

あとわずかに迫ってきたAqoursが踏み出す0から1へと大きく踏み出す最初のライブ。彼女たちがこれまで歩んできた軌跡が大きく結実する日に、9人の想いと輝く姿をしかと受け止めて新たな夢の軌道が描かれることをこの目にしっかりと焼き付けたいと思います。