ラブライブ!The School Idol Movie -シーン別感想①-
前回は、『ラブライブ!The School Idol Movie』の全体を通しての感想を書かせて頂きました。大筋をかいつまんでの感想だったので、細かい部分については触れられていなかったことが心残りでした。そのため、今回からは、劇場版の中で特に気になったシーンについて、細かく感想を書いていきたいと思います。
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子供時代の穂乃果たち-過去から未来へ-
まずは、冒頭のシーン。子供時代の穂乃果たちの様子が描かれていました。失敗しても挑戦をやめない穂乃果、側で見守ることり、木の影に隠れて眺める海未。3人の関係性が昔から変わらないことに、不思議な居心地の良さを覚えた人は多いのではないでしょうか。
しかし、ただ彼女たちの関係性を描いていただけではありません。ここでは、映画の後半へと繋がる重要な描写がありました。それは、穂乃果が水たまりを飛び越えるシーン。どこからともなく聞こえてきた歌によって、穂乃果は「楽しい」という気持ちを持って、水たまりを飛び越えることに成功します。この時の記憶、そして「楽しい」という感情が鍵になって、映画の後半に穂乃果を突き動かすことになります。
冒頭のシーンの最後には、水たまりを飛び越えた穂乃果の一歩が、未来へと繋がるシーンが描かれます。過去から今へと時間が移り変わる瞬間。その時間の転換が鮮烈に描かれており、非常に巧いと感じた演出でした。また、これまでの穂乃果の歩みが、今の穂乃果に繋がっていることを示しているようでもありました。
大都会に降り立つ-ことりの気持ち-
三組に分かれて、タクシーでホテルに向かうシーン。普段とは少し違う組み合わせだったのが印象的でした。その中でも、海未とことりと凛が同じグループになったことに不思議な縁を感じました。凛が今いる場所は、本来は穂乃果がいるはずの場所。そこに次期リーダーの凛ちゃんがいました。
このシーンについて、内田彩さんが舞台挨拶で言及されていました。
内田さんは、凛ちゃんのことを「穂乃果ちゃん2号」と表現していました。髪をちょんまげに束ねたり、リーダーとして頑張る凛の姿が、穂乃果と重なって見えたそうです。そんな穂乃果の面影がある凛に対して、ことりは「私が支えていかきゃ」という感情を抱いているかもしれない。劇場版を通して、ことりと凛が一緒にいるシーンが多いことを顧みても、大きく頷ける意見だと思いました。
穂乃果を叱る海未-穂乃果との関係性-
劇場版では、海未ちゃんの魅力が多分に描かれていたように思います。劇場版のパンフレットに、海未ちゃんに関する花田先生のインタビューが載っていました。
―9人の中で、特に書きやすいメンバーがいれば教えてください。
海未ですね。ツッコミ役で誰より常識人だと思うし、小心者なところに親しみが持てるから、書きやすいのかもしれません。
『ラブライブ!The School Idol Movie』パンフレット 花田十輝インタビュー
海未はツッコミ役で誰より常識人、そして小心者だからこそ、海外という見知らぬ土地との化学反応が魅力的に描かれた。花田先生のインタビューから、劇場版で見られた海未ちゃんの魅力の正体が分かりました。
肩を寄せ合うりんぱな-言葉はいらない-
花陽の「遠くに来ちゃったね。」という台詞。心を抉られた人は多いんじゃないでしょうか。日本から遠く離れた場所に来た。それと同時に、自分たちが最後を迎える時間が近付いていること。その二つの意味が込められているように感じました。
その直後、凛ちゃんと肩を寄せ合うだけで、心が安らぐ花陽ちゃんの姿がありました。長い時間を共にしている彼女たちには、特別な言葉は必要ありません。二人の絆の深さを実感できる素敵なシーンでした。
真姫の作曲ノート-気持ちの伝え方-
真姫といえば、素直に自分の気持ちを伝えることが得意ではありません。希のアドバイスを受けて、自分が書いた曲をこっそりと穂乃果に届けるという描写が、1期の2話で描かれていました。そんな真姫だからこそ、今回も密かに自分の気持ちを伝える方法を選んだのだと思いました。
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